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「横浜日記」(45)その2―「ウィ・シャル・リターン」  【時代状況 横浜日記】
http://www.asyura2.com/0601/senkyo21/msg/595.html
投稿者 愚民党 日時 2006 年 5 月 04 日 18:10:08: ogcGl0q1DMbpk
 

(回答先: 「横浜日記」(45)その3―「ウィ・シャル・リターン」  【時代状況 横浜日記】 投稿者 愚民党 日時 2006 年 5 月 04 日 18:00:37)

「横浜日記」(45)その2―「ウィ・シャル・リターン」


http://blogs.yahoo.co.jp/humemoto2005/34908853.html




「横浜日記」(45)その2 06・4・26 梅本浩志

<「ウィ・シャル・リターン」>

 これほどまでにして米国に貢ぐ日本を見ていると、暴力的な男に全てを奪われながらもなお自虐的に尽くす幸薄き女の姿を思い浮かべてしまうのだが、なぜそれほどまでにして歴代の自民党政権、とりわけ小泉政権は喜々として米国に尽くし、今後もさらに米軍の再編経費だけで3兆円、そのほか「思いやり予算」を果てることなく出し続けるのか。

 その代償が、農地や工業・商業一等地の強制収用であり、基地公害であり、自然破壊であり、米兵の殺人、強姦、その他諸々の犯罪であり、まともな捜査、裁判権のなさであるにもかかわらず。今回の米軍再編によってさらに被害が増大することが確実な地方団体で、歓迎の声をあげるどころか、嫌悪する声ばかりが聞こえてくることだけで、日本人の米軍に対する感情や思いが明らかである。

 小泉は、その理由として日米同盟が日本にとって至上のものであり、なににもまして大切にしなければならないからだと言ってはばからない。

 日米同盟とは、軍事同盟としての日米安保条約であることは言うまでもない。60年安保闘争の際、6月15日の国会デモだけでも死者1人、重軽傷者589人もの犠牲者を出して(講談社「20世紀全記録」)、岸信介政権が強行成立させた日米安保条約なのである。

 そんな血塗られた軍事条約を履行せんがために歴代自民党政権はこうした愚かなことをし続けてきたのであるし、今後も一層その政策を強化していくのである。今では社民党と改名せざるをえなくなった社会党も、総理大臣のポストに就くことができた嬉しさからか、自民党との闇取り引きからか、あるいは無責任なマスコミの煽てに乗ったからか、村山富市党首が日米安保条約賛成に方針を転換するという愚行を演じた。

 米国もこのあたりをよく見すかしていて、今回の米軍再編成も日本側の要求にも沿うことでもあるから、日本側が必要経費全額を負担して当たり前だと、すっかりなめきった態度である。

 小泉政権にまで至った歴代政権のこうした卑屈なまでの米国への従属的な発想のスタイルあるいはものの考え方と政策について、表面的、現象的にみると対米従属の半独立国であるような印象を持たざるを得ないし、日本はアメリカの第51番目の州でしかなく、その軍隊(自衛隊)は州兵の軍隊と変わりなく、司令系統も米軍の総司令部の下位に位置していて、服従せざるをえないように見えるし、実態的にもそうなのかもしれない。

 だから米国から海外派兵や資金供出の圧力があると、日本政府は憲法で禁じられているにもかかわらず絶対に拒否できないし、米国の勝手で行う軍隊の組織や配置あるいは指揮命令系統の再編成にあたっても、日本は必要とする資金の全額まで負担せよと迫られるのであり、日本政府はこれに対して真っ向から拒否どころか反対もできない。基地の提供も無条件的に要求され、その経費まで日本国民は税金で負担させられている。米兵家族のガス、電気代まで日本人が税金で支払わされているのだ。

 米軍基地所在の住民たちが反基地感情をつのらせ続けてきたことは日本人全体がよく知っていることで、その被害は無視できないものである。特に沖縄の住民たちの苦痛は言語に絶するものである。県知事や地元市町村長たちが自民党所属であっても強く反対せざるをえないところにまで追い込まれている。
 
 こうした状況について日本が対米従属の半植民地国だと思えても、自然なことであろう。実際、代々木共産党や最近では社民党までがそうした見解であることを、両党の指導者たちが語る言葉の端々にうかがわれる。

 だがいま少し深く考えてみると、そうした見解が必ずしも的確なものかどうか、言いえないことが分かる。もし対米従属の半植民地国であるならば、いくら利権まみれの功利的政治指導者たちとはいえ、これほどまでの卑屈な姿勢を積極的に維持し続け、進んで米国に協力することは、先進国ではまずあり得ないからである。たとえ後進国のいくら傀儡政権であっても、理念やイデオロギーの次元で、いまの小泉政権のような喜々とした対米積極協力姿勢、いや一体化姿勢を高々と掲げて遮二無二政策として押し進める例はあまり見ない。傀儡政権の政治家たちが遂行する隷属的な政策には、自分たち一族などが甘い汁を吸えるといったご利益があるから、そうしているまでの話である。

