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法務委員会 共謀罪 5月10日   【国会 委員会 答弁内容 】
http://www.asyura2.com/0601/senkyo21/msg/832.html
投稿者 愚民党 日時 2006 年 5 月 12 日 02:06:07: ogcGl0q1DMbpk
 

2006年05月11日

http://blog.livedoor.jp/judicial/archives/50204328.html

法務委員会 共謀罪 5月10日
石原伸晃 (法務委員長)
審議をお願いします。

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倉田雅年 (自由民主党) 質問者
民主党も組織的犯罪防止条約の承認に賛成しましたよね?

 平岡 (民主党)
 条約の趣旨・目的に異論はなく、条約締結に関する国会承認にも賛成した。
 しかし、国会における賛成には「留保付き賛成」が認められておらず、
 共謀罪が国内法制化されるに当たっては、謙抑的にすべきという立場だ。

条約には共謀罪が認められているが、共謀罪について反対なのか?

 平岡
 内面の意思が発露された段階で取り締まるという共謀罪には反対。
 国内法の基本原則に沿って、ギリギリの線で法定化したい。

民主修正案では、長期5年を超えると規定しており、
また、予備行為の規定も盛り込んでいる。
しかし、そうでありながら、処罰の対象は共謀そのものといっている。
それで間違いないか?

 平岡
 間違いないが、その共謀は誰でも、
 どういう状況でも当てはまるわけではない。
 処罰できる状況を限定している。

政府案では「目配せをするだけで共謀が成立する」という報道があるが?

 大林 (刑事局長)
 現実問題としてそれはありえない。
 具体的現実的合意が必要。
 また、厳格な組織的要件もある。

報道では、共謀した後に思いとどまった場合も処罰されるとあるが?

 大林
 途中でやめて、何もなくなった場合、共謀が消えたといえる。
 また、与党修正案によれば、処罰条件を欠くことになる。

正当な目的を有する団体であっても、この団体に当たる可能性があるのか?
一般の会社、労働組合、NGO、NPO、など、
構成員の継続的結合関係を基礎付ける目的が正当なものは当たらないのか?

 早川(自民党)
 そのような団体ではおよそ、組織的犯罪の対象には当たらない。

組織的犯罪集団の定義について、民主党案では、
「一定の犯罪を行うことを主たる目的または活動とする団体」としているが、
それでは、与党案より団体の定義が広くなるのではないか?

 平岡
 与党案の「共同の目的」は明らかでないし、
 与党案は条文上、構成員の継続的結合関係云々を書いていない。
 民主案のいう「主たる目的とは」当該団体の業務の範囲をいい、
 「主たる活動とは」そのような目的に応じてとられる活動をいう。
 つまりは団体を実態に即して考えようというもの。
 ノルウェーもこのような定義の仕方をしている。
 目的が正当でも実態の活動が犯罪組織なら取り締まれる。

条約は処罰範囲を「4年以上」と定め、またその団体を、
「犯罪を行うことを目的とする団体」と定義しているが、
ノルウェーはその処罰範囲を「3年以上」とし、また、その団体を、
「犯罪を行うことを主たる目的または活動をする」と定め、
結局条約よりも広く処罰できるようになっている。
これに習った民主案も、条約より広い処罰範囲になっているのではないか?
正当な目的で作られた団体も、その活動が犯罪的であれば捕まることになる。

 平岡
 与党案では、幾つかある目的の中の一つの目的が犯罪を行うことであれば、
 それが団体の目的となり、共謀罪が成立しうるおそれがある。
 それに対して民主案では、現に行われている活動に着目して、
 その活動の大半が犯罪活動の場合に取り締まれるようにした。

主たる活動という文言を入れることは、処罰範囲を広くすることには違いない。

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川内博史 (民主党・無所属クラブ) 質問者

条約の趣旨・目的には賛成だが、刑法原則を崩し、
一般市民の活動や表現の自由を規制してはならない。
与党案は政府案に比べてどのように限定されているのか?

