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シーア派廟爆破事件の背景にあるもの〜誰が内戦を望んでいるか?【JANJAN 成澤宗男の世界を読む】
http://www.asyura2.com/0601/war78/msg/714.html
投稿者 どさんこ 日時 2006 年 2 月 28 日 16:50:04: yhLXMcSQdrkJ2
 

http://www.janjan.jp/column/0602/0602259856/1.php

シーア派廟爆破事件の背景にあるもの〜誰が内戦を望んでいるか  2006/02/28

 古今東西を問わず、勃発した原因・因果関係がはっきしない大事件の仕掛け人(あるいは犯人)を特定する際の定石は、「誰がそれによって得をしたのか」という観点から考えてみるということだろう。

 2月22日のイラク中部・サマラにおけるシーア派聖地「アリ・アルハディ廟」の黄金のドーム爆破事件は、その後スンニ派との間に襲撃の応酬を引き起こし、内戦を思わせる状況に至っている。
 これについて主要メディアはそれなりにスペースは割いてはいるが、「宗派間の対立が激化」といった表面的な報道の域を出ていないようだ。
 だが、「誰がそれによって得をしたのか」を念頭に事態を追っていくと、単に自然発生的に憎悪が燃えさかって生じたかのような問題では決してない事実が浮かび上がってくる。


 そもそも、この廟で爆発前に何があったのか。現場の様子を伝えるレポート("Pentagon-Controlled Iraqi National Guard Implicated in Samarra Mosque Bombing"http://www.propagandamatrix.com/articles/february2006/240206Samarra.htm)によれば、「イラク国家警備隊の異常な活動」が周辺住民に目撃されている。
 つまり「同警備隊員4人が2人の廟の番人に目隠しをし、爆発物を仕掛けた」という。さらに付近はその際、「イラク国家警備隊と米軍の合同部隊によってパトロールされていた」とされる。

 この「イラク国家警備隊」は、本来イラク政府軍の一部隊だが、現在は治安部隊の精鋭集団として活動している。
 新兵は米軍の装備で武装され、3週間の訓練を終えると米軍と共に行動して実地演習に入る。いわば米軍直轄の部隊だが、それがなぜこの爆破事件と結びつくのか。

 ブッシュ米大統領は一連の事態について、「宗教対立の回避を訴えている」(共同)というが、例によって例のごとくの米国外交の二枚舌と思えてならない。
 なぜならば米国こそ、イラクの「分割統治」に向け、国内の対立を煽ってきたのは間違いのない事実だからだ。
そもそも開戦前に国防総省とそこを支配していたネオコンは、イラクを北部のクルド人居住区と西部のスンニ派地区、そして南部を中心としたシーア派地区の3分割を模索してきたのは公然たる事実である。


 「ブッシュ政権は、その部分撤退に向けた戦略として、内戦の激化を図っているようだ。そのゴールは、国内南北の豊富な石油地帯を確保しながら部分撤退を可能にするためイラク一つの国家からミニ国家に壊してしまうことにある。
……そのためにシーア派民兵を使って襲撃を繰り返させたりして宗派間の怒りをもたらして暴動を起こさせ、内戦状態を勃発させたのだ」
(参考:"Civil War In Iraq, Made In the USA"
http://www.informationclearinghouse.info/article9685.htm

 植民地主義者は歴史的に一国を侵略して支配する場合、全体が一体となった抵抗運動ができなくさせるため、必ず内部のいさかいを人為的に煽ってバラバラにし、力を削ごうと試みる。
今回の爆破事件もその一環である疑いが強いのは、イラク国家警備隊の動きからだけ推測されるのではない。
 緊張が全土に一挙に高まりながらも翌23日、両派の住民が混在するバグダッドの全地区と主要通りの検問所からなぜか米軍が引き上げ、いつものパトロールもやめて基地に引き上げてしまった。
("US troops leave streets in control of Badr Brigades and al-Mahdi militias"http://english.aljazeera.net/NR/exeres/82CD9897-FE43-48AD-9484-954CC16FB1E8.htm
そのため、その日からシーア派民兵によるスンニ派住民への襲撃が伝えられており、米軍の動きは「好きにやれ」と言わんばかりだった。


 またほとんど報道されていないが、以前から目立つ「アルカイダ」とか「ザルカウイ」を名乗ってのシーア派地区の爆破事件が、言われているようにそうした「スンニ派原理主義」の「テロリスト」の手によるものなのか――という疑問は、イラク国民には根強い。
スンニ派にとっては自派が多数を占める居住区に石油資源は無い以上、国土分割には最も抵抗感を示し、ここでシーア派を挑発して骨肉の争いをしても得る物は何もないのを十分に承知しているからだ。

 事実昨年9月19日、南部のバスラで、なぜかアラビア風の衣装を身にまとってアラブ系になりすました英国軍最精鋭の特殊部隊SASの隊員二人が地元警察によって逮捕されたが、乗車していた車両から銃器と共に爆破用の火薬が押収されている。
しかも現地に駐留する英軍は地元の行政機関に一切の通告もないまま2人が拘束されていた刑務所にいきなり戦車を突入させて連れ去るという、前代未聞の異様な慌て方をした。

 これについてはイラクの国会議員などから「商店街があるバスラの中心地を爆破しようとしたのではないか」という「秘密作戦」説が指摘されているほか、「スンニ派武装勢力を偽装した挑発工作要員を使ってイラクを内戦状態にしようとする占領軍の任務を示す初めての真の証拠だ」
("British Uncover Operation in Basra: Agents Provocateurs?"
http://globalresearch.ca/index.php?context=viewArticle&code=BOW20050923&articleId=990)という見方もある。

 いずれにせよ今回の爆破事件が引き起こした宗派抗争は、イラクの内戦化−−「分割統治」という図式を抱くブッシュ政権にとって客観的にプラスであれこそすれ、マイナスでは決してない。
撤退の拒否あるいはなし崩し的延長を狙う上での口実にも使えるはずだ。

 だがこの激しい憎しみの連鎖をどれだけ遠ざけるかはイラク国民の英知にかかっているが、私たちはこれが宗教的宿命であるかのような報道に惑わされないようにしたい。
今日の事態を本心では歓迎している勢力こそ、この戦争に手をかけた勢力でもあるという冷厳な事実をまず見据えるべきではないのか。

(成澤宗男)

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