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天木 直人・元レバノン大使に聞く(労働新聞 2003年11月15日号 インタビュー)
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投稿者 天木ファン 日時 2006 年 3 月 23 日 09:56:11: 2nLReFHhGZ7P6
 

労働新聞 2003年11月15日号 インタビュー

イラク戦争、小泉の「支持」に反対し
外務省を退職
外交の「劣化」招いた対米追随

天木 直人・元レバノン大使に聞く

  米国によるイラク占領は、軍事・財政・政治の各方面で窮地に追い込まれている。だが、「復興」支援への多額の援助など、米国を唯一支え続けているのが、わが国小泉政権である。小泉による自衛隊のイラク派兵策動などは、対米追随外交に基づくものであると同時に、集団的自衛権行使など政治軍事大国化を狙う、わが国支配層の意を受けたものである。このような売国外交を打ち破らなければならない。イラク戦争に反対し、事実上外務省を追われた、天木直人・元レバノン大使に聞いた。

 中東のレバノン大使として勤務していた約3年間、現地で毎日感じていたのは、米国の中東政策は間違いであるということだ。米国はパレスチナ問題で、イスラエルをまったく抑制できず、その結果、パレスチナ人が毎日殺されている。パレスチナ問題の未解決こそ、アラブの人たちに憎しみを蓄積させ、抵抗に駆り立てているのだ。
 この米国の誤りについて、私は外務省内で批判的な意見を言ってきたが、その中で、同時テロ事件が起こり、アフガン戦争、さらにイラク戦争が起こった。
 私はアフガニスタンへの戦争にも反対だったが、今度のイラク戦争は、それ以上に大義のない戦争で許せない。「大量破壊兵器」の存在は、当時も今も実証されていないし、米国が国連を無視してイラクを攻撃したことは、どう考えても間違いだ。
 だが、小泉政権は真っ先に米国を支持した。小泉首相の外交姿勢は、ただ「日米同盟」と言っていればよいかのようだが、日本の国際的なイメージは決定的に傷ついた。責任は重大で、辞職ものだ。
 私は、レバノンから外務省本省に、そう意見を言った。だが、意見はまったく無視され、事実上、外務省を追われることとなった。

フランスと大違いの日本外交

 日本の中東外交は歴代、企業がカネもうけできる産油国、それに米国が利害を持つ国にしか関心を払ってこなかった。
 アラブの文化や、感情に配慮した外交ではなかった。その上に今回の事態で、このダメージは取り返しがつかない。
 日本の姿勢と対比して、イラク戦争に反対した欧州、とくにフランスの姿勢は、米国を大いに手こずらせた。
 だが、日本の支配的な世論は、フランスの態度を「中東の利権目当て」と切って捨てた。それはそうだが、だからといって、あの不正義の戦争を支持することにはならない。
 トヨタの奥田会長がシラク大統領を口汚く非難したことが、私の記憶に印象深く残っている。奥田氏は日本を代表するビジネスリーダーであるので、米国に追随してカネもうけすることしか考えていないような印象を、世界に与えないでほしかった。


アジア・国連外交でも誤り

 イラク戦争にあらわれた日本外交の「劣化」とも言うべき例は、ほかにもある。
 かつて、米国抜きのアジア経済圏を目指した東アジア経済協議体(EAEC)構想への態度でも、日本外交は対米配慮を最優先した。
 マハティール・マレーシア首相が構想を提唱したとき、日本は米国の圧力に屈し、構想をぶち壊すのに手を貸した。
 ところが、先日のアジア太平洋経済協力会議(APEC)を見れば、わが国はそれ以降、対アジア外交を無為に過ごしてきたことが鮮明になったのではないか。いまや、アジアは経済関係だけでなく、相互の安全保障関係を深め、中国やインドとも関係を結ぶようになっている。日本はオファーを受けているのに、米国の圧力で加盟の決断を先延ばしした。ひどいものだ。
 戦後、わが国の政府開発援助(ODA)の7割がアジア向けだったことに示されるように、アジア外交は重要な外交の柱だったはずだ。アジアとの自由貿易協定(FTA)の締結についても、本来、外務省は自由貿易を進める立場であるにもかかわらず、力不足で国内官庁に屈服した。
 国連安保理事会の常任理事国入りの問題についても、日本外交の貧しさを証明した。
 常任理事国入りには国連憲章の改定が必要で、それだけでも実現の可能性は低い。しかも、なぜ日本が安保理に入る必要があるのか、政府はまったく説明しない。仮に、米国と違う意見を言うのなら意味があるだろうが、現状では米国の票を増やすだけだ。世界の国々からすれば、まったく意味がない。

求められる対米追随の転換

 このような外交の「劣化」の最大の原因は、対米追随外交があまりに長く、それ以外の選択肢をもっていないことにある。
 卑近な例だが、私が外務省に入省してすぐ気づいたのは、「対米外交重視」をとなえる人物が出世しているという事実だ。
 元駐米大使の栗山尚一氏などは、条約課長時代に作成した省内向けペーパーで、「米国は日本と共通の価値観を有する信頼できる唯一の国である。そのような国に対して、助けてくれないかもしれないなどと疑念を抱くこと自体、誤りであり失礼である」と、およそ、外交官として考えられない発言まで行っている。しかもこれが、「読むべき解説書」とされている。
 こういう中で対米追随外交が蓄積され、日米安保は「日本を守る」という点を完全に逸脱し、米国の世界戦略の要として機能している。日本国憲法も、完全に逸脱した。
 また、安保など対米追随外交に反対してきたはずの、野党・社会党の責任も大きい。
 社会党が元気なころ、もし、いまの小泉のような国会答弁をしたら、すぐ国会が止まり、責任問題に発展しただろう。
 ところが、社会党首班の村山政権で安保再定義を行うなど、逆に、対米追随外交が「やり放題」になってしまった。土井たか子氏(現党首)も、村山氏に先んじて、衆議院議長にまつり上げられた。社会党が自民党にすり寄ったのが最大の間違いで、国民にとっては裏切りだった。
 また、情報公開が行われていないことも重大だ。例えば、日米は核の持ち込みで秘密協定を結んでおり、その中身も明らかになっているにもかかわらず、いまだに外務省は否定し続けている。
 こうした対米追随、情報隠しの姿勢が、今回のイラクの問題で最悪の形であらわたと言ってよい。もちろん、自衛隊をイラクに派遣するなど、まったく許されない。これを転換し、国民の利益を守る自主的な外交を、実現させなければならない。


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あまき・なおと
 1947年、山口県生まれ。69年京都大学中退、外務省入省。内閣安全保障室審議官、在マレーシア大使館公使などを経て、2001年より在レバノン特命全権大使。03年8月、外務省を退職。著書に、「マンデラの南ア」(サイマル出版)、「さらば外務省! 私は小泉首相と売国官僚を許さない」(講談社)。

http://www.jlp.net/interview/031115a.html

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