 日本の歴代政権が恥臆面もなく推し進めてきた従属的な諸政策は、後進国の傀儡政権政治家たちに見られるような、自己周辺の人間たちの利益だけを追求するための利己的な動機に基づくものではなく、日本を統治し、支配している階級のための利益を追求し、その利益を永続的に確保し続けるためである、と考えるほうがすっきりと理解できる。

 そのためには現在の支配体制を強固に維持、発展させる必要があることは明らかであろう。政治、経済、社会等あらゆる分野で支配的な主導権を握り、安定した利益を確保し続けられる、資本の巨大サイボーグを強固なものに造り上げ、発展させること。そしてその巨大サイボーグに仕え、寄生して甘い汁を吸うことができている官僚階級を主人とする社会を構築し、強固なものにすること。そうした支配体制の安全な維持、発展を支配権力は必要としているのである。

 突出した軍事力を保持している帝国主義的アメリカは、日本の支配権力にとっては不可欠な生命維持装置であり、その軍事力は積極的に利用、活用すべきものとなっていると言えよう。

 舌足らずで誤解を与えてはいけないので、いま少し踏み込んで説明しておこう。

 日本だけではなく先進資本主義国においてはほぼ言えることだが、おカネというものは、集められ蓄積されて資本となると、性格や性質が変わってしまう。それは、利益を増やし続けなければ生息していけないという因果なものになる。当初は生産したり商売する元手として便利なもので、人間が自由に管理して、必要に応じて合理的にコントロールできているのだが、やがて肥大化し、金融機関などに集中してくると、資本は巨大なサイボーグとなり、人間の手に負えなくなってしまう。

 人間が主人公であったはずが、いつの間にか資本が主人公となり、人間はそんな巨大サイボーグに支配され、部品となり、運命まで決定されるようになる。人間は資本によって使い捨てられる単なる物と化してしまう。そしていつの間にか人間は人間性を失っていき、人格まで破壊されてしまう。最近、マスコミで多く報じられる嫌な事件で見られる人間崩壊現象が至る所で溢れかえる。

 巨大サイボーグに支配され、人間が物と化した体制社会は、利益追求のためには自然環境を破壊することも、民衆の生活を破壊することも厭うことはない。それは全地球規模となり、資本は低賃金の労働市場へ生産施設を移す。新規市場を求めてどん欲に進出する。労働者の賃金は上がることはない。いや下がる一方である。極端に言えば、先進国労働者の賃金は、発展途上国労働者の低賃金と同じレベルにまで下がらざるをえなくなる。先進資本主義国から発展途上国へと資本は移動し、工場は閉鎖され、失業者が増える。人々は希望を失い、生命力を喪失する。

 現代の資本主義体制はそうした巨大サイボーグと化した「システム」(カレル・ヴァン・ウォルフレン『日本/権力構造の謎』)によって統治され、支配されている。もはや人間の手に負えないそんな巨大サイボーグに忠実に尽くし、その見返りに一定の高所得と社会的地位を得ているのが官僚階級なのである。党官僚(政治家および党ビューロー)、経営官僚(財界人、経営者および企業の管理職者)、行政官僚(中央官庁や地方自治体の高級官僚や管理職者)、労組官僚(労組役員)、団体官僚(協同組合や社団法人等各種団体の支配的地位にある役員)、大学官僚(独立法人化した大学・大学院・研究所等の教授、理事、管理職的権限を持つ研究者)といった官僚たちから、官僚階級は構成されている。

 官僚は、まず主として官僚階級の家庭の子弟を特別にエリート教育し、特殊法人化した大学に入れて高等教育を施し、大企業や中央官庁等に就職させて育成される。こうして一応形式的な「勝ち組」として社会的に認知して、一定の社会的地位と高所得を保障する。
 その上で、巨大サイボーグに忠実な使徒であるか、心から忠節を尽くせるのか、見極められ、様々な訓練を受けさせて、その中からさらに選別して官僚階級の1員として認知し、待遇し、ここに階級としての「官僚」が誕生する。就職したて当時の「勝ち組」ではなく、名実ともの「勝ち組」がこうして生まれでるのである。こうした過程でエリート官僚に達するまでに、彼らが人間性を失っていくのは極めて自然なことである。せっかくこのようにして「勝ち組」に入れても、篩(ふるい)から落とされれば、リストラされて一挙に「負け組」に転落する。

 小泉政権に至る歴代自民党政権はこうした巨大サイボーグと官僚階級の利益を図り、確保することを使命としてきたことは言うまでもない。そのためには手段を選ばず、黒を白と言い、米国の核軍事力を積極的に利用してきた。半世紀以上かけて教育を反動化させ、市民の抵抗力を奪い去り、労組や学生運動組織を空洞化させ、解体してきた。日米安保条約を至上の高みに置いて、憲法を骨抜きにしてきた。

 それはまさしくグラムシの唱えたヘゲモニー論の裏返しだった。「逆さグラムシ」だった。そして遂に教育勅語の復活としての教育基本法の、治安維持法の復活としての共謀罪の、明治憲法復活としての日本国憲法の、改悪が具体的にテーブルの上に載せられたのである。それが小泉の言う「改革」の実体である。



http://blogs.yahoo.co.jp/humemoto2005/34908853.html

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