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共謀罪、私はこう考える 『飲み屋営業妨害法案』だ (東京新聞)
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投稿者 彗星 日時 2006 年 5 月 10 日 13:48:13: HZN1pv7x5vK0M
 

特報
2006.05.10

共謀罪、私はこう考える 
『飲み屋営業妨害法案』だ

 実際に罪を犯していなくても、相談しただけで罪に問われる「共謀罪」。衆院法務委員会で9日、参考人質疑が行われたが、与党側は今週中にも採決を強行する構えだ。運用次第では、現代版・治安維持法の危険性さえ持つとして、創設には批判の声が強い。各方面の人たちに聞いた、「共謀罪、私はこう考える」−。

 「共謀罪はね、『飲み屋営業妨害法案』ですよ」。こう話すのは、作家の佐野真一氏だ。「罪を犯していない人を逮捕する法律でしょ。『ぶっ殺してやる』なんてこと言っても、翌日はけろっとして、また仲良くやるのが人間てもんですよ。居酒屋で夜な夜な『上司を殴ってやる』って盛り上がってるサラリーマンもそう。そんなこといったら、おれなんか毎日、共謀罪やってるよ。役人に、そんな法律をつくる権利、与えた覚えないよ」

 人権団体などは早くから反対を表明している。

 国際的人権NGO「アムネスティ・インターナショナル」(ロンドン)日本支部の寺中誠事務局長は「世界には、アムネスティの一員だというだけで逮捕されてしまう国がたくさんある。ネパールでは、私の仲間が、国王に反対するデモを組織した疑いで逮捕された。共謀罪ができたら、アムネスティは日本でも摘発の対象になってしまう」。

 兄弟がタリバンに連行されたため日本に逃れたが、不法入国とされたアフガニスタン人青年の難民認定を求める児玉晃一弁護士は「法務省は、入管に収容した外国人を一日に一回、運動させるという、単純なルールさえ守ろうとしない。そんな役所が、条文に何も限定がないのに、対象を限定して適用するなんて考えられない。このままでは、母国で政治的迫害を受けた人々が集団逃亡してくるのを助けようと相談しただけでも共謀罪になる恐れがある。日本のシンドラーと呼ばれた故・杉原千畝が存命だったら処罰されかねない内容だ。永久に廃案にすべきだ」と話す。

■人権擁護運動 摘発の対象に

 「共謀罪が成立すれば、あらゆる行為が捜査の対象となり、国民は盗聴、密告により国家から監視される対象となってしまう」と危惧(きぐ)するのは、司法試験に毎年、大量の合格者を出している伊藤塾の伊藤真塾長だ。

 「本来、国家を監視する側の国民を国家が監視し、異論を持つ者を委縮させ、国家に対する監視機能を失わせることは、民主主義を抹殺し、憲法の立憲主義を死滅させるに等しい。国家は私たちを守ってくれる存在であり、信頼の対象であるという考えはあまりに楽観的すぎる」

 インターネット上のバーチャル政党「老人党」のホームページでも、多数の人が共謀罪について賛否両論をたたかわせている。「老人党」提唱者の作家で精神科医、なだいなだ氏は「うちの近所の団地には堂々と代紋を掲げた暴力団がいる。国は共謀罪ができれば犯罪組織を取り締まれるというけれど、今までも、口では『取り締まる』といいながら四十年も五十年も放置してきたではないか」と、政府の主張に疑問を投げかける。

 「談合事件で、企業は摘発されても、官製談合に関与した役人はめったに捕まらない。『共謀罪を成立させれば、そういう役人たちをどんどん捕まえるつもりがあるのか』と、問いかけたい。そういうことはせずに、戦争反対みたいな人ばかりに共謀罪を使うつもりなのではないか」

■テロからの安全 思想信条の自由 迫られる選択 

 桜美林大学の加藤朗教授(国際政治学)は「テロから身体の安全を守ることを優先するのか。それとも思想信条の自由を優先するのか。重大な選択を迫られているのだと思う。無差別爆弾事件が起きたとき、犯人に爆弾の作り方を教えた人間は処罰されなくていいのか。危険な薬品が管理されているように、危険な知識も管理されるべきではないのか。何らかの法律は必要だろう。ただし運用は厳格な枠にはめられなければならない」との見方だ。

