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「明日の東北アジアの構造と紛争」 ジョン・ミアシャイマー米国は撤退し、日本が圧倒的な大国になるきっかけをつくることになる
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投稿者 TORA 日時 2007 年 1 月 12 日 13:14:05: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu135.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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「明日の東北アジアの構造と紛争」 ジョン・ミアシャイマー 米国
は撤退し、日本が圧倒的な大国になるきっかけをつくることになる

2007年1月12日 金曜日

◆明日の北東アジアの構造と紛争 ジョン・ミアシャイマー 奥山真司(訳)
http://www.bunshun.co.jp/mag/shokun/

現在の北東アジアでは、三つの国家が「大国」に値する十分な冨と人口を持っている。中国、日本、ロシアである。しかしその三カ国のうちのどれもが「潜在覇権国」(訳注、ある地域の全ての大国を支配する可能性を持つ大国のこと)ではない。

日本はこの地域の中では豊かな国である。日本の国民総生産(GNP)は、中国の約三.五倍、ロシアの十二倍の犬きさである。しかし日本はその経済的な豊かさを、北東アジア全域に脅威を及ぱすことのできるような圧倒的な軍事カヘと変化させることはできないのだ。

日本は中国やロシアと比べて経済的には遥かに豊かではあるが、とくに中国と比ぺてみた場合、比較的人口が少ないことがわかる。中国の人口は日本のほぼ十倍であり、次の五十年間にその差はさらに広がりそうなのである。

よって、日本が中国よりも強力な軍隊をつくりあげることはほぱ不可能であろう。日本は質的な面においては中国より優秀な軍隊をつくりあげることができるかもしれないが、中国の巨大な人口によって維持される十倍という数の差をそれによって乗り越えることができるかどうかはむずかしいのだ。

また、日本は北東アジアを軍事的に圧倒しようとする場合、深刻な「兵力投入能カ」の問題に直面することになる。日本は島国であり、アジア大陸からは海という水の塊によって切り離されている。よってアジア大陸に足場を確保できない限り(もちろんこれはほぼ不可能であろうが)、日本はアジア大陸を海上から侵略しなけれぱならないことになる。

一八九五年から一九四五年までの間は中国と朝鮮があまりにも弱く、大陸に大規模な軍隊を簡単に展開できたため、これは日本にとって問題にはならなかった。しかし今日の中国と朝鮮は相当手ごわい相手になっており、彼らは日本のアジア犬陸侵略に対して確実に軍隊を使って抵抗することになる。

中国と朝鮮によって支配されている領域に対して陸と海からの侵攻作戦は、かなり困難な作業になるのだ。まとめていえば、もし次の十年間ほどで日本がアメリカから離れて一つの大国になるとすれぱ、二十世紀前半の頃の日本よりも、十九世紀半ばのヨーロッパにおけるイギリス(訳注、大陸からの覇権国の出現を防ぐために外交・軍事を駆使して大陸内の勢力均衡を保った)のような存在になるだろう。

ロシアが二〇二〇年までに北東アジアで「潜在覇権国」になる可能性も少ない。ロシアが日本よりも強カな経済を短期間に築き上げることはほとんどあり得ないからだ。もしロシアが目覚ましい経済発展をしたとしても、日本が直面しているような中国どの人口の差の問題がある。

中国はロシアに比ぺて八倍もの人口を持ち、時間の経過とともにその差は広がりそうなのである。よって、豊かになったロシアでさえ、中国より強力な軍隊を編成できることにはならないのだ。

このようなロシアが抱える懸念は、ヨーロッパ方面での安全保障問題や、ロシアの南側の国境地帯における紛争(北東アジア方面へ展開するための軍事力を制限してしまう)などによって、さらに複雑化してくるのである。

中国は北東アジアの将来のカのバランスを理解する上で、鍵を握る国である。今日の中国は日本ほど経済的に豊かではないので、明らかに「潜在覇権国」ではない。

しかし中国の経済が次の二十年の間、一九八O年代からの割合か、もしくはそれに近い数値で拡大して行げぱ、中国は日本を凌いでアジアで一番裕福な国になる可能性はある。しかも実際はその巨大な人口規模のため、日本、もしくはアメリカよりも、遥かに豊かになる可能性をもっているのだ。

中国の潜在的なカを示すためには以下のようなシナリオを考えてみて欲しい。日本の一人当たりのGNPは、現在の中国の四十倍である。もし中国が今日の韓国と同じくらいの一人当たりのGNPを持つレペルまで近代化すると、中国は国家として実質的に日本の四・〇九兆ドルという経済規模よりも大きい一〇・六六兆ドルのGNPを持つことになるのだ。

もし中国が一人当たりのGNPで現在の日本の半分程度になったとすると、中国は二〇・O四兆ドルのGNPを持つことになり、これは国家として日本の五倍の豊かさを持つことになるのである。

もし中国人が最終的に一人当たりのGNPにおいて日本と同じ数値を持つことになれば、中国は日本より十倍も豊かなことになる。なぜなら中国は日本の十倍の人口を持つからである。

経済がこのまま急速な成長をつづけた場合に中国がどれだけ強力になるかということを示すもう一つの良い方法は、アメリカと比較することである。アメリカのGNPは七・九兆ドルである。もし中国の一人当たりのGNPが韓国と同じになると、中国全体のGNPは一〇・六六兆ドルになり、これはアメリカのGNPの規模の一・三五倍になる。

もし中国の一人当たりのGNPが日本の半分になると、アメリカのGNPの規模よりもほぼ二・五倍も大きくなる。念のために他の国と比較してみると、たとえばソ連(ロシア)は冷戦時代を通じてはアメリカの約半分ほとの経済カを持っていただけである。簡単にいえば、中国はアメリカよりもはるかに強力になれる潜在的な力を持っているのだ。

二十一世紀に中国経済がどこに向かうのか、そして中国は日本を追い越して北東アジアの「潜在覇権国」になるのかどうかを予測するのはむずかしい。しかしながら、この地域の軍事力の構成がこの先何十年の間にどのようになるのかは、実は二つに一つのシナリオしかない。

一つ目は、もし中国経済の急速な成長が止まり、日本が北東アジアで引き続き最も豊かな国でありつづけれぱ、日中のどちらも「潜在覇権国」にはならず、アメリカも軍隊を引き揚げることになるというシナリオである。

これがもし実現するならぱ、日本はほぱ確実に大国として振舞うようになり、独自の核抑止力を持ち、通常兵力の規模を大幅に拡大することになるだろう。それでもこの地域には.「パランスのとれた多極構造」日本がアメリカの立場に取って代わり、中国とロシアはそのまま大国の位置を保持する、は残ることになる。

ようするに、アメリカの撤退は北東アジアの基本的な力の構造を変化させることはなく、おそら<戦争が起こる確率を今より高めることはないだろう。しかしながら、日本がアメリカに取って代わることになれぱ、北東アジアが不安定になる確率を上げることにはなりそうである。

アメリカは平和を保つための強カな核抑止カを持っているのに対して、日本は現時点では核兵器を持っておらず、これを自前で確保しなければならなくなるからだ。しかしこのような核拡散のプロセスは、とくに中国、そしておそらくロシアとの衝突の危険を伴っており、核武装した日本の出現を防ぐために武力攻撃が行われる可能性も否定できない。

それに加えて、一九三一年から一九四五年にかけての日本の行動がアジア詰国に植えつけた根強い恐怖心は、日本が核抑止力を手に入れることになると確実に強まることになり、安全保障競争を激化させることになるのだ。

さらに「オフショア・パランサー」(訳注、ユーラシア大睦の沖にある、イギリスやアメリカのような海で隔てられた海洋国家のことで、大陸からの覇権国の出現を防ぐために外交・軍事を駆使して勢力均衡を保つ傾向がある)という立場から、アメリカは北東アジアの土地を征服することにはほとんど興味を持っていない。

すでに述べたように、中国がそれなりの大国として大陸に君臨している限り、日本がアジア大陸に軍事カを展開させることはほぽ不可能なのだ。

日本には中国と「尖閣諸島/魚釣島」、韓国とは「竹島/独島」、そしてロシアとは「クリル諸島(千島列島=北方領土)」をめぐっての領土争いがある。

また、中国は強力なアメリカとの大規模な戦争を戦うにはまだ軍事的に弱すぎるのだが、元々人口が少なく、アメリカの軍事力に取って代われるような軍事力を備えるだけの富を持っていない日本に対して戦争で負けるということは考えにくい、ということも指摘しておくべきだ。

二つ目のシナリオは、中国経済の急速な成長が続き、最終的に「潜在覇権国」になる、ということである。アメリカは北東アジアに居残るか、もしくは中国が競争相手にならないことを確実にするために、一度引き揚げてもいつの日か北東アジアに戻ってくるかもしれない。

ロシアと日本の二カ国だけでは、たとえインド、韓国、ペトナムが「反中(バランシング)同盟」に参加したとしても、中国を封じ込められる可能性は少ない。

このシナリオが実現すると、中国は経済的に最も豊かになるだけではな<、その巨大な人口によって、ロシアや日本よりも強力な軍事刀を築き上げることができることになるのだ。また、中国はさらに強力な核兵力を入手するだけの財源を手に入れることになる。

もし中国が北東アジア全域を支配しようとすれば、この地域は明らかに「不安定な多極構造」になり、現在よりもはるかに危険な場所になってしまう。過去の全ての「潜在覇権国」がそうだったように、中国も本物の「覇権国」になろうとする傾向を強めるだろうし、アメリカを含むその周辺の中国のライバル国家たちは、中国の拡大を防ぐために包囲網を築こうとするだろう。

ところが介入政策やその他の政策でも、中国の拡大への強烈な欲望を抑えることはできないのだ。簡潔にいえぱ、現在のヨーロッパや北東アジアの力の構造はほぼ安定した状態ではあるのだが、このような状態を今後二十年間持続させることはできない、ということになるだろう。

最も実現可能なシナリオによると、アメリカ軍のヨーロッパ撤退は、ドイツが欧州で支配的な国になると同時に起こることになり、これによってこの地域は現在の「二極構造」から「不安定な多極構造」に移り、ヨーロッパの大国の間に激しい安全保障競争を巻き起こすことになる。

その一方で、北東アジアの現在の力の構造は、以下の二つのシナリオの方向に向かいそうだ。

@中国が潜在覇権国にならないシナリオ。 この方向で行けぱ、アメリカはこの地域から撤退し、日本が圧倒的な大国になるきっかけをつくることになる。よって、この地域の多極構造は安定したものとして推移しそうなのだが、軍拡競争は現在よりもやや激しさを増しそうである。その理由は、日本がこの地域の大国の一員であるアメリカの立場に取って代わる点にある。

A中国が潜在的な覇権国として浮上するシナリオ。 この方向で行けば、北東アジアの多極構造はさらに不安定になり、アメリカは中国を封じ込めるためにこの地域に軍隊を残すことになる。
(諸君 2005年9月号 P102〜P105)


(私のコメント)
株式日記が民族主義的愛国主義的保守派でありながら現実主義的なリアリストである為に、とかく観念的に凝り固まった人からは白い目で見られることもあるのですが、株式日記は地政学的には親米派でありながら、経済的な内政干渉に関しては反米的なことを書き続けている。

まさにこのような考え方をリアリストと言うのでしょうが、理念や観念で凝り固まってしまうと柔軟な対応が出来なくなり、昨日の敵は今日の友といった事もできずに自分を孤立させてしまう事になる。ブログなどを見ると反共主義に凝り固まって毎日のように中国を非難攻撃しているブログも見かけますが、もっとリアリスト外交を身に付けないと外交戦略を誤ることになるだろう。

株式日記では2005年8月7日にミアシャイマー氏の論文を紹介しましたが、結論部分だけでしたので、今回は中盤部分の論文を紹介させていただきます。

ミアシャイマー氏の最近の論文としてはイスラエルロビーを批判した論文が話題になりましたが、アメリカでは非常に勇気のいる内容の論文であり、どうなる事かと心配してみていましたが、最近のイラク情勢はまさにイスラエルロビーによる活動でアメリカ外交は蝕まれているのだ。

イラク戦争に対してもミアシャイマー氏はネオコンと対立してイラク侵攻に反対しましたが、当時のアメリカでネオコンに反対意見をぶつける事は非常に難しい状況だった。しかしその後のイラク情勢はミアシャイマー氏の言ったとおりになり、ネオコンは理念に凝り固まって外交を見誤った。

それに対してリアリストは現実をよく見極めて最善を尽くすのが心情だから、すでにアメリカの国力をよく見極めてイラクに侵攻しても押さえ切れないと見ていた。株式日記でも衰退しつつあるアメリカとよく書きますが、イラク戦争の泥沼化を見ればアメリカの軍事力は明らかに弱っている事が証明されている。

それに対してリアリストのミアシャイマー氏は日本をロシアや中国に並ぶ「大国」と評価していますが、株式日記でも日本は超大国だと書いてきた。人口で見ても経済力で見ても経済水域を含めた国土で見ても日本は「大国」なのだ。にもかかわらず日本は大国としての外交戦略を持とうとしない事は、日本の政治家達の無能とアメリカ頼みの腰抜けポチ保守が蝕んでいるからだ。

リアリスト的に東北アジアの将来を展望すればミアシャイマー氏の書いたとおりになる可能性が高い。アメリカが衰退して東北アジアからも米軍は撤退していく事だろう。そしてその穴を埋めるようにして日本は軍事的にも大国化して、ロシアや中国ともバランスのとれた力をもつ必要がある。

その意味からいえば日本の核抑止力を持つ事は避けられないものであり、日本の核武装はロシアや中国が東北アジアの覇権を防ぐ唯一の方法なのだ。その意味においてアメリカ外交がリアリズム外交に徹するならば日本の核武装は認めることがアメリカの利益になる事になる。

リアリストのキッシンジャーも前々から日本の核武装を予言していますが、バランス・オブ・パワー理論からすれば当然の結論だ。しかし中国がどの程度まで経済発展するか変動要素があるので、それによっても将来の見方は違ってきますが、中国は経済発展と同時に軍事の拡大と内乱の激化で崩壊するという見方がある。

中国が内乱で崩壊してくれればアメリカが衰退して東北アジアから撤退してもバランスは崩れず、日本も軍事大国になる必要はないが、中国が軍事大国化して地域覇権国になる場合はアメリカは軍隊を東北アジアに残す必要がある。しかし衰退するアメリカにとってそれは可能だろうか? いずれにしろ日本の軍事大国化の可能性は準備しておく必要がある。

東北アジアの軍事的なバランスは北朝鮮の核武装によって崩れつつあるのですが、アメリカは韓国からも撤退しつつある。日本からも沖縄の海兵隊がグアムへ撤退しますが、いずれアラスカーハワイーグワムのラインに撤退するのだろう。それが実現すれば日本は好むと好まざるとに関わらず軍事大国化しないとパワーバランスは崩れる事になる。


◆東アジア共同体という危険な誘惑 2004年12月15日 園田 義明
http://www.yorozubp.com/0412/041215.htm

この点でライス論文はミアシャイマー理論と驚くほど一致している。さらに過去の事例から、ミアシャイマーはライバルがバランス・オブ・パワーを崩そうとした場合の具体的な戦略として「ブラックメール(blackmail=恐喝)」と「戦争(war)」をあげ、危険なライバルに直面した時にバランス・オブ・パワーを保つために使う戦略として、「バランシング(balancing」と「バック・パッシング(buck-passing=責任転嫁)」を取り上げている。

 「バランシング」とは自国単独もしくは他国と協力しながらライバルに対する勢力均衡を維持しつつ、その力を封じ込め、必要とあれば戦争をして相手を負かすことであり、「バック・パッシング」は大国が脅威を与えてくる相手国に対して、他国に対峙させ、時には打ち負かす仕事をやらせることである。そして双方が消耗しきった時に大国の出番となる。他にライバルに追随、従属するバンドワゴニング(bandwagoning)もあげられる。

なお、このネオ・リアリズムに属するウォルツやミアシャイマーが中東における軍事バランス崩壊の観点から、イラク戦争に関して明確に反対し、2003年2月に行われた外交問題評議会(CFR)でネオコンと大激論を繰り広げ、ネオコンが惨敗を喫したことは友人であるコバケン氏論文「リアリストたちの反乱」に詳しい。理論で負け、実戦でも予想以上の苦境に陥る現状にあって、ブッシュ政権内の主導権がネオコンからライス国務長官のオフェンシブ・リアリストへと移ったのは当然の結果である。

日本は戦後、憲法9条を盾に安全保障を米国に依存する「バック・パッシング」を採ってきたが、米軍の変革・再編(トランスフォーメーション)における陸軍第一軍団司令部のキャンプ座間(神奈川県)への移転や横田の第五空軍司令部の第十三空軍司令部(グアム)への移転・統合などを見る限り、ブッシュ政権は対中戦略に際して、日本の「バック・パッシング」を封じつつ、日本を中国にぶつける「カウンター・バック・パッシング」をシナリオに組み入れたと判断すべきであろう。


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