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戦争と価格統制  同じく『マネーを生み出す怪物』からの引用です
http://www.asyura2.com/0610/hasan48/msg/230.html
投稿者 姫 日時 2006 年 10 月 17 日 06:45:48: yNQo0naya4Ss.
 

(回答先: 入植地とインフレ 投稿者 姫 日時 2006 年 10 月 17 日 02:27:39)

『マネーを生み出す怪物』
G・エドワード・グリフィン著 吉田利子訳より引用します



 戦争で不換紙幣に逆戻り

 戦争がすでに存在する財力で賄われることは殆どありません。増税で戦費が調達されることもまずありません。政府が紛争のコストをすべて税として国民から徴収しようとすれば莫大な額になるから、どんなに熱心な戦争支持者でも支持しきれないはずです。ですが、マネーサプライを人為的に増やせば、真のコストは見えなくなります。もちろんコストはインフレを通じて支払われることになりますが、そのプロセスがわかっている人は殆どいません。アメリカ独立戦争も例外ではありませんでした。独立のつけを支払うために、22州連合も各州もせっせと印刷機を回しました。戦争が始まった1775年、マネーサプライ総額は1200万ドルでした。この年の6月、大陸会議はさらに200万ドルを発行しました。

 この紙幣が出回るより早く、さらに100万ドルの発行が認められました。年末に更に300万ドル。1776年には1900万ドル。1777年、2200万ドル。1778年、6400万ドル、1779年、1億2500万ドル。これだけではありません。大陸軍は資材を調達するため独自に総額2億ドルの「軍票」を発行しました。5年問にすでに流通していた300万ドルに加えて4億2500万ドルが加わったのですから、3500パーセントの増加です。しかも中央政府がマネーサプライを激増させたほかに、各州も同じことをしていたことも見逃せない事実です。1775年から1779年までの5年問にマネーサプライは5000パーセント増大したとみられています。対照的にこの5年の増税額は微々たるもので、数百万ドルに留まります。

 そしてハイパーインフレ

 この新しいマネーの洪水に、最初はみかけの繁栄に活気づいたものの、すぐにインフレが起こって、白已破壊的なメカニズムが働き出しました。1775年、コンチネンタル紙幣は1ドル金貨と交換されました。1777年には25セントに下がっています。発行後4年目の1779年には1セントの価値もありませんでした。「1コンチネンタルほどの価値もない(少しも価値がない)」という言葉は、この惨澹たる時代の名残です。靴1足が5000ドル、スーツ1着は100万ドルもしました。ジョージ・ワシントンが、「荷車1杯の金があっても、荷車1杯の食糧もろくに調達できない、」と書いたのはこの年です。ベンジャミン・フランクリンですら事態に気づきました。彼は皮肉っぽい調子でこう書いています。

 「うまく管理できれば、この通貨はすばらしい仕組みである。われわれが発行するときには、きちんと役割を果たす。兵士に給与を支払い、服を着せ、食べさせ、弾薬を購うことができる。だが大量発行を余儀なくされると減価してしまう」

 財政赤字が話題になるとき、よく聞くのが、私達はいま楽しんで、つけを未来の世代にまわしている、という批判です。しかし未来の世代も利益を得るのだから、払いを助けてもらっても構わないとは考えられないでしょうか? いやいや、騙されてはいけません。これは政治家が大衆をおとなしくさせるためにふりまく誤解だからです。植民地の人々が気づいたとおり、不換紙幣が使われている場合、政府が建物をつくり、公共工事をおこない、大砲を買う費用は、現在ただいまの労働と富で支払われます。すべて現在の労働で現在つくられなければならず、労働を提供する人問もいま賃金を支払ってもらわなければならないのです。金利支払いの一部が未来の世代にまわるのは確かですが、コストの元金はいまの世代が支払います。通貨の減価によって、いまの人々の賃金の購買力低下によって支払われるのです。

 価格統制と法貨

 物価が高騰し、植民地は賃金物価の統制法を制定しましたが、蒸気が漏れないようにヤカンの口に栓をするようなものでした。賃金物価の統制に失敗すると、今度は法貨を守らせる厳しい法律が次々に出来上がりました。ある法律では反逆罪まで持ち出すことになります。「今後紙幣による支払いを拒否るという国家への敬意徳に欠ける行動をとる者は…・国家の敵とされて、その旨を公表され、それに応じた処遇を受けて、植民地の住人とのあらゆる交易もしくは通商を禁じられる」というのでした。ロードアイランド州では紙幣の受け取りを拒否する者には重い罰金を科し、再犯者は市民権を剥奪されることになりました。裁判所がこの処分を違憲と判断すると、議会はただちに判事を呼び出して、即決で罷免しました。