 漆原 (公明党)
 一般団体が当たらないことについて、政府案は明確でない。
 その懸念を踏まえ「その共同の目的が重大な犯罪を実行することにある団体」
 すなわち、「犯罪を行うことを目的とする団体」に限定した。

なぜ合計619もの犯罪が共謀罪の対象になるようにしてるのか?
条約2条には、「重大な犯罪には長期4年以上の自由を剥奪する刑」云々と
書いてあるが、その全てにおいて規定せよとは書いていない。
全て取り締まろうという根拠を教えてほしい。

 辻 (外務省:参事官)
 条約には「一部を除外する」と規定されていないため。

除外規定がないから、というのはおかしくないか?

 辻
 一部除外を許容していないから、条文の解釈によりそうなる。
 交渉経緯においても、重大犯罪の定義について、
 長期3年以上と長期5年以上で対立し、長期4年以上に妥協された。

それが国際社会の共通の解釈なのか?

 辻
 条約の交渉経緯により、各国の共通理念がそうであると判断した。

全てでなくても良いのでないか?

 辻
 例外を設けることはできないと理解している。
 条約は文言を一義的に解釈すべきである。

条約5条3項には「全ての重大犯罪を」云々と書いてあるが?

 辻
 5条3項との関係で直接的な反対解釈することは妥当でない。

政府の取るべき態度として、条約の文言については、
国民にとって有利な解釈を取ることが必要なのではないか。
各国の共謀罪についての規定ぶりはどうであるのか。

 辻
 各国が規定している共謀罪についてはきわめて膨大であるので、
 数について具体的には把握しておらず、申し上げられない。

重大犯罪は取り締まるべきだが、対象にすることに疑問がある犯罪もある。
共謀罪についての各国の状況はどのように規定しているのか?

 辻
 アメリカ、イギリス、カナダに共謀罪があるが、
 各国に電話で調査したところ、
 アメリカは「膨大すぎて把握していない」と答え、
 カナダも「重大な犯罪について把握していない」と答えた。

各国において、共謀罪の対象となる重大な犯罪はいくつあるのか、
それをしっかり説明してもらわないと、国民は安心できない。
ちゃんと文章で問い合わせてくれ。
法務大臣の見解はいかがか。

 杉浦 (法務大臣)
 罪の数が多いといわれるが、各国とも相当数あると思う。
 共謀罪は一般国民に当てはまるものではなく、犯罪者に当てはまるもの。
 一般国民には無縁であり、一般国民を守るものである。

法律の規定ぶりはそうなっていない。

 平岡
 まさにそのとおりで、政府案、与党案は国内法の基本原則から外れている。

法律の運用は行政府が行い、最終的な解釈は裁判所が行うわけだが、
時の権力者によって濫用されないように、
限定の方法は十分な議論が必要であり、そのためにも、
諸外国の共謀罪の規定状況も把握しなければならない。

政府案1条の目的規定の意味は何なのか?
解釈運用上の指針なのか?

 杉浦
 もともと組織的犯罪防止法は条約の実施という目的がなかったので、
 今回の改正と共にその趣旨を明確にするために入れたものであり、
 運用の指針・重要な参考となることはいうまでもない。

条約5条の「組織的な犯罪集団が関与すること」という文言と、
政府案6条の2の関係について説明してほしい。

 杉浦
 条約を受けて国内法化の際に組織的な要件を付加したものである。

条約にいう「関与」とはどういう意味なのか?

 辻
 Involving を関与と訳しているものであり、全体において、
 当該犯罪を実行する組織において行われること、という理解をしている。

ここにいう「関与」とはどういう意味なのか?

 辻
 「行う」ということだと思う。

「行う」ということなのだな?

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枝野幸男 (民主党・無所属クラブ) 質問者

内閣提出法案について、大臣が法律の解釈について国会で答弁した場合、
この答弁内容は誰を拘束するのか。

 杉浦
 一般論で言えば、法令の解釈は、当該法令の規定する文言・趣旨、
 他の規定との整合性等に即して、論理的に確定するべきであり、
 その際に国会での審議の過程で立案者の意図が明らかにされている場合は、
 そのような意図についても考慮されるべきである。
 内閣による法令の解釈の場合にも、立案者の意図を考慮することもあるであろうが、
 法案審議における立案者の発言自体は、政府による法令の解釈を拘束しない。

大臣の国会での発言は政府すら拘束しない、ということか。

 杉浦
 解釈の際の有力な資料になる、ということである。

裁判所は、国会の議事録に拘束されるか?

