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陸自、イラク撤退へ*問い続けたい派遣の意味(6月21日)―「北海道新聞」社説
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投稿者 天木ファン 日時 2006 年 6 月 21 日 09:53:15: 2nLReFHhGZ7P6
 

(回答先: 自衛隊撤退関連の社説:日本経済新聞<陸上自衛隊のイラク撤退を歓迎する(6/21)> 投稿者 天木ファン 日時 2006 年 6 月 21 日 09:42:28)

陸自、イラク撤退へ*問い続けたい派遣の意味(6月21日)

 二○○四年二月に第一陣が雪深い旭川を出発してから二年五カ月。政府が、イラクに派遣されている陸上自衛隊の撤退を決めた。
 派遣部隊は十次、五千五百人を数えた。これまでテロや戦闘に隊員が巻き込まれることなく、一人の犠牲も出なかったのは奇跡に近い。撤退には一カ月ほどかかる見通しだが、気を緩めず、全員無事に帰ってきてもらいたい。

 私たちは自衛隊のイラク派遣に反対し、派遣後も早期撤退を訴えてきた。今後の日本のあり方にかかわる重大な問題をはらんでいたからだ。

 最大の懸念は、自衛隊の活動を厳しく制約し、武力に頼らない平和国家たることを世界に宣言した憲法が、ないがしろにされるのではないか、ということだった。これは決して杞憂(きゆう)に終わっていない。

*「戦地」派遣が地ならしに

 加速する改憲論議。在日米軍再編でさらに進む日米の軍事的一体化と米国追従外交。自衛隊の海外派遣の恒久法制定を求める動き。防衛庁の「省」昇格法案提出。

 憲法や自衛隊をめぐる最近の状況は、まるで歯止めがなくなってしまったかのような観がある。それらがイラク派遣後、一挙に具体化してきているのは偶然ではない。

 自衛隊が初めて「戦地」へ武装して行くという事実が地ならしをしたのは間違いないだろう。

 既成事実を積み重ねていけば、世論はついてくる。政府や与党にはそんなあなどりさえうかがえる。

 イラク派遣には、その前提条件からして無理があった。

 自衛隊が活動してきたサマワがあるムサンナ州は当初から、比較的治安が維持されているが、それも首都バグダッドなどに比べれば、という話だ。

 自衛隊の宿営地周辺を標的にしたとみられる砲撃は何度もあった。五月末には、自衛隊などの車列を狙った爆弾が爆発した。

 そのたびに自衛隊は宿営地に引きこもらざるを得なかったことが、サマワの治安の現実をはっきり示している。小泉純一郎首相が派遣前に、非戦闘地域の定義を「自衛隊の活動する地域」と言ってのけた言葉が、いかに乱暴な理屈だったかは明らかだろう。

 自衛隊が多国籍軍の一員として戦地で行動することは、憲法が禁じる集団的自衛権の行使につながる恐れもある。

 結果的に自衛隊がテロや戦闘行為に巻き込まれなかったからといって、派遣が正当化されるわけではないのだ。自衛隊のイラク派遣とは何だったのか。今のような状況だからこそ、そう問い続けることの意義は大きい。

 サマワの隊員がたとえ正当防衛であってもたった一発銃弾を発射しただけで、国内では大きな論議を呼ぶことになるだろう。武力行使に対する日本のこの敏感さは、世界に誇るべきものとして大切にしなければならない。

米国に追従し要求丸のみ

 イラクへの自衛隊派遣の目的は人道復興支援にあった。しかし、業務の柱である給水支援は昨年二月に終了し、以後は学校や道路の補修などをほそぼそと続ける程度だった。少しでも危険を感じれば、その活動さえ休止する。

 にもかかわらず政府が派遣を続けてきたのは、米国とともにイラクにいることが何より重要だったからだ。「ブーツ・オン・ザ・グラウンド(軍靴を地上に)」という米国の要求にこたえること。それこそがイラク派遣の最大の目的だったといっていい。

 政府は陸自撤退後、航空自衛隊の輸送活動をテロが多発するバグダッドなどまで拡大することをまったく議論のないまま決めたが、これもまた事実上、米国の要求の丸のみだった。

 首相が今月末の日米首脳会談の前に撤退を表明したのは「米国追従」という批判をかわすためだともいわれる。では政府が主体的判断でイラク撤退を決めたかというと、そうではない。

 サマワの治安を担う英豪軍の撤退を待つしかなかったのだ。

 首相はかつて、憲法前文の「国際社会において、名誉ある地位を占めたい」という一節をつまみ食い的に引用して、自衛隊のイラク派遣の必要性を言い募った。

 今の日本の姿は、残念ながら「名誉ある地位」からはほど遠い。

*本当の支援はこれからだ

 ムサンナ州では他の地域に先駆けて、治安権限が多国籍軍からイラク政府に移譲される。しかし、イラクの政情はなお極めて不安定だ。

 そんななか、イラク人によるイラク人のための国づくりがまさに始まろうとしている。日本にも、これから本当の意味での復興支援が求められる。

 そもそも自衛隊にできることは限られていた。現地で切実に求められている電力供給などの社会基盤整備は、防衛庁も「自衛隊の手に余る」と認めている。

 自衛隊は一日平均九百人近いイラク人を雇用してきたが、彼らが失職すれば不満が日本に向かうかもしれない。

 政府はすでに新たな円借款供与を決めているが、復興支援事業を非政府組織(NGO)などの民間にどう引き継ぐかも大きな課題だ。

 日本の国際貢献のあり方を含め、もう一度しっかり議論する必要がある。


http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?j=0032

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