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君主よりも民衆の方が尊いという考えで政治を。(東京新聞社説)国歌を優先し個人の権利や自由を軽くみる安倍に危惧
http://www.asyura2.com/0601/senkyo26/msg/933.html
投稿者 heart 日時 2006 年 9 月 24 日 08:35:11: QS3iy8SiOaheU
 

http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20060924/col_____sha_____001.shtmlより転載。

週のはじめに考える
多様な声に耳を澄ませ

 「闘う政治家」と威勢はよくとも、もちろん力ずくはいけません。一国の宰相となるならば、安倍晋三自民党総裁は、まず社会の多様な声に耳を澄ましては。

 三つの「正義論」を考えます。

 一本の竹笛があります。そして、A・B・Cの三人の男性がいます。さて、三人のうち、誰にこの笛を与えるのが正しいでしょうか。

 どんな基準でもって、その正しさは決められるのでしょう。

 一つの答えは、三人の中でいちばん笛を吹くのが上手な人に、笛を与えるのが正しい。そういう考え方があります。

■正義のものさしとは

 「最大多数の最大幸福」といわれる理屈です。いちばん上手なAさんが笛を吹けば、みんなが心地よく、幸せになれるというわけです。

 これは「功利主義」と呼ばれ、英国の哲学者・ベンサムやJ・S・ミルらによって、十九世紀に有力になりました。

 もう一つは、三人の中でいちばん貧しいBさんに笛を与えるべきだという答えです。最も不遇な人の暮らし向きの改善を目指す正義論です。一九七〇年代になって、米国の倫理学者・ロールズが唱えました。

 さらに別の答えは、誰が笛を作ったかを探ります。Cさんが自分の材料を用いて、正当な手続きに則(のっと)って笛を作ったのなら、Cさん個人の自由を尊ぶべきでしょう。ロールズと同時代を生きた米国の哲学者・ノージックが唱えた「自由至上主義」という思想です。

 一本の竹笛をめぐって、ものさしを変えるだけで、A、B、Cと笛を与える相手が変わります。正義の中身は多種多様でありうるのです。

 お互いに「正義の旗」を掲げ合って、血みどろの戦争を繰り返してきた人類史を思い起こしても、それはうなずけます。

 実はこの設問は、「厚生経済学への貢献」でノーベル経済学賞を受けた、インド生まれのアマーティア・セン氏が考えたものです。セン氏の思想なら、竹笛を持つことが、その人の人生をどれほど豊かにするかを判断基準にするでしょう。

 もっとたとえ話を広げていけば、単純に「くじ引き」で持ち主を決める方法もあるでしょう。機会均等という考え方です。

 「力は正義なり」という考え方をとれば、三人の中で、力ずくで笛を奪い取った者こそ、正しい所有者だということになるでしょう。

 そもそも設問自体が、笛を吹くのを男性に限っていて、女性を排除しているのが問題だ、という主張もあるでしょう。要するに、正義の考え方は“百家争鳴”といえます。

■「タカ派」は祖父譲り?

 安倍総裁は祖父譲りの憲法改正論者であり、教育基本法改正にも強い熱意を燃やしています。「タカ派」と呼ばれています。

 その著書を読むと、自らをことさら「闘う政治家」と強調し、中国古典「孟子」を引用します。

 《自ら反(かえり)みて縮(なお)くんば、千万人といえども吾(われ)ゆかん》

 信念を抱けば、どんな反対があっても断固としてやり抜くという意思表示なのでしょう。「わたしの郷土である長州が生んだ俊才、吉田松陰先生が好んで使った」言葉だ、とも紹介されています。

 しかし、憲法にしろ、教育基本法にしろ、半世紀もの歳月を積み重ねてなお、国民の意見が二分する重要問題です。そんなに簡単に答えを出されてはたまりません。

 これまでの議論を棚上げする性急さは、見逃すことができません。

 孟子は人間の本性が善なるものという「性善説」を唱えた人です。この言葉で大事なのは、「自ら反みて」の部分で、本当に自分の考えが正しいと言い切れるか、十分に検証されねばならないのです。

 つまり政治は、まず世の中の多様な価値観に耳を傾けてから、考え、行うべきではないでしょうか。

 孟子は「王道論」も唱えました。

 《民を貴しと為(な)し、(中略)君を軽しと為す》

 君主よりも、貴い存在が民衆であるという考えで、いわばデモクラシーに通ずるものがあります。

 《人に忍びざるの政(まつりごと)を以(もっ)てしたれば、仁は天下を覆えり》

 「人に忍びざるの政」とは、要するに惻隠(そくいん)の情が流れる「仁愛の政治」のことです。

 孟子はそれこそ、王道なのだと説いているのでしょう。「仁者は敵なし」の言葉も出てきます。慈しみが大切なのです。

■小手先の慈しみでは

 でも、安倍総裁のスタンスには、「国家」を優先して、個人の権利や自由をその分、軽くみる国家主義が見え隠れするのが気になります。

 誰にもカーブの先は見えません。困難な時代だけに、多様な正義論について考えることをお勧めします。

 「孟子」には有名な「五十歩百歩」の言葉もあります。慈しみまで小手先なら歴代首相と「五十歩百歩」と言われてしまうでしょう。

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