 杉浦
 一般論として、裁判官はその良心に従い、独立して職権を行い、
 憲法と法律にのみ拘束される、とされており、
 法案審議における提案者の発言等は裁判官を法的に拘束しない。
 しかし、法律を解釈する上での重要な資料のひとつとはされる。

内閣が変われば警察権や検察権を縛るものは何もない?

 杉浦
 一般論として、
 法令の解釈は論理的な追求の結果として示されるべきもの、
 と考えられることから、
 政府が自由に法令の解釈を変更することができる、
 という性質のものではない、と考えられる。

政権が変わればなんら縛られることがない、という前提で話を進める。
与党の言う「共同の目的」について、早川委員は、
「この共同の目的は、結合体の構成員が共通して有し、
 その達成または保持のために構成員が結合している目的、すなわち、
 構成員の結合関係の基礎になっている目的をいう、と解されている。」
と答弁しているが、どこでそう解されているのか?

 早川
 まず、法令の解釈については、文言から一定の解釈の範囲が定まる。
 現行の組織的犯罪処罰法において、第2条第1項で団体の定義がある。
 そこで団体は、「共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、
  その目的または意思を実現する行為の全部または一部が組織により、
  反復して行われるものをいう」という定義になっている。
 この定義規定の文言から、この「共同の目的」というのは、
 「個々の構成員がその時々に有している目的をいうのではなく、
  多数人が共同して有しているものをいい、かつ、継続的結合体として、
  有しているものでなければならない」と、こういう風な論理的帰結になる。
 この定義規定の要件を全て満たすものだけが、
 組織的犯罪処罰法における団体に該当することから、
 多数人の継続的結合体であっても、共同の目的を有していないものは、
 この法律上の団体には当たらないことになる。
 故に「共同の目的」というのはこの組織犯罪処罰法上の団体に必要不可欠なもの、
 すなわち、団体を団体たらしめている基礎的なものをいうのであり、
 このような条文の規定の内容から、当然に導かれる解釈として、
 与党修正案の共謀罪の規定に言う「共同の目的」とは、
 「継続的な結合体の構成員が共通して有し、その達成または保持のために、
  構成員が結合している目的、すなわち、
  構成員の結合関係の基礎になっている目的である」と解されることになる。

問題はそれが、2条から論理的に出てくるかどうかである。
団体は、「共同の目的を有する多数人の結合体である」と言ったときに、
「共同の目的」がなければ団体に当たらない。
しかも、「継続的結合体」としての団体だけが、
6条の2の「共同の目的」の有無を判別すべき団体なのだから、
その対象は「共同の目的を持っている多数人の継続的結合体」であり、
その団体が「継続的な結合の根拠になる共同の目的」を持っている。
それは、論理的におっしゃるとおり。
しかしながら、修正案6条の2に出てきている「共同の目的」が、
2条に言う「共同の目的」と、イコールであるという保障は何もない。
さらに言えば、「共同の目的」というのは、一個である必要は全然ない。
例えば、市民運動を行う「共同の目的」で、多数人が継続的に、
結合している団体がある場合、その「共同の目的」は、市民活動である。
市民活動を目的とする団体が、2条で団体として限定される。
その団体の活動の中のうち、その「共同の目的」が犯罪を実行するもの、
というのは6条の2で修正で限定されるようになっているのだが、
この「共同の目的」が、もともと2条での、団体制を有するかどうかで言う、
「共同の目的」と、イコールである必要は全然ない。
つまり、市民活動をするというのが主たる目的ではあるけれども、
市民活動をするということの中で、場合によっては、
座り込み等で、一定の犯罪に触れることが、
時々生ずるかもしれないけれども、そこはある程度やむをえない、
ということを付随的に持ちうる場合と言うのはありうる。
その付随的な目的のところが、犯罪に関わってしまった場合に、
そこを、6条の2でどうやれば排除できるのかが問題。

