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正当防衛に係る警察緊急権は、被害者の人権を第一義と考え、躊躇する事なく決然と発動する必要があると言うこと。
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投稿者 PCOG 日時 2006 年 9 月 20 日 17:46:21: QQblZfjbsVI.6
 

提言6
正当防衛に係る警察緊急権は、被害者の人権を第一義と考え、躊躇する事なく決然と発動する必要があると言うこと。

冒頭に、正当防衛・緊急避難に係る法文・法律要件等を参考までに記載する。

刑法上の正当防衛
刑法36条
1.急迫不正の侵害に対し、自己又は他人の権利を防衛する為め止むことを得ざるに出でたる行為は之を罰せず。
2.防衛の程度を超えたる行為は情状に因りその刑を減軽又は免除することを得。
ここに「権利」とは、ひろく法律上保護された利益、即ち法益を意味する。侵害者が有責である事を必要としない。責任能力のない者の行為であっても、それが違法なものである限り、正当防衛がみとめられる。防衛行為は、侵害者に対するものに限られる。「止むことを得ざるに出でた」とは、相当性を意味する。緊急避難の場合に要求される「補充の原則」や「法益均衡の原則」を充足している必要はない。正当防衛は違法性阻却事由とされる。例えば野菜泥棒を打ち殺すような行為は、相当性を充足していないので、過剰防衛となり、違法性は阻却されないが、情状によってその刑を減刑又は免除することが出来る。

刑法上の緊急避難
刑法37条
1.自己又は他人の生命、身体、自由、若くは財産に対する現在の危難を避くる為め止むことを得ざるに出でたる行為は、その行為より生じたる害其の避けんとしたる害の程度を超えざる場合に限り之を罰せず。但しその程度を超えたる行為は情状によりその刑を減軽又は免除することを得。
2.前項の規定は業務上特別の義務ある者には之を適用せず。
ここに、法益の列挙は制限的な列挙ではなく、貞操や名誉についても類推し得る。危難を生じた原因は、自然の事実でも、人の行為でもよい。止むことを得ざるに出でたとは、他にとるべき方法がないことをいう。つまり「補充の原則」を充足している事が必要である。更に、避けようとした害の程度を超えない事、つまり「法益均衡の原則」を充足している事が必要である。例えば、自動車に轢かれるのを避けようとして、他人を突き飛ばして怪我をさせたような場合である。緊急避難は違法性阻却事由とされる。

民法上の正当防衛
民法720条1項
他人の不法行為に対し自己又は第三者の権利を防衛する為め、止むことを得ずして加害行為をなしたる者は損害賠償の責に任ぜず。但し被害者より不法行為を為したる者に対する損害賠償の請求を妨げず。
ここに、他人の違法な加害行為があることが法律要件であるが、行為者の故意、過失や責任能力は必要でない。自己又は第三者の権利とは、法律上保護すべき権利つまり法益と解される。例えば、強盗から逃げるため隣の垣根を壊す場合等、第三者に対して加害行為を加える場合も正当防衛となる点が、刑法の正当防衛と異なる。正当防衛は違法性阻却事由とされ、不法行為とならないので損害賠償義務はない。

民法上の緊急避難
民法720条2項
前項の規定は、他人の物より生じたる急迫の危難を避くる為め其の物を毀損したる場合に之を準用する。
ここに、法律要件としては、第一に、例えば隣家の犬が噛み付く場合等、他人の物から生ずる危難のあること、第二に、急迫の危難を避けるために止むを得ず行なったこと。第三に、その物を毀損したこと、前例で犬を殴り殺すのがこれに当たり、隣家の垣根を壊す場合は含まれない。緊急避難は違法性阻却事由とされ、不法行為とならないので損害賠償義務はない。

国際法上の緊急避難
国際法上の国家の基本的権利の一つ。自国又は自国民に対する急迫した侵害を避けるため、止むを得ず行なう防衛の権利。他国の「不正な」侵害に対するものでない点が、自衛権と異なる。その侵害は、主として自然現象又は第三国(防衛行為の向けられる国以外の国)からくる。緊急避難に必要な限りにおいて他国の権利を侵害しても、違法性は阻却されるが、損害を与えた時は、賠償しなければならない。防衛行為の原因となった「急迫した侵害」について、その国は責任を負ういわれがないからである。

さて、今般発生したバスジャック事件に仮託して、首題の件について論述する。2000年5月3日、17歳の少年によるバスジャック事件が発生した。凶悪な事件は発生から15時間半経過後ようやく犯人を現行犯逮捕する事で解決した。そしてその結果、死者1人・重軽傷者5人の犠牲者を出すに至った。テレビニュースはこの間「犯人は警察の長時間に渡る説得にも全く応ぜず、子供の首に刃物を突きつけて脅迫している」と生々しく報道していた。

この状況は、正に刑法上の正当防衛の法律要件を充分に充たしており、且つ警察官職務執行法第7条(武器の使用)の要件も充分に充足しているので、死傷者が出る以前に、止むを得ない場合は犯人を射殺するべきであったと思料される。犯人は少年一人の単独正犯である事が判明した時点で、もっと早期に「射殺する等」の方策を執っておれば死亡者を出す事もなく被害を最小限度に止める事が出来た事案であった。

