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地球は美しい|第13回ソウルの「迎賓館」 [池田名誉会長の写真紀行]
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投稿者 white 日時 2006 年 9 月 03 日 12:36:23: QYBiAyr6jr5Ac
 

(回答先: 美しい国って? [きっこの日記] 投稿者 white 日時 2006 年 9 月 03 日 12:06:31)

□地球は美しい|第13回ソウルの「迎賓館」 [池田名誉会長の写真紀行]

 http://www.sokagakkai.or.jp/peace/gallery/earth/earth13.html

その建物(たてもの)は、生きているように見えた。
青空に向かって、声なき声を、静かに放(はな)っているような気がした。
韓国へ二度目の旅だった。昨年の5月である。
気品ある「青き瓦(かわら)」に「白き棟(むね)」。なだらかな勾配(こうばい)を描(えが)く屋根。
私は、韓国の山河(さんが)にまで染(し)みとおっている、何とも言えぬ「優しさ」に出あった気がした。
宿舎の窓から見えた伝統様式(ようしき)の建物の名は「迎賓館(げいひんかん)」。その名の通り、かつて国家の賓客(ひんきゃく)を迎えた。
建設には8年もかかった。1959年に始まり、二度の工事中断を経(へ)て、宏壮(こうそう)な庭も含(ふく)めて全(すべ)てが完成したのは67年だという。
私が韓国を初訪問したのは、この時の8年前。90年の秋だった。
文化の大恩の国への、ささやかな報恩(ほうおん)として「西洋絵画名品展」を開催するためである。しかし、台風で出発が遅れたせいもあって、滞在(たいざい)時間26時間という、あまりにも慌(あわ)ただしい初訪問になってしまった。
李朝(りちょう)500年の王京(おうきょう)・ソウルに、会釈(えしゃく)しただけで、帰国しなければならなかった。
私は再訪を誓(ちか)った。
そして98年、名門・慶熙(キョンヒ)大学の招(まね)きで、願いは実現した。市内と郊外の壮麗(そうれい)なキャンパスを見学することもできた。
また韓国SGIの本部も訪問できた。言い尽くせぬ労苦に労苦を重(かさ)ねてこられた友の代表である。お会いできて、感無量であった。
ソウルの街(まち)に、5月の風が香(かんば)しかった。
韓国の心は美しい。
牛車(ぎゅうしゃ)に稲藁(いねわら)を載(の)せる時も、少しでも牛の苦労を分かち合おうと、農夫は自分も背負子(しょいこ)いっぱいに藁(わら)をかついだ。その光景が農村の名物だったという。
建国の神話にも好戦的(こうせんてき)なものはない。他国を侵略(しんりゃく)したこともなく、残虐(ざんぎゃく)な復讐(ふくしゅう)の物語も、ほとんどない。
開国を求めて侵入(しんにゅう)してきた西洋列強(れっきょう)の船にさえ、抗議(こうぎ)しつつも、「万里(ばんり)の風波(ふうは)に揉(も)まれて、さぞかし、ひもじい思いをしているであろう」と、食糧を贈ってあげたお国柄(くにがら)である。
韓国の「情(じょう)」は厚く、深い。5千年の間、苦難の歴史を耐えて乗りこえ、しかも情(なさ)け深(ぶか)さをなくさなかった人達(ひとたち)である。
憎(にく)しみを人に向けるよりも、悲しみを雪のように胸の奥に積もらせながら、明日(あす)を信じて微笑(ほほえ)んできた人々である。
愛の国、美の国、文の国。
その平和の人々が、「何十世代の後(あと)までも忘(わす)れぬ」と、怒(いか)りを骨に刻(きざ)んだ相手が、日本の残虐(ざんぎゃく)な国家主義者であった。
行く先々での略奪(りゃくだつ)。暴行(ぼうこう)。殺戮(さつりく)。「禽獣(きんじゅう)にも劣(おろ)る」、文化なき「悪鬼(あっき)」と呼ばれた。
文化。それは「目に見えないもの」を見る力。
見えない「心」を感じとる心の力だ。それが何と近代の日本に欠けていることか!
迎賓館(げいひんかん)の建物は、上から見ると、中庭(なかにわ)を中心に「口(くち)」の形の配列(はいれつ)に見える。
この国の伝統では、中庭が二つなら「日(ひ)」の形、三つなら「月(つき)」の形の配列になる。
「口」の字は、「豊かな食の福(ふく)」を招(まね)くという。「日」や「月」は、天の精気(せいき)を家にもたらすという。
つまり、この地では、建物は天と対話しているのだ。
ゆえに、だれの目にも触れない高い屋根の瓦(かわら)にさえ、丹精(たんせい)こめた精緻(せいち)な文様(もんよう)を施(ほどこ)した。その愚直(ぐちょく)さを馬鹿らしいと思わない心が文化なのである。
訪問の最後の夕べ、この迎賓館の一室をお借(か)りして、慶熙(キョンヒ)大学の代表をはじめ、お世話になった方々への答礼宴(とうれいえん)を開いた。
あいさつに立って私は、創立者・趙永植(チョーヨンシク)先生の奥様をたたえた。
大学の草創期、夫人は、幼(おさな)いお子さんを背負(せお)いながら、苦学生(くがくせい)たちのために手料理を振(ふ)る舞(ま)い、励(はげ)ました。
職員の給料が払(はら)えず、大切な婚約指輪を質屋(しちや)に持っていったこともある。身を切る思いの決断だった。それなのに「本物かどうか、わからない」と突き返され、あふれる涙で夜道を帰った。
そんな苦労の中で、趙(チョー)先生の信念である「文化世界の創造」のために生きてこられたのである。
その母(オモニ)の強さ、優しさ。
それこそ、この建物にも込められた「東方礼儀(とうほうれいぎ)の国」の心ではないかと思った。
夫人は、趙先生の隣(となり)で、柔らかな曲線美(きょくせんび)のチマ・チョゴリを召(め)しておられた。私の話に、身をよじるようにして、はにかんでおられる姿が、ういういしく、美しかった。
その夜更(よふ)け、迎賓館の青き屋根屋根を、銀色の半月(はんげつ)が照らしていた。
この美しき国を踏(ふ)みにじった日本の傲慢(ごうまん)への憤怒(ふんぬ)が、また、胸に突き上げてきた。

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