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六カ国協議の行方と安倍新総裁への不安(日々通信 いまを生きる 第224号)
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投稿者 gataro 日時 2006 年 9 月 23 日 16:08:34: KbIx4LOvH6Ccw
 

http://tizu.cocolog-nifty.com/heiwa/2006/09/224__5d5d.html から転載。

09/23/2006
第224号 六カ国協議の行方と安倍新総裁への不安

日々通信 いまを生きる 第224号 2006年9月23日
   発行者  伊豆利彦 
   ホームページ http://homepage2.nifty.com/tizu/ 

六カ国協議の行方と安倍新総裁への不安

村上博美(ワシントンDC在住)氏の「盧大統領訪米と北朝鮮」
(JMM [Japan Mail Media]No.393 Extra Edition3)
は、朝鮮問題の真相から遠ざけられている日本在住の私たちにとって貴重なものと思われた。村上氏は

村上氏は次のように述べている。
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>北朝鮮が望んでいるのは、根本的な米朝関係の改善である。米国が北朝鮮に対して敵対視を続ける限り、自衛のための抑止力としてミサイルや核を開発するのであり、北朝鮮はどこからも自国が攻撃されないと確信するまで核を放棄しないだろう。2年前ウラン濃縮プログラムの存在を自ら米国担当者に申告したが、それでも米国は北朝鮮の望む2国間直接交渉のテーブルにはつかなかった。やっと重い腰をあげた米国も6カ国協議や多国籍間という枠組みでしか北朝鮮問題には関与しないとの方針をとっている。このままでは、残り2年を残すブッシュ政権では直接交渉は実現せず、米国主導による北朝鮮問題の解決は程遠い。

>米国内の朝鮮半島問題専門家は直接交渉を行おうとしないブッシュ政権に批判的だ。しかもこれまで約束を反故にしてきたのは米国側であり、クリントン政権の1994年の枠組み合意を共和党の強硬派は「宥和だ」と断罪し、合意した内容の履行を遅らせあるいは放棄したと非難する。L.シーガル氏は北朝鮮が米国から攻撃されないと約束しそれを証明することは重要であり、必要なのは米国を交渉のテーブルにつかせ交渉を再開させることだという。
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クリントン時代には平和的解決の努力がつづけられ、<1994年の枠組み合意>に達したが、ブッシュ政権が成立して以来、<悪の枢軸>呼ばわりし、枠組みは破棄され、アメリカからの重油の供給も断たれた。アメリカは先制攻撃も辞せずと脅迫し、マカオ銀行の口座凍結などの経済制裁強化にふみきって、朝鮮の六カ国協議への出席拒否を招いた。その後も朝鮮がもとめる問題解決のための米朝直接交渉を拒否し、六カ国協議は中断したままだ。

なんとかして米朝直接交渉を実現するために、同盟関係を結ぶ韓国と日本が協力して米国を引っ張り出すべき時ではないかと専門家は説いている。早ければ早いほど北朝鮮の核開発やミサイル開発を止めることができるからだと村上氏は説く。日本も金融制裁にふみきったが、朝鮮の態度を変えさせるには、その逆に朝鮮との通常貿易を増やすことが必要なのだ。

<北朝鮮との友好もしくは不可侵条約を結べば敵から攻撃される脅威は減り北朝鮮はミサイルや核を開発する必要がなくなる。北朝鮮を世界経済の中に組み込み、北朝鮮の経済を向上させることで闇市場へのウランやプルトニウムの拡散も押さえられる。貿易通常化によって北朝鮮を地域的脅威から変換させることができると考えられている。>と村上氏は説いている。

朝鮮が望んでいるのは国家体制の存続と経済発展であり、そのための平和なのだ。日本では北朝鮮の脅威ということばかりが強調されるが、朝鮮が核兵器をふくむ強大な軍事力で脅迫しているアメリカや日本に対して感じている脅威はくらべものにならないだろう。

朝鮮はもちろん石油資源はなく、石油の供給を他国に依存しなければならない貧しい小国だ。そこに核開発に固執し、無理をして軍事力の強化につとめる理由もあると思う。過去の歴史は日本やアメリカに対する不信はを根強いものしている。南北間の対立抗争の歴史もつい最近までつづいたのだし、中国、ロシアとも対立しなければならなかった苦い歴史がある。孤立しては生きていけない国なのに、孤立を余儀なくされ、他国に対する不信を強めなければならないのが朝鮮なのだ。

この9月、キューバの首都ハバナで開かれた第14回非同盟首脳会議で金永南委員長は国際関係における二重基準に強く反対し、唯一の超大国アメリカの横暴をきびしく非難して、<核問題の正しい解決>について次のように演説した。
[朝鮮新報 2006.9.22]
http://www1.korea-np.co.jp/sinboj/j-2006/04/0604j0922-00002.htm