 早川
 修正案の中身をもう一度繰り返すと、
 「構成員の継続的結合の基礎となる目的が
  重大な犯罪を実行することにある団体」
 こういう趣旨で、
 「その共同の目的が重大な犯罪を実行することにある団体」
 として、修正案を提出した。
 結局、「団体の共同の目的が重大な犯罪を実行することにある」
 という風に限定されるわけである。
 複数の目的があるということを前提としているのではなくて、
 「当該結合の共同の目的が重大な犯罪を実行することにある団体に限る」
 という趣旨で、修正案として付加したわけである。
 国会での提案者の提案の趣旨が、どの程度裁判所の解釈を拘束するか、
 ということについては、立法府である国会でその質疑が十分行われ、
 その質疑の内容が一義的に確定している、という状況の中で、
 修正案が成立した場合、その文言の解釈は当然に、
 裁判所においても重要な参考資料として参照されなければならないし、
 むしろ、これに相反する判断を裁判所が行うことは、
 きわめて異例なことになると思う。
 特に刑事法制は国民の基本的人権を制約するものになるわけであるから、
 当然に、法の適用に当たって謙抑的でなければならない。
 さらに、その構成要件の解釈については、厳格にし、
 これを拡張解釈してはならない。
 結果的には法律の解釈について、一番求められるのは、
 法律の常識、良識に基づいた判断、いわゆるリーガルマインドである。
 もちろん、捜査当局、検察当局、あるいは、国会、裁判所、それぞれに、
 法律の判断を行うが、最終的には司法で判断される。
 特に裁判所も、三審制をとっている関係で、
 最終的な法律判断そのものは、最高裁判所にゆだねざるを得ない、
 そういう重層的な関係にある。
 その全ての法律判断の過程において、国会の審議において提案者の、
 立法の趣旨というのは、十分尊重されなければならないと思う。
 また、それを逸脱するようなことがないようにするために、あえて、
 法律の中に判断の際の留意事項を設けて歯止めをかけるということが、
 重要ではないかと思う。
 
一般論として聞けば、仰っている事はなんとなくもっともらしいが、
参考になるというのは確かであるが、かといって裁判所は拘束はされない。
それこそ、私は今憲法調査会長をやっているが、
日本国憲法の解釈について、昭和21年の国会審議の国会答弁に、
裁判所も内閣も、拘束されているか?
されていない。それはある意味必然だと思う。
法の条文には幅があるのだから、どう解釈するかというのは、
制定時において立法者が考えていた解釈と、
時代状況が変わったときの解釈というのは、自然と違ってくるし、
そうであるから、私は自衛隊は合憲だと思っている。
過去の議事録を見ていると、自民党や自民党につながる政権の政府側が、
自衛隊を違憲と思っているとしか見えない答弁を過去に行っている。
つまり、そういうのが法の解釈である。
裁判所だって、国会での解釈が変わりうることを前提に参考にしている。
変わらずに将来にわたって拘束したいのであれば条文に書けばいい。
つまり、心配なのは、「共同の目的」という言葉を普通に読めば、
「共同の目的」というのは色々な目的があるわけだ。
例えば、政治団体の届出義務違反も4年以上であるので対象になる。
政治団体を作るときは政治活動をするというのが共同の目的であるが、
届出義務を怠ることは主たる目的ではないが、ある意味では共同の目的である。
そう解釈しなければ、全ての団体が適用されなくなるからだ。
なぜなら、犯罪を行うこと自体を主たる目的とする団体などありえないからだ。
オウム真理教も犯罪を起こすことが目的ではなく、その共同の目的は、
麻原何某という人が、自己満足を得たかったのか、
経済的利益を得たかったのか分からないが、何らかの目的があって、
その手段として、例えばサリン事件のような犯罪を繰り返していたのだ。
暴力団も、別に犯罪を犯さなくても、世間から怖いイメージを持たれ、
なおかつその結果、色々な不法所得が入ってくるのであれば、
暴力団だってことさら犯罪は起こさないと思う。
犯罪を犯すことそれ自体が目的ではないのだ。
だとすれば、逆に言うと共同の目的が、
その団体の継続的結合のための基礎になっているということを、
ガチッと読みすぎると、暴力団だって、テロ集団だって当たりえなくなる。
テロ集団の団体の結合の主たる目的は、
例えばアルカイダだって政治的な目的を達成することが、
継続的結合の基礎となっている目的であるのであろうから、
それを実現するために、合法的な手段ではできない、
という判断に基づいてテロをやっているのだ。
同じことは労働組合でも政党でも、いろんなところで起こりうる。
政治家だって、政治団体だって、これは継続的な団体であるから、
その政治的な意図を実現することが、第一の主たる目的である。
そして、そのことを実現する手段として、
主には、選挙によって合法的に、選挙に当選して実現しよう、
とするわけだけれども、しかしうまくいかなかった場合に時々、
「これくらいの形式犯の選挙違反だったら仕方がないな」
ということで、その軽微な形式犯的な選挙違反について、
ある意味では共同の目的として行う場合もありうるわけだ。
つまりは、テロ集団が特定の政治的目的を持っており、
それを実現するためにテロをやる、ということと、
日本の普通の政治家の政治団体が、
選挙で当選するという目的を達するために、選挙違反もやむなし、
あるいは政治資金規正法違反もやむなし、と思うこととは、
法律的に違いはないと思われる。

