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日本における規制撤廃、競争政策、透明性及びその他の政府慣行に関する日本政府への米国政府要望書 1998年10月7日
http://www.asyura2.com/0601/senkyo24/msg/492.html
投稿者 てんさい(い) 日時 2006 年 7 月 26 日 09:00:34: KqrEdYmDwf7cM
 

(回答先: 日本における規制撤廃、競争政策、透明性及びその他の政府慣行に関する日本政府への米国政府要望書 1999年10月6日 投稿者 てんさい(い) 日時 2006 年 7 月 26 日 08:58:00)

日本における規制撤廃、競争政策、透明性
及びその他の政府慣行に関する
日本政府への米国政府要望書

1998年10月7日

http://www.google.com/search?q=cache:DLuor0CpvhYJ:tokyo.usembassy.gov/j/p/tpj-2505.html+site:tokyo.usembassy.gov+%E6%94%B9%E9%9D%A9%E8%A6%81%E6%9C%9B%E6%9B%B8+1998&hl=ja&gl=jp&ct=clnk&cd=1


 米国政府は、ここに、日本における規制撤廃、競争政策、透明性およびその他の政府慣行に関する要望書を、日本政府に提出する。本要望書における提案は、1997年6月にクリントン大統領と当時の橋本首相が合意した「規制緩和及び競争政策に関する強化されたイニシアティブ」(「強化されたイニシアティブ」)との関連で、1998年5月に発表された「規制緩和及び競争政策に関する日米間の強化されたイニシアティブに関する第1回共同現状報告」(「共同現状報告」)に謳われている両国政府が達成してきたこれまでの進展に照らして提出するものである。本要望書は、「共同現状報告」で列記された措置の完全かつ迅速な実施の必要性について述べるとともに、「強化されたイニシアティブ」の下での2年目に、これまでの実績を基盤にさらに前進するという両国政府の決意を反映したものである。米国は、本要望書が、1999年6月にドイツのケルンで開催される、次回G8サミットで日米両国政府が共同で発表する予定の「第2回共同現状報告」の基礎となることを確信する。

 米国は長年にわたり、規制撤廃は日本経済の基盤を強化し、日本全国で事業・雇用機会を拡大し、貿易相手国に対して日本の市場を開放し、日本国民の生活水準と長期的経済・金融の安定を向上させるとの信念に基づいて、日本での規制撤廃を促進してきた。意味のある迅速な規制撤廃は、日本経済が内需主導型の成長を取り戻すための効果的なマクロ経済政策を補完する極めて重要な要素である。現在の世界的な経済危機、そして特にアジアにおける日本の隣人である多くの国々が経験している深刻な景気後退により、日本が規制撤廃と市場開放の強力な行動を取る必要性は、さらに差し迫ったものとなっている。

 「強化されたイニシアティブ」は日米両国の規制撤廃努力の中心となるものであり、両国は引き続きいくつかの二国間合意およびフォーラムにおいて規制撤廃の課題を取り上げていく。従って、本要望書に盛り込まれた提案は、米国政府の関心・懸念の対象となる日本における課題の包括的なリストとして作成されたものではない。

 米国は、日本における「規制緩和と市場の自由化の実施に向けて全力を尽くす」という小渕首相の力強い声明を歓迎する。米国政府はまた、1998年3月に発表された「規制緩和推進3カ年計画」に象徴されるように、日本が、規制撤廃のさらなる推進が差し迫ったものであると認識していることを高く評価する。米国政府は、日本が「規制緩和計画」に盛り込まれた措置の実施、およびその範囲の大幅な拡大に向けて、早急に行動することを強く求める。

 米国政府はまた、今年の春、「行政改革推進本部」の下に新たな「規制緩和委員会」が設置されたことを歓迎する。米国政府は、「規制緩和委員会」が、「規制緩和計画」に盛り込まれた措置の実施を監視し、また、日本政府が実施するさらなる規制撤廃措置の提言をするという2つの使命を担っていることを評価する。

 米国は、規制撤廃、競争政策、そして透明性やその他の政府慣行に関して、「強化されたイニシアティブ」の下で、日本と緊密かつ協力的な作業を続けることを期待している。本要望書は、そのような精神にのっとって提出されるものである。

目 次

概要

電気通信


T. 相互接続の問題
U. 支配的事業者の規制
V. 事業認可、契約約款、およびサービス認可の問題
W. ユニバーサルサービス
X. パブリックコメント手続の期間
Y. 線路敷設権
Z. NTT再編
[. 第2種電気通信事業者の問題
\. 次世代携帯電話基準
]. ダイレクト・ツー・ホーム(DTH)通信衛星(CS)サービス
]T. ケーブルTVの問題
]U. 試験および認証
]V. 電力線信号装置に関する規制


住宅


T. 透明性
U. 性能規定と制度
V. 製品の承認と認証
W. 助成金


医療機器・医薬品


T. 革新の認識
U. 外国の臨床試験データの受け入れ
V. 承認プロセス
W. 流通システム
X. 透明性
Y. 地方レベルでの「総合評価方式」(OGVM)
Z. 栄養補助食品


金融サービス


T. 個別措置
U. 透明性
エネルギー

T. 高圧ガス保安法
U. 電気事業法
V. 既存発電施設の改良
W. 予備発電機の認証
X. 電力線信号装置
Y. 給油所および給油ポンプ
Z. 基準
[. 透明性
\. 競争政策


法律業務

自動車および自動二輪車


T. 自動車
U. 自動二輪車


流通


T. 通関・輸入手続
U. 小売・サービス
V. 輸送・保管


競争政策および独占禁止法


T. 競争政策の促進
U. 私人の救済
V. 反カルテル措置の執行
W. 流通
X. 独占禁止法適用除外制度
Y. 合併
Z. 公正取引委員会の予算と資源


透明性およびその他の政府慣行


T. パブリックコメント手続
U. 情報公開
V. 認可のプロセス
W. 審議会
X. 民間部門の規制
Y. 行政指導
Z. 総合評価方式

 

 


 

概要


 米国は長年にわたって、日本の規制改革の基盤を形成すべきであると米国政府が考える一連の一貫した原則および目標を繰り返し確認してきた。米国政府は日本政府に対して引き続き以下の措置を取ることを求める。

1)既存の規制の経済的影響を継続的に見直し、すでに認められた適切な公共政策の利害と密接かつ直接に関係しない規制をすべて撤廃する。

2)日本の規制プロセスの透明性と説明責任を大幅に向上させる。 

3)実際のあるいは事実上の規制権限を民間機関に委譲することを、法に定められた権限に基づかない場合には、禁止する。

4)地方自治体に、妥当な場合には、不必要で負担の重い地方レベルの規制を見直し、または廃止することを奨励する。

5)規制にサンセット条項を含める。

6)独占禁止法の積極的かつ効果的な施行と競争政策を通じて、市場における競争を促進する。

 また、米国政府は引き続き、日本に対して、新たな規制撤廃措置を作成し、その実施を保証するという2つの権限を有する恒久的な行政機関の設置を求める。

 1998年3月31日の「閣議決定」に基づき、日本は、以上の原則を体現する規制撤廃の全政府的なプロセスの採用を真剣に考慮すべきである。このようなプロセスの下では、政府機関は、重要な規制変更の経済的影響を完全に評価するために、合理的な経済分析を行う必要がある。そうしたプロセスには、関係者の意見を求めかつ採用すること、提案された規制とその代替案の費用と利益(定量的および非定量的)を評価すること、決定に際しては入手可能な最良の科学的、技術的、経済的データを使用すること、そしてできる限り最も費用対効果の高い方法で規制の目的を達成するという原則に従うこと、などが含まれる。さらに、このプロセスでは、正当な規制目標に合致した、最も競争に資する規制の形態の採用を義務付けることによって、規制機関が市場における競争の歪みを最小化することが必要とされる。

  

電気通信


 世界各地の市場の発展は、電気通信分野の成長、革新、そして消費者の選択肢の拡大を刺激する最良の方法は、独占という遺物から競争市場への移行を加速することにあることを明らかにしている。外国企業に対する開放性、およびそれら企業が提供する革新的なサービスや技術への投資が、こうした変革のカギを握っている。外国企業は、より競争的な市場の発展に寄与するために、かなりの資源を日本市場に投入し始めている。米国政府の目標は、そうした競争的な事業が成功できるような規制環境を促進することである。日本は、より開放された電気通信市場に向けて重要な措置を取ってきたが、日本における規制改革は市場のニーズに追いついていない場合が多い。

 電気通信分野の競争を刺激するという目標を達成するために不可欠な原則が2つある。1つは、コストを引き上げ市場参入を阻む規制やその他の負担を減少させることによって新規投資を促進すること。もう1つは、市場の支配的事業者が、新規参入事業者に市場機会を与えず競争を妨害することを防ぐために罰則を導入することである。以下の提言は、このような目標達成のために過去に行なわれた作業を基盤にしている。

T. 相互接続の問題

T-A. 長期増分費用(LRIC)モデルの開発と実施 優先事項 -- ここ数年、米国は、NTTのような支配的事業者との相互接続料金設定システムの改革に関する日本の努力に注目してきた。それはこの問題が、競合業者にとって大きなハードルとなっているからである。「共同現状報告」に盛り込まれている措置に基づき、米国は日本と協力して、より競争的な相互接続料金設定制度の導入確保に務めている。米国は、そのような制度には以下の要素が不可欠であると考える。

T-A-1. 1999年初めまでに、相互接続の将来志向的費用を正確に反映する長期増分費用(LRIC)モデルを開発する。

T-A-2. 既存のLRIC研究グループに、関心を持つ電気通信事業者をすべて参加させ、関心を持つ当事者すべてに開放された会合を定期的に開催し、LRICモデル開発の進捗について話し合う。

T-A-3. 2000年4月1日から、LRICに基づく相互接続料金を適用する。そのために郵政省は、以下の措置を講ずる。

T-A-3-1. 必要とする法案を早期に国会に提出する。

T-A-3-2. そうした法案の成立後、すべての必要な実施規制を早急に発効させる。

T-A-3-3. NTTがLRICに基づく相互接続料金の遡及的適用を実現するために、あらゆる適切な手段を利用する。

T-B. 相互接続料金の暫定的な引き下げ 優先事項 -- 高い相互接続料金が競合事業者に及ぼしている悪影響に鑑み、米国は日本が投資誘致と競争刺激のために以下の暫定措置を取ることが不可欠であると考える。

T-B-1. 「共同現状報告」に盛り込まれた措置に沿って、1998年度および1999年度のNTTの相互接続料金の年次引き下げを加速することによって、NTTに対し2000年のLRIC料金に向けて着実な引き下げを実施させる。

