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【過労死増大を容認他】八代経済財政諮問会議民間議員のトンデモ発言の数々【五十嵐仁の転成仁語】
http://www.asyura2.com/0610/hasan48/msg/747.html
投稿者 傍観者A 日時 2006 年 12 月 20 日 20:41:08: 9eOOEDmWHxEqI
 

http://sp.mt.tama.hosei.ac.jp/users/igajin/home2.htm
12月19日(火)

八代経済財政諮問会議民間議員のトンデモ発言の数々

労働時間規制の除外(日本版エグゼンプション)は、「年収800−900万円以上に絞る」のだそうです。『日経新聞』12月16日付に出ていました。

 財界が求めていた年収400万円以上よりは高く設定されていますが、以前の厚労省案の1000万円よりは低くなっています。財界の主張に歩み寄ったということでしょうか。
 この年収の条件について、記事は「900万円以上は約307万人で5%程度にすぎない。働く時間を自律的に決められる管理職などの条件をさらに当てはめると、対象者は数%程度にとどまる見通しだ」と書いています。
 「対象者は数%程度」にすぎないというわけです。そんな制度を、どうしてこれほど執拗に導入しようとするのでしょうか。

 それは、先ず、制度そのものを導入したいということだからです。「小さく産んで、大きく育てる」という狙いでしょう。
 この問題を考えるうえでは、労働者派遣法の経過が大いに参考になります。先ず、限定された職種にだけ導入(ポジティブ・リスト化)するのだから大丈夫だと安心させ、その次には、特定の職種だけ禁止して原則自由(ネガティブ・リスト化)にし、さらに、その後、製造業にまで拡大されています。
 派遣の期間についても、歯止めを設けるからと最初は1年だったのが、その後、3年に延長されました。今ではこの期間の設定自体はずされようとしています。

 まさに、「小さく産んで、大きく育てられた」わけです。別の言い方をすれば、労働側は完全にだまされたのです。
 その結果、どうなったでしょうか。派遣労働者は増え続け、雇用の非正規化、不安定化、収入の低下が生じました。
 正規雇用労働者の非正規労働者への置き換え、働く人々の3分の1にまで増大した非正規雇用、ワーキング・プアと呼ばれる低賃金労働者の増加、これらの結果としての格差の拡大などが、大きな社会問題を生み出すほどになってきています。

 労働時間規制の除外(日本版エグゼンプション)についても、同じことが生ずるでしょう。今回、どれほど限定された形でもいったん制度が導入されてしまえば、後は、その限定を取り外したり、条件を拡大していけばよいわけです。たとえば、年収の条件を900万円から700 万円へ、やがては400万円へという風に。
 「そんなことをするわけがない」などと、言い訳しても無駄です。労働者派遣法では、まさにそのようなことをやってきた前例があるのですから……。
 それは成功したと、考えているのでしょう。だから、今度も同じように労働側をだますことができるだろうと……。

 この労働時間規制の除外(日本版エグゼンプション)の導入を強く主張している経済財政諮問会議民間議員の八代尚宏国際基督教大学教授は、昨日、内閣府の労働市場改革などに関するシンポジウムでとんでもない発言をしています。
 『毎日新聞』の報道によれば、八代さんは、「低成長のうえ、国際競争にさらされた企業が総人件費を抑制している中、非正規社員の待遇を正社員に合わせるだけでは、『同一労働・同一賃金』の達成は困難と指摘。正規、非正規の待遇を双方からすり寄せることが必要との考えを示した」といいます。「双方からすり寄せる」ということは、正社員の待遇を下げろというわけです。
 また、八代さんは「現在の格差問題が規制緩和の結果生じた、との見方を否定し『既得権を持っている大企業の労働者が、(下請け企業の労働者や非正規社員など)弱者をだしにしている面がかなりある』と述べた」そうです。格差は「大企業の労働者」が「既得権を持っている」から生じたのであって、この「既得権」を放棄して皆が貧しくなれば格差はなくなるとでも言いたいのでしょうか。

 実は、この八代さんは『朝日新聞』11月15日付のインタビュー記事でも、次のように語っていました。こちらの方が、本音がはっきり出ていると言えるかもしれません。

 いまの労働時間規制は時間と賃金が結びついている工場での働き方が前提だ。だらだら働いて残業代をもらうひとがいる一方、子供を抱える母親が効率的に働き、早く帰宅しても残業代がない。労働時間規制がなくなれば過労死につながるという批判もあるが、過労死するほど働かせる会社はやめられるよう、労働市場の流動性を高めることが必要だ。