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>朝米間の核問題を正しく解決することは、全朝鮮半島を非核化し東北アジア地域で恒久的な平和と安定を実現するための焦眉の問題である。
>われわれは、米国の核攻撃威嚇によって国家の安定と利益が大きな危険にさらされている緊迫した状況下で、自衛のための抑止力としてやむをえず核保有を選択した。
 朝鮮民主主義人民共和国政府は、米国がわれわれを敵視せず朝米間に信頼が醸成され、米国の脅威をこれ以上感じなくなれば、一発の核兵器も必要なくなるだろうと何度も明らかにした。
>朝鮮政府は核問題を対話と交渉を通じて平和的に解決しようとの真しな立場から、6者会談が実質的に実を結ぶよう最善を尽くし、昨年9月19日の6者会談共同声明発表に当然の寄与をした。
>しかし、米国は6者会談共同声明における自らの公約を覆しわれわれに一方的な制裁を加えることで6者会談をこう着状態に陥れ、その展望を予測できない局面へと情勢を追い込んだ。
>こうした全ての状況を無視し、われわれに無条件で会談復帰を要求するのはどうやっても正当化できないし、われわれは米国の制裁帽を被っては決して会談に出ないだろう。
>朝米間の核問題は、米国がわれわれの自主権と選択を尊重し敵視政策を平和共存政策に変え、朝鮮半島とその周辺で全ての核兵器と核戦争の脅威を根本から清算した時にだけ最終的な解決がはかれる。
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 イラク戦争に行きづまったアメリカは、イランの核開発問題も、朝鮮問題も、結局、平和的解決の道を選ばないわけにはいかないだろう。米朝間の直接交渉もやがては開かれ、六カ国協議は再開されるだろう。日本も経済制裁だの軍事攻撃だのと、いたずらに強硬な態度をとってばかりはいられなくなる。いま、アメリカは一方で経済制裁や軍事攻撃で脅迫しながら、平和的解決を主張しているのだ。そのために、朝鮮に影響力を持つ中国に対する期待を強めている。中国の影響力は、中国が朝鮮に対して大きな援助をし、経済的な支えとなっているからだ。

金大中大統領(当時)の平壌訪問による南北会談は韓国・朝鮮間に新しい関係をきりひらいた。いま、韓国は日本のようにつよく北の脅威を感じていない。それは、北に対する経済援助を強化し、文化的、経済的交流を強めているからだ。南北の間には民族的一体感が生まれ、中国・ロシアも朝鮮の自立と平和的発展を支持している。こうして東アジアの国々の間に東アジア共同体の展望が開かれようとしている。

平壌宣言は日朝間の懸案を解決し、国交回復を実現して、東アジアの友好・連帯・統合に大きな役割を果たすはずだったが、アメリカの意向でそれが挫折した。このときの安倍晋三氏の役割は大きい。いま、自民党総裁となり、やがては内閣総理大臣になる安倍晋三氏が、これからの日朝関係、日中関係をどう発展させ、東アジア共同体の建設にどう寄与することができるか。

安倍氏が尊敬し、ことごとに持ち出す母方の祖父岸信介は1936年(昭和11年)満州国国務院実業部総務司長に就任し、関東軍参謀長東条英機や、日産コンツェルンの総帥鮎川義介など、軍部・財界に知己を得て、日本の満州支配に大きな役割を果たした。

1941年(昭和16年)10月に発足した東条内閣に商工大臣として入閣、戦時経済の元締となった。このためA級戦犯容疑者として巣鴨拘置所に収監されたが、冷戦の激化に伴い、アメリカの対日政策が大きく転換し、いわゆる逆コースによって戦犯不起訴となり、東条ら7名の処刑の翌日に釈放された。

その後内閣総理大臣になり、日米安保条約改定を実現した。1960年、連日デモ隊が国会を囲み、<岸を倒せ>の叫びが響きわたった。当時は子供たちまでデモごっこをして<岸を倒せ><岸を倒せ>と叫んでいたのである。このとき、安倍氏は6才だったという。この事件はさまざまな意味で安倍氏の心に強い印象を残しているにちがいない。

46年の歳月をへて、いま、あたらしく内閣総理大臣になろうとする安倍氏は、祖父の墓前に何を誓おうとするのか。戦後体制の要である憲法と教育基本法を改定し、戦後体制からの新しい出発を実現するというが、それはまさか戦前の<強い国><美しい国>の再現への出発ではあるまい。

アメリカは中国と強い協力関係を結んで平和的なアジアへの影響力を確保し、一方、日米軍事体制を再編強化し、日本の軍事力を強化して、アジアに対する軍事的影響力を強めようとしている。つまり、二頭の馬を巧みに御してアジアを支配しようとするのだ。

イラク戦争は中東全体の大動乱に発展するおそれがあり、アメリカの軍事力、経済力も底をつこうとしている。このため、忠実な同盟国日本に対する軍事的・経済的要求は限りなく拡大することになる。平和は利益と幸福、繁栄をもたらし、戦争は、被害と損失、破滅をもたらす。平和を担当する中国は世界的に影響力を拡大し、経済的な発展をとげるが、貧乏籤をひく日本は、やがて、窮乏と献血を強いられることになるのだろう。いま、アメリカの愛顧をありがたがっているのは、おめでたさの限りである。

それなら、日本も核武装して、アメリカや中国と対立し、60年前の雪辱を実現して、アジアの盟主となる道を選ぶか。安倍さんの云う<強い国><美しい国>とはどんな国なのか。言葉があって実態不明な美しい言葉は、国民に実態を知らせず、美しい言葉で欺いて死と破滅の道にひきずりこむ危険がある。

六カ国協議の行き詰まりを打開する努力がさまざまに行われている現在、平壌宣言を破壊した安倍氏が新内閣総理大臣になろうとしている。そのことに対する不安は限りなく大きい。しかし、<君子豹変>とい言葉がある。安倍氏ははたして大化けするだろうか。

村上博美氏は:ワシントンDCシンクタンク客員研究員
上智大学理工学部卒。経営学修士。国際関係論修士。ワシントンDCの戦略国際問題研究所、経済戦略研究所、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院講師を経て2006年より現職。

村上氏の発言は、私の「戦争と文学 いま多喜二を読む」にも引用させていただきました。
メルマガJMM272号「アメリカ神話の崩壊」

今年の台風は竜巻までともなって例年以上にひどかったようですが、それも過ぎて、いよいよ本格的な秋がくるのでしょう。
私もようやく元気を回復してきた思いです・
皆さん、秋の好季節をそれぞれに元気にお過ごし下さい。

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