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2006.9.4（その１）
森田実の言わねばならぬ［317］
最近私が講演で話していること――「ポスト小泉と今後の政局」
「政治においては、実生活と同じく、何よりもまず実現可能なことを要求すべきだ」（ハイネ）
最近、毎日のように講演している。テーマは「日本再生のために何が必要か」または「ポスト小泉と今後の政局展望」のどちらかである。私の主張（日本の政治はいかにあるべきか）が求められる場合は「日本再生のために何が必要か」が演題に選ばれる。これに対して、主催者が分析的な講演を希望される場合は「ポスト小泉と今後の政局展望」の演題が用意される。
最近は後者（分析的講演）のほうが多くなっている。
去る８月23日、中国新聞と中国経済クラブ主催の「中国新聞政経講演会」に招かれ、「ポスト小泉と今後の政局」について講演した。この講演要旨が８月24日付け中国新聞朝刊に掲載された。以下、要点を記す（中国新聞からの抜粋）。
【1】自民党総裁選は、福田康夫元官房長官が降りた瞬間に終わった。福田氏は立候補に十分、意欲を持っていた。ただ、森派内の圧倒的多数が安倍晋三官房長官を支持していた。
【2】では、なぜ、安倍氏は支持されるのか。カリスマ性を秘めた民主党の小沢一郎代表に勝つためには、安倍氏の若さ、人気、スマートさしかないと思っているからだ。安倍氏を英雄にし、英雄を立てることで選挙に勝ち抜く戦略だ。
【3】そこで注目されるのが、十月二十二日の衆院神奈川16区と大阪９区の補選だ。安倍氏は選挙の強さが理由で選ばれるのだから、自民党が二敗すれば打撃は計り知れない。小沢氏は就任直後の衆院千葉区補選で自公連立候補に勝ち、自らへの威信を高めた。参院選に向け「やれば勝てる」という自信を党内に植え付けた。
【4】ポスト小泉とその後の政局の先にあるのは来夏の参院選。選挙区七十三人、比例代表四十八人の計百二十一人が改選になるが、自公連立政権による過半数維持は難しいのではないか。
自民、公明両党が、比例代表と、三人以上の複数選挙区でそれぞれ候補者を出し、選挙協力が成り立ちにくいためだ。自民党議席は「四十四プラスマイナス三」、公明党は十三にとどまる見通しの一方で、民主党は全国十八の全複数選挙区を含め「五十四プラスマイナス三」取る力がある。これに社民党や国民新党が加わる。 二年前の改選期に自民党は民主党に負けた。このため、自公連立政権が参院で過半数を維持するには六十五議席は必要。だが、五十七議席ぐらいにとどまるのではないか。
【5】自公連立政権が過半数割れした場合、小沢氏は、小泉純一郎首相になびいたこれまでの民主党の代表と違い、徹底的に対決するだろう。国民新党の亀井静香代表代行も小沢氏に意気投合する。
野党が過半数を得て、参院ですべての法案を否決すれば、法案は衆院で審議し直す必要があり、時間切れにより大半の法律が成立せず、政権がもたなくなる。
【6】こうした事態を避けるため、自民党は来春の時点で、参院選で与党が過半数割れするとみれば、衆参同日選を仕掛ける可能性がある。
【7】来夏の参院選は、今後の日本の方向性をかけた自民党と民主党の天下分け目の戦いになる。
【8】安倍氏は、憲法を改正し、集団的自衛権の行使を認め、官邸主導、自由競争と自己責任という小泉改革の路線を継承し、日米同盟を基軸にする。
小沢氏は、平和を守り、格差を是正し、命を守る「共生」の考えを打ち出している。日本的「和」を重視し、助け合う日本社会の見直しを掲げる。
【9】小沢民主党が選挙を準備し、自民、公明両党と対等に勝負できる力を持ったとき、政権交代が可能になるかもしれない。日本の命運を掛けた事態がこれから一年間、展開される。
以上は、中国新聞社の記者による私の講演の要旨である。それをまた私が少し要約した。
実は、この要約は、実際の講演のほんの一部である(これは、当然。要約しなければ新聞に掲載できないからだ)。
ここで、一つだけ、削除された部分を、復活させたい。それは今年11月のアメリカの中間選挙と日本の政局との関係である。アメリカの中間選挙でブッシュ共和党が敗北する可能性は高い、大敗北すればブッシュ政権はレームダック化する。ブッシュ政権によって支えられてきた日本の現政権(自公連立政権）は弱体化せざるをえない。ブッシュ政権は小泉−安倍政権の親政権である。親が衰えたとき、子政権も衰える。安倍政権はアメリカから崩れ始めるということも十分に考えられるのである。
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C02868.HTML
森田実の時代を斬る：
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/TEST03.HTML
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