 八代さんは「だらだら働いて残業代をもらうひとがいる」と言っていますが、“ばりばり働いても残業代をもらえないひとがいる”現実については、ご存じないようです。これほど社会的な問題になっている「サービス残業」について知らないのでしょうか。
 景気回復もあって、サービス残業は5年前の1.4倍にまで急増しており、昨年は初めて2万902事業所と、2万を超えました。なかには、22億円も支払わなかった大企業があったそうです。
 「だらだら働いて残業代をもらうひと」は、いくらもらったというのでしょう。払うべき残業代を払わなかった企業は、22億円もちょろまかしたのですよ。

 また、「子供を抱える母親が効率的に働き、早く帰宅しても残業代がない」と言っていますが、この労働時間規制の除外(日本版エグゼンプション)が導入されれば、「残業代」がもらえるようになるとでもいうのでしょうか。
 一方はもらえず、他方はもらえない。不公平だから、もらえないように揃えようというのが、八代さんの主張です。よくもまあ、しゃーしゃーと、こんなことが言えるものです。

 まだあります。「労働時間規制がなくなれば過労死につながるという批判もあるが、過労死するほど働かせる会社はやめられるよう、労働市場の流動性を高めることが必要だ」と言っている点です。
 この全段部分「労働時間規制がなくなれば過労死につながるという批判」について、八代さんが正面から反論していないということに注目すべきでしょう。「労働時間規制がなくなれば過労死につながる」可能性は否定できないからです。
 その代わりに主張しているのが、「過労死するほど働かせる会社はやめられるよう、労働市場の流動性を高めること」です。危ない会社は辞めろということは、やはり、辞めなければ過労死する可能性があることを認めているからです。

 しかし、ここでも八代さんは日本の実情を無視しています。確かに、過労死の可能性があるなら、会社を辞めればいいでしょう。でも、辞めた後、再就職できるのでしょうか。しかも、同じような条件で。
 実は、それが不可能なことを、八代さんは十分にご存じなのです。「やめられるよう、労働市場の流動性を高めることが必要だ」と言っているのですから。
 「労働市場の流動性を高めることが必要だ」ということは、現状はそうなっていないということです。したがって、今のままでは、たとえ過労死の可能性があったにしても会社を辞めることは不可能です。やはり、過労死や過労自殺はますます深刻になるにちがいありません。

 さらに、八代さんは、労働者派遣法によって定められている「企業が派遣労働者を3年雇用すると正社員にしなければいけない義務」についても、次のように攻撃しています。

 ――労働法制上、何が障害になっているのか。
 派遣労働の規制だ。労働者派遣法では派遣社員は正社員になるための前段階と位置づけているが、間違いだ。派遣法は契約期間を3年などと制限し、引き続き働いてもらうには正社員としての雇用申し込み義務を企業に課している。だが、企業は規制から逃れるために3年で辞めさせている。
 派遣を含めた非正社員は1600万人おり、全員を正社員化できるはずがない。非正社員なりに雇用を安定させることが大事だ。対象業務の制限、事前面接の禁止など非現実的な規制をなくすなど、派遣法を抜本改正し、純粋な派遣労働者保護法にしたい。

 この人が、どれほどとんでもない人かは、この発言からも明瞭です。3年で正社員にするのが嫌で企業が辞めさせているから、その期限をとり払えばよいというのです。
 そうすれば、ずっと働き続けられることになるでしょう。もちろん、正社員ではなく派遣社員として。
 「全員を正社員化できるはずがない」から、「非正社員なりに雇用を安定させる」というのも、つまり「非正社員」として働き続けられるようにするということでしょう。これらを派遣社員、非正社員の固定化と言わずして、なんと言ったらよいのでしょうか。

 八代さんは、「派遣を含めた非正社員は1600万人」もいると言っています。ここまで増やしてきたのは、いったい誰なんですか。それは、派遣労働に対する規制を次々と緩和してきたからではありませんか。
 「対象業種の制限」についても、なくすことを提言しています。派遣を全面的に解禁せよということですが、そうすればさらに派遣労働者が増えることは明らかではありませんか。
 「事前面接の禁止」などを「非現実的な規制」だと非難しています。これを守ろうとせせず、「非現実」化させた使用者を問題にするどころか、派遣労働者を守るための規制を取り払おうというのですから、方向が全く逆です。