T-B-2. 1998年度中に、NTTの暫定相互接続料金の計算およびLRICモデル開発に使用する減価償却スケジュールを、課税基準としての設備の耐用年数ではなく設備の実際使用年数に基づいて作成し、導入する。

T-B-3. 1998年度中にNTTの相互接続会計の独立監査を実施し、その結果を公表する。

T-C. 多事業者間接続協定 優先事項 -- 多事業者間のトラフィック搬送に関与するすべての事業者が相互に接続協定を結ばなければならないという義務を、1998年度中に廃止する。発信事業者ではなく手続代行事業者が着信事業者との手続きの代行を行う「クリアリングハウス」方式の利用を許可する。

T-D. 反競争的な内部相互補助の禁止 優先事項 -- 1998年度中に、NTTおよびNTTドコモが相互接続料金および付随サービス料金を卸値水準以上に設定することを禁止する規則を導入する。この制限は、小売料金の適切な割り引きを反映すべきである。(例えば、小売料金から、請求、営業、集金コスト等の回避可能なコストを差し引く)

T-E. 相互接続義務の範囲と定義の拡大 優先事項 -- NTTの現在の接続約款は、競合事業者がNTTと競争するために必要なNTTのあらゆるサービス・機能を対象としていない。より活発な競争を促進するために、郵政省は以下の措置を取る必要がある。

T-E-1. 1998年中に、NTTの顧客が現在利用できるすべてのサービスを含めるように、相互接続事業者が使用できる基本機能を定義する規則を制定する。

T-E-2. こうした諸機能へのアクセスに、ネットワーク網改造費用の一括前払いを必要としないことを保証すると共に、NTTがそうしたサービスのための「付加価値」料金を正当化できる場合には、小売料金に対する回避可能コストの割り引きを反映した卸売料金の水準に設定すべきである。

T-E-3. 支配的事業者のアンバンドルした地域網へのアクセス(例えばMDF相互接続、コロケーション地等)に関して競争的な条件および価格体系を設定する規則制定手続を、1998年度中に開始する。

T-E-4. NTTのネットワークを使用するx-DSLの技術の導入を妨げる規則およびその他の障壁が排除されることを保証するために必要な措置を、1998年度中に実施する。

T-F. 地域番号ポータビリティ 優先事項 -- 1999年度中に、地域番号ポータビリティを導入し、そのコストは顧客ベース全体で広く配分する。

T-G. ISDN接続の差別的料金 優先事項 -- 1998年中に、ISDN加入者回線に着信するアナログ通話の差別的相互接続料金を廃止する。

T-H. NTT管轄の費用の公開促進 優先事項 -- NTTが競合事業者に課するネットワーク網改造費用の独立監査を開始する。その目的は、NTTが競争を受け入れるためのネットワーク整備の際に発生するコストの大半をNTTが負担すべきであるとの原則に基づき、こうした料金が正当であるかどうか、また料金のどの部分をNTTが吸収すべきかを判定することである。

T-T. より迅速な相互接続の促進 1998年度にNTTの接続約款を改訂し、明らかに制限された例外を除き、原則としてNTTが6カ月以内に相互接続事業者のためにNTTのネットワークを供給することを義務付ける。NTTが相互接続のために競合事業者の交換機をテストし、NTTの交換機をプログラムする際、また、それらの日程設定にあたり、(追加料金なしで)より柔軟性を持つようにNTTに促す。

T-J. ダイアリングパリティ 1999年夏までに、市内、長距離、および国際通話サービスのナンバーダイアリングパリティを保証する制度を確立し、新たな競合事業者に課される費用を最小化する。

T-K. KDD陸揚局へのアクセス 1998年中に、KDDのケーブル陸揚局および迂回中継設備への非差別的で迅速な、原価ベースのアクセスを保証する手続きを確立する。

T-L. NTTドコモに対する相互接続の義務付け 原価ベースの相互相殺を義務付けることによって、相互接続料金設定の際にNTTドコモがその市場支配力を濫用することを防止する。現行の料金は原価を大きく上回っており、不均衡である。すなわち、ドコモのネットワークに着信する通話についてドコモが受け取る料金の方が、ドコモが他の事業者のネットワークに着信する通話について支払う料金より高い。ドコモが料金の差別を行わないことを保証するため、ドコモの相互接続料金の公表を義務付ける。

U. 支配的事業者の規制

 支配的事業者規制の枠組みの作成 優先事項 -- 市場支配力を持つ企業を厳しく規制する一方で、そうした影響力を行使できない非支配的事業者に対する規則や条件を緩めるために、支配的事業者に対する規制制度を確立する。こうした規制の区別は、ユーザー料金の承認、新規サービスの条件の承認、線路敷設権、および市場支配力が競争を妨げる可能性のあるその他の分野における制度に適用されるべきである。

V. 事業認可、契約約款、およびサービス認可の問題

V-A. 非支配的事業者のための契約約款認可の簡素化

V-A-1. 優先事項 -- 1998年中に、日本の支配的事業者と関係のない非支配的事業者については、第1種ユーザー料金を原価ベースとする義務を廃止し、また非支配的事業者が原価や、料金やサービスを正当化する市場上の理由を提出する義務を廃止する。

V-A-2. 1998年中に、発信事業者が、移動体ネットワークに着信する通話のユーザー料金を設定することを許可する。

V-B. 事業認可条件の簡素化

V-B-1. 優先事項 -- 1998年中に、第1種の事業認可プロセスを簡素化するために、収益性を証明する事業計画の提出義務等の経済的必要性審査をすべて廃止すると共に、技術者の特定数雇用義務を廃止する。

V-B-2. 優先事項 -- 1998年中に、第1種電気通信事業者の回線リースに対する制限および第2種電気通信事業者の回線所有に対する制限を廃止することによって、事業者がそれぞれのネットワークを経済的にも技術的にも最も合理的な方法で管理する柔軟性を向上させる。

V-B-3. 1998年中に、非支配的事業者に対し、新規サービスの導入および地理的な事業拡張を届け出ベースで許可する。

V-B-4. 1998年中に、同一企業が別個の子会社を設立せずに第1種事業と第2種事業の双方を運営できるようにする。

V-B-5. 第1種電気通信事業者が他の第1種電気通信事業者と業務委託協定を結ぶ場合に郵政省の認可を受ける義務を廃止する。

W. ユニバーサルサービス

 優先事項 -- 導入されるユニバーサルサービス制度のいずれもが、NTTを相互接続料金値下げ等の競争の圧力から保護するものではないこと、またNTTがその非能率より生じるコストを競合業者に負担させることを認めないことを保証する安全策を確立する。

X. パブリックコメント手続の期間

 規制変更の提案に対してコメントをする機会をすべての利害関係者に与えるため、少なくとも30日間のコメント期間を設ける。最終的な規則制定の際にはコメントを検討する。

Y. 線路敷設権

 日本に、より競争的な線路敷設権制度がない限り、電気通信分野への投資および新たな施設の配置が大きく制限されることになる。こうした制限の一部は、単に時代遅れの、負担の大きい慣行を反映したものであるが、その他の制限は、わずかな資源へのアクセス特権を持つ既存企業の強固な利害関係を反映するものである。こうした問題に対処するため、米国は、日本が1999年上半期に以下の措置を実施することに、1998年中に同意することを提案する。

Y-A. NTTの電柱、とう道、管路へのアクセス 優先事項 -- NTTが所有または管理するすべての電柱、とう道、管路、および線路敷設権への透明で、非差別的、そして迅速で原価ベースのアクセスを義務付ける規制を制定する。こうした規制は、アクセスの料金および条件が公正、適正、かつ非差別的であること(例えば料金が再調達価額ではなく、組み込まれたコストで設定されること)を保証し、変更に関して明確な規則を設定し、迅速な紛争処理手続を確立すべきである。

Y-B. 公益事業用電柱、とう道、管路へのアクセス 優先事項 -- 公益事業者が所有または管理するすべての電柱、とう道、管路、および線路敷設権への透明で、非差別的、そして迅速で原価ベースのアクセスを義務付ける規制を制定する。こうした規制は、アクセスの料金および条件が公正、妥当、かつ非差別的であることを保証し、変更に関して明確な規則を設定し、迅速な苦情処理メカニズムを確立すべきである。

Y-C. ケーブルTV事業者のアクセス権利 優先事項 -- ケーブルTV事業者に、第1種電気通信事業者の場合と同様の、電柱、とう道、管路、および線路敷設権へのアクセスを提供する規制を制定する。

Y-D. 私有の建物へのアクセス ケーブルTVおよび新たな電気通信事業者が、既存の電気通信事業者と同様に同じ顧客に到達できることを保証するために、私有の建物、特に集合住宅へのアクセスを容易にする規則を制定する。例えば、日本政府は、電気通信事業者による建物へのアクセスの境界点に関する規則を制定し、集合住宅の所有者が電気通信あるいはケーブルTVサービスによる入居者へのアクセスを拒むことを禁止することを検討すべきである。

Y-E. 道路、高速道路、橋梁、トンネル、その他公共の線路敷設権へのアクセス

Y-E-1. 道路管理当局が電気通信事業者およびケーブルTV会社に対して、非差別的、透明、かつ迅速に、原価ベースで、道路、高速道路、橋梁、トンネル、その他公共の線路敷設権へのアクセスを提供する義務を明白にするため、規則を強化する。迅速な苦情処理メカニズムを確立する。

Y-E-2. 以下のような措置を通じて、都市部でのネットワーク基盤整備の手続きを簡素化し、コストを削減する計画を作成する。

Y-E-2-1. 道路管理当局が、道路使用のための申請手続、および明確な条件と料金を公表することを義務付ける。

Y-E-2-2. 一部の道路において掘削の期間を延長する。

Y-E-2-3. 新しい、より効率的な設置技術の使用を促進する。

Y-E-2-4. 電気通信事業者およびケーブルTV会社に対し、電気通信およびケーブルTV用のインフラ整備の新たな機会となるような高速道路、橋梁、その他のインフラ新設計画について、十分前もって連絡する。

Y-E-2-5. 電気通信事業者あるいはケーブルTV会社が、自社で使用する管路等の設備を設置する際に、(他の)電気通信事業者あるいはケーブルTV会社のための管路も設置できるようにすべきである。

Y-F. 地下鉄・鉄道 地下鉄および鉄道会社が、電気通信事業者およびケーブルTV会社に対して、電気通信およびケーブルTV用のインフラ整備のために、非差別的、透明、かつ迅速で原価ベースで、地下鉄および鉄道会社が所有または管理する施設および線路敷設権へのアクセスを提供することを義務付ける規則を制定する。迅速な苦情処理メカニズムを確立する。