 早川
 たくさんの事例について指摘があったが、いずれの事例も、
 今回の共謀罪の組織的犯罪の対象にならない事例だ。
 結果的には、修正案の読み方について、
 そういう風に解する余地があるかどうかの問題だが、
 私は、ないと思っているが、改めてその問題について説明する。
 まず、団体の共同の目的が何であるかについては、
 個々の構成員の主観的な目的や、
 具体的な活動を捨象した抽象的な目標によって判断されるのではない。
 継続的な結合体全体の活動実態などから見て、
 客観的に何が構成員の継続的な結合関係の基礎になっているか、
 これを、社会通念にしたがって判断すべきである。
 したがって、構成員の継続的な結合関係の基礎が、
 正当な活動を行うことである政治団体、あるいは会社、と異なり、
 一般に、テロ団体、詐欺会社と言われるような団体については、
 これは社会通念に従えば、継続的な結合体全体の活動実態などからみて、
 客観的に構成員の継続的結合関係の基礎となっているのが、
 重大な犯罪等を実行することにある、そういう風な団体であると判断される。
 それが常識的な判断であり、法律家としてなすべき判断だろうと考える。
 いずれにしても、ご指摘の事例については、組織的犯罪の共謀罪に、
 該当するものでないという形での更なる検討が必要と考える。

本当にそのような読み方になる、という担保はない。
例えば、この法律ではもともと、団体の定義として、
「共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって」と書いてある。
ここに「共同の目的」という言葉があって、さきほどからずっと、
「共同の目的」とは何なのかもめてきているところなのだ。
定義規定はこの法律の2条にもともとついているから、
2条に新たに「本法において共同の目的とは」という定義規定をおいて、
そしてそれに、拡大解釈をされないように定義すべきだと思うが?

 早川
 与党修正案の共謀罪の規定にいう「共同の目的」の意義は、
 「共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、
  その目的または意思を実現する行為の全部または一部が、
  組織により反復して行われるもの」という、
 そういう団体の定義規定から導かれるものである。
 現在の与党修正案の文言であっても、
 これまで申し上げてきた意義を読み取ることは十分に可能である。
 またこの文言を異なった意味に読むことは、考えられない。
 しかしながら更に、何らかの工夫ができるかどうか、ということは、
 そういうご提案があれば、また勉強させていただく。
 民主党の修正案でも、
 「重大な犯罪を実行することを、主たる目的または活動とする団体」
 とされているが、この規定における主たる目的がなにを意味するのかが、
 誰が読んでも一義的に明らかなのか、という法律解釈上の疑義がある。
 いずれにしても少なくとも現時点においては、共同の目的という言葉は、
 現行法の組織的犯罪処罰法における、団体の定義規定に、
 すでに使用されている言葉であるので、これまでも特段の問題もなく、
 適用されていることから、この法律の一部改正を内容とする本法案でも
 引き続き「共同の目的」という用語を、使用するのが最もよい。
 しかし、何らかの工夫が更にあればということで、協議はしたいと思う。