 慶応大学の小林節教授(憲法学)は「この類(たぐい)の法律がなければ、日本がテロリストにとって極めて居心地がよい国になってしまい、国際的に孤立してしまうのはまちがいない。ただし日本の警察が法律を乱暴に運用するのは昔からの体質で十分な監視は必要だろう。従って法案を通すときには厳格な運用をするようにと付帯決議を必ず付けて、乱用するなよ、と念を押すべきだ」と話す。

 民族派団体からも異議ありの声が挙がっている。「一水会」の木村三浩代表は「公の集会で自民党のやり方を批判したとする。これを聴いていた若者たちが国会に突撃するといって飛び出していったら、われわれは密告をしなくてはならないのか。経験からいって、権力は必ず法律の拡大解釈をする。世の中を変革しようという思想を表現できるのは、選挙だけになってしまい、ほかの手法はことごとく排除されてしまうのではないか」と憤る。

 時代状況を指摘するのは、経済アナリストの森永卓郎氏だ。「共謀罪が成立した場合、小泉首相が共謀罪を利用しなかったとしても、次の政権に、こういう武器を残すことが危ない。特に、今のような挙国一致の“時代の空気”の中では危険だ」

 作家の安部譲二氏も「テロ撲滅にどれほど効果があるのか知らないが、仮に効果的であったとしてももろ刃の剣の危険を持つ法律を作ってはいけない。間違った運用をされそうになったとき、命をかけて阻止する役人なんていないんだからね。戦前の治安維持法の二の舞いになってしまう。ただ国民は当然の報いを受けているのかもしれない。なにしろこの間の衆院選で小泉チルドレンを八十三人も当選させてしまった。権力者に力を持たせすぎてはいけないんだなあ」。

■法律できると極端な方向へ向かってしまう

 九日の衆院法務委では、参考人からの意見陳述が行われた。野党側参考人として出席し、陳述を終えたジャーナリストの櫻井よしこ氏は「共謀罪は外形的な確認が難しい犯罪だけに、民主党案のような歯止めが必要だ。人権擁護法案もそうだが、人の心に立ち入る法律は嫌だ。住基ネットの時も、国は『使用する事務は限定する』と言いながら、対象が拡大に向かっているように、この国では、いったん法律ができてしまうと、極端な方向に向かってしまう」と指摘し、こう提言した。

 「オウム真理教(アーレフに改称)事件などを振り返ると、すでにある法律を(捜査当局が)使いこなしているのか疑問だし、共謀罪ができても、国民がきちんと守られないのではないか。法整備を要するのだとしても、まず、オウム事件や北朝鮮による拉致事件の捜査をじっくり検証するところから始めるべきだ」

<メモ>共謀罪

 政府が「国連の国際組織犯罪防止条約を締結するために必要だ」として国会に法案提出した。4年以上の懲役・禁固刑を定めた罪に関し実行しなくても、相談すれば摘発できる。適用罪種は殺人、傷害、窃盗、収賄、詐欺、法人税法・関税法・相続税法・政党助成法・日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法違反など619種類。

 「適用対象を組織的犯罪集団に限定することが条文に明記されていない」などとして日弁連、NGO、野党などが反対。自民・公明両党からも疑義が呈され、過去2回、廃案に。今回が3回目の法案提出で、自公両党は対象罪種は619のまま、「犯罪の実行に資する行為」の時点で共謀罪成立などとする修正案を出した。一方、民主党は適用罪種を306種類に絞り、適用対象を国際的犯罪組織に限定する修正案を提出した。

<デスクメモ>

 治安維持法も当初、帝国議会の大反対にあったそうだ。対象を国体変革を目的とする組織に限定するとして成立したが、ご存じの通り、対象は共産党から宗教団体、学者、言論人へと広がった。時の権力者や、9・11のような外的状況次第で、成立してしまった法律は一人歩きし、変質する。ほんの少し前の歴史が教えていることだ。 (透)

http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20060510/mng_____tokuho__000.shtml

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