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ムクタダばんざーい・・・(バグダードバーニング)
http://www.asyura2.com/0601/war80/msg/1155.html
投稿者 gataro 日時 2006 年 6 月 05 日 22:02:36: KbIx4LOvH6Ccw
 

http://www.geocities.jp/riverbendblog/0605.html から転載。

Baghdad Burning
バグダードバーニング by リバーベンド


... I'll meet you 'round the bend my friend, where hearts can heal and souls can mend...

友よ、私の心が失われあなたさえ見分けることができなくなったら、どうか私を偉大な文明をはぐくんだ、チグリス・ユーフラテスの胸元に連れて行って欲しい。そこで私は心を癒し、魂を再生させるでしょう。


2006年5月31日水曜日

ムクタダばんざーい・・・

イラクをよそに世界はワールドカップに向けた準備をしている。わたしのところにも、応援するチームの旗やバナーを持った人々の写真がe-メールで送られてきている。そう、わたしたちにも旗やバナーがあるわ−バグダード中に、死とお通夜を告げる穴のたくさんあいた黒い横断幕。通常、旗は全て単色で、宗派か党派をあらわす黒、緑、赤、黄色などが使われている。

ある旗のことで、カラダ地区に店を持っている友人に、先週ちょっとした問題があった。戦争前、カラダはバグダードで一番の商業地域のひとつだった。靴、じゃがいもの皮むき器、ピンクのマニキュア、それにブランクCDを1ダースなど、種々雑多な品物の買い物リストを持って行く場所だった。そこでは1時間以内に必要なものすべてを確実に見つけることができた。

戦後すぐ、SCIRI、ダーワ党、それに他の宗教党派が、その地域に事務所を開いた。かつて色とりどりの服や、化粧して着飾った女性のポスターで飾られていた店は、どんどん控えめになっていくようになった。すぐに、ディオール香水の宣伝のチャーミングな女性の写真の代わりに、黒衣に包まれた半分死人のように見えるシスターニーの写真、でなければ、ディオールとはほど遠い匂いにちがいない暗くてぞっとするサドルの写真が店に掲げられるようになった。

その友人は小さな化粧品の店を持っていて、口紅からヒジャーブまで何でも揃えている。彼のアパートは店の右上にあるので、居間の窓から見下ろせば、誰が店の前に立っているかわかる。Gは化粧品ではなく裁縫材料の店を経営していた父親から店を引き継いだ。彼の家族は20年近く店を経営していて、戦争の前は彼の妻と姉妹が店をきりまわしていた。彼女たちは化粧品の歴史において、最高の商売上手だったってことを請合うわ(わたしが4年前買った派手なスカーフを衣装ダンスから一度も取り出したことがないってことが、その証拠よ)。戦争の後、脅しの手紙を送りつけられたり、窓を壊されたりしたことから、G自身が店を経営するようになり、彼は化粧品に加えてアバヤやヒジャーブなど、ほどほどに地味な商品をどっさり持ち込んだ。

最後にわたしが彼の店を訪れたのは2週間前だった。1月からというもの、その店は一部の人たちのちょっとしたサッカーの催しの中心になっている。彼はサッカーに熱中するあまり、Eやいとこやその他さまざまな友人たちが、プレイステーションのFIFAトーナメントをやれるように、2時間も早く店を閉めるまでになった。こうしたトーナメントでは、たいてい、大のおとなたちが画面を囲み、デジタルボールの周りを走り回る小さなデジタル人間を操り、叫び声をあげてお互いに激励したり侮辱したりするのだ。その時間帯に、もし何かを買うために店の中を見て歩こうものなら、放り出されるか、「持ってけ、持ってけ。何でも持って早く失せろ!」って言われるのがおちよ。ワールドカップの年になると、Gと彼の妻は、一人息子の名前をその年の最優秀サッカー選手のものに変える変えないで、冗談半分にけんかしている(妥協案として、家族と友人たちは彼の14歳になる息子を、ゲーム期間内だけ“ロナウジーニョ”と呼ぶことで合意した)。

15年ちかくカナダに住んでいるGのいとこが、最近店のウィンドウにかけるのにぴったりの、大きくカラフルなブラジルの旗をGに送ってきた。Gはそれをおもての真ん中に下げて、下に大きい太字で「ブラジル万歳!!」とペイントしようと思っていると話した。旗に合わせて展示の色を緑や黄色に変えるんだと意気込んで説明するGを見て、Eは心配そうだった。

話は問題の起こる丸2日前にさかのぼる。最初の兆しは隣人のアブー・ラッスールからもたらされた。彼は店に立ち寄ってこう言った。なんでも、黒いターバンの若い聖職者が店の前を通り過ぎたのだけれど、ウィンドウの旗に注意をひかれて足が止まったのだそうだ。彼はしばし旗を見つめていたが、やがて店名と場所をメモして戻っていったということだった。Gは「なに、多分彼もブラジルのファンなのさ...」と肩をすくめただけだった。アブー・ラッスールは「むしろ‘サドル万歳’といったタイプに見えたがなあ...」と首をかしげていた。

次の日の午後、Gのところに若い黒装束の聖職者が訪問してきた。彼は店に入るとそっけなくあたりを見回した。Gはしきりに素敵なヒジャーブやアバヤで彼の興味をひこうとしたが、聖職者は自分の本分に忠実だった。いくつか通りを隔てたところにあるサドル報道局の「代理人」であると彼は名乗り、Gへの伝言をことづかっていた。くだんの事務所の人々がGの展示を喜ばしく思っていないというのだ。つまり、国に対する誇りがどこにあるのか?いったい宗教の自覚があるのか?異教徒である選手の顔写真ではなく、初代サドルの写真−あるいはムクタダの方がもっと良いが−を掲げるべきだろう。なぜ外国の旗なんぞを低俗にもショーウィンドウに貼り付けるのだ?旗が必要と思うのならば、イラクの旗を掲げればいいだろう。飾ってあるような緑の旗が要るのならば「アル=イル・バイト」という民衆のための緑の旗があるだろう。他に選択の余地などないはずだ。