Z. NTT再編

Z-A. 優先事項 -- NTTの再編に先立ち、再編後の企業部門間の反競争的な内部相互補助を排除する厳しい安全策を導入する。そのために、各部門の経理を切り離し、財務報告公開義務を適用し、定期的な監査を実施する。

Z-B. 優先事項 -- 1998年度中に、NTTに対する100%の外国投資を許可する。

[. 第2種電気通信事業者の問題

[-A. 優先事項 -- NTTが第2種電気通信事業者の相互接続に対し、番号プログラミング料金の一括前払いを要求することを禁止し、NTTが2カ月以内にシステム内に新しいアクセスコードをプログラムすることを義務付ける。

[-B. 郵政省に提出された商業契約の料金および条件を、競合する日本の国際第1種電気通信事業者あるいはその他のいかなる機関に対しても公開することを禁止する。

[-C. 電気通信事業者が通話を外国に着信させる費用について、ISRサービスの規定に関連する業務協定とともに提出する義務を廃止する。

[-D. 1998年中に、NTTが第2種電気通信事業者のサービスに関して、ダイヤルイン番号や相互接続の大口利用料金など、通話量に基づく卸売料金を提供することを義務付ける。

[-E. 1998年度中に、基本音声サービス以外の国際サービスを提供する第2種事業者の登録義務を廃止する。

\. 次世代携帯電話基準

 次世代携帯電話基準の採用は、携帯電話のサービス・製品市場の競争の発展に多大な影響を及ぼす。米国が1998年9月30日、郵政省に正式に提出したコメントに謳われている通り、米国は日本に対して、以下の措置を取ることを求める。

\-1. ITU基準評価プロセスに先んじて、世界的なニーズを十分検討することなく、単一の基準を時期尚早に選択しない。

\-2. 次世代基準または採用された基準が、第2世代から第3世代へのシステムの進化あるいは移行を妨げることによって、第2世代システムに悪影響を及ぼさないことを保証する。

]. ダイレクト・ツー・ホーム(DTH)通信衛星(CS)サービス

 日本のCSサービス市場では、アナログ放送の時代に作られた時代遅れの規制が、引き続き足枷となっている。こうした規制制度は、非生産的な事業コストを付加し、新たなデジタル技術により可能になった革新的なサービスの開発を妨げてきた。米国は、日本が、消費者の利益につながる証明の無い、DTH事業者の法人組織に関する規制および行政要件を廃止することを促す。具体的には、米国は日本に以下の措置を取ることを求める。

]-A. 優先事項 -- 1999年中に、チャンネル数制限およびCS−DTH加入サービスの受託放送事業者・委託放送事業者制度を廃止する。

]-B. 優先事項 -- 利害関係者の意見に対応した開放されたプロセスを通じて、地上放送および放送衛星市場へのデジタルサービスの導入が、多チャンネル・有料TVサービスの競争的な民間市場の発展に悪影響を及ぼさないことを保証する。

]-C. 優先事項 -- 1998年中に、外国人によるDTH加入サービス事業者の100%所有を認め、外国人がDTH会社の役員になることを許可する。1999年上半期にこの新方針を実施する。

]-D. 1998年中に、DTH事業者がチャンネルを個別に販売すること(いわゆる「アラカルト」料金設定)を義務付ける規則を廃止する。

]T. ケーブルTVの問題

]T-A. 優先事項 -- 1998年中に、NTTが支配的事業者として、その光ファイバー設備を非差別的にすべての団体に、公正かつ妥当な条件で提供することを義務付ける明確な規則を制定する。例えば、郵政省は、NTTが映像伝送サービスをリースする際に、いかなるケーブルTV会社あるいはCS事業者とも排他的あるいは差別的な関係を築くことを禁止すべきである。

]T-B. 優先事項 -- NTTによる「ファイバー・ツー・ザ・ホーム」のリースを許可する条件として、NTTがすべての競合事業者に、当該光ファイバー設備で伝送される双方向電気通信その他の先端サービスへのアクセスを提供することを義務付け、リースを受ける事業者が提供できるサービスにNTTがいかなる制限をも課すことを禁止する。郵政省は、NTTが、そうしたサービスのリースの条件として、ケーブルTVまたはCS事業者がNTTの電気通信サービス(例えば電話、インターネット、データサービス)と直接競合するサービスを提供しないという同意を義務付けることを禁止すべきである。

]T-C. NTTがこれらの料金の内部相互補助を行っていないことを保証するため、独立監査を実施する。

]T-D. NTTによる、NTTの継続顧客ユーザーのための光ファイバー・リース料金割引を禁止する。

]T-E. すべてのケーブルTV会社に対する、100%の外資(投資)を許可し、外国人役員の制限を撤廃する規制変更を1998年中に決定し、1999年中に導入する。

]U. 試験および認証

]U-A. 1998年中に試験および認証の料金を引き下げる。

]U-B. 1998年中に、ISO 9000認証済企業についてはMKK品質管理試験を廃止する。

]V. 電力線信号装置に関する規制

 現在、オフィス・オートメーション制御装置などの電力線を通して搬送される信号を使う装置の日本市場へのアクセスは、不必要に煩雑な規制によって制限されている。日本は1999年中にこうした規制を緩和し、これらの装置の市場を拡大するために、以下の措置を取るべきである。

 

]V-A. 日本の電波法施行規則第46条および48条などの電力線施行に関する規則にある「特殊搬送式デジタル伝送装置」のカテゴリーを変更し、ブロッキングフィルターを必要としない信号変調の承認された形態として、位相変調(具体的には二相シフトキーイング)を加える。

]V-B. 搬送周波数、電力、漏洩RF、伝送速度、自動再送信周期等、「特殊搬送式デジタル伝送装置」のカテゴリーの技術的なパラメータを、国際規格に従って変更する。

 

住宅 

 1996年3月の日本の「輸入住宅計画」は、日本の住宅の品質改善とコスト削減を目指すものである。その主な目標は、@米国式ツーバイフォー工法の建築規制を迅速に改正し、この種の工法で使用される製品の市場アクセスを改善すること、A「同等評価」といった手続きも含めて、外国の等級の認証を迅速化し拡大すること、B性能に基づく建築規制を可能にするために、建築基準法を改正すること、の3つである。

 日本の「輸入住宅計画」に関して米国は、日本が、1997年11月にバンクーバーで開催されたAPEC首脳会議で承認された木製建築資材の関税撤廃を実施すれば、この分野での競争をさらに刺激し、日本の消費者に利益をもたらすであろうと強調した。米国はまた、日本が住宅建設や需要を刺激するための措置を取ることを奨励した。住宅着工数の増加は、建築資材の需要を伸ばすだけでなく、家電製品や家具といった他の耐久財の需要にも好ましい影響を及ぼすことが多い。

 二国間交渉の結果、数々の具体的な課題に関して進展が見られたが(特に米国産木材の等級の認証について)、米国は、改革のペースが落ちていることを懸念しており、中でも日本が「共同現状報告」に述べられている新たなツーバイフォー工法に関する規制を発効させていないことを懸念している。米国政府は、日本政府に対し、以下の措置を取ることを求めている。

 

T. 透明性

T-A. 二国間の協議と見直し 優先事項 -- 意見交換を促進し、国際慣行との整合性を確保するために、二国間の住宅専門家グループを通じて、措置(政令、通達)実施案の写しをタイムリーに提出すること。これには、建築基準法68条に述べられた「種類」の承認規制実施手続も含まれる。

T-B. パブリックコメント手続 優先事項 -- 今後2年間に建築基準法改正実施のために制定される政令や通達に対し、パブリックコメント手続を利用して、一般市民に意見を述べる機会を与えること。

T-C. 教育プログラム 日本の建築業者や消費者を対象にした教育プログラムの範囲を広げ、頻度を増し、現在行われている改革について、また、建築工法の選択肢が増えたことや米国製建材・配管用製品について知らせること。準防火地域における米国式3階建て建築促進のために最近開かれたセミナーは、その一例である。

U. 性能規定と制度

U-A. 米国式工法 優先事項 -- 1998年12月1日までに、国際的および北米の慣行に基づいたツーバイフォー工法の試験方法や手続きを公表すること。これらの規制の現行の草案に含まれている試験基準、特に、日本独特の時おり見られる湿気に関する試験基準を改定し、既存の国際慣行に沿ったものとする。

U-B. 改正建築基準法の実施 1999年3月31日までに、改正建築基準法の以下の項目を実施すること。

U-B-1. 優先事項 -- 準防火地域における多世帯用および多目的(住宅・商業兼用)の木造3階建て建築の性能に基づく建築基準。

U-B-2. 優先事項 -- 工法および建材の試験データ(外国の試験データも含む)の受け入れや評価のための全国的に統一された制度。

U-B-3. 地方レベルでの、建築関係の法規の一律の適用と遵守を確実にするための建築法規施行の新しい制度。

U-C. 性能規定 優先事項 -- すべての建築資材および建築構造が公正かつ公平に扱われるように、1999年11月1日までに、あらゆる建築資材(内装仕上げ用木材、屋根材、天井板、外壁板等)、建築構造(4階建て、多世帯・多目的、枠組壁工法等)に関して、性能に基づく規格を実施すること。

U-D. JAS規格 1999年3月31日までに、合板の強度を含めた性能に基づく規格に重点を置いた、構造用合板に関する「日本農林規格」(JAS)を改正すること。

V. 製品の承認と認証

V-A. 「外国試験機関」 優先事項 -- 農林物資規格調査会基本問題委員会の「中間とりまとめ」に提言されているように、1999年3月31日までに、「外国試験機関」が「登録格付け機関」として機能することを許可すること。

V-B. 外国試験所 優先事項 -- 建築資材や工法を審査する外国の試験機関や評価機関の承認を迅速化し、外国の試験方法および等級に対する「同等評価」の適用を拡大する。

V-C. 木製窓枠 優先事項 -- 1999年11月1日までに、日本の窓枠メーカーへの祖父条項適用による、外国製木製窓枠に対する差別的な扱いを廃止し、日本で販売される窓枠がすべて同一の性能および防火基準に従って検査されるようにする。

V-D.「アンダーライターズ・ラボラトリーズ社」(UL)の申請 防火建材の試験機関としての認定を求めるULの申請を承認する。

V-E. 釘のJISマーク扱い 米国の釘製造業者に対して、日本工業規格(JIS)マークと同等の評価を与える。

W. 助成金

 国産木材で建てられた住宅に対する、「住宅金融公庫」の優先ローンを廃止する。

 

