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クルーグマン:「誤りによる統治」 [暗いニュースリンク]
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投稿者 white 日時 2006 年 8 月 01 日 09:08:26: QYBiAyr6jr5Ac
 

□クルーグマン:「誤りによる統治」 [暗いニュースリンク]

 http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2006/07/post_c00c.html

07/30/2006

クルーグマン:「誤りによる統治」

経済学者ポール・クルーグマンのニューヨークタイムズ紙2006年7月28日付コラムを以下に全文翻訳して掲載。


「誤りによる統治」(Reign of Error)

by ポール・クルーグマン:ニューヨークタイムズ紙2006年7月28日付コラム
http://64.226.238.78/PA/pk/pk220.shtml

現在世界で進行中の過ちの中で、これほどがっかりさせられるニュースはない。先日、ハリス・ポールが発表した最新世論調査によれば、アメリカ国民の50%が、米軍侵攻時にイラクには大量破壊兵器があったと信じており、2005年2月の36%から上昇しているというのだ。しかも、米国民の64%が、サダム・フセインはアル・カイダと深い関係にあったと未だに信じているという。(訳注1)

見方を変えれば、これは驚くべきことではないかもしれない。アメリカを動かしている人々は、もはや都合の悪い真実を決して受け入れようとはしない。彼等の気に入らない事実が充分に立証されてからも、たとえホワイトウォーター疑惑でクリントン側に違法性がなく、イラクには大量破壊兵器がなかったとわかっても、現政権を支援し、これらの事実を記憶から抹消しようと試みるプロパガンダ・キャンペーンは未だに進行中なのである。

しかし、そうしたキャンペーンが現在でも有効であると実感すると、愕然としてしまう。

キャンペーンの仕組みを以下に示そう。

まず最初に、ある問題に関して現政権の立場を損なう事実がある場合−幹細胞研究、地球温暖化、減税、所得の不平等、イラクなどの問題である−政権側は事実認知を拒否するのである。

時には、政権側は端的にウソをつく。「この減税案は税制をより先進的にして、所得の不平等を減少させるのです。」数ヶ月前に、大統領経済諮問委員会のエドワード・ラゼア委員長はそう宣言した。しかしさらに頻繁に、政権側はペテンや策謀を図っている。

例えば、数ヶ月前、ブッシュ政権が常にイラク戦争と911テロを結びつけようとする理由を説明するよう詰め寄られた際の、コンドリーザ・ライスの対応について考えてみてほしい。「我々の知る限りでは、(サダムは)911テロを指揮しておらず、911テロについて察知すらしていなかったかもしれません」彼女はそう認めた。(彼女の言葉に注意してほしい。文字通り解釈すると事実だが、それにも関わらずサダムが911テロを指揮し、ひょっとしたら911テロについて知っていた可能性も仄めかしている)「しかし、」彼女は言葉をつけ加えた。「それは911テロの原因を極めて狭義に定義しているにすぎません。」

一方で、メディア装置は虚報を垂れ流す。大勢のアメリカ人がニュースを知るためにフォックスニュースを観てラッシュ・リンボーのラジオを聴いているという世界は簡単には想像できないが、私への抗議メールからその実態をつかむことはできそうだ。

私にメールを送ってくれる人々の多くは、我が国の現在の経済状態がビル・クリントン時代よりも良くなっており、新たに公開された書類にはサダムがオサマと共謀した事実が示され、1980年代の朽ちた軍需用化学備品が、イラクに大量破壊兵器があったと現政権が言ったとおりの事実を立証したという世界に生きている。(サダムが大量破壊兵器を所持していたと信じる国民が復活した理由の一部は、軍需品の発見が誇大に宣伝されたのが原因かもしれない)(訳注2)

そうした人々の中には、大半が右翼ブログで宣伝されている類の主張を持ち出し、ブッシュ政権がカトリーナ大災害以降『すごい仕事をしている(did a heck of a job)』とまで言っている。

それでは、共和党全国委員会の事実上の支店となっている情報源以外からニュースを入手している人たちの認識はどうか。

911テロ後数年間続いていたような、政権側を困らせるような事実を報道することにきわめて慎重になっていたメディア脅迫の雰囲気は、今では和らいでいる。しかし、脅迫が完全になくなったわけではない。ほんの数ヶ月前、メディア各社は、イラクの『良いニュース』を報道できていないという右派の激しい攻撃にさらされていた。私の感触では、大虐殺の拡大について議論の余地がなくなるまで、そうした攻撃により一時的に報道がソフトになったと思う。そして、ウソと事実が同じ序列にされる噂中心の報道協定は、現在でも政権寄りの状態が続いている。

理由がどうであれ、ブッシュ政権が歴史の書き換えに著しい成功を収めているのは事実である。例えば、合衆国がイラクに侵攻した理由は、サダムが国連の査察を受け入れなかったからだとブッシュ氏は繰り返し示唆している。同様の主張を、ブッシュは数週間前にも行った。大統領はそれでうまく逃げ切っている。もしも、事実はそれと全く違うと大手報道機関が指摘しているとしたら、私はそれを見逃していることになる。(訳注3)

確かに、全てはオーウェル風だ。しかし、「指導者が、あるいは一部の支配的な小集団が、未来だけでなく過去すら管理する悪夢の世界」とオーウェルが書いた時、彼が想定したのは全体主義国家であった。報道の自由がある民主主義国家において歴史の修正がいとも簡単であると証明されようとは、誰が想像できただろう?
(以上)


(訳注1):ハリス・ポールの世論調査結果へのリンク。調査は7月5日から11日にかけて電話による聞き取りで実施された。

(訳注2):2006年6月21日、リック・サントーラム上院議員(共和党・ペンシルバニア)とピーター・ホークストラ下院議員(共和党・ミシガン)が議会で記者会見を開催し、「イラクで大量破壊兵器は発見されていた!」と発表した。ところがその証拠として両共和党議員が持ち出したのは、2004年10月に発表された米政府調査団最終報告書(ドルファー・レポート)で言及されているイラン・イラク戦争時代(80年代)の化学兵器の残骸で、米政府調査によりすでに殺傷能力が否定されていたものだった。誤った主張の発表で、直後に国防総省側が否定したにも関わらず、保守系メディアが続々と両議院の主張を配信した影響もあり、共和党支持者の多くが大量破壊兵器の存在を再び信じ始めた結果が、最新の世論調査に表出したものと思われる。

(訳注3):
アナン国連事務総長は、米国によるイラク侵攻を「違法」と言明している。しかしそうした声は国連嫌いの米国内までは届かないらしい。例えば、2006年7月6日、米CNN放送の名物番組『ラリー・キング・ライブ』に出演したブッシュ夫妻と、司会者ラリー・キングはこんなやりとりをしている:
ラリー・キング:
「大統領、あなたはいつも指導力を発揮される人だ。イラクの件がいい例だ。イラクの件ではあなたが先導し、国連もそれに従った。」
ブッシュ大統領:
「そうですね。」
このインタビューはラリー・キングとホワイトハウスの間で入念に打ち合わせが行われているので、こうした会話はブッシュ政権による印象操作の一部と見られている。
なお、イラク侵攻に関する国連での各国のやりとりは、書籍『検証イラク戦争―アメリカの単独行動主義と混沌とする戦後復興』(斉藤直樹著)に詳しい。また、国連と日本の関係でいかに日本政府が国民をミスリードしているかについては、書籍『日本の外交は国民に何を隠しているのか』(河辺一郎著)に分かりやすく説明されている。


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