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本山 美彦 氏 著 ｢賣られ續ける日本、買ひ漁る亞米利加｣
第四章 日本の｢醫療市場｣が飮み込まれる
ベクテルと神戸市の醫療特區構想(百十四頁)
此處に興味深い記述がある。以下に記す。
ベクテルと神戸市の醫療特區構想
神戸市の醫療産業都市構想は、二千二年八月に國の｢都市再生プロジェクト｣に選定されて
以來、一擧に具體化される事に成つた。神戸市が提案した港灣での二十四時間通關や、兵庫
縣などが求めた外國人研究者の在留機關延長、更に特別養護老人ホームヘルパーへの株式會
社參入などが、次々に認められた。
千九百九十九年、神戸市は尖端醫療産業特區の可能性に就いて、ベクテルに調査を依頼し
た(第六章ではベクテル人脈を詳述)。ベクテルは世界最大のゼネコンであり、日本の大手ゼ
ネコンの上位十六社を合はせた年間賣り上げのモンスター･カンパニーである。原子力發電、
宇宙産業、空港･軍事基地の建設、エネルギー關聯、水處理、都市建設、醫療、尖端情報・・
・・・・同社はありとあらゆる分野に進出してゐる。
世界の原子力發電所の半數以上はベクテルの手によるものだ。また、サウジアラビアでの
巨大都市建設や、米國の空港建設でも名を擧げてゐる。
アイゼンハワー政權下でのジョン･マコーン原子力委員長･ＣＩＡ長官、ダレス兄弟(ＣＩＡ
設立にベクテルは貢獻)、レーガン政權時代のジョージ･シュルツ長官、ハビブ中東特使、デ
ービズ・エネルギー副長官など、錚々たる人材を政界に送り出したのが、此のベクテルであ
る。
其のベクテルがいま、原子核技術を活かして高度醫療器具を開發し、尖端醫療都市を世界
で建設しつつある。
ベクテルは神戸市に以下の提案をした。難しい用語が使はれてをり、神戸市民以外はあま
り目にする事がない資料だと思ふが、讀者諸氏は厭はずに目を通していただき度い。
私は此處に、有事體制の準備を嗅ぎ取つてゐる。
<Ⅰ･大學コンソーシアムの提案>
神戸醫療産業都市構想を支へるためには、關西圈の大學･産業界･行政が相互に連携し、
補完する事が不可缺である。此の爲、地域の研究資源や教育資源の組織化を新たに進め、
神戸醫療産業クラスターとも呼べるテクノロジーパーク(ポートアイランド第二期を規定)
の開發を支援する事が有效である。
コンソーシアムの主要テーマは、人材、研究、情報共有の三つである。其のためには以
下の事が必要と成る。
① 人材コーディネーターを設置し、參加大學が實施してゐるカリキュラムを
基に共同コースプログラムを開發し、教職員の兼務(臨時教授など)體制の
下で、學生、企業技術者を對象とした研修を實施する。
② リサーチコーディネーターを設置し、企業･大學との共同研究を實施する。
參加大學はテクノロジーパーク内に商品化事務局を設置し、特許の取得支
援や其の販賣による收益分配を行ふ。
③ 情報コーディネーターを設置し、共同利用が可能なデータベースを開發し、
インターネットで利用出來るやうにする。
<Ⅱ･テクノロジーパークでのビジネス支援の提案>
① ワンストップサービスの擴充。
② 新たな投資インセンティブの附與。
③ マーケティング戰略、インターネット･ホームページ、醫療關聯專門誌への
掲載、米國の成功パークとの姉妹パーク提携、國際會議への出席など。
<Ⅲ･醫療産業と神戸空港の連携に對する評價･提案>
① 米國クラスター事例からみても、醫療産業集積に於て空港の果たす役割は極
めて大きい。具體的には研究者などの移動や患者の搬送、醫療機器や醫療品
の輸送はもとより、細胞サンプルやバイオ關聯製品など、限られた時間内で
迅速な輸送を求められるケースが多い。此のやうな輸送ニーズに的確に對應
するためにも、空港は不可缺な交通インフラであり、今後、海･空･陸が一體