 

医療機器・医薬品


 日本政府は、急速に高齢化する人口に質の高い医療を確保すると同時に、医療費全般を抑制するという極めて厳しい課題に直面している。米国政府は、規制撤廃を通じた市場主導型の革新と構造改革が、日本の医療費全般を抑制しながら医療の質を高める最良の方法であるとの信念に基づき、以下の提案をする。

T. 革新の認識

T-A. 革新的な医薬品の導入促進 優先事項 -- 革新の価値を認識するという、「共同現状報告」における合意の精神に基づき、革新的な医薬品の導入を促進するために市場ベースの価格設定制度を採用する。

U-B. 医療機器の新たな機能別カテゴリーの早急な設定 優先事項 -- 「共同現状報告」に従い、業界および利害関係者と建設的に協力しながら、医療機器の新たな機能別保険償還カテゴリーを早急に設定するための簡素化された透明性の高い手続きを可及的速やかに作成する。

U. 外国の臨床試験データの受け入れ

 外国の臨床試験データ受け入れの拡大と迅速化 優先事項 -- 「共同現状報告」に謳われた、医療機器・医薬品の承認における外国の臨床試験データの受け入れを大きく拡大する措置を実現させる。そのために、引き続き、1997年3月の「厚生省通達」をできる限り広義に解釈し、また「ICHのガイドライン」の実施の不適切な遅れを回避する透明性の高い受け入れプロセスを引き続き使用する。医療機器・医薬品の承認における外国の臨床試験データ受け入れをさらに拡大・迅速化するための措置を取る。これには、以下の措置を含めるべきだが、それだけに限定してはならない。

医療機器または医薬品の承認申請とともに提出されるデータを、国内の専門家会議または学術誌に発表しなければならないとする要件を廃止する。
外国の臨床試験データの受容度に関する各審査機関の解釈の不一致をなくす。
引き続きICHと協力の上、「ICHコモン・テクニカル・ドキュメント」を作成し、それをICHのスケジュールに合わせて日本で使用する計画を作成する。
V. 承認プロセス

V-A. 医療機器の承認および保険償還の迅速化 優先事項 -- 医療機器の承認および保険償還のプロセスを迅速化する。この目的を達成するために、以下の措置を含めるべきだが、それだけに限定してはならない。

V-A-1. 審査官による決定が、審査機関に対して拘束力を持つものとして扱われ、またプロセスのその後の段階で他の審査官に対して拘束力を持つものであることを保証する。

V-A-2. 「医薬品・医療機器審査センター」と「医療機器センター」が、「他社に追随した」類似医療機器の承認において規制面の審査を重複して行わないようにする。

V-A-3. 「高度先進医療制度」を廃止する。

V-B. 「新薬申請」(NDA)の承認期限を12カ月とする 優先事項 -- 「新薬申請」の承認期限を12カ月にするという「共同現状報告」の合意を2000年4月までに実現する。そのために、NDAの承認処理期間の短縮に向けて継続的かつ着実な進展を確かなものにする。この目的を達成するために、以下の措置を含めるべきだが、それだけに限定してはならない。

V-B-1. 審査官による決定が、審査機関に対して拘束力を持つものとして扱われ、またプロセスのその後の段階で他の審査官に対して拘束力を持つものであることを保証する。

V-B-2. 同一薬品について、異なる効能等のための複数の未決NDAの提出および並行審査を認める。

V-B-3. すでに承認済の服用量と同類の服用量に関しては、新たな臨床研究を行うことなく承認できるようにする。

V-B-4. 製品の優先待遇の申請承認について、審査基準、選択審査プロセスおよび期限のそれぞれを明確にする。

V-B-5. NDAプロセスの開始時期に製品の優先待遇を企業が要請することを認める。

V-C. コンタクトレンズ消毒液のグループ評価制度の導入 優先事項 -- 日本政府の1998年の「規制緩和計画」に基づき、コンタクトレンズの化学消毒液のグループ評価制度の導入に必要な措置を、1998年度に実施する。この制度の下では、メーカーはグループ内の1種類のレンズをテストすることによって、グループ内のすべてのブランドについて厚生省の承認を得られる。

W. 流通システム

 流通システムの安全性の確保 優先事項 -- 医療機器の流通システムの安全性と一貫性を確保するために、医療機器の保険償還からサービス要素を分離しない。

X. 透明性

X-A. 新しい治験に関するGCPガイドラインの適用の明確化 優先事項 -- 新GCPへの円滑な移行を確実にするため、旧GCPの下で作成された新薬承認の申請その他の必要書類が、新たな臨床試験を必要とすることなく認められることを保証する。

X-B. 透明性の確保の継続 優先事項 -- 透明性に関する「共同現状報告」に従い、医療政策の検討において引き続き透明性を確保し、外国の医薬品・医療機器メーカーに、関連する諮問委員会で日本のメーカーと対等な立場で意見を述べるための意味ある機会を与え、外国メーカーの要請があれば、あらゆるレベルで厚生省と意見を交換する機会を与える。

Y. 地方レベルでの「総合評価方式」(OGVM)

 「総合評価方式」(OGVM)の導入 優先事項 -- 「共同現状報告」に謳われた措置をさらに推進するため、米国政府は日本政府に対して、地方自治体が調達において、特に医療機器・医薬品の調達において、OGVMを採用できるようにするために、1999年度初頭までに必要な措置を取るよう求める。

Z. 栄養補助食品

 栄養補助食品の販売の自由化 優先事項 -- 日本の栄養補助食品市場(ビタミン、ハーブ、ミネラルおよび非有効成分)を完全自由化するために、「市場解放問題苦情処理推進本部」(OTO)が1996年3月18日に勧告した措置を完全に実施する。


 

金融サービス


 米国政府は、日本政府が日本版ビッグバン(金融システム改革)の一環として今日までに講じてきた措置、および両国政府の「枠組み合意」の下でまとめられた「1995年の金融サービスに関する日米両国政府による諸措置」の中で取り上げられている措置の着実な実施を歓迎する。米国政府は、今後も引き続きこうした措置の実施を厳密に監視するとともに、日本の金融市場のさらなる開放と発展に向けたビッグバン計画の下で予定されている追加策に関心を持っている。

 日本の金融市場の規制改革がさらに進めば、競争が促進され、その結果として日本の長期成長見通しは好転し、個人および日本企業の投資機会の多様化につながる。

T. 個別措置

 こうした観点から、米国政府は、以下の分野における規制撤廃が可能な限り早期に実施されることを歓迎する。

T-A. 年金福祉事業団、簡易保険、郵便貯金等の公的資金の運用にあたり、特金スキームによる資産運用への移行の前向きな検討。

T-B. ファンドスポンサーが資産運用担当者を変更する時に、運用資金の全額現金化を義務づけている現行規定の廃止。

T-C. 証券会社が新型金融商品およびサービスを提供するビジネス機会の範囲の拡大。

T-D. ノンバンクが社債やコマーシャルペーパー発行によって調達する資金の使途の制限撤廃。

T-E. 市場参加者に対する、金融機関(資産運用担当者を含む)によるディスクロージャー(情報開示)の拡大。T-F. 税制上優遇措置のある確定拠出型年金プランの導入。

U. 透明性

 米国政府は、透明性および政府慣行を改善する以下の規制撤廃措置を歓迎する。

U-A. 新商品および新規サービスの開放的で透明な許認可プロセスの確立。

U-B. すべての新たな規制についてパブリックコメント手続を制度化し、規制変更の最終決定からその実施まで十分な時間的猶予を確保して、金融業界が組織・業務・システム上の必要な変更を行うことができるようにすること。

U-C. 特に、以下の規制措置について、パブリックコメント手続の制度化。

U-C-1. 各銀行が投資信託の販売を開始する12月1日付けで発効する、投資信託に関する新たなディスクロジャー(情報開示)規則。

U-C-2. 投資信託管理会社による、海外関連会社への、自由裁量権限の委譲。

U-C-3. 連結会計および時価会計に関わる会計変更に対する規制。

U-C-4. 「特定目的会社法」に関する規制。

U-C-5. 「サービサー法」に関する規制。

U-D. 「証券投資家保護基金」の設立および運営が公正、透明であることを確保し、かつ慎重な規律を課すために、以下を実施する。

U-D-1. 得意先勘定と資本主勘定の資産分離の明確化。

U-D-2. 「基金」への加入に際して、自己資本規制比率の確認義務付け。

U-D-3. 各企業の「基金」要件遵守状況の公開。

U-D-4. 適正なパブリックコメント手続の活用。

U-E. 以下に挙げる民間団体などの規制に対するパブリックコメント手続の適用。

U-E-1. 日本証券業協会。

U-E-2. 生命保険および損害保険契約者保護団体。

U-E-3. 損害保険料算定会。

エネルギー

 日本政府は、エネルギーの安定供給を維持しつつ、エネルギーコストを国際レベルまで引き下げることに重点を置いている。米国政府は、規制緩和委員会が8月ならびに9月の報告の中で表明した、エネルギー分野における規制撤廃と競争の促進、ならびに次にあげる実施目標を歓迎する。すなわち、電力供給システムの見直しや電力事業者間の競争強化、大口電力供給事業者に対する現行の許可制度の廃止および大口販売自由化による企業用電力と産業用電力の区分廃止の検討、小口販売自由化予定の明示、新規参入事業者と既存の電力事業者間の公正な競争を確保するための、電力託送料金の算定基準の開示の検討、電力事業者の効率向上を目的とした発電市場活性化および現行の料金制度見直しのための措置の検討、ガス事業における競争原理導入努力の強化、大口供給に対する要件の緩和と範囲の拡大、ならびにガス託送事業の活性化である。米国政府は、規制撤廃と構造改革を通じた市場主導型改革が、日本の目標達成への最善の方策であるとの前提の下に、以下の提案を行う。

T. 高圧ガス保安法

 高圧ガス保安法は、製造業者に対し、指定されているすべての設備について検査申請を行うことを義務付けるものであり、それには外国企業の日本市場へのアクセスを妨げるような不必要で煩雑な要件も含まれる。日本政府は、試験、検査、および情報に関する要件を改正し、簡素化すべきである。特に日本に求められるのは、以下の点である。

T-A. タービンやコンプレッサーに対する試験要件を、アメリカ石油協会(API)やアメリカ機械学会(ASME)などの、国際的に受け入れられている規格と整合させる。それには、設計圧力の4倍の圧力で実施しなければならないという、設備に対する不必要な耐圧試験も含まれる。

