★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK20 > 903.html
 ★阿修羅♪
<縦並び社会・格差の源流に迫る>消費者優先の果てに(毎日)
http://www.asyura2.com/0601/senkyo20/msg/903.html
投稿者 七瀬たびたび 日時 2006 年 4 月 05 日 20:31:22: bo2NmpzpRHGO6
 

 街の名は「ぶらぶら歩く」が由来ともいわれる。しかし、今は歩く人よりも自転車で通りすぎる人の方が多く見える。和歌山市中心部の「ぶらくり丁」には八百屋も酒屋もない。市郊外や大阪府南部の大型店に客を奪われ、5年前に老舗百貨店が倒産したことで衰退が加速した。

 大型店の出店を規制する大規模小売店舗法(大店法)は00年に廃止され、大型店で買い物しやすくなった一方、全国でシャッター商店街が増え続けた。

 市内で薬局を経営する岩本研さん(55)は「彼の進める規制緩和が100パーセント正しいとは思わない」と言う。高校の同級生で選挙の応援もした竹中平蔵総務相のことだ。

 竹中氏は履物商を営む家に生まれ、高校までこの街で暮らした。95年、雑誌への寄稿で大店法を「悪名高い」と批判し、24時間営業も少なくない米国の大型スーパーについてこう触れている。「好きなときに欲しいものが買えるような社会。これこそが自由の国アメリカの真髄である」

   ■   ■

 97年夏。大店法の見直しを検討する国の合同会議の委員3人は欧州各国を視察した。結果を報告する「委員限り」の資料が残っていた。

 パリのフランス建設省。大型店の出店を規制するロワイエ法について委員が「競争の自由を害しないか」と尋ねると担当者は「近隣に小売業がなくなるのは困る」と答えた。「消費者は安い方が良いだろうが価格だけの問題ではない。大型店は都市中心部から離れ、自動車や大型の冷蔵庫を持つ必要があり、街の高齢者には不便だ」

 フランスは規制緩和どころか、96年にはロワイエ法を強化したラファラン法を制定している。

 やはり郊外への大規模店の出店を規制するドイツのベルリン市。「食料品は自動車なしで買い物ができるようにすべきと考えている」

 合同会議は欧州の実情を重く見た。ではなぜ現実は逆に向かったのか。97年12月、合同会議は最後の4回の議事録を非公開にした。毎日新聞が入手した議事録にはこんなやりとりがある。

 「大店法という船から新しい船に乗り換えよう。冷たい海に飛び込むのではなく、新しい船を用意している」(議長の故田島義博・学習院長)

 「なぜ年内の結論にこだわならければいけないのか。生活がかかっている中小商業者に、姿が見えない船へ飛び乗れといっても説得不可能だ」(谷村昭一・日本商工会議所参与)

 大店法は米国が日本に撤廃を求め、96年にWTOに提訴した。政府は97年5月「法的措置を含めた抜本的な検討を行い、12月までに結論を得る」と閣議決定していた。合同会議の複数の委員は「大店法廃止の結論ありきだった」と証言する。

 谷村参与は今、後悔する。「泥舟とまでは言わなくても、不完全な船に乗せられてしまった」

 この10年、海外の流れとは逆に規制を緩和した日本。「消費者のために」と大店法が廃止された後、何が起きたのか。大型店同士の競争が激化し、経済産業省によると、04年6月までの2年間に全国で大型店の1割にあたる1561店が撤退した。

 自分たちの街を守ろうとする動きも出ている。福島県は昨年10月、売場面積6000平方メートル以上の大型店出店を事実上規制する「商業まちづくり推進条例」を全国で初めて制定した。竹中氏と親しい本間正明・大阪大教授ら、経済財政諮問会議の民間4議員はこうした動きをけん制する意見を表明した。

 「民間に対する規制を強化し、構造改革に逆行することになるのではないかと懸念している」

 和歌山市の商店街「ぶらくり丁」。パンを買いにきた阪部登志代さん(84)は「昔はこの辺りを歩けば何でもそろったもんだが。ほんま年寄りには不便な街になってしまった」と嘆いた。

 竹中氏は故郷の現状をどう見ているのか。取材に「ぶらくり丁の人は消費者の嗜好の変化に対応策を取れなかった。創意工夫の問題だ」と答えた。

=つづく

(毎日新聞) - 4月5日19時38分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060405-00000056-mai-soci

 次へ  前へ

  拍手はせず、拍手一覧を見る

▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK20掲示板


  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。