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教育基本法を巡る議論(1) [国会TV]
http://www.asyura2.com/0610/senkyo27/msg/1319.html
投稿者 white 日時 2006 年 11 月 09 日 13:48:24: QYBiAyr6jr5Ac
 

□教育基本法を巡る議論(1) [国会TV]

 http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20061108-01-0601.html

2006年11月8日
教育基本法を巡る議論(1)
 臨時国会の最重要法案は前の通常国会から継続審議となっている教育基本法改正案である。前国会ですでに約50時間の審議を行っており、今国会で成立させる事ができなければ安倍政権は鼎の軽重を問われる。
 
 しかし教育基本法は憲法と並んで国家のありようの根底を形作るものであり、本来は広く国民も巻き込んで様々な角度からの議論が展開されることが望ましい。そのためにはメディアが国会審議の詳細を逐一国民に伝えるべきだが、残念ながら前国会では「愛国心」の部分だけが、今国会では「未履修」を巡る発言ばかりが報道されている。
そこで特別委員会の議論の中からいくつかユニークな論点を取り上げて紹介することにしたい。
 
 文明論という大きな視点から教育を語ったのは自民党の鳩山邦夫議員である。
 鳩山議員は世界の文明を「自然を破壊する人間中心の文明」と「自然と共生する文明」とに分類してこう述べた。
 
 「植物文明、動物文明という比較でもいいんですが、要するに、稲作をやって森の中で暮らす。自然と共生する。永劫の再生と循環という思想の中で、太陽は、夜になると死ぬけれども、また朝よみがえるというような考え方、冬から春へ来