T-B. タービンやコンプレッサーに対する試験・検査要件を簡素化する。

T-C. タービンやコンプレッサーの原産国における出荷前検査を促進する。

T-D. タービンやコンプレッサーの設計・製造申請手続における情報要件を簡略化する。

U. 電気事業法

 電気事業法で定められている設備の検査や報告についての要件は、不必要に煩雑であり、同分野における外国企業の競争を妨げている。日本政府は、基準を改正し、検査や情報についての要件の簡素化をはかるべきである。 特に日本に求められるのは、以下の点である。

U-A. 蒸気タービン等、溶接部あるいはケーシングを有する高圧設備についての基準を、アメリカ石油協会(API)、アメリカ機械学会(ASME)およびアメリカ電気製造業者協会(NEMA)などの、国際的に受け入れられている規格と整合させる。

U-B. 蒸気タービン等、溶接部あるいはケーシングを有する高圧設備に対する検査要件を簡素化する。

U-C. 蒸気タービン等、溶接部あるいはケーシングを有する高圧設備の原産国における出荷前検査を促進する。

U-D. 蒸気タービン等、溶接部あるいはケーシングを有する高圧設備の設計・製造申請手続における情報要件を簡略化する。

V. 既存発電施設の改良

 発電技術が絶えず進歩する中で、世界中の設備メーカーや電力事業者は、技術改良によって、既存の機械や設備からより多くの電力を得る方法を編み出そうとしている。しかしながら日本では、国、県、および地方自治体が煩雑な規制を設けているために、既存の設備を改良するコストが高くなっている。日本政府は、現在の発電容量を増やし増大するエネルギー需要に応えるための費用対効果の高い方法を幅広く提供するために、国のエネルギー政策の目標に沿う形で、既存の発電施設の改良に関する規制の見直しおよび簡素化を行うべきである。

W. 予備発電機の認証

 日本では、予備発電機を設置する際の法的認可や民間の認証を得ることが、必要以上に煩雑なプロセスとなっている。日本政府は、予備発電機に対する国際認証を受け入れるための措置を講じるべきである。 特に日本に求められるのは、以下の点である。

W-A. 発電機の設置に関する法的認可過程を簡素化し、簡略化する。

W-B. 消防庁を通じ、各消防署に対し、公認機関による認証は日本エンジン発電機協会(NEGA)によるものと同等であると見なすよう指導する。


X. 電力線信号装置

 現在、オフィスオートメーション制御装置などの、電力線を通じて搬送される信号を使う装置の日本市場へのアクセスは、不必要に煩雑な規制によって制限されている。日本は1999年中にこうした規制を緩和し、これらの装置の市場を拡大するために、以下の措置を講じるべきである。

X-A. 日本の電波法施行規則第46条および48条などの電力線施行に関する規則にある「特殊搬送式デジタル伝送装置」のカテゴリーを変更し、ブロッキングフィルターを必要としない信号変調の承認された形態として、位相変調(具体的には二相シフトキーイング)を加える。

X-B. 搬送周波数、電力、漏洩RF、伝送速度、自動再送信周期などの、「特殊搬送式デジタル伝送装置」のカテゴリーの技術的なパラメーターを、国際規格に従って変更する。

Y. 給油所および給油ポンプ

 1998年4月のセルフサービス方式の給油所の導入をはじめとするガソリン分野における最近の規制撤廃は、同分野にこれまで以上の競争をもたらし、日本の消費者にとっては、ガソリンの値段が下がった。しかし、日本には、依然として給油所および給油ポンプに対する独特かつ過剰な規制がある。日本政府は、給油所や給油ポンプに関する規制を改正し、不必要、時代遅れ、かつ重複する規制を廃止すべきである。特に日本に求められるのは、以下の点である。

Y-A. セルフサービス方式の給油所や給油ポンプに対する規制と認可のプロセスを簡素化し、その透明性を確保する。

Y-B. 危険防止ならびに他の要件については、国際的に認められた、安全性を確かめる検査を行なう試験機関の定めるものと整合したものを採用する。


Z. 基準

Z-A. エネルギー分野における民営化を進め、自発的で市場主導型の基準に依存していく。

Z-B. すべての圧力機設備の基準を共通化できる国際標準化機構(ISO)の基準の設定を目標として、日米両国の民間部門によるISO第11技術委員会(ボイラーおよび圧力容器分野)の復活に向けた努力を支援する。

Z-C. 自発的な民間部門の基準をこれまで以上に活用し、性能重視の規制に移行する。

[. 透明性

[-A. オープンで、競争に基づき、透明性が高くかつ非差別的な調達プロセスを保証する。

[-B. 外国のエネルギー製品やサービスの供給業者、その指定配給業者または代理人が、日本の製造業者と対等の立場で、関連の諮問委員会、業界団体、および他の関連機関に参加し、意見を述べることができるような意味のある機会を得られるようにする。

[-C. エネルギー分野に関連する基準案、技術要件、およびその他の規制に対し、利害関係者が検討を行いコメントをするための、十分かつ時宜を得た機会を与える。加えて、それらの利害関係者には、要求すれば、通産省やその他の関連する政府機関のあらゆるレベルとの意見交換の機会が与えられるべきである。

[-D. エネルギー分野に関する基準、技術要件、およびその他の規制を作成・発表する民間ならびに準政府機関に対し、当該基準や他の要件を採用あるいは発表する前に、パブリックコメント手続を実施し、これら民間機関の決定に申し立てができるプロセスを確立するよう求める。

\. 競争政策

 米国政府は、日本の公正取引委員会が1997年に実施した、電力およびガス分野における規制撤廃と競争に関する調査を評価している。日本がエネルギー分野の規制撤廃を行うにあたり、公正取引委員会は、市場の動向を厳密に監視するとともに、独占禁止法を積極的に施行し、同分野での競争政策を支持するために、予算と人員の追加をはかるべきである。


法律業務


 日本が、日本版「ビッグバン」やその他の市場自由化を実施するに伴い、日本のサービス分野のインフラ、とりわけ法律業務提供者が、自由化および規制撤廃によって創出される新たな機会に対応できることが極めて必要である。日本と外国の当事者双方は、国内および国際取引を行う際には、包括的な国際法的サービスを利用できなければならない。しかし、法律業務の提供が不当に必要以上に制約されているため、外国弁護士と日本弁護士の双方にとって依頼人に対して包括的な法的サービスを提供することができない。日本が1998年に取った立法措置では、米国が指摘してきた制約が一部取り上げられているが、さらに以下の措置が必要である。

A. パートナーシップおよび雇用禁止条項の廃止 優先事項 -- 日本政府は、日本弁護士と外国法事務弁護士のパートナーシップ形成および外国法事務弁護士による日本弁護士の雇用に関する禁止条項を廃止すべきである。

B. 日本での職務期間の職務経験年数への算入 日本政府は、外国弁護士が日本において自国法に関する法律業務を行っていた期間について、現行で定められている1年のみではなく、その期間のすべてを、外国法事務弁護士として登録するために必要な職務経験年数に算入できることを認めるべきである。

C. 弁護士数の増加 日本政府は、最高裁判所司法研修所の修習生受け入れ数を、可及的速やかに、遅くとも2000年4月1日以降に入所する修習生クラスから、年間1,500人以上に増やすべきである。加えて、司法研修所以外でも資格をとれる新たな方法を探るか、研修所の大幅な拡張も検討すべきである。

D. 準法律専門職に対する制約の廃止 日本政府は、(弁理士、税理士、司法書士および行政書士を含む)準法律専門職と、弁護士、外国法事務弁護士との間の関係および準法律専門職間相互の関係におけるパートナーシップ、雇用および費用分担に対する制約を廃止すべきである。また日本政府は、これらすべての法律専門職の間の業務提携を完全に自由化し、準法律専門職が外国法律事務所へ直接参加することを許可すべきである。

E. 第三者の代理としての協議業務の許可 日本政府は、依頼人の代理として日本政府機関および他の当局と協議を行うことは、外国法事務弁護士の業務範囲内に許容されることを確認し、明白にすべきである。

F. 専門職組織の検討 日本政府は、国内に、弁護士および他の法律専門職のための専門職組織を設立することを早急に検討し、こうした組織の設立によって、日本人の依頼人が、より包括的かつ国際的な法的サービスを容易に受けられることが可能となるか否かの結論を出すべきである。

G. 広告規制の廃止 日本政府は、広告が誤解を招くことのないようにするために必要とされる妥当な最低限の規則を除き、広告禁止規定を廃止すべきである。

 

自動車および自動二輪車

T. 自動車

 日本政府は、1995年の日米自動車合意に含まれている自動車補修部品市場に関し、具体的な規制撤廃措置を講じてきた。米国政府は、これらの措置とともに、「規制緩和委員会」の車検有効期間延長を検討中との発表を歓迎する。しかし、同合意に盛り込まれた措置に沿って、日本政府は今後さらに自動車分野における競争の促進、市場アクセスの改善および低コスト化に向けた規制撤廃努力を拡大し加速すべきである。

T-A. 車両検査手続 優先事項 -- 不必要な規制による負担を減少させ、政府が義務付けている安全・排ガス検査および修理を行う認定整備工場の数を増加させるために、日本政府は、車両の安全検査・試験要件、およびこうした検査を行う整備工場に対する面積・設備要件を改定し、簡素化すべきである。具体的には運輸省は以下の措置を取るべきである。

T-A-1. 車両検査・試験用特殊機器の使用に関する要件を必要最小限のレベルに減少させる。

T-A-2. 施設の配置・面積要件を必要最小限のレベルに減少させる。

T-A-3. 規制による負担の減少を目標に、車検要件を自動車業界における技術変革に照らし合わせて改正する。

T-B. 新車登録 「規制緩和委員会」が表明している自動車登録手続の見直しの意向に沿って、新車登録手続を簡素化する。その一環として、現行のナンバープレート制度を廃止し、自動車販売業者が新車購入者に対して仮ナンバープレートを発行することを認める。加えて、日本政府は以下の措置を講ずるべきである。

T-B-1. 車庫証明制度を廃止し、届出制度に移行する。T-B-2. 新車に係わる諸税の納税を車両登録手続から切り離し、簡素化する。T-B-3. 印鑑証明の代わりとして、住民票または自動車運転免許証の使用を認める。

