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□理不尽な負担 [毎日新聞・発信箱]
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/hassinbako/
理不尽な負担 中村秀明（経済部）
沖縄の米軍８０００人をグアム島へ移すため、日本が約７０００億円を負担するという。
外国にいる軍隊を自国に戻す費用を、外国に払わせるなんて聞いたことがない。おっかない筋が要求する立ち退き料みたいだ。それに、日本の財政は借金まみれで、四苦八苦じゃないか。
政府は７０００億円のうち半分は融資と出資で、「将来、返ってくるお金だから安心して」と説明するが、返済のあてがある金なら米国が出すはずだ。焦げ付きそうなのは、政府も承知のうえなのだろう。
もっとも、いろいろひっくるめて「米軍再編の日本の負担は３兆円なり」と吹っかけられており、融資が少々焦げ付いても、その穴は見過ごす程度かもしれない。「軽武装・経済優先」を認めてあげたのだから、いざという時を想定した蓄えはあるでしょ、とでもいいたいのだろうか。
思えば、こうしたツケは沖縄県民が、別の形で背負ってきたものだ。小さな島に在日米軍の７５％が集中している現実は、頭でわかっていても、多くの国民にとって人ごとにすぎなかった。
だからと言って、政府の「沖縄の負担軽減のためだから」に納得するつもりはない。まして、あてにならない米軍に巨額の費用をかけるより自国の防衛力整備にもっと金をかけたらどうだ、という便乗論には、お引き取り願いたい。
ただ、７０００億円の理不尽な負担を突きつけられ、人ごとだった痛みをうっすらと実感できたような気がする。沖縄県民は道理が通らないこんな状況に、長年置かれてきたのだ。
毎日新聞 2006年4月28日 0時28分
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