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【持田直武 国際ニュース分析】レバノン危機、イランの出方が次の焦点
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投稿者 迷える牧羊犬 日時 2006 年 8 月 12 日 10:22:55: FqUwaLW8ye0Cw
 

レバノン危機、イランの出方が次の焦点(2006年7月30日 持田直武)
持田直武 国際ニュース分析 http://www.mochida.net/report06/7lkin.html


ブッシュ・ブレア両首脳がイラン傘下の武装勢力ヒズボラの武装解除などを求める国連決議案提出で合意。これとは別に、安保理はイランに対し、ウラン濃縮中止を求める制裁決議を可決する。狙いは、ヒズボラと核という2つの武器をイランからもぎ取ること。イランの出方によっては、危機は深まる。
・永続的な停戦にはヒズボラの武装解除が必要

 ブッシュ・ブレア両首脳は7月28日ホワイトハウスで会談したあと記者会見、レバノン危機解決のため国連安保理決議案を提案することを明らかにした。決議案の内容は明らかにしていないが、ワシントン・ポストは次のような主旨と伝えている。

1国際平和部隊をレバノン南部に派遣する。
2イスラエル軍と武装勢力ヒズボラの戦闘を中止、イスラエル軍は撤退する。
3ヒズボラを04年の国連決議1559に従って武装解除する。

 両首脳は記者会見で、決議案の内容を7月31日から安保理の各理事国に示し、可能なかぎり早く採択したいと述べた。また、ブッシュ大統領は、ライス国務長官を中東に派遣、イスラエルやレバノン各政府にも説明して支持を求める考えを示した。停戦と国際平和部隊の派遣については、EU諸国やアナン国連事務総長が戦闘の勃発直後から主張したが、ブッシュ大統領は、停戦は永続的なものでなければ意味がないとして反対してきた。

 この記者会見でも、ブッシュ大統領は「我々の目標は、永続的な平和の実現であり、一時的な停戦ではない」と述べて、性急な停戦に反対を表明した。そして、永続的な平和を実現するためには「ヒズボラを武装解除し、イランやシリアなど外国の介入を排除して、レバノン政府が全国土の治安維持にあたる力をつける必要がある」と主張。新たな安保理決議には、これらの項目を加え、国連憲章第7章に基づいて武力行使も可能な決議案にしたいとの考えを示した。

・イラン核問題でも制裁決議は必至

 レバノン危機で、イラン追求の動きが強まる一方で、米英など安保理常任理事国5カ国とドイツはイランの核開発問題でも安保理決議を求めることで合意。7月28日、フランスが各国を代表して決議案の原案を安保理各国に配布した。その主旨は、イランに対し、ウラン濃縮活動と再処理活動など、核関連活動をすべて中止することを要求するもので、早ければ、7月31日にも採択される。イランが8月31日までに従わない場合、国連憲章第7章に基づき経済制裁が科されることになる。

 イランの核開発問題では、米英など安保理常任理事国とドイツが6月初め、イランがウラン濃縮の中止をすれば、EUの軽水炉の提供や米の制裁の一部解除問題などで交渉を開始するとの提案をした。しかし、イランは8月22日に回答するとの立場を示しただけで、ウラン濃縮活動など一連の核活動をそのまま続け、米欧内に懸念が拡大。これを背景に、これまで制裁に反対していたロシアや中国も新決議案に同調する意向を見せ、採択は必至となった。

 これに対し、イラン政府専門家会議のハタミ議長は7月28日の全国向け放送で、「国連の力でイランの核活動を中止に追い込むことはできない」と主張、安保理が決議を採択しても拒否する考えを表明した。イランの核開発は、レバノンに布陣する武装組織ヒズボラとともにイランの対イスラエル戦略の柱であり、イランが中東の強硬派をリードする上でも不可欠の武器だ。ところが、今回のレバノン危機で、この2つをイランからもぎ取ろうとする動きがはからずも同時に表面化した。イランが今後どう出るかが、今後の中東情勢を左右することになりかねない。

・レバノンの戦闘は米・イランの代理戦争

 今回のレバノンの戦闘激化は、ヒズボラ側はまったく意図しないことだったというのが定説だ。APによれば、レバノン議会のキリスト教系政党のカーゼン議員も「ヒズボラが判断ミスをした」と語っている。戦闘の発端は7月12日、レバノン南部で、ヒズボラ部隊が国境を越えてイスラエル軍の歩哨所を攻撃、イスラエル兵2人を拉致したのがきかっけ。カーゼン議員によれば、拉致した兵士とイスラエルが拘束している政治犯の交換が目的だったという。ガザでは、6月25日、ハマスが同じ様にイスラエル兵1人を拉致、政治犯との交換を要求した。これを援護するねらいもあったようだ。

 ところが、これに対するイスラエルの反撃は予想外に激しいものだった。ヒズボラの拠点一掃を掲げ、イスラエル軍部隊がレバノン南部に攻め込むと同時に、空軍、海軍も連日攻撃を加え、ヒズボラの拠点と見られる一帯を徹底的に破壊した。ブッシュ政権もこれを容認、アナン国連事務総長の停戦提案も一蹴した。英紙ザ・タイムズなどによれば、同政権は開戦後、複数の大型チャーター輸送機に武器や爆弾を満載し、英国経由でイスラエルに送り込んだという。イランはヒズボラに武器と資金を提供しているが、米もそれに劣らすイスラエルに肩入れしたことになる。

 レバノンの戦闘が長引き、犠牲者が増えるに従って、停戦を求める国際世論が高まっている。しかし、ブッシュ政権はレバノンの戦闘もイランの核問題も国際テロ戦争の一環と位置づけ、強硬姿勢を崩さない。同政権が今後ヒズボラとイランを追い詰めれば、イランは再三予告しているように石油などを武器に反撃しかねない。そうなれば、日本にも大きな影響が出る。中東という油田の上での、この危険な駆け引きが、何時まで続くのか、終わることはありそうもない。

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