T-C. 整備士の認証 2級シャシー整備士の資格を創設するとした運輸省の予備決定を早急に採用し、日米自動車合意の下で設けられた専門整備工場制度の促進を支援する。

T-D. 分解整備規則 日本の自動車補修部品市場に意味のある競争をもたらすために、分解整備規則の要件からブレーキおよび他の部品の修理を除外する。

T-E. 透明性の確保 外国の自動車および自動車部品メーカーが、日本国内のメーカーと対等の立場で、関連する諮問委員会において意見を述べる機会を得られるようにする。また、新たな規制や規格に関して、利害関係者が検討・コメントするための、十分かつ時宜を得た機会を与える。加えて、利害関係者は、要求すれば、運輸省および通産省のあらゆるレベルでの意見交換の機会が与えられるべきである。

U. 自動二輪車

 日本政府は、道路交通法により、自動車専用道路における自動二輪車の走行に対し、依然として不必要な規制を設けているが、これは、公道における安全に役に立たず、国際規範とも一致せず、かつ大型自動二輪車の使用を制限するものである。

U-A. 1999年中に、日本政府は、高速自動車国道および自動車専用道路における(乗客1人を乗せた)2人乗り走行禁止を廃止すべきである。

U-B. 1999年中に、日本政府は、公道における自動二輪車の速度制限を自動車と同じ水準に引き上げるべきである。

 

流通


T. 通関・輸入手続

 日本政府は最近、納期の遵守を妨げ、高い価格を維持し、日本の消費者がダイレクトメール商品販売やカタログ販売を利用することを妨げる、緩慢で煩雑な通関手続きの近代化と迅速化に努めている。日本政府は、他の先進国並みの通関時間の実現を目指して、こうした努力を継続・拡大すべきである。特に、日本政府が下記T-A項に提案された方法・手順を支持し実行に移すことは、日本政府が緩慢で煩雑な通関手続の近代化と迅速化を真に希望していることの証しとなる。具体的には、日本政府は以下の措置を実施すべきである。

T-A. 優先事項 -- 国の関税法規を遵守してきた実績を持つ輸入業者が利用するために、以下の4つの基準に基づいて簡略化・簡素化された貨物処理システムを採用すること。

T-A-1. 貨物を確認し、その後の最終関税申告を完了させるために必要な最小限の情報の提出をもって貨物を引き渡すこと。

T-A-2. 同一の個人または企業が頻繁に貨物を輸入する場合、一定期間内のすべての輸入について一通の税関申告書の提出を許可すること。

T-A-3. 申告者の施設構内またはその他の認定された場所で通関させること。

T-A-4. 輸入業者の関税および納税義務の自己申告のため、および、その他の税関義務の遵守を確実にするために、適切な場合には、輸入業者の商業実績を利用すること。

T-B. 2000年までに成田空港の第2滑走路の完成によって貨物量の大幅な増加が予想されるが、これに対応するため、成田空港周辺の民間施設が、成田空港内に存在する保税倉庫機能と同様の機能を果たすことを許可する。

T-C. 一企業の貨物を、共同保税倉庫を介さず直接その企業の保税倉庫へ運ぶことを許可する新たな体制を確立することによって、プロセスを簡素化し、時間と費用を削減し、航空貨物会社が顧客によりよいサービスを提供できるようにする。

T-D. 成田空港の通常の貨物通関取扱時間を、土曜、日曜、祝日も含む毎日午前6時から午後10時までとし、旅客荷物の取扱時間と同等にする。

T-E. 通常の通関取扱時間外に航空機の貨物の積み下ろしをする場合に、個別のフライトごとに別途申請と事前承認を義務付ける現行の制度に代えて、事後通知制度を確立する。

T-F. 輸出品に関する認定された輸出港手続を、現行の事前承認制度から事後通知制度に変更する。

T-G. 担保証券制度、銀行保証、あるいは24時間銀行員体制を導入することによって、1日24時間、税関の貨物引渡しが行える手続きを確立する。

T-H. 貨物通関情報処理システム(NACCS)の使用料金が法外に高く、また利用しにくいという輸入業者らの苦情に対処する。

T-I. 通関処理の近代化と迅速化の努力を継続する。特に、NACCS、到着前審査、および到着即時通関手続の利用を拡大する。

T-J. 税関検査官による検査を必要としない低リスク商品の引き渡しについては最低の時間外料金を設定し、承認の検査を物理的に行う場合にのみ、より高い料金を設定する。 

T-K. 「関税定率法」14条18項が定める課税価格の最低額を1万円から3万円に引き上げる。また、関税計算を他のほとんどの国と同様、CIFベースではなくFOBベースとすること。

T-L. 即時輸入のための到着前通関制度を拡大する。その他の貨物の通関については、到着時の貨物検査と通関手続きを最小限に抑えるため、輸入関税の決定は、他の工業国と同様、貨物の通関後に行うことを重視すべきである。

T-M. 食品の輸入通関手続のための検査業務を簡略化、拡大、調整する。

U. 小売・サービス

 米国政府は、外国の小売業者および消費財メーカーにとって市場アクセスの主要な障壁である「大規模小売店舗法(大店法)」の廃止を歓迎するが、それに代わる新たな措置やその他小売分野に影響を及ぼす措置、例えば「都市計画法」が、地元の利害関係者によって、大規模小売店の競争を不当に制約する目的で使われないことを通産省が保証するよう強く求める。加えて米国政府は、通産省が、中小事業を優遇するその小売関連制度を撤廃することを求める。こうした制度は、外国からのアクセスを阻み、日本の消費者利益を損ない、既存の排他的流通構造を開放するのではなく維持する機能を果たしてきた。具体的には、日本政府は以下の措置を取るべきである。

U-A. 優先事項 -- 大型店舗の新設または拡張に適用される、大規模小売業者のための明確かつ正確な通知基準を作成する。

U-B. 優先事項 -- 「大規模小売店舗立地法」の運営指針を作成するために設けられている作業部会が、大規模小売業者の意見を求め、検討することを保証する。作業部会は、その中間報告に関して、パブリックコメント手続を採用すべきである。

U-C. 優先事項 -- 日本政府は、新たな「大規模小売店舗立地法」の導入に際し、大規模小売業者の事業運営に関する地元当局の権限を明確に定義すべきである。その際には、以下の課題に対処すべきである。

U-C-1. 店舗の設置に関する具体的なパラメーターを確立・公表して小売業者が計画に利用できるようにし、また地元当局による不当な調整要求や恣意的な解釈の可能性を最小限に抑える。

U-C-2. 現行の「大規模小売店舗法」の下で規制されている項目(床面積、開店日、営業日数、営業時間)は、新たな「大規模小売店舗立地法」の下では調整の対象とすべきではない。新たな「大規模小売店舗立地法」の履行にあたっては、合法的な大型店舗事業運営の調整ではなく、ゴミ、騒音、交通等、環境への悪影響に注目すべきである。

U-C-3. 新たな「大規模小売店舗立地法」のプロセスの下で意見を聴取できる地域は、提案されている店舗の用地のある町または市などの、最小の行政単位に限定されるべきである。

U-D. 優先事項 -- 新たな「大規模小売店舗立地法」の導入措置に対する通産省の指針案やその他の措置に対し、利害関係者が、十分にそして時宣にかなった審査をし、意見を述べる機会が認められる、パブリックコメント手続を利用する。

U-E. 優先事項 -- 地方自治体による新たな「大規模小売店舗立地法」の適用に対する中央政府による厳密かつ継続的な監視を確立すること。これには、2005年まで、地方自治体が同法をどのように実施しているかを年に2回調査し、調査結果と裏付けデータを公開することが含まれる。

U-F. 優先事項 -- 中央政府レベルで公認された公式プロセスを確立し、地方自治体が不当に大規模小売店を制約した場合には、通産省が小売業者の苦情を聞き、対応するための明確な形の正式な手順を確立する。

U-G. 地方自治体が「都市計画法」の最近の改正を利用して、「大店法」の下で行われたように大規模小売店の立地を不当に制約しないことを保証する。

U-H. 「小調法」(1959年法律第155号 --「小売商業調整特別措置法」)、「分野法」(1977年法律第74号)等、その他のすべての市場調整法を撤廃する。

V. 輸送・保管

 日本の法律は、トラック運送業および倉庫業の分野において、不必要な参入要件と煩わしい料金申請要件を課すことによって、競争を制限し、コストを上昇させている。日本政府は以下の措置を取るべきである。

V-A. 保管スペース不足の解消、高額手数料の引き下げ、外国企業の商品流通に関連する負担の最小化を目的に、免許要件、通知要件などの倉庫業への参入制限を大幅に削減する。

V-B. トラック運送業の運賃、料金の規制を撤廃する。

V-C. フレイト・フォワード事業運賃と料金に関する原価計算書の提出要件を緩和する。

競争政策および独占禁止法

T. 競争政策の促進

 規制改革は、競争の力を活用することによって、経済成長、市場アクセス、および経済効率を高めることができる。日本での規制改革の成功は、効果的な競争政策の堅固な基盤の上に築かれなければならない。この事実を認識した上で、日本の公正取引委員会は、独占禁止法(1947年 法律第54号)の積極的な執行に加えて、競争を妨げる規制、特に新規企業の参入を阻む規制の撤廃を率先して行うことによって、競争政策と規制改革を促進するための、より大きな努力をするべきである。

T-A. 優先事項 -- 2000年4月までに、公正取引委員会の中に「競争政策局」を設立する。「競争政策局」の目的は、日本経済の中で政府規制の対象となっているあるいは対象となり得る分野での競争と規制改革を促進することによって、強力に競争を促進していくことである。

T-B. 優先事項 -- 1999年4月までに、公正取引委員会は、以下のような目的を持つ「競争政策促進計画」を立案する。

T-B-1. 不必要でコストのかかる既存の規制を撤廃する。

T-B-2. 不必要な新しい規制の採用を禁止する。

T-B-3. 規制が必要な場合には、正当な規制目標に合致する、反競争的要素の最も少ない形の規制を進めることによって、競争の歪みを最小限に抑える。

T-B-4. 規制が、合法的な規制目標を達成すべく適切に作られていることを保証する。

T-C. 優先事項 -- 1999年4月までに、公正取引委員会は、「独占禁止法順守マニュアルおよび計画」(「公正取引委員会モデル計画」)を立案する。この「公正取引委員会モデル計画」は、企業の社員が独占禁止法に従って行動することを保証するために、厳格な遵守基準および手続を設定すべきである。また公正取引委員会は、「モデル計画」に関する情報を企業・業界に広く行きわたらせるべきである。