Gはとても不愉快だった。彼はその聖職者に「解決策」を見つけておくと言って、安ものの男性用スリッパ何足かと、時々安売りする綿のシャツをご機嫌取りに差し出した。その夜、彼は親戚や友人たちに相談した。ほとんどみんな旗を降ろすよう助言したが、彼は主義の問題として、降ろさないと言い張った。彼の妻はゲームが終わるまでの間、彼が楽しめるように、旗をカーテンかベッドのシーツにすることすら申し出たが、彼は聞く耳を持たなかった。

二日後、かなり芝居がかった警告の手紙がおもての大きなアルミドアの下に差し入れてあるのを見つけた。簡単に言うと、彼や彼のようなものたちは「異教徒」であると断定し、旗を降ろすよう命じる。応じなければ身の安全を保証しないというものだった。Gみたいな男は並大抵のことでは動じないのだけれど、その日のうちに彼は旗を降ろし普段の展示にもどした。

結局のところ、ムクタダはサッカーに対するファトワ[訳注:法学者による、一般信徒からの質問に対しての法学的な回答]を出した。私はそれをダウンロードしたけど、以下はその翻訳。誰かが彼にサッカーとワールドカップについて、ファトワを求めた回答だ。

「実に、この話題についてのわたしの父の見解は完全なものであった...父だけでなく、シャリーア[訳注:イスラーム法]も、信者がいつも礼拝をし、礼拝に専念するためには、心身が支配されてしまうようなこのような活動を禁じている。親愛なる者たちよ、西洋は自分自身を満たす(完全にする)ことを阻害するものを作り出した。彼らは我々に何をさせようというのか?ボールの後を追いかけるだと?親愛なる者たちよ...、それに何の意味があるのか?大の男が、ムスリムが、ボールの後を追いかけるのか?親愛なる者たちよ、この「ゴール」と呼ばれているもの...もし走りたいならば、高貴なゴールに向かって走りなさい。あなたの品位を落とすようなそれではなく、あなたを完成させる高貴なゴールに向かうのだ。ゴールをあなたの心に抱いてそれに向かって走りなさい。そして神のご満悦を得るというゴールに向かって、全ての人々はそれぞれの道に従いなさい。これがひとつ、そしてふたつめにもっと大切なこと。我々は西洋、特にイスラエル、親愛なる者たちよ、ユダヤ人たちがサッカーをするのを見たことがあるか?アラブ人がしているように彼らがゲームをするのを見たか?彼らはサッカーやほかのことに我々をかかりきりにさせ、自分たちはそれから離れている。イスラエルチーム(彼らに呪いあれ)がワールドカップに出たなどということを聞いたことがあるか?あるいはアメリカは?ほかのものにゲームをさせておくのだ...彼らはそれらを使って我々を占領してきた−歌やサッカーや煙草、そんなものでだ。衛星放送を冒涜的な事柄のために使って、その一方で彼ら自身は科学によって占領されている。親愛なる者たちよ、彼らが我々より優れているとでも思うのか?−いや、我々のほうが彼らより優れている。」

重要な注釈:イスラームのシャリーアはサッカーやスポーツを禁止していない。−ムクタダの暗愚でちっぽけな頭版シャリーアで禁止されているだけ。いったいテニスや水泳やヨーガについてはどう思っているのかしら。

わたしはサッカーについての彼の感情的なファトワを聞いて、笑うべきか泣くべきかわからなかった。ムクタダによれば、外国の占領と操り人形政権の一部を担う−そういうことはOK。でもサッカーは、おわかりのように、文明の終わりってことになる。彼を見るとブッシュを思い起こしてしまうのは可笑しいわ。彼らはお互いちっとも似てないのに。彼はふたつの文章をまともに繋ぐことすらできないっていうのに、何百万もの人々が彼の言葉を法律として受けとっている。まさにブッシュが「自由に選ばれた」「新生(雛鳥)イラク政権」の発足を褒めちぎる時、ムクタダを見てみれば、雛鳥の一羽だってことがわかる。彼は目下彼の信奉者にとって、この雛鳥政権の国で最も力を持つ者のひとりよ。

そんなことで、これが民主主義。これがブッシュの民主的イラクの偉人のひとりってわけ。

サドルの私兵集団は、現在イラクの一部を支配している。ちょうど2日前にバドル旅団に手伝ってもらって、彼らは、カルバラの南方にある町の市場に女性を入れないようにしていた。店主たちは、女性が市場に入るのを許されないんじゃ商売があがったりだと不平をこぼしていた。新生イラクへようこそ。

わたしたちがどんな風に変わってしまったのかを見るのは、おぞましさに笑えるが、心がかきむしられることでもある。ムクタダ・アッ=サドルはこの3年間で私たちがどれほど退行させられてしまったかを示す秤だ。イラン−イラク戦争や経済制裁の間でさえ、人々は当座の暮らしから気持ちを紛らわすためにスポーツをしていた。占領後、どこぞとのサッカーの試合に勝つと「そら、戦争には負けたけど、サッカーでは勝ったぞ!!」と言って自らを慰めたものだ。かつて、スポーツ−特にサッカーを楽しみ尊重していた国が、もし選手のパンツが長すぎるだの、スポーツファンはみんな永遠に地獄に行くのでは...なんて憂慮する国になったら...まさにわたしたちはそうなってしまった。

午前12時05分 リバー

(翻訳:ヤスミン植月千春)

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