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『カトリック教会と奴隷貿易―現代資本主義の興隆に関連して』(西山 俊彦 著)[戦争71からのコピー]
http://www.asyura2.com/0601/war77/msg/120.html
投稿者 Wotan 日時 2005 年 12 月 27 日 11:58:19: AUfjWBSd5iP8w
 

先日、トラブルで戦争71に投稿されてしまったものを再投稿しておきます。

すでにどなたかが投稿されているかもしれませんが、本の紹介です。私は未読ですが、これから読もうと思っています。
http://peace-appeal.fr.peter.t.nishiyama.catholic.ne.jp/2005_doreiboueki.htm
PDF
http://peace-appeal.fr.peter.t.nishiyama.catholic.ne.jp/catholic_church_and_the_slave-trade_20050914.pdf

http://www.janjan.jp/culture/0510/0510023239/1.php

カトリック司祭であり、バチカン、アメリカ、京都で、若き日、長い学究生活を送った国際政治学者である西山俊彦神父は、2001年のダーバンでの「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する(国連)世界会議」を本書『カトリック教会と奴隷貿易 ―現代資本主義の興隆に関連して― 』(サンパウロ社)のテーマとして念頭におく。
 皮肉なことに、カトリック作家三浦朱門も旗振りの一人になった「作る会」の歴史教科書も批判した同国際会議は、奴隷制と奴隷貿易を、「人道に対する罪であり、会議全体が心より遺憾の意を表明する」との表現で最終宣言文書を盛り込んだが、著者も、21世紀のアフリカの絶対的貧困の起源に容赦なくメスを入れ、歴史の闇の過去から現在に戻る手法を駆使。17世紀以降の西洋近代の重商主義とこれに続く資本主義の勃興を推進させた産業革命が、アフリカと中南米の奴隷制度を前提にしたことを実証する。
 が、著者の問題意識の矛先は、奴隷制度のメカニズムの史的分析に留まらない。カトリック教会の刷新を希求する著者は、『カトリック教会の戦争責任』(サンパウロ社)で、戦前、天皇制に屈したカトリック教会が転んだ姿を怜悧にえぐったが、今回は、研究対象を欧州の教会が植民地政策に加担した罪過に絞る。

 その上で、1992年、前ローマ教皇ヨハネ・パウロ二世が、奴隷売買の拠点だったセネガル沖のゴレ島を訪問し、幾多の黒人奴隷を「新大陸」に連れ去った欧州人の極悪行為に「遺憾の意」を表したことさえ、キリストの代理人としては完全なる誠実さの証しになりえなかったのではないかと著者は苦悩する。理由はほかでもない。今日のアフリカの惨状は、名目的なカトリック信徒の罪過が招いた結果ではなく、当時の聖俗の支配権を持っていた教皇アレキサンドル6世らが、神学的に奴隷制度を正当化し、容認したからである。

 一説によれば奴隷売買の犠牲者総数1億人以上。西山神父は、アフリカ各地を現地踏査をした結果、アウシュビッツ以上の数のアフリカ人を葬り去った奴隷制の犠牲者の霊を一人弔い、アフリカの貧者が身を置く正義なき政治経済社会構造を分析し、定量化し、解析。当時の教皇アレキサンドル6世が「贈与大勅書」を発行して、奴隷制度を容認した事実を読者に提示し、教皇庁がまだ歴代の教皇の過ちを是正していないことを論証する。

 本書の構成を列挙してみよう。
 第1部 カトリック教会は奴隷貿易に深くかかわってきたのではないか
 第2部 新大陸の実態とカトリック教会の関与(1)
 第3部 新大陸の実態とカトリック教会の関与(2)
 第4部 プランテーション生産と産業革命、そして、それに続く先進諸国の隆盛(と途上諸国の衰退)
 第5部 奴隷貿易正当化の理論と実態 「人皆神の子」を語って止まなかったキリスト教がなぜ
 第6部 「見捨てられた大陸」の現状
 第7部 カトリック教会によるSSA諸国の現状認識と奴隷貿易についての対応

 この1冊は第6章と第7章から読めば、エイズが蔓延し、先進国からの返済不能な天文学的な借金にあえぐアフリカの民の苦しみを単なる憐憫の対象とすることができなくなる。

 21世紀の今、グローバリズムという名の妖怪が、南半球の民を日々圧殺しているが、昨日今日から始まった悲劇ではない。英国聖公会などのアフリカの地で宣教した欧米のプロテスタント教会と同様に、カトリック教会が、奴隷制と植民地主義を容認した布教に始まった罪過であり、過去の宗教指導者の決断が、現在のアフリカの民の絶望の起源であることが一目瞭然になる。

 キリストの名によって大量殺戮を唱えるキリスト教原理主義者ブッシュと、A級戦犯に責任を被せ、戦後60年、のうのうと、アジア・太平洋戦争をめぐる自身の戦後責任を免責してきた日本の「進歩的文化人」とその末裔にも読ませたい一冊である。

 「カトリック教会の戦争責任」の解説

 上の本は戦後日本文学の最高傑作の一つである遠藤周作の「沈黙」がどのような戦時体験から生まれたかを知る上でも超重要。

 戦前、遠藤は慶応予科に入学する前に1学期だけ、上智の予科に在籍。信濃町にあった学生寮で刑事に「神と天皇陛下のどちらがえらいか」と尋問された経験があると、晩年の作品「死海のほとり」のなかで書いているが、そのとき、転んだキチジローのように、若き日の遠藤も、裕仁という名の踏み絵を踏んで、靖国参拝を正当化したという箇所がある。遠藤が生きた小説「沈黙」の時代背景を歴史学の観点から精緻に分析したのが本書。


・西山神父のサイト
・西山神父が活動する「正義と平和協議会」のサイト
 非人間的な扱いを受ける全世界の声なき声を聴き、正義と公平に根ざす平和を実現する目的で、1967年、教皇パウロ六世が、ローマに設立し、今や、全世界に支部を置く。

(イ・ユン)

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