 戦争の惨禍が植民地にとって厳しい負担だったとすれば、不換紙幣による破壊もそれに劣りませんでした。戦後、市場が現実に戻って、インフレ後にデフレが続き、物価は急落しました。消費者にはありがたいことでしたが、売り手の商人や多額の借金をして戦時のインフレ価格で土地や資材を購入した農民は、そんなことは言っていられません。下がった価格では借金を返済しきれず、抵当流れで多くの勤勉な農家が破綻しました。しかも、多くの人々にはまだインフレとは何かがわかってませんでしたから、尚も「紙幣による解決」を叫んでいます。いくつかの州はその圧力に負けて印刷機を回し続けることになるのです。


【参考】とても似たような統制、、北朝鮮
NET EYE プロの視点より
http://www.nikkei.co.jp/neteye5/suzuoki/20031126n56bq000_26.html 

北朝鮮"改革"の虚実(2003/11/28)

「北朝鮮が中国型の改革・開放に動いている」――。日本にはこんな見方をする人がまだ多い。日朝関係改善ムードを盛り上げようと、昨年、日本政府などがこうした情報をしきりに流したからだ。だが、この1年間半の事実を詳細に集めると、中国の改革とは全く逆の「統制強化」が狙いだったことが容易に分かる。
闇市場退治――国家統制強化へ

 北朝鮮は2002年7月から「経済管理方法の改善措置」を打ち出した。日本の"専門家"の中には、これをもって中国型改革・開放政策に動いた「証拠」と断じる人もいる。本当にそうだったのだろうか。北朝鮮の公式メディアや韓国紙などを通じ、確認された変化は以下のようなものだ。

▼物価▼コメの末端販売価格は1キロ8チョンを44ウォンに550倍に引き上げた。一方、買い入れ価格は80チョンから40ウォンと50倍に。平壌市内のバス料金は10チョンから2ウォンと20倍。これに伴い、ブルーカラーの基本月給は110ウォンから2000ウォンへと約18倍に引き上げた。

 一部メディアは、こうした事実からも「中国の二十数年前の改革と同様に北朝鮮も『市場メカニズム』を導入した」と主張する。だが、市場原理で価格が変動するようになった事実はない。逆に、いったんは配給価格を闇値に近づけることで、育ってきた「自由市場」を破壊し、国家が価格決定権を取り戻そうとしたことが明らかになっている。

 "改革"直後に、北朝鮮は、それ以前には公認していた「農民市場」でのコメ販売を禁止した。これをだけを見ても"改革"の目的が統制強化にあったのは明白だ。ただ、2003年3月に市場での販売許容品目を拡大するなど統制を緩めた。関係者によると、コメの販売禁止措置により、根絶されなかった市場でのコメ取引価格が暴騰する一方、配給ルートでもコメが不足したままだった。国民の不満を抑えるために「市場」を再び認めたと思われる。もっとも、市場でのコメなどの売買はあくまで新・公定価格で取引するよう政府は求めている。

 実は、北朝鮮経済は90年代半ば以降、完全に市場経済化していた。亡命者の証言によると食糧、衣料など基本的生活物資の配給量は急減し、普通の国民は配給だけではとても生活できない状態だ。彼らは闇市場や農民市場で値の高い物資を買い、かろうじて生き延びてきた。企業間の取引でも計画経済体制は完全に崩れた。原材料を購入する際も政府の決めた安い公定価格で売る企業はなく、実勢価格で買い付けるのが普通だ。改革・開放前の中国とは異なり、北朝鮮は闇市場が広がり、価格も販路も市場原理で決まる自由経済体制に突入済みだったのだ。

 闇経済体制を国家統制に引き戻すには2つ方法がある。ひとつは警察力による強制的な闇退治だ。だが、敗戦直後の日本同様、官吏から警察官まであらゆる人が闇経済に参加している以上、それは困難だ。統制を強化するには闇値を追認し公定価格をそれに合わせるしかなかったのだろう。改革政策を採用後、物価が急上昇したベトナムなども同様の手法を実施している。

 韓国の最大手紙、朝鮮日報が入手し、2002年10月16日付で報じた北朝鮮の幹部向け文書が興味深い。同紙によると北朝鮮政府は「今、国家価格が農民市場の価格よりも低いことから商売行為が横行している」と、「経済管理方法の改善措置」の狙いを率直に語っている。

 日本語で発行される北朝鮮系ネット新聞、朝鮮新報も2003年4月24日付で「これからは国家が価格を能動的に調節する」というチェ・ホンギュ国家計画委員会局長の発言を紹介した。これも「市場経済化の進展でこれまでは国家が価格をコントロールできていなかった」ことを示している。

