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イラン核問題の軍事的解決も経済制裁も成功しない 米海軍大学院のナスル教授の所論 [アルジャジーラ]
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投稿者 white 日時 2006 年 9 月 06 日 18:32:08: QYBiAyr6jr5Ac
 

□イラン核問題の軍事的解決も経済制裁も成功しない 米海軍大学院のナスル教授の所論 [アルジャジーラ]

 http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2414030/detail

イラン核問題の軍事的解決も経済制裁も成功しない 米海軍大学院のナスル教授の所論

 【アルジャジーラ特約5日】海軍大学院(米カリフォルニア州所在)のヴァリ・ナスル教授(中東・南アジア政治)はこのほど、著作「シーア派の復活」を公刊したが、最近、ブッシュ米大統領に招かれた中東問題専門家の中の一人で、同大統領にイラク国内における宗教・政治の動態論について講義した。

 ナスル教授は、2003年の米軍のイラク侵攻で、サダム・フセイン政権が崩壊したことがイランの戦略的能力を強化し、中東地域、特にイラクの多数派であるシーア派の間で人気を高めたと主張している。

 また、同教授は、イランはその挑戦的な言動にもかかわらず、米国政府と公然かつ広範囲な正常化を実現したいと望んでいるとも述べている。

 以下は、同教授のアルジャジーラとのインタビューの一部である。

ーサウジアラビア、エジプト、ヨルダンはイラク侵攻の結果としての、シーア派の再浮上に対する懸念を表明しています。宗派間戦争が「新しい中東」構想を圧倒してしまわないでしょうか?

ナスル教授(以下 N) それぞれの国で、シーア派の再浮上について懸念を抱いていると思います。なぜなら、残念なことに、今、スンニ派からシーア派への権力移行のまさに初期段階にあるイラクは、さまざまな理由から状況が悪化していますからね。

 非常に長期にわたってイラク政治ではおびただしい血が流れています。1991年以降、イラクはそれ以前よりもはるかに世俗国家的になりましたが、米国は事態の処理を誤ってしまった。米国は何の準備もなく、イラクの事態を悪化させてしまったのです。

 イラクから米国を追い出す最善の方法を持っていると自認したかのように、外国の武装分子がそれぞれの方法論を持ってイラクに流れ込み、それが宗派間の暴力を呼び覚まし、聖廟を破壊するなどして内戦を挑発したのです。

 第2に、シーア派はスンニ派と同様、イラクで起きたことをもう止めにしたいと望んでいます。それで、今は静穏な時期に入り、イラクの宗派間の武力抗争が権力移行、民主主義、開放、地域的な権力分有などについての議論を進める力になっています。

ー米国の政策が挑戦的なイランがイスラム諸国の民衆に支配的な力を持つようにしてしまったと、多くの人が批判していますが、あまたは同意しますか?

N 同意する点としない点があります。サダム・フセイン元大統領は間違いなく、イランに対する防波堤でした。なぜならイラクのバース党政権は極端に反イランでしたから。シャー(イラン王政)の1958年以来のことです。

 しかし、今やイランは権力を握ったイラク現政権に対して大きな発言権を持っています。とりわけ、政府がシーア派政権ですからね。

 第2に、米国は主として軍事的にイラクで泥沼にはまり、それがイラン封じ込めの力を失わせています。イランはそれを知ってますよ。イランの力の源泉は一部、イランを封じ込めることが非常に困難であることから来ています。

 米国の世論は国外での軍事力行使をよく思っていません。・・・わずか人口350万人の国でイスラエルがヒズボラを打倒することができず、兵力13万人の米軍がイラクで動きが取れないのですから、当然、イランは策動の余地があると感じ、国際社会に対して核問題で「ノー」と言うのです。

 また、イランの力が1990年代以降、強まっているのに対し、だれもそう見ていなかった。経済が成長し、石油の価格は上昇し、イランは非常に富裕になったのです。人口7000万の国ですよ。

 ハタミ前大統領の時代に、イランにすでに動きはあったのです。しかし、軍事面、より地域的な軍事面での有利性は今になってはっきりしたのです。イランのアラブ人民衆に対する読みはかなり当たっています。パレスチナとイスラエル間の問題が行き詰まった時、民衆の間には欲求不満と怒りがありましたが、それは和平プロセスが方向性を失ってしまったからです。

 パレスチナとイスラエルの間はますます困難になり、しかもイラクは中東地域に多くの不幸をもたらした。イラン人はアラブ世界の王侯権勢から支持を得ることを狙ったことはありません。

 イランは西側世界で不評判で、アラブ諸国の街頭で非常に人気を集めるようなことに直接、突き進んだのです。だから、イランのアハマドネジャド大統領はイスラエルを攻撃し、ホロコースト(ナチのユダヤ人大虐殺)に疑問をぶつけたのです。西側との外交という面では、イランは大きく損しました。しかし、イスラエルとヒズボラの戦争の前に、ダマスカスやベイルートの街では彼らの写真が売られていたのです。

ー最近のレバノンでの武力抗争はヒズボラの声望をこれまでにないほど高め、ヒズボラ支援者であるイスラム聖職者たちが国際的な交渉のテーブルで使えるような大きな弾みを与えることになったのですが、イラン政権の真の願望は何でしょうか?

