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【関連:カルザイは事実上「カブール市長」】タリバーンの反転攻勢に苦戦のNATO軍【JANJAN】
http://www.asyura2.com/0601/war84/msg/839.html
投稿者 傍観者A 日時 2006 年 9 月 22 日 21:54:22: 9eOOEDmWHxEqI
 

(回答先: 【国際的シンクタンク「サンリス協議会」の報告:貧窮した民の支持得るタリバン】タリバンの復権【JANJAN/IPS】 投稿者 傍観者A 日時 2006 年 9 月 22 日 21:49:10)

http://www.janjan.jp/world/0609/0609211522/1.php
タリバーンの反転攻勢に苦戦のNATO軍
2006/09/22

 先週は、「9・11テロから5年が経った」というフレーズが、新聞、テレビに躍らなかった日はなかった。テロ発生から1カ月足らずのうちに、米国は事件の首謀者とされるビン・ラディンが実権を掌握するアフガニスタンに攻め込んだ。大所帯の米軍にしては驚くほど早い展開だった。「9.11から5年」は、「アフガン戦争から5年」でもある。

 開戦直前、米国が突きつけた最後通牒は「ビン・ラディンを引渡さなければアフガニスタンを空爆する」というものだった。当時、東京にいた筆者は、カンダハールのタリバーン司令部に国際電話を入れ、「どうしてもビン・ラディン氏は渡さないつもりか」と当たり前のことを尋ねた。

 返ってきた答えは「渡さない。(タリバーンの最高指導者)オマル師は『最後まで対米聖戦を戦い抜け』と我々に言った」だった。予想通りだった。国内他派と血で血を洗う内戦を繰り広げてきたタリバーンが、他派を軍事的に圧倒できたのは、ビン・ラディンからの資金援助があったからだ。ただでさえ客人を厚くもてなすイスラム教徒が、大恩あるビン・ラディンを簡単に米国に売るなど、あろうはずがなかった。

部族地帯沿いに大兵力投入

 タリバーンの仇敵だった、地元の北部同盟と手を結んだ米軍は、開戦の翌月(2001年11月)には早くも首都カブールを制圧した。米マスコミをはじめとする各国メディアは「米軍勝利」の大見出し付きで報じた。さらに翌月には暫定統治機構が発足。それから約半年後には憲法が発布され、国家としての再スタートを切った。

 国家再建は一見順調に行っているかのように見えた。ところが、大間違いだった。タリバーンは前線から単に兵を引いただけだったのだ。

 「出身地」のトライバルエリア(部族地帯)に戻って、体制を整えたタリバーンは、いまや、お家芸のゲリラ攻撃でNATO軍を苦しめている、というのが現状なのだ。部族地帯はパキスタン〜アフガニスタン国境沿いの峻険な山岳地帯だ。内戦時はここから聖戦士(ムジャヒディーン)が、続々アフガンに送り込まれていった。

 タリバーンの進撃を食い止めなければならないNATO軍は、部族地帯沿いで大規模な作戦を展開してきた。NATO軍地上部隊は地元パキスタン軍の案内なしには同地帯の中に踏み込めない。部族地帯の人口は100万人とも300万人とも言われる(日本のような国勢調査はないから、正確な数は不明極まりない)。その大半はパシュトーン族で、彼らは強烈なイスラム原理主義に染まっている。

 筆者はアフガニスタンに入る際、車で部族地帯を通った。GPS(Ground Positioning System)も意味をなさない、標高3000〜5000メートル級の険しい山々と吸い込まれるような深い谷で遮られている。踏み込めば米軍といえども、袋のねずみになることは必定だ。ビン・ラデンが潜んでいると言われるゆえんである。

「カブール市長」のカルザイ大統領

 NATO軍の展開をめぐっては「Operation Mountain Thrust」「Operation Medusa」などと勇ましい作戦名が並ぶ。兵力1万を投入し、同じ期間としてはイラク空爆の2倍もの爆弾を投下したこともあるほどだ。「タリバーン兵400人殺害」などといったNATO軍優位の報道が繰り返されている。

 だが、実際の戦果は相当に疑わしい。NATO軍劣勢を裏付ける戦闘が9月上旬から2週間にわたって続いた。首都カブール南近郊の戦略要衝にあるタリバーンの拠点を、米軍は兵力1万を投入して攻撃したというのだ。

 これまで、NATO軍はカブールからはるか南東の部族地帯沿い(パキスタン国境)で、攻勢を強めているはずだった。それなのに、カブール近郊で大規模な戦闘があったということは、タリバーンに首都まで迫られている、ということではないか。これは軍事知識のない人でも分かる理屈だ。

 同様の戦闘は、イランにほど近い西部地域の戦略要衝ヘラートでも展開されている。となれば、NATO軍はタリバーンに西と東から挟撃されている、ということだ。

 「封じ込めるのがやっと」。前線から本音が漏れるが、実際は封じ込めることもできなくなっているのではなかろうか。米軍当局の情報は「大本営発表」とも受け取れる。

 NATO軍とアフガニスタン政府は、かろうじて首都周辺を守ることで威厳を保っていると言ってよい。米国の後押しで誕生したカルザイ大統領が、「カブール市長」と揶揄されるゆえんだ。

ニッチもサッチも行かない米国

 ここにきて妙な「手打ち」があった。パキスタン政府が、9月11日直前、部族地帯の族長に対して「タリバーンに合流しなければ、外国人武装勢力(アルカイーダやイスラム義勇兵)が、同地帯に滞在することを許す」と「正式に」発表したのだ。

 ムシャラフ政権は米国に圧力をかけられても、部族地帯にはポーズでしか踏み込めなかった。部族地帯を本気でつつけば、政権自体が危うくなるからだ。クーデターはパキスタンの恒例行事ともなっている。親米ムシャラフ政権が転覆するようなことにでもなれば、米国のアフガニスタン政策は、根底から見直しを迫られる。

 かといって、タリバーンの本拠地である部族地帯をそのままにしておけば、半永久的にアフガン駐留のNATO軍は苦しめられる。米国のアフガニスタン政策は、ニッチもサッチも行かない状態に追い込まれているようだ。


本記事は「US Department Of Defense」「Jane’s Defense Weekly」「Reuters」「AP」「New York Times」などを参考に執筆しました。

(田中龍作)

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