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米アカデミズムが警告した「イスラエル・ロビーの脅威」 (成澤宗男の「世界を読む」より)
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投稿者 ジオン兵士 日時 2006 年 4 月 18 日 18:53:10: YeAWrBzgL3M5Y
 

米アカデミズムが警告した「イスラエル・ロビーの脅威」 2006/03/28

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 「イスラエル・ロビーのために、米国は事実占領地域におけるイスラエルの拡張主義を可能にする元凶になってしまい、パレスチナ人に対し加えられている犯罪行為の共犯者になってしまった。こうした状況は民主主義を海外に広めるという米国政府の努力を台無しにし、他国に人権を尊重するよう圧力をかける際には偽善者と見なされるようになった」

 共に国際政治学の分野で名声を確立しているハーバード大学ケネディスクールのステファン・ワルト教授と、シガゴ大学のジョン・マーシマー教授がこのほど、以上のような批判を投げかけた『イスラエル・ロビーと米国外交政策』と題した長文の論文を発表した。(“The Israel Lobby”)

 もともとこの論文は2002年の暮れ、「米国の有力な雑誌の一つ」に委託されたものだが、書き上げたら「編集者から国内で発表するのはほとんど不可能だ」と言われたという。なぜなら「こうした記事が発表されたら、ありとあらゆる問題が引き起こされる」のみならず、「反ユダヤ主義」の烙印を押されるためらしい。(“Professor Says American Publisher Turned Him Down”)

 今回も掲載されたのが英国の高級誌『London Review of Books』で、米国では全文はインターネットでしか読めない。それほど米国では日本人の多くが信じ込まされている「自由の国」のイメージに反し、イスラエル及びその意を受けたイスラエル・ロビーを議会や大手メディアといった公の場で正面切って批判するのは極めて困難である。

 論文はマーシマー教授が認めているように、「本や新聞の引用」で構成され、オリジナルな情報は皆無だ。つまり本来誰でも事実を知ることはできるが、圧倒的大多数の人々が最大の情報源としているテレビやラジオには登場せず、議会でも論議はないため、何もイスラエルについて知るべき情報が伝わらない構造になっている。そのためこの論文の意義は、内容以上に、高名な学者が異例にもタブーを破ったという点にあるかもしれない。

 主な内容は、以下の4点に要約されよう。

(1)イスラエルが占領地拡張やパレスチナ人の人権侵害をいくら欲しいままにし、国連の場で問題になっても、イスラエル・ロビーに属する「ホワイト・ハウスと議会が完全にイスラエル・ロビーに牛耳られているため、イスラエルが「あらゆる批判から免除されている」。

(2)イラク戦争の決定も、「イスラエルとイスラエル・ロビーの圧力が「唯一の原因」ではないにせよ「決定的」であった。特に「イスラエル与党のリクードと関係を有する」「ネオコンと呼ばれるブッシュ政権内の極右グループ」の貢献が大きい。同じパターンは、次に武力行使されるおそれがあるイランとシリアについても見られる。

(3)米国はイスラエルに他国を圧する援助をしているが、イスラエルは「忠実な同盟国として行動していない」。イスラエル・ロビーを介した米国内の諜報活動事件や提供した軍事技術の第三国への流出を引き起こし、そもそもその「国家と市民権が血族関係を基盤にしている」事実は「米国の価値の核心と相容れない」。

(4)イスラエル支持は「反米テロリズム」を激化させ「対テロ戦争への勝利をより困難にしている」。なぜならイスラム原理主義は「エルサレムのイスラエル占拠とパレスチナ人の苦境から行動に駆り立てられたのは疑問の余地がない」からだ。

 これまでのところ、肝心のイスラエル・ロビー及びその同盟者である極右プロテスタント原理主義勢力からの目立った反応はない。反論したら社会の関心を浴び、かえって逆効果と判断して沈黙を決め込んでいるようだが、それ以上にこの論文を取り上げた主要メディアもほぼ皆無という状態だ。

 繰り返すように以上のような指摘は目新しい内容は含まれておらず、米国の少数左派のオピニオンや、欧州の知識層にとっては常識に属する認識だ。だがそれでも正統的なアカデミズムの一角から批判の声が上がったのは、イラク戦争の泥沼化が大きいだろう。

 確かに、論文中に現ブッシュ政権以前からの対イラク戦争に向けた工作活動が記されているポール・ウォルフォイッツ国防副長官、ダグラス・ファイス国防次官、リチャード・パール国防政策諮問委員会委員長ら国防総省内のユダヤ系ネオコンはすべて現在まで解任されている。しかしこれほど巨額な財政負担と外向的行き詰まりをもたらした決定が、外交の一環と言うよりは特定国のロビー活動という「国内事情」から起因しているという事実は、今こそ米国民によって真剣に直視されねばならないはずだ。

 だが今回の論文に対し、米国内の大手メディアが「沈黙」以外の対応をしなかったことは、イスラエルとイスラエル・ロビー=ネオコンが現在工作中の「中東地図塗り替え」という名のイラク戦争に次ぐ新たな軍事暴走に対する歯止めが、もはや存在していないことを暗示している。この意味で論文は、改めて世界の平和を脅かす実態の真の姿を明らかにしたと言えるかもしれない。

(成澤宗男)

http://www.janjan.jp/column/0603/0603271488/1.php

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