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小沢一郎の「昼あんどん」と安倍晋三のスポットライト【ジャパン・ハンドラーズと国際金融情報】
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投稿者 クエスチョン 日時 2006 年 7 月 13 日 07:23:25: WmYnAkBebEg4M
 

※大石蔵之助が「昼あんどん」と呼ばれていたのは忠臣蔵でのエピソードだが、一見ボーっとしたような人が実は怜悧な頭脳ですべてを見通していると言う意味である。


2006年 07月 12日
小沢一郎の「昼あんどん」と安倍晋三のスポットライト
http://amesei.exblog.jp/3378331/

Hiru-andon politician

小沢一郎・民主党代表が、テレビ朝日の「報道ステーション」に出演して、先週の訪中の時の中国の北朝鮮に対する反応、日本の「日米中正三角形」の外交姿勢、靖国神社に祀られている政治指導者の“日本人に対する”責任論を明快に論じていた。(私は彼が「靖国神社は戦死者を祀る所であって、戦争指導者を祀る所ではない」と明快に言い切ったところに遺族会への配慮もしっかりできていると感じた)

私は小沢一郎が古館から質問を受けている手待ち時間にヌボーっとカメラ目線も意識せずに構えている姿勢が気に入った。意図的に無表情を装っているようにも見えた。

やはり、日本の政治家はこうでなければならない。明確にメッセージを伝える小泉首相や安倍官房長官と非常に対照的である。別に小沢一郎は何も考えていないわけではない。要は彼の姿勢は「昼行灯」(ひるあんどん)なのである。「昼行灯」とは、見かけはぼーっとしているが、転じて、その実、もの凄く怜悧な人物を指して言うたとえである。

小沢氏は、安倍晋三氏の先制攻撃論(敵基地攻撃論)について、「幼稚園児の議論じゃあるまいし」と切って捨てる一方で、「しかし、本当に北朝鮮がどうしようもなく暴走して暴発するというなら強硬な措置も考えなければならない。しかし、今はその時期ではない」と言う。この辺も反論のしようがない議論の進め方である。

安倍晋三も麻生太郎も「親米派」の首相候補であり、額賀防衛庁長官も親米派の防衛族である。しかし、日本は自分と一緒に前のめりに国連での経済制裁決議に突っ走ってくれると思っていたアメリカに梯子を外されてしまった。ネオコンのボルトンもライスも「採決は待て」と言ってきた。さながらスポットライトを浴びていただけに、その失態も実に惨めである。

日本はこの問題の当事者意識を持っていた。確かに日本海に向けてミサイル=ロケット発射が事前通告無しに行われたのだから抗議するのは当然だ。

しかし、このミサイル発射は誰に向けて行われたのかということを考えずに、我先にと制裁決議を主導した(つもりになっていた)。ミサイル発射時に北朝鮮の政治情勢が「夕刊フジ」が報道するように、金正日に対する軍部の反発があったかどうか、まだ分からない。小沢一郎の話しぶりだと北朝鮮は理性的に計算して、ミサイル花火をアメリカのシャトル打ち上げと独立記念日に合わせて発射したということになる。

その目的は、アメリカとの核問題での直接協議だろう。北朝鮮としては、体制の維持が最大の目的である。この合理性にかなうように彼らは外交交渉とミサイル外交を行っている。

つまり、北朝鮮はハナから日本は相手にしていない。ここを日本はカッと来て忘れてしまった。安倍晋三官房長官は、「首相外交の予行演習」とばかりに張り切った。折しも小泉首相はイスラエル訪問中である。「スポットライト」は彼に当たっている。

また、反日的な韓国政権の反応も読み誤った。安倍官房長官が、先制攻撃論をぶち挙げたものだから、韓国の政権が大統領を初めに反発を一層強めた。韓国にとっての合理性は、北朝鮮のソフトランディングによる改革開放路線でこれは中国と同じ。今のノムヒョン大統領の反日姿勢は、ハンナラ党と比べると日本にとって危険性がある。彼らには革新世代の雰囲気という独特の合理性があるだろうが、それは韓国内でも遊離しているように思える。

※ 韓国メディアは、安倍氏らの先制攻撃発言を受けて、ノムヒョン政権を批判し始めた。そのレトリックは、「韓国が北にあまりに甘く無為無策なので、日本に”先制攻撃の口実を与えた“と批判するものである。独特の論理であるが、ノムヒョンの反日を逆手に取った説得の仕方ではある。私は韓国の反日は領土問題も絡んでいるので北朝鮮よりもやっかいな面があると考えているが、ここでは触れないでおく。

例: 【社説】韓国政府は日本に先制攻撃の口実与えた北になぜ何も言わないのか
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/07/12/20060712000007.html


また、国連安保理では拒否権を日本は持っていない。これもすっかり忘れていた。説得工作を行えば、五大国を説得できると甘く見ていた。この問題の鍵となるのは中国と米国だったのに、アメリカの方ばかりを見ていたツケが出た。フランスは「二段階制裁案」を提案するなど強かなところを見せて、日本の「猪突猛進外交」との好対照を見せた。

サミットが15日からあるのだから、そこまでに解決するはずはなく、サミット後に問題を先送りするのは当たり前の話。そこも読み切れなかった。

中国が1998年の時よりも格上げの「議長声明」を提案しており、最初の段階で議長声明の調子をどのくらいまで強めるかという所で妥協しておけば、日本外交の惨めさ、安倍晋三の先走りが露呈することはなかった。安倍晋三もマスコミを意識したのだろう。昭和戦前時代と一緒だ。

仮に「制裁」を行うのであれば、粛々と経済産業省など官僚機構に任せて、マスコミ種にならぬように細かい所でやっていけば良かったのに、マスコミ向けに「制裁をやるぞ!」とぶち上げたので、制裁自体が政治的問題化した。霞ヶ関の官僚であれば「ステルス制裁」のやり方を知っていたはずである。

自民党はマスコミ対策で去年の郵政選挙で大衆洗脳をやっていたのだが、今回はひょっとしたら北朝鮮に対する強硬姿勢を世論の趨勢にしようとして、逆にアメリカの慎重姿勢に足をすくわれてしまった。

それでも、安倍晋三が支持を拡大するかどうか。マスコミの世論調査の結果を見守ろうと思う。今回の先走りで山崎拓など自民党の反安倍派の勢力は、「はやく安倍に自滅してほしい」とほくそ笑んでいるはずである。

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