ここはひとつのポイントで、ここが拡大される余地があると、
他のところでどのような排除規定を置いても、法的な歯止めにはならない。
この共同の目的あるいは対象となる団体がきっちりと限定される事が大事。
早川委員のような解釈が可能であることは認めるが、
刑罰法規であるから、拡大解釈されないように、
いかに他の読み方がされないようにするかが大切。
そういう意味では民主案も、「主たる目的または活動」との規定は、
「共同の目的」と書くよりは限定できていると思われるが、
更に工夫の余地はあるだろうと思う。

犯罪の実行に資する行為というのが与党修正案にあるが、
この規定を加えたのはなぜか?

 早川
 政府原案では、共謀を処罰する中で顕示行為が定められていない。
 共謀は内心の意思に関わるものであり、外形的に捕らえづらい。
 条約では「合意を推進する行為」を付加することが許されているので、
 その規定を借用し、より構成要件を明確化し適用範囲を限定するため、
 「実行に資する行為」を付加した。

実行に資する行為は共謀の後になされた行為をさすのか。

 早川
 その通り

ある犯罪集団の一人があらかじめ凶器を用意して、
その後仲間を集めて共謀を成立させた場合には、
犯罪の実行に資する行為には当たらない?

 早川
 そうである

条約は「合意の内容を推進する行為」と規定しているが、
修正案の「実行に資する行為」はそれとはずいぶん違うのではないか?

 早川
 条約にいう「推進する行為」は、「合意」を基準とすると、
 合意から前進する、推進する行為、という用語になり、
 「犯罪の実行という結果」から考えると、
 その必要とされる客観的な行為というのが、
 「犯罪の実行に資する行為」となる。

何かに資する、役に立つという日本語から考えると、
心臓を動かすことも、呼吸することも犯罪の実行に役に立つといえる。
つまり、存在していることがすでに、犯罪に資する行為となる。
どこからが overed act なのか、日本語としては非常に世広く読みうるので、
条約の「合意内容を推進する行為」をそのまま使った方が限定的ではないか。
もうひとつの問題は、条約では「合意内容を」とあるのに、
与党修正案では「犯罪の実行に」とある。
これでは意味が違ってくるのではないか。
「犯罪の実行に」というのは、「合意内容を」よりも広い概念に思われる。

 早川
 修正案は「共謀にかかる犯罪の実行に資する行為」という風になっている。
 犯罪の実行に実質的に役立つ行為でなくてはならない。
 実行に資する行為といえるためには、これを設けた趣旨から、
 1.共謀が成立した後であること
 2.共謀の段階を超えた、共謀とは別の行為であること。
 3.共謀にかかる犯罪に実質的に役立つ行為であること
 これらが必要になってくるので、明確であるといえる。

どこから「資する行為」になるのか、それが問題である。
予備罪については判例の蓄積があり、一定の解釈でできるが、
「資する」という行為は前例がないし、基準となる裁判所の判例もない。
より限定することが必要だと思う。
また、合意だけでは、供述調書以外の証拠がなく、問題となる。
当事者の自供か、広い意味での盗聴しか証拠となりえない。
取調べの際に弁護士が立ち会えるような法制度を持った国であれば、
自白の強要の恐れが少なくなり、供述調書だけで証拠になりうるだろうが、
日本はそうではない。
もし共謀だけで処罰するなら、取調べの際に必ず弁護士がつくとか、
そういういう制度を作るなら、共謀だけで処罰しうるかもしれない。
しかし、そうではない現在、供述調書だけではだめだという、
本来、ある意味では刑事訴訟法的な部分を確保担保するためにも、
一定の行為が必要なのではないか。
だとすれば、少なくとも、こういう合意があったという供述調書を、
確実たらしめる程度の行為を求めないと、規定をおいても意味がない。

---------------------

保坂展人 (社会民主党・市民連合) 質問者

逐条解説書によると、団体について必ずしも暴力団に限らないとあるが、
法務省はこの解説書について、法務省ではなく個人の意見を述べたもの、
と答弁しているが、そうであるなら私的刊行物と見てよいのか。

 大林
 当時の担当者が書いたものであるが、法務省の統一的見解ではなく、
 また、法務省がその出版に関与したものでもない。

この逐条解説は現場でしっかり使われている。
私的な著作物ではないといえるのか?