法治国家にあっては、急迫不正な侵害行為を行なっている犯人の人権よりも、理由も無く生命の危険にさらされている善良な国民の人権が尊重されるべきである事は、条理上当然の事である。今日の警察の一連の不祥事は、厳しく弾劾されるべきであるが、正当な職務の執行に際しては、萎縮する事無く、警察緊急権を発動するべきである。それでは、この事案の場合上述の法文を基に、具体的に法的な理論構成を論述する。

先ず、警察官が犯人を射殺した場合又は犯人を負傷させた場合。
1.刑法上は、正当防衛が成立するので、違法性が阻却される。
2.民法上は、正当防衛が成立するので、損害賠償義務はない。

次に、不幸にして、発射した弾が乗客に当たり最悪の場合、乗客が死亡若しくは負傷した場合。並びに、発射した弾が車体に当たり車体を損壊した場合や、救出のため、車の出入り口や窓ガラスを損壊した場合。
1.刑法上は、緊急避難が成立するので、違法性が阻却される。
2.民法上は、正当防衛が成立するので、損害賠償義務はない。被害者や西鉄は犯人側に対して、求償権を行使する事になる。

以上は、バスの乗客が犯人に対して反撃を加えた場合も、全く同様に当てはまる。警察の対応の腑甲斐無さと、女性や子供を置き去りにしてバスから逃げ出した男性乗客の腑甲斐無さには慨嘆の他は無い。

現場に到着した犯人の両親も命懸けで、場合によっては犯人である息子を我が手で殺す覚悟で、説得するべきであった。そうする事が息子に対する真の愛情である。説得を途中で諦める等の行為は、親権行使義務を放棄した事になる。「この親にしてこの子あり」と言わざるを得ない。次世代を担う子供の教育には、深い愛情と命懸けの情熱が必要である事は論を俟たない。

それにしても、このような規範意識の欠如した若者が育成された今日の社会の在り方について、日本国民は深く反省する必要がある。家庭も含めて社会全体の子供に対する教育力の低下がその原因である。利己的・享楽的・刹那的・拝金的な「大人社会自体の精神の荒廃」が原因である。それは、大人社会が精神的な心の支柱を失った事に起因する。換言すると、「提言1」で詳しく論述しているように、日本国民の遵法精神の欠如が原因である。如かして、遵法精神の欠如をもたらした原因は国の最高規範である憲法が無視されている事に起因する。憲法を無視する事は、即ち法治国家の崩壊を意味する。(提言1参照)

更に、新世紀早々2001年1月、検察官の不祥事が新聞に報道された。即ち、福岡県西福岡警察署が、福岡市の主婦の脅迫罪被疑事件に係る逮捕状請求に関して、事前に福岡地検側と立件について協議した際、担当検事から報告を受けた、福岡地検の次席検事が、たまたま、被疑者である主婦の夫が福岡高裁判事であったため、夫である福岡高裁判事に捜査情報を漏らしたとの新聞報道がなされた。

捜査情報を漏らすとは、わかり易く言えば、「逮捕に際しては必ずガサ入れ(捜索・差し押さえ)がおこなわれるから事前に証拠隠滅を忘れないように」と連絡した事を意味する。法の厳正な執行者たる検察官の幹部が、刑法104条(証拠湮滅罪)の教唆犯に該当するが如き行為をする事は、遵法精神欠如の悪習が、法の番人である検察・司法の分野にまで蔓延した事の証左とも見ることが出来る。誠に嘆かわしい限りである。

ここに、「検察官同一体の原則(検察官の職務遂行上の原則)の建前から見て、福岡地検の次席検事の意思表示は、個人の意思表示でない事は明白である。つまり、地検・高検・最高検をも含む検察庁の意思表示に他ならない。

判事の妻が、夫(判事)の指示により、証拠能力の有る物的証拠(プリペイド式携帯電話機)を廃棄するであろう事は、条理上充分に推定出来る事である。今日の刑事裁判は証拠裁判主義(刑訴法317条)に基づいて行われるので、警察の捜査に重大な支障をもたらす結果となった。

なお、旧刑事訴訟法上は、警察は検察官の指揮を受けて捜査を行うように、規定されていたが、現行法上は、明確に犯罪捜査に付いて第一の責任者は警察官である旨明記されており、警察の独立捜査権が明文化されている。(警察法2条・刑事訴訟法189条・191条・検察庁法6条)

新聞に報道されているような、「検察官が、みだりに警察の捜査に容喙するが如き行為」は、警察の独立捜査権を侵害するものであり、遵法精神を欠いた専横行為であり、厳に慎むべき行為である。

ここに、実定法は道徳の理念によって規定され且つ道徳と結合したものであるから、実定法の頂点に位置づけられている憲法を無視するという事は、取りも直さず、法治国家の崩壊のみならず、日本国民が精神的な心の支柱の一つをを失うことを意味する。芯の無い箍の緩んだ社会が醸成される事になる。更に、法の空白は無秩序を招来することになる。憲法を守らない親・教師・社会が、子供に社会の規範を守れと言っても通用しない事は当然の理である。遵法精神の欠如した社会では、如何に少年法を改正しても、形骸化して実効は期待出来ない。

日本国民は、今日の社会が憲法が無視された違憲状況下に置かれているという現実に対して覚醒すると同時に、違憲状態の是正に努める事により法治国家の基盤を固め、以って、子供に生きる喜び・勉学の喜び・勤労の喜び・人生の目標(夢)を与えることが出来るような「健全な規範意識・道徳に支えられた社会」の建設を目指して奮起せざるべからず。

http://www12.bb-west.ne.jp/matuoka

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