と成つた綜合物流據點に發展する事が期待される。
② テクノロジーパークでの産業活動を支へるやうな空港運營が確保されるやう、
關係者との調整を行ふ必要がある。
③ 國際ビジネスジェットや國際チャーター便の受け入れが可能な條件整備とし
て、通關、出入國管理、檢疫の各施設(ＣＩＱ)の設置に就いて、政府に働き
かける事が望ましい。また、ＦＢＯ(ビジネスジェット支援サービス企業)の
進出が望まれる。
事實、神戸市では從來の神戸製鋼所、川嵜製鐵、川嵜重工と云つた大型重工の跡地に、ＨＡ
Ｔと云ふ綜合健康施設を建設した。新たな再生醫療の中核が此處に設立されたのである。神戸
市廣報によると、｢神戸醫療産業都市｣は、次のメリットをもつてゐると云ふ。
① いままで治療法のなかつた、さまざまな病氣に對する治療藥を開發する。
② 醫藥品･醫療用具の有效性･安全性を調査･評價すると云ふ｢治驗｣を、地域醫療
機關と連携して行ふ。
③ 隣接する｢理化學研究所｣内に設置されてゐる、發生生物學、再生醫療などの醫
學的應用を促進するための基礎的研究を行ふ｢發生･再生科學綜合研究センター｣
(獨立行政法人)と連携して、再生醫療の研究と普及を行ふ。再生醫療とは、損
傷･缺損した神經や血管などの生體組織や、臟器を再び作り出して治療する醫療
技術のことであり、人工皮膚･人工關節･軟骨など、實用化されてゐるものもある。
④ 映像･畫像機器を研究開發して、關聯する技術の高度化を圖る。
⑤ 循環器系や神經などの病氣に對して、細胞や組織を用ゐた新しい治療法を開發する。
⑥ 再生醫療とリハビリテーションなどを組み合はせて、綜合的に身體機能を恢復さ
せる醫療技術を開發する。
⑦ 醫療機器の研究開發を行ふ。
⑧ 醫療關聯産業の民間企業と京阪神間の大學･研究機關との共同研究を推進する
｢尖端醫療センター｣を設立する。
⑨ ｢神戸臨牀研究情報センター｣で、基礎研究と臨牀應用との聯繋を圖る。
⑩ ｢神戸バイオメディカル創造センター｣｢神戸バイオテクノロジー研究･人材育成
センター｣｢神戸バイオメディカル開發センター｣で、バイオ技術の實用化までの
短縮化を圖る。
⑪ 國の内外から、醫療關聯企業を誘致する。
矢田立郎神戸市長は、神戸空港を患者の受け入れ、一刻を爭ふ組織細胞の輸送、研究者の
交流に活用出來る事のメリットを擧げ、二萬人の雇傭と三千三百億圓の生産誘發效果がある
と語つた。
然し、既に京阪神地區には二つの大きな空港がある。其の意味で此の神戸空港は、商業ベ
ースでペイするはずのない空港だ。赤字が必然的な此の空港を、醫療特區のすぐ横に建設す
る事を國が認可したのは、單純な構造特區と云ふ視點から出たものとは思へない。
此の狹い地域に神戸空港が出來る意味は、決して一般旅客を對象としたものだけではない
だらう。此れはあくまでも推測だが、東アジア有事の際、負傷兵が那覇、鹿兒島、新潟に船
舶で輸送され、其処から神戸空港に空輸され、空港周邊の再生醫療機關で手術を受け、米國
の大學や醫療機關から遠隔指示を受けるシステムが、着々と作り上げられようとしてゐるの
ではないだらうか。
そんな怖いシナリオは、餘りにも穿ち過ぎる見方だらうか。
戰爭、其れは究極の燐寸ポンプビジネス。
氣違い共の宴は着々と進んでゐる。
既存の既得權益を牛耳つてゐる奴等を一掃し
自分達が利益を獨占せんとする。
只其の爲の騒動であらふ。
甘い汁を啜る輩が變はるだけである。
故に氣違ひ共は言ふ。
戰爭は美しい、と。
本山 美彦 氏 著 ｢賣られ續ける日本、買ひ漁る亞米利加｣
http://www.amazon.co.jp/gp/product/482841262X/
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