 大林
 立案作業に従事した担当者が書いたものであり、
 現場において参考になることは間違いない。

以前局長はこの解説書は誤解を招く部分があると言っていたが、
逐条解説書のどの部分に誤解を招く部分があるのか?

 大林
 組織的犯罪処罰法第2条第1項は、団体について、
 「共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、
  その目的または意思を実現する行為の全部または一部が、
  組織により反復して行われるもの」と定義しているが、
 これは社会に存在する多種多様な人の集まりの中から、
 まずはある程度、人の結びつきが強く、かつ、組織性の高いものを
 選別するためであり、ここにいう共同の目的は、
 必ずしも犯罪を実行することに限られるわけではない。
 この点、ご指摘の解説書では、第2条に言う共同の目的について、
 その目的については、必ずしも違法不当のものであることは要しないのであり、
 例えば会社が対外的な営利活動により利益を得ることも共同の目的に当たりうる、
 と記載されていることから、かかる記載だけを基にした場合には、
 およそ正当な目的を有している団体においても、
 今回の法案で新設することとしている組織的な犯罪の共謀罪が成立しうる、
 と思われたことから、そう答弁した。
 もっとも、この共同の目的を有する団体の全てについて、
 共謀罪が成立するわけではなく、共謀罪について処罰されるには、
 団体の活動として当該犯罪を実行するための組織により行われるという、
 要件の全てを満たす必要があるところ、
 正当な目的に基づいて活動している団体がこれに該当しないということは、
 第2条だけではなく第3条の文言をあわせて読んでいただければ、
 理解できるところであり、ご指摘の解説書にもその旨明記してある。

2003/2/26の朝日新聞に、あやめ会事件というのが載っている。
トヨタという一部上場企業の富士松工場の社員5人が、
ヤクザに顔が利くからと理由で社員を脅して、
100名ほど「あやめ会」に入会させ、
毎月3000円の会費を徴収し、時折会員に高額な置物も買わせていた。
そのことにより恐喝および恐喝未遂で社員が逮捕された事件である。
彼らは会社の社員だが、会社の業務としてそれを行っていたわけではない。
大きな会社大きな工場ではそういうことも起こりうる。
これは、与党修正案の団体要件もクリアしているように思えるが、
あやめ会のような団体が共謀罪に該当する4年以上の対象犯罪について、
何らかの謀議を行った場合は、共謀罪が成立すると考えていいのか?

 大林
 犯罪の成否は個別具体的な事実関係による。
 団体に該当するためには、その集団がその所属する団体とは別個の、
 独立した社会的集団としての実態を有することが必要。
 また、団体と内部との指揮命令関係とか集団の位置づけとか、
 当該構成集団の活動によって、当該集団や団体が享受する効果利益などの、
 事実を考慮し社会通念にしたがって判断すべきである。
 一概にその団体が該当するとはいえない。

与党修正案の団体条件をクリアしている、という前提で、
ネット上の掲示板や会議室などで、場合によっては暗号等を凝らして、
謀議の書き込みをした場合、これは共謀罪として当然該当する場合がある。
この場合、実行に資する行為はどこにあるのか?
また、実行に資する行為のない状態はどこまでか。

 漆原
 インターネットの掲示板において犯罪組織に属するものが、
 その組織の活動として、その犯罪を実行することを、
 具体的現実的に合意したとしても、その段階ではまだ共謀である。
 資する行為に当たるには、その後に、凶器を購入するなどの行為が必要。
 ネットで凶器を購入したりすることも該当する。

与党修正案提出者は「共謀が成立した後であること」という、
資する行為の要件を提示しておられるが、
このような立法者の意思が現場で遵守されるのか?

 漆原
 実行に資する行為は事前にあるだけではだめで、事後でなくてはならない。

捜査現場でそれが遵守されるかが問題。

 漆原
 それは証拠上の問題である。

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