 先の発言に続けて、八代さんは次のように主張しています。

 ――正社員の雇用保障も見直すべきだと主張されているが。
 低成長で正社員の雇用を守るために、非正社員がより多く必要になった。正社員の過度の雇用保障が若者や主婦の参入を妨げている。判例上、正社員を解雇できるのは、パートや派遣を解雇してからといった解雇規制も法律で修正すべきだと思う。解雇の金銭解決を認めるのは当然で、やめてほしいと言われた会社で無理に働くより、手切れ金をもらって新しい仕事を探した方がいい。

 ここでも、八代さんは嘘を言っています。「非正社員がより多く必要になった」のは、「正社員の雇用を守るため」ではありません。実際には、正社員を非正社員で置き換えたためです。
 労働者派遣法が施行された1986年に、正規職員は83.4%、パート・アルバイトは12.9%、派遣社員、契約社員・嘱託、その他は3.7%という割合でした。それから20年経った2006年には、この割合は66.8%、22.4%、10.8%と変化しています。

 このような変化は、94年以降、さらにはっきりしてきます。割合だけでなく実数としても正規職員は減少し、非正規職員は増大し続けているからです。
 94年に正規職員は3805万人でしたが、06年には3340万人と465万人減っています。これに対して、94年に971万人だった非正規職員は、06年には1663万人と682万人も増えているのです。
 研究室にこもっていた八代さんには、「リストラの嵐」によって正社員の人員整理が進み、社会問題となるほどに非正規雇用が増え続けている日本の現状が目に入らないのでしょう。現実を知らない人が、現実政策の策定にかかわってはなりません。とっとと、研究室に帰るべきです。

 このように、実際に増えたのは正規ではなく非正規です。これでどうして、「正社員の雇用を守るために、非正社員がより多く必要になった」などと言えるのでしょうか。
 八代さんの発言は、真っ赤な嘘です。したがって、その次の発言「正社員の過度の雇用保障が若者や主婦の参入を妨げている」というのも嘘です。
 正社員に対する「過度の雇用保障」などはなく、「若者や主婦の参入を妨げている」わけでもありません。「参入を妨げている」のであれば、どうしてこんなに増えたのでしょう。八代さんには、説明できるのでしょうか。

 なお、ここで、八代さんが「解雇の金銭解決」について触れているのは重要です。それは「正社員を解雇できる」ようにするためだということが、はっきりと分かるからです。
 この制度が導入されれば、正社員の首が切られやすくなるに違いないという労働側の杞憂は、「杞憂」ではなく、まさにその通りの狙いに基づくものだというわけです。
 これを正当化するために、八代さんは「やめてほしいと言われた会社で無理に働くより、手切れ金をもらって新しい仕事を探した方がいい」と述べていますが、今の日本で「新しい仕事」がすぐに見つかるような状況にあると考えているのでしょうか。そもそも、「手切れ金をもらって新しい仕事を探した方がいい」かどうかは労働者自身が判断すべきことで、他人がとやかく言うようなことではないでしょう。
 ただし、この「解雇紛争の金銭解決制度は労使合意のメドが立たず、導入の見送りを決めた」(『日経新聞』12月16日付)そうです。

 非正規雇用労働者の固定化と正規雇用労働者の待遇・労働条件の低下によって、日本の労働者全体を低位平準化させようというのが、八代さんの主張です。誰が見てもとんでもない、このような主張が堂々と唱えられるようになっているのが、今の日本なのです。
 こんな人が経済財政諮問会議の労働市場改革の専門調査会の会長に就任する予定で、「労働ビッグバン」の旗を振っていることに驚いてしまいます。「実情を知らない」のではありません。知っているのに、それを無視して無理矢理、制度を変えようとしているのです。
 日本の労働者を疲弊させ、産業基盤を堀崩そうとしているアメリカ産業界の走狗としか言いようがありません。とっとと委員を辞めるべきでしょう。

 それにしても、ひどいものです。この日本はどうなってしまったのかという思いがします。
 政府の責任ある政策形成機関のメンバーが堂々と嘘を言い、それを日本を代表する新聞がそのまま掲載しています。実情を知らない人が見れば、八代さんの言っていることは本当だと誤解するでしょう。
 このようなデタラメな人間が経済財諮問会議などに起用され、その虚言が堂々とまかり通ってしまうところにこそ、日本の真の危機が存在しているのだと言うべきかもしれません。しかし、まあ、政府税制調査会の責任者も、「ホンマかいな?」と言いたくなるような、あんな人なんですからネー。

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