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【現在なお続く女性に対する差別・夫による妻への徹底支配】処刑〜投石による死【アフガニスタンコラム】
http://www.asyura2.com/0601/war80/msg/740.html
投稿者 傍観者A 日時 2006 年 5 月 15 日 13:55:19: ebe9fDsQ1Z63o
 

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アフガニスタンで出会ったこと、見たこと、聞いたこと、体験したことなどの記憶の断片をつづります。原則として、毎週日曜日に更新予定です。

処刑〜投石による死 2006年5月14日 

2005年の4月、北東部のバダフシャン州で、29歳の既婚女性が地方裁判所の判決により、姦通の罪で、投石によって公開死刑されました。処刑された女性の名はアミナ。

アミナの夫は、5年間イランで暮らし、その間、アフガニスタン国内に残っていた妻のアミナには仕送りも何もしませんでした。戻ってきた夫に対して、アミナは、離婚を求めました。ところが、その夫は、アミナが他の男と関係をもったと言いがかりをつけ、姦通を犯したとして法廷に訴えました。そして、法廷は、夫の言い分を認め、アミナが姦通したとして、投石による公開処刑の判決をくだしたのです。夫と地方の役人は、実家にいたアミナを家からひきづりだし、処刑しました。彼女と姦通したとされる男の方は、100回むち打たれて釈放されました。

ところで、投石による死刑とはどういうものでしょうか。

処刑される人間は、首だけだして、土に埋められます。そして、その首に、死ぬまで石を投げつけ続けるのです。石を投げるのは、まず、「妻に裏切られたと考えている夫」です。それから夫の家族や友人や近所の人たち。公開による投石刑で処刑の手を下すのは、関係当時者や住民たちです。みんなでかわるがわる石を投げつけて殺すわけです。しかし、健康な人間はなかなか死にません。顔や頭が見る影もなくぐちゃぐちゃになっても死なず、最後は銃で殺したこともあったそうです。投石の刑は、苦しみを長引かせるという意味で、死刑の中でも最も残酷な刑の一つといえるでしょう。

投石による公開処刑は、タリバンの時代にしばしば行われていましたが、残念ながら、カルザイ政権になってからも行われています。圧倒的に男性が権力をもつ社会では、男性の言い分だけが通り、女性は命を守ることもできません。これは、男性と女性の関係のみならず、権力をもつ者と持たない者がいた場合、権力を持つ者が持たない者の生存権を握っているという残酷な事実をよく示していると思います。

女性が自立して生きていくことが本当に困難なアフガニスタンで、夫に5 年も留守にされ、仕送りも何もなかったなら、残された妻は生活のためにどれほど苦労したでしょうか。それでも、妻のほうから離婚する権利がないのです。たとえ、5年も10年も夫が留守にして何の連絡もなく、生きているのか死んでいるのかもわからない状態で、もし妻が、他の男と生活を共にするようなことをして、夫が戻ってきて訴えた場合、姦通として処刑されてしまいます。生活に窮したといった妻の側の言い分は一切認められません。

また、他の男と関係をもったという事実が実際になかったとしても、夫が、事実があったに違いない、と疑っただけで、事実があったことにされてしまいます。この社会で効力があるのは男性の言い分だけで、女性の言い分は認められないのです。

権力があるとはこういうことです。人が人を支配するとはこういうことです。


密告社会 2006年5月6日

 わたしがはじめてアフガニスタンを訪ねたのは、2000年の4月、タリバンがカブールを支配しているときでした。5日間という短期間の滞在でしたが、密告社会の恐怖をまざまざと感じた数日間でした。

 わたしは、外国人と認識されない形で潜入し、小型のAPSカメラを密かに持ち込みました。そして撮影も密かにおこなわなければなりませんでした。密かにというのは、単にタリバンに見つからないようにということではなく、一般の住民に見つからないように細心の注意を払わなければならなかったのです。

 一般住民に、カメラで撮影したり、取材しているところを見られたら、必ずタリバンに密告されるといわれました。特に、貧しいは、確実に密告するということでした。路上で物乞いしている貧しい女性に話を聞きたかったのですが、間違いなく密告されるから危険だといわれてあきらめました。その女性の家族がタリバンに殺されたり、いつもタリバンにひどい目にあっていて恨みがあったとしても、密告すれば多少の金銭がもらえるし、支配者のタリバンに気に入られた方が日々生活する上で都合がいいからということでした。

 密告の網を張り巡らせることが、支配者にとっていかに都合のいいものか、そのとき実感しました。ほんとうに残酷な支配者だとしても(そうであればなおのこと)、支配下におかれた通常の人間は、支配者に媚びようとしてお互いを監視し、密告しようとする(決して被支配者同士が一致団結して、支配者を倒そうとは思わない)ということです。鬱屈した不満は、時々行われる公開処刑や手足の切断などの見物によって「ガス抜き」されていたようです。タリバンの時代は「治安がよかった」と今でもときどきいわれますが、こういう「治安」でした。

 フセイン体制下のイラク、チャウシェスク時代のルーマニアもすさまじい密告社会だったことが知られています。ルーマニアについては、小説「百年の予言」 (高樹のぶ子著)を読むと、「密告」がどのように人間の精神をむしばんでいくかがわかります。人は密告を恐れて、思っていることをいわなくなる、表現しなくなる。すると、思考もできなくなる、といわれます。表現や言論の自由を奪われた人間が、「思考」だけは、自由にできる、ということはないようです。

 一度、密告社会になったなら、それを崩壊させようとすれば、すさまじいエネルギーがいるということを歴史が示しています。タリバン体制であれ、フセイン体制であれ、ルーマニアのチャウシェスク体制であれ、その崩壊時にはどれほどの血が流れたでしょうか。

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