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西山太吉記者外務省機密文書入手と佐藤栄作記者会見の台詞
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投稿者 木村愛二 日時 2006 年 3 月 08 日 14:35:28: CjMHiEP28ibKM
 

(回答先: 西海評論:権力と新聞 /長崎【「情報操作とメディア−−軍事国家へと進む日本」】―「毎日新聞」長崎 投稿者 天木ファン 日時 2006 年 3 月 08 日 11:59:57)

西山太吉記者外務省機密文書入手と佐藤栄作記者会見の台詞

以下はの拙著の抜粋である。
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『放送メディアの歴史と理論』(木村愛二著、社会評論社刊、2005)
第三章 戦後の放送メディアの歴史をめぐる主要な問題点
[中略]
●「テレビカメラはどこかね。そっち?」と首相言い

 後藤や正力のような権力支配の権化のような高級官僚が、なぜ、まずラディオ、次にはテレヴィに執念を燃やしたのか。そこにも、放送メディアの政治的な「特性」がある。
 放送メディアと活字メディアの違いはいろいろあるが、権力との関係で最も特徴的なのは、権力者がジャーナリストの筆を介さずに直接、ほとんどすべての市民に語りかけることを可能にしたことだろう。ヒトラーがラディオを重視したことはあまりにも有名だが、そのヒトラーのナチ政権を倒すに至ったアメリカのローズヴェルト大統領も、ラディオの「炉辺談話」の語り口に工夫を重ねたことで知られている。
 テレヴィ時代になると、さらにこの傾向は強まった。最近では、積極的に出演する政界実力者のテレヴィ番組での発言が、そのまま新聞の紙面に転載されるようになった。テレポリティックス時代の到来である。一九九三年の椿舌禍事件は、このような時代、または、うれうべき事態を象徴する数々の問題点をはらんでいた。
 しかし、活字メディア関係者が、この際とばかりに「テレヴィ人間」を低級と決めつけて、斜に構えているだけの有様も、やはり、お粗末の極みである。特に新聞の場合には、自らが長年務めてきた低級な権力迎合型速報性メディアの地位をテレヴィに奪われつつあるのだから、そのうらみを悪口雑言にまぎらわせているようで、いささか、いや、かなり見苦しいのだ。
 問題はメディアの性格にもある。放送メディアの開発以前にも、新聞印刷に輪転機が導入された。速報性の大量伝達という機能はすでに、発表報道方式の、権力に利用されやすい性格をはらんでいたのである。電波では、その性格が極限にまで開発された。
 この現象を、権力とメディアとの力関係から考えてみよう。放送メディアの出現以前の権力者の発言は、丸ごと活字になることは少なかった。特に、新聞の紙面が限られている場合には、記者や整理デスクの頭脳を通過して要約される。その過程で多少なりとも担当者の主観的な判断、批判が加えられた後に印刷された。ところが権力は、放送メディアを獲得した後には、自分の主張を直接伝達することができるようになったわけだ。放送メディアには、そういう機能がある。だから勢い、権力は、放送波メディアを有効に活用することによって、活字メディアに対しても強い立場に立つことができる。
 以上のような権力とメディアとの力関係を考える上で典型的な実例は、佐藤栄作が首相時代末期に首相官邸の記者会見室で発した下品極まりない長台詞である。次のように、一字一句を正確に活字に起こしたのは、マスコミ・ゲリラを自称する松浦総三である。
 「テレビカメラはどこかね。そっち? テレビカメラ、どこにNHKがいるとか、NET……どこになにがいるとか、これをやっぱりいってくれないと、きょうは、そういう話だった。新聞記者の諸君とは話をしないことになっている。ちがうですよ……。それだけにしてもテレビをだいじにしなきゃダメじゃないか。テレビはどこにいるかと聞いているのだ。そんなスミッコにテレビおいちゃ気の毒だよ。テレビにサービスしようというんだ(笑声)。それをいまいっている。テレビどこかはっきり出てきてください。そうでなきゃ、ぼくは国民に直接話したい。新聞になると、文字になると、ちがうからね(一段と語調を強め、キッとなる)。ぼくは残念ながら、そこで新聞を、さっきもいったように、偏向的な新聞はきらい、大きらいなんだ。だから直接、国民に話したいんだ。テレビをだいじにする。そういう意味でね、直接話をしたい。これ、ダメじゃない。やり直そうよ。帰ってください。記者の諸君。(両手を広げながら)少しよけて、まん中にテレビをいれてください。それをお願いします」。(『創』一九七三年一二月号)
 佐藤はこの日、八年間にわたって維持してきた長期政権の継続をついに諦め、辞任を表明したばかりだった。苛立っていたせいか、照明のせいか、会見室の真正面のガラス越しの部屋に設置してあったテレヴィ・カメラが目に入らず、オフレコのつもりでしゃべっていたらしい。
 佐藤は高級官僚出身の典型で新聞記者が嫌いだったらしい。それでも、新聞には特に「先物買い」の習性があるから、首相になりたての頃は例によって期待され、新聞記者からもチヤホヤされたに違いない。ところが同じ「先物買い」の習性から新聞は、政権末期になると政権初期とは打って変わって遠慮なしに現政権批判、次期政権待望の論調を張り出すものだ。特に佐藤の場合には、毎日新聞の西山太吉記者が外務省の機密文書を入手して、佐藤政権とアメリカの沖縄返還問題に関する密約を国会で社会党議員に暴露させた。詳細は省くが、このいわゆる「西山事件」が佐藤の辞任につながっていたため、新聞記者に対する反感が募りに募っていた。そこで断末魔の佐藤の口から、ヤケのやんぱちめいた本音がポンポン飛び出したわけだが、これは決して単なる支離滅裂な暴言ではなくて、実に正直な権力者のメディア観の告白だったのである。
 佐藤はこの発言の直後、記者団が総退場した会見室でテレヴィ・カメラのみに向かって約一時間の独演会を行った。面白いことには佐藤の実兄で、やはり高級官僚出身の岸信介も、六〇年安保改訂に際して内閣記者団から会見を拒否され、NHKに独演会を要求している。この時、NHKは独演会こそ遠慮したが、内閣記者団の申し合せを裏切って社会、民社の両党首を交えた「三党座談会/新安保条約をめぐって」を企画し、二度にわたって放送した。
 [後略]
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