T-D. 優先事項 -- 1998年3月31日の「閣議決定」および1998年7月の「公正取引委員会による公益法人の基準・認証に関する調査」に従い、公正取引委員会は、事業者団体や非営利団体が採用する民間部門の規制(「民民規制」)を厳しく監視すべきである(本要望書の「透明性およびその他の政府慣行」の中の「民間部門の規制」の項も参照)。公正取引委員会は、「民民規制」によって不当に競争または新規参入者を制限する事業者や団体に対しては、適切な措置を取るべきである。

T-E. 1999年12月までに、独占禁止法第42条および第44条の2に基づいた公正取引委員会の権限を行使して、以下のことを行なう。

T-E-1. 規制撤廃および競争政策の重要課題に関する公聴会を、各課題について少なくとも1回開く。

T-E-2. 規制撤廃および競争政策の重要課題に対する公正取引委員会の見解に関して、少なくとも1つの報告書を、内閣総理大臣を経由して国会に提出する。

T-F. 2000年4月までに独占禁止法を改正し、公正取引委員会に以下の権限を与える。

T-F-1. 競争支持の政策オプションを提示するために中央政府あるいは地方自治体の機関(審議会も含む)が行う審理、審問、あるいは審議に意見を提出するか、参加する。

T-F-2. いかなる提案された規制についても、その規制の競争への影響を評価するために、検討および論評する。

T-G. 公正取引委員会委員長の閣議への出席を認めるために、独占禁止法および「内閣法」(1947年法律第16号)を修正する。

U. 私人の救済

 米国政府は、公正取引委員会に諮問委員会が設立され、独占禁止法違反に対する差止請求による救済を求める私人による訴訟および私人の損害賠償請求訴訟に対する現行の法的制限を検討していることを歓迎する。米国政府はまた、私人の救済に関する問題を検討した通産省の諮問委員会の最近の努力を評価する。米国政府は、私人の訴訟による差止請求および損害賠償請求が実際に利用できることが、総合的な独占禁止法制度の不可欠な部分であることを強く信じている。すなわち、反競争的な行為によって直接損害を被った私人は、自ら独占禁止法を執行する力を持つべきである。さらに、私人の独占禁止法執行は、企業の事業慣行を独占禁止法に順じたものにすることの重要性を日本企業に警告するという重要な役割を果たすことができる。その結果、市場を自由で、開放的で、競争的なものに保つことができる。米国政府は、@公正取引委員会の諮問委員会が、私人による差止請求訴訟および私人による損害賠償請求訴訟に対する法的な負担を取り除くための革新的な措置を提言すること、A日本政府が、私人による差止請求訴訟および損害賠償請求訴訟に対する法的な負担を取り除くための法律を直ちに制定することを強く求める。

優先事項 -- 1999年4月までに独占禁止法およびその他の該当する法律を、以下のように改正する。

 

1. 独占禁止法違反に基づき差止請求訴訟を起こすことを、私人に対して認める。

2. 独占禁止法違反に基づく損害賠償請求訴訟の原告が、(a)損害額について立証責任を果たし、さらに(b)独占禁止法違反と損害との間の因果関係を証明しなければならないという、原告に対する制約をなくす。

V. 反カルテル措置の執行

 1998年3月25日のOECDの「中核的カルテルに対する効果的な措置に関するの提言」は、「中核的カルテルは、競争法に対する最も悪質な違反である」ことを認めている。この提言に従って、公正取引委員会や関係省庁は、反カルテル措置執行の強化をはかるべきである。

V-A. 優先事項 -- 公正取引委員会による法務省への刑事告発を促すために、1999年4月までに以下の措置を実施する。

V-A-1. 検察庁と公正取引委員会の間で捜査上の共同分担を進める。

V-A-2. 刑事上の独占禁止法違反の捜査のため、法務省の予算と人員を増やす。

V-A-3. 公正取引委員会に派遣される法務省検察官の数を増やす。

V-A-4. 公正取引委員会に派遣されている検察官のうち少なくとも1名は豊富な経験(例えば20年以上)を有することを保証する。

V-B. 優先事項 -- 公正取引委員会の捜査権限を強化する方法を検討するため、1999年4月までに、独占禁止法第42条に従い公聴会を開催するか、または諮問委員会を設ける。公聴会または諮問委員会においては、特に以下のことを検討すべきである。

V-B-1. 公正取引委員会に強制捜査権を与えるために独占禁止法を改正する。

V-B-2. 独占禁止法違反の謀議を助長する行為を行なった最後の日から3年以内に、商取引上の不当な取引制限や私的独占に対する措置を取ることを認めるために、独占禁止法第7条の2を改正する。

V-B-3. 独占禁止法第40条および第46条に定められた情報提供要求に対して、公正取引委員会へ虚偽の、または不完全な証拠を提出した場合の罰金の最高額を引き上げるために、独占禁止法第94条の2を改正する。

V-B-4. 独占禁止法第40条および第46条に定められた情報提供要求に対して、公正取引委員会へ意図的に虚偽の報告を提出した場合、および情報提供要求に従うことを回避するために意図的に文書を破棄した場合、それらの行為を、3カ月以上、10年以下の懲役によって罰することを可能にするために、独占禁止法第92条の2を改正する。

V-C. 優先事項 -- 1999年4月までに、以下のことを行なう。

V-C-1. 公共プロジェクトの入札者全員に、「独立価格設定誓約書」(CIPD)によって、入札価格が独自に設定されたものであり、(a)価格、(b)入札の意図、あるいは(c)提示価格の計算に使われた手法または要因に関して、他の入札者または競争相手との競争を制限する目的で、協議、連絡、または合意を行っていないことを保証するよう義務付ける。

V-C-2. 公共プロジェクトの入札者全員に、CIPDによって、入札者が、入札公開前に(秘密入札募集の場合)、または契約成立前に(交渉による募集の場合)、他の入札者または競争相手に直接または間接に、意図的に入札価格を開示していないこと、あるいは今後も開示しないことを保証することを義務付ける。

V-C-3. 虚偽のCIPDの提出を犯罪とみなすよう刑法を改正する。

V-D. 2000年4月までに独占禁止法第89条の1を改正して刑事罰則を大幅に強化する。それに関連して、独占禁止法上の違法行為を報告する企業が、刑事罰則を適用される際に、一定の条件の下で有利な取り扱いを受けることを可能にする公正取引委員会の「捜査協力方針」を確立する。その「捜査協力方針」では、@捜査開始に先立って企業が違法行為を報告した場合の有利な取り扱いに必要な条件、A企業が@の条件を満たせない場合に有利な取り扱いを可能にする代替条件、を正確に述べる必要がある。

W. 流通

W-A. 優先事項 -- 1999年4月までに、公正取引委員会は、「小売産業競争促進計画」を発表する。この計画の下で、公正取引委員会は、以下のことを行う。

W-A-1. 大規模小売店設立の要請を検討している地方自治体の活動を厳密に監視する。

W-A-2. 大規模小売店設立を検討している地方自治体に、大規模小売店の競争促進効果について具申する。

W-B. 優先事項 -- 1999年4月までに、公正取引委員会は、「紙の流通における企業間取引に関する調査」(1993年6月29日)の追跡調査を開始し、現行の事業慣行を評価する。

W-C. 優先事項 -- 1999年4月までに、公正取引委員会は、板ガラス市場に関する追跡調査を終了し、その結果を公表する。

W-D. 「きわめて寡占的な産業」におけるメーカーと流通業者との間の財務上の相互関係の程度と形態に関する調査を開始する。この調査は、産業別に行い、株式の関係、ローンその他の資本源の提供、および社員、施設、設備の共有の問題を対象とすべきである。 

W-E. 都道府県庁に@各事例の事実関係、A取られた措置の理由を一般公開することを義務付けることによって、「景品表示法」(1962年法律第134号)の適用の透明性を向上させる。

X. 独占禁止法適用除外制度

X-A. 優先事項 -- 1998年3月31日の「閣議決定」に従い、独占禁止法第24条の3(「不況カルテル適用除外」)、同第24条の4(「合理化カルテル適用除外」)、「独占禁止法に基づく適用除外」、およびその他の法律に基づく適用除外を、1999年4月までに廃止する。

X-B. 「公正取引協議会」を独占禁止法の適用除外とする「景品表示法」第10条の5を廃止する。

X-C. 「事業革新法」(1995年法律第61号)第7条を廃止し、同法を改正することによって、@事業革新計画の申請を受理した大臣がその写しを公正取引委員会に送付することを義務付け、A「事業革新法」の下で行われるすべての事業活動に対して独占禁止法が適用されることを明示する。この措置が完了するまでの間、「事業革新法」の下で提出されるすべての申請、特に合同申請を、公正取引委員会が審査し、申請に関する公正取引委員会の助言をすべて公表することを保証する。

Y. 合併

Y-A. 優先事項 -- 独占禁止法の新しい改正点を明確にするため、1999年4月までに、新たな「合併に関する指針」を発表する。

Y-B. 合併または株式取得の審査の際の、公正取引委員会の「事前協議」メカニズムの透明性を向上させる。

Z. 公正取引委員会の予算と資源

Z-A. 優先事項 -- 以下の強化措置を行う。

Z-A-1. 課徴金からの収入が公正取引委員会の現行の予算を大きく上回っていること、また公正取引委員会職員の増員により課徴金徴収額が増える可能性が高いことを考慮し、公正取引委員会の1999年度予算を5%増やす。その後、5年間にわたって毎年5%ずつ公正取引委員会の予算を増やす。

Z-A-2. 公正取引委員会の職員を1999年度に25名増員する。その後、5年間にわたって毎年25名ずつ増員し、増員のほとんんどを調査部門および競争政策促進に配置する。

Z-B. 公正取引委員会が2001年に総務省の管轄下となってからも、特に人事において公正取引委員会の独立性を維持するために必要なすべての措置を取る準備をし実行する。


 

透明性およびその他の政府慣行


 日本の規制制度における透明性の向上と一般参加の機会拡大は、日本の分野ごとの効果的な規制撤廃に対して不可欠の補完要素であり、より効果的で責任所在がはっきりした規制制度につながるものである。規制環境の改善は、外国企業が直面する市場アクセスの障壁を取り除く上で、重要な役割を果たす。

T. パブリックコメント手続

T-A. 全政府的手続 優先事項 -- 1998年3月31日の「閣議決定」および「中央省庁再編法」、そして「共同現状報告」に謳われた措置に基づき、米国は、日本政府が、1998年度末までに、パブリックコメント手続を採用することを促す。この手続は、省庁その他の政府機関(これを包括して「政府機関」とする)が提案する規制の作成および修正に、すべての利害関係者が効果的に参加することを可能にするものである。こうした手続は、政府機関に対して以下のことを義務付けるべきである。

T-A-1. 官報に、提案された規制を公表する。

T-A-2. 利害関係者が、提案された規制についてコメントするために適切な期間(少なくとも30日間)をもうける。

T-A-3. すべてのコメントを一般市民が入手・検討できるようにする。

T-A-4. 規制の最終決定に際して、これらのコメントを慎重に考慮し、対処する。

T-B. 重要な規制に対するパブリックコメント手続の暫定的・自主的な採用 -- 全政府的なパブリックコメント手続の採用・導入を待つ間、政府機関は郵政省の前例にならって、重要な規制を公表する前に、自主的にパブリックコメント手続を採用すべきである。特に、米国は、以下の規制作成においてパブリックコメント手続の採用を促す。

T-B-1. 通産省 -- 新たな「大規模小売店舗立地法」導入のガイドラインおよび規制。

T-B-2. 建設省 -- 「建築基準法」改正導入のための規制措置。

T-B-3. 大蔵省

T-B-3-1. 1998年12月1日をもって銀行が投資信託の販売を開始すると同時に発効するとされている、投資信託に関する新たな情報公開規則。

T-B-3-2. 投資信託管理会社による、オフショア関連会社への自由裁量権限の付与。

T-B-3-3. 連結会計および時価会計に関わる会計制度変更に対する規制。

T-B-3-4. 「特定目的会社法」に関する規制。

T-B-3-5. 「サービサー法」に関する規制。

T-B-4. 厚生省 -- 医療改革法」導入のための規制。

T-B-5. 運輸省 -- 港湾輸送業の規制撤廃措置。

U. 情報公開

U-A. 情報公開法の制定 優先事項 -- 米国は、情報公開法案が国会に提出されたことを評価し、日本が1998年度末までに情報公開法を制定し、1999年度末までに同法を実施することを強く求める。情報公開法は、一般市民に政府情報への効果的なアクセスを与えるために、特に以下の条件を満たすべきである。

U-A-1. 特殊法人も含め、あらゆる中央政府機関および政府関連機関に適用する。

U-A-2. 外国企業および外国人が情報公開を請求することを許可する。

U-B. 一元化された文書管理制度の確立 情報公開法の制定に合わせて、日本政府による、すべての政府機関に適用される一元化された文書管理制度の確立が不可欠である。そうした制度の一環として、日本は、書類の分類、整理、保管に関してすべての政府機関に適用される共通の基準を設定すべきである。

U-C. 新たな規制の発効期日 企業が新たな規制義務に対応するために必要な運営の変更を行えるように、新たな規制の発表からその発効期日までの間に、妥当な期間をおくべきである。したがって、1998年度末までに日本政府は、すべての政府機関に、最終的な規制の発表期日と規制の発効期日との間に妥当な期間をおくことを義務付けるべきである。

V. 認可のプロセス

V-A. 審査の手続きと基準 米国は、「共同現状報告」に謳われているように、免許、許可、認可(これらを包括して「認可」とする)に関わる審査手続を簡略・迅速化するという日本政府の計画、およびそうした認可の審査基準を見直すという日本の計画を支持する。米国は、日本が1998年度末までに見直しを完了し、また客観的、総合的な見直しを行うために、以下のことを実行するよう求める。

V-A-1. 見直しが公平な機関によって実施されることを保証する。

V-A-2. 既存の審査基準について、利害関係者の意見を求める。

V-A-3. 見直しの結果を公表する。

V-B. 認可プロセスの改善 優先事項 -- 「共同現状報告」に謳われた措置に加えて、米国は、日本に対し、煩雑かつ予測不可能な認可プロセスを改善するために、以下の措置を採用することを求める。

V-B-1. すべての政府機関に対し、認可申請に含まれなければならない、あるいは添付されなければならないあらゆる情報について、また政府機関が申請の審査に際して使用する手続きについて、1998年度末までに詳細な説明を官報に掲載することを義務付ける。

V-B-2. 政府機関が申請者に事前協議を要求したり奨励することを禁止する。事前協議とは、政府機関が申請を正式に受理する前に、申請しようとするものの内容、範囲、その他の事項に関して、政府機関と協議することである。

V-B-3. 「行政手続法」第7条に従い、政府機関は提出された申請をすべて受理し、直ちに審査を始めることを保証する。

V-B-4. 「行政手続法」第7条に従い、申請に必要なすべての情報が含まれていないとの決定をした政府機関は、申請者に対し、申請内容の不備、あるいは認可の付与に必要な条件を満たすために申請者がとらなければならないその他の措置すべてについて書面で知らせることを義務付ける。

V-B-5. 「行政手続法」第9条に従い、政府機関が、申請者の要請に応じ、申請状況および申請に関する決定(または処分)がなされる時期について書面で知らせることを義務付ける。

V-C. 特定分野 以下の認可プロセスの改善は特に重要である。

V-C-1. 大蔵省および金融監督庁 -- 金融商品およびサービス、ならびに広範な保険商品および料率(限られた例外を除く)の届出後使用制の1999年度における採用を含む保険商品。

V-C-2. 建設省 -- 新しい革新的な建材および工法を使用するための認可取得プロセス。

V-C-3. 「日本港運協会」の事前協議プロセス。

W. 審議会

 「行政改革会議」の提言に沿って、米国は、審議会、研究会、懇談会、および勉強会(以下、これらを包括して「審議会」とする)などの日本の審議会の改革を強く支持する。また、米国政府は審議会の透明性と客観性を強化するために、日本政府が以下の措置を取ることを求める。

W-A. パブリックコメント手続の採用

W-A-1. 米国は、いくつかの審議会がその中間報告について一般市民がコメントする機会を提供する努力をしていることを評価しており、通産省がその審議会のプロセスにパブリックコメント手続を採り入れる予定であることにも注目している。日本の規制作成過程において審議会が果たす重要な役割にかんがみて、米国は、日本政府が1998年度末までに、すべての審議会が中間報告および予備提言(これらを包括して「中間報告」とする)を発表する際にパブリックコメント手続を採用することを義務付けるよう求める。審議会に、以下の措置を取ることを義務付けるべきである。

W-A-1-1. 審議会の中間報告を公表するか、またはその他の方法で広く入手可能とさせる。

W-A-1-2. 利害関係者が中間報告についてコメントをするために適切な期間(少なくとも30日間)をもうける。

W-A-1-3. 最終報告あるいは提言の作成に際して、これらのコメントを慎重に考慮する。

W-A-2. 米国は、全審議会に適用されるパブリックコメント手続の採用・導入が実施されるまでの間、以下を含めた審議会が、自主的なパブリックコメント手続を採用することを求める。

W-A-2-1. 新たな「大規模小売店舗立地法」の導入に必要なガイドラインに関わる提言を行う通産省の審議会。

W-A-2-2. 相互接続モデルを作成している郵政省の審議会。W-A-2-3. 港湾の規制撤廃を検討している運輸省の審議会。

W-A-2-4. 建設省の「建設請負業に関する中央審議会」。 

W-B. 透明性の強化

W-B-1. 1995年9月29日の「閣議決定」に従い、日本政府は1998年度末までに、すべての審議会が、それぞれの諮問内容または任務内容、および会合の議事録を公開することを義務付けるべきである。

W-B-2. 日本政府は、審議会の小委員会やその他の付属機関が、審議会と同様の透明性確保義務に従うことを義務付けるべきである。

W-C. 外国の参加 日本政府は、外国の非政府関係者および外国企業が審議会の会合に委員またはオブザーバーとして参加することを認める措置を取るべきである。

X. 民間部門の規制

 日本政府が規制の撤廃および緩和を実施していくにあたって、事業者団体やその他の公益法人、およびその他の民間組織(これらを包括して「民間組織」とする)が、政府規制に代わって民間部門の規制(いわゆる「民民規制」)を行なうことを認めないことが不可欠である。市場参入と事業の運営、認可、基準、資格、検査、試験、認定制度に関する規則等の民間規制(これらを包括して「民間規制」とする)は、事業活動に悪影響を及ぼす可能性がある。米国は、例えば1996年および1997年の「行政改革委員会報告書」、および1998年7月の公正取引委員会による「公益法人の基準・認証に関する調査報告書」に見られるように、民間規制に関する日本の各種機関の懸念に注目している。米国は、日本政府が以下の措置を取ることを求める。

X-A. 政府機関による委譲 日本政府は、政府機関が、製品の認定または認可などの政府機能あるいは公的政策機能を民間に委譲することを、法令に明記されている場合を除いて、禁止すべきである。

X-B. 透明性

 民間規制の透明性を高めるために、日本政府は以下の措置を取るべきである。

X-B-1. 政府認可の各民間組織に、それぞれの規制に関する以下の情報を1998年度末までに広く一般に公開するよう指示する。

X-B-1-1. 規制内容、規制の対象となる産業あるいは企業、さらに規制に従わなかった場合のすべての罰則。

X-B-1-2. その規制が特定の法律または規制によって認定されているかどうか、あるいは行政指導の結果として確立されたものかどうかなどについての、各民間規制の権限あるいは根拠。

X-B-2. すべての民間組織が、組織に加盟していない企業の事業活動を制限することのないよう、オープンで透明性が高くかつ差別的待遇をしない方法で活動を行うことを義務付ける。

X-B-3. 政府が認可した各民間組織、特に以下の組織が、規制を採用または制定する前に、パブリックコメント手続を採用することを義務付ける。

X-B-3-1. 「証券投資家保護基金」

X-B-3-2. 「日本証券業協会」

X-B-3-3. 生保・損保契約者保護組織

X-B-3-4. 損保料率算定会

X-B-3-5. エネルギー分野の組織

X-C. 監視メカニズム 日本政府は、民間規制の採用を監視する機関を設立すべきである。

Y. 行政指導

Y-A. 1998年3月31日の「閣議決定」にある、行政指導の透明性向上の必要性に関する記述に従い、日本政府は、現在有効なすべての行政指導のリストおよびその内容文章を公開すべきである。これには、そうした行政指導を発表した政府機関、発表された期日、そして行政指導の対象となった機関などが含まれる。

Y-B. 「行政手続法」および「行政手続法」の厳格な施行を定めた1998年3月31日の「閣議決定」に従い、日本政府は、行政指導を発表する政府機関が、行政指導の遵守は完全に自主的なものであり、行政指導に従わなかった者が不利な扱いを受けることはないとの記述を行政指導に盛り込むことを義務付けるべきである。

Z. 総合評価方式

 米国は、「共同現状報告」の推進のために、日本政府が、地方自治体に対して1999年度初めまでの調達に関して総合評価方式を採用できるよう必要な措置を取ることを求める。

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