リストラで企業と従業員に自活迫る

▼企業管理▼北朝鮮は国有企業に「独立採算制」を導入した。2002年3月の最高人民会議では洪成南総理が「企業管理では独立採算制を正しく実施しなければならない」と演説した。金正日総書記も2002年7月26日、「下部単位の創意性を高く発揮せねばならない」と述べた。

 これら一連の動きについても改革ととらえ、「中国への近似」を主張する人がいる。だが、そうだろうか。報じられた事実を重ね合わせると、国家財政を再建するために企業には増税した上で補助金をなくし、国民にはもっと働くことを求める政府の必死の姿が浮かび上がるだけだ。

 「『働いた分だけ報酬を受け取る』社会主義の分配原則が例外なく適用されるようになった」(朝鮮新報2002年7月26日付)。

 「工場、企業所は収入で評価され、労働者は働いた分だけ分配を受けるようになった。従来は生産計画を達成できなくても国家が従業員の賃金の80%を保証していたが、現在は工場、企業所の収入だけで従業員の賃金を賄わなければならない」(朝鮮新報2003年4月21日付)。

 公式報道を素直に読めば、北朝鮮の企業部門の"改革"とは「国は企業の面倒をもう見ない」ことに過ぎない。原材料と電力不足からほとんどの工場は正常に稼働していない。当然、従業員は社内失業状態だ。生産をしない企業に多額の補助金を支払うつもりはもうない、ということだろう。

 さらに、「法人税」は増やす。北朝鮮の文献には「企業所は『収益に基づく評価』を受けるようになる」との文言がしばしば出てくる。これは過去の安い公定価格をベースに算出していた納税額を、新・公定価格、つまり実際の利益額をベースに算定し直す、という意味だ。

 増税と補助金廃止に直面した企業の管理者は今後、堂々と従業員のリストラに動くだろう。政府は「(本当に)働いている者だけが賃金を受け取れる」と宣言したからだ。国民は配給価格の急激な上昇とリストラのダブルパンチを食らう。

 仮にリストラされなくとも生活はさらに困窮する。最近の亡命者からは「賃上げはちゃんと実施されていない」との情報がもたらされている。そもそも公定物価の上昇率は公式発表の賃上げ率と比べても高い。一部の日本の"専門家"が称賛するように、北が「人々の生きる道を整備すべく合理的な判断をした」と分析するのは無理がある。反対に、国民のカネを国家がより多く吸い上げる仕組みを作ろうとした、という方が正確だろう。

 中国のように、リストラされた従業員が相次いで新しいビジネスを立ち上げるのなら経済全体は好転するだろう。だが、その兆候は今のところ観測されていない。朝鮮日報2003年3月31日付によれば、"改革後"、零細商人の中朝間の貿易までもが厳しく統制された、という。政府機関や軍が貿易による利益を増すために独占を狙ったと見られる。

 朝鮮日報が入手した幹部配布用の文書からは北朝鮮の本音がすけて見える。「率直な話、今、国家にはカネがないが、個人には国家の2年分の予算を超えるカネがある」。

 これとても別段、不思議な話ではない。日本だって増税を図る財務省の中では、同様の会話が交わされているのだから。

なぜ、統制強化は昨年から?

 では、なぜ、北朝鮮は昨年から急に経済で統制色を強めたのだろう。米国との戦争、あるいは周辺国による経済制裁の可能性が高まる中、それに耐えうる経済システムを作るのが目的ではなかったか。

 太平洋戦争に突入する前の日本も経済の国家統制を強化した。戦時には国家が重要物資の生産量と価格を管理する仕組みが必要だったからだ。北朝鮮でも価格統制が効かない自由な市場がはびこり続ける限り、経済制裁を受けた際には物価が急騰し、国民の団結心はさらに失われて体制は容易に崩れるだろう。また、企業の隠れた自活ビジネスを追認したうえで実際の売上高と利益額を把握し、それに見合った税収を確保する仕組みを作らないと、国家は歳入を増やせない。

 国家財政は完全に破たんし機能していないと見られるが、北朝鮮はそれなりに生き延びてきた。一部の企業、そして政府の各部門や軍も特権を生かして政府の指令とは別の商売に精を出し、自活体制をある程度作り上げたからだ。だが、戦時あるいは経済制裁を受けた時には、国家の財政力が決め手となる。

 北朝鮮は「なぜ、今、統制強化か」を明確には語ってはいない。だが、労働新聞には戦時体制への準備を示唆した記事がある。

 「社会主義建設が帝国主義者とのし烈な対決の中で行われる。従って予想だにしない事態を主動的に克服しながら国の経済を順調に発展させるには、経済管理において実利の保障を確固として堅持せねばならない」(2002年8月6日付)。

 少なくとも北朝鮮は自身の変化を、一部の"専門家"が称賛するような「国際社会の常識に近づく動き」とは考えていない。

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