N イランの政権はでかい事も小さい事も望んでいますよ。イランは地域の大勢力として認知されることを望んでいます。南アジアでいえばインドのような。イランは基本的には自分たちの立場が受け入れられ、認められることを望んでいます。核問題はその一環ですね。

 イランは米国と対等の立場に立ちたいし、見下げられた話はしたくないのです。これは交渉の前提条件ではなく、むしろ交渉の成果であるべきでしょうがね。

 また、特にレバノン戦役が終わった後では、イランは、総合的な目標は変えずに、どんあ交渉でも強者の立場からやりたいという考えにますます確信を持っています。

 私は個人的に、イランは話し合いをしたいと思ってますよ。だから、アハマドネジャド大統領は米CBS放送のマイク・ウォレスとインタビューしたのです。

 そのインタビューで、大統領がブッシュ大統領が親書に返事をしなかったことに文句を言い、数日前、ブッシュと公開討論しようと呼び掛けたのはそうした理由からです。そして、イランは優越感を持ちながら、話し合いを望むが、西側が望むようなやり方での話し合いではないと言うのです。

ーどうして米国は話し合いしたがらないのでしょうか・

N 複数の理由があります。ブッシュ政権はイランを「悪の枢軸」にしたがっています。両国にとって、話し合いをするには国内への配慮があるでしょう。詰まるところ、自分たちのレトリック(修辞法)の虜になってしまうのです。

 第2に、米国はイランが誠実ではないと思っています。それに、米国はまだイランとの国交正常化で決断していない。では、それは何を意味するのか。米国がイランに対して望むのは、米国が困っているような事をやめることで、具体的には、ヒズボラ支援、テロリスト支援、イラクへの干渉中止、そして何よりもウラン濃縮の中止とイランにおける核計画の放棄です。

 しかし、おわかりのように、米国が交渉したい問題は具体的にあるのですが、米国とイランの全体的な関係を変えようとしないのです。イラン人は、万一、こういた問題を処理するとしても、困難な立場に変わりはないと主張してます。ある時、アハマドネジャドはいつもの粗野な言い方で、「もし我々が核計画を放棄しても、今度は米国は人権問題で要求するだろう。人権問題で降参したら、今度は動物虐待で要求だ」と発言したことがある。

ー米国はイランとの直接交渉は拒否しています。しかし石油に関する利害が両国の和解を強いるかも。

N 和解を強いるかどうかはわからないが、確かに圧力要因の一つです。何と言っても、もし国連の全加盟国がイランに経済制裁を加えることに賛成しても、難しいでしょう。こうした経済制裁は究極では石油分野を含めるでしょうから。

 イラン制裁に石油禁輸を含めるなら、石油の価格は劇的に上昇し、西側と日本の経済への影響はイラン自体への影響より速く来ます。だから石油は国連にも米国にも制約要因なのです。

 次に、イランがいつでもできる、最もやさしい対抗策はペルシャ湾のホルムズ海峡を封鎖して、タンカーの航行を阻むことです。そこで成功する必要はなく、脅かすだけで石油価格は上がってしまう。結果として、イランは米国の政策決定を制限するようなやり方で石油市場に影響力を及ぼす力がある。石油問題がこれまで以上に緊張を高める道をたどる限り、和解への道になるとは思いません。

ーイランが挑戦的態度で、国連安保理によるウラン濃縮計画中止の期限を守らない場合、米国の前にイスラエルがイランを攻撃するのではないかと思いませんか?

N 二つの理由から、そうは思わない。第1に、イランは近い将来、核爆弾をもつ所まで行っていない。国際原子力機関(IAEA)が、イランのウラン濃縮計画の進捗はむしろ遅いと言明したのはまさに事実であって、技術的問題があることを示唆しています。

 イランは核爆弾を保有する前に、濃縮だけではなく多くの技術をマスターせなばならない。イランが真に脅威になるまでには、爆弾製造その他、たくさんのことを修得する必要があります。

 米国の情報機関を含め、多くの評価では、全部が完了するには5年から8年という時間枠が置かれるとしています。軍事的な先制攻撃のようなことが必要となる差し迫った脅威はないのです。

 今の時間的枠組みでは、双方の話し合いは難しいとしても、イランに対する軍事攻撃のコストは利益よりも大きいかも知れない。言い換えると、攻撃はあまり効果がなく、ただ、核計画を遅らせるだけです。イランを攻撃する政治的、軍事的、安全保障的なコストは得るべき利益より大きいでしょう。

ーイランの中東における覇権を打ち破る鍵は何ですか?

N やさしい解決法はない。言い換えると、軍事的解決はいつでも可能だが、良い軍事的解決などあるとは思わない。戦争になっても、政権すら変えられないでしょう。

 レバノンで見たように、攻撃は政権を安定させてしまうでしょう。街頭に怒りが沸き上がり、もしイランが攻撃されれば、もうルールに沿ったゲームなどをする気にならなくなる。こうなると、湾岸ばかりか全中東にとってものすごい不安定が生まれるでしょう。

 第2に、域内各国にはイランを封じ込める能力がない。なぜなら、そんな軍事力はないからです。かつてはイランとイラクが互いに均衡をとっていた。サウジアラビアは軍事能力がないので、米国に頼ろうとするでしょう。

 問題は、米国が湾岸駐留をどの程度、公約するかです。究極のところ、私が思うに、アラブ諸国、特に湾岸諸国と米国にとって最善の道はイラント交渉する道を見付けること、イランが域内の安定と秩序に利益を見出すようにすることです。

 イランのような強国を寒空に立たせるようなことをしていると、イランを自国の存在と関与を見せつけたいという気にさせることになります。それには、西側諸国が直接乗り出すより、湾岸のアラブ諸国を支援してやらせた方が良いのです。(アドラ・マスード記者・翻訳・ベリタ通信=日比野 孟)


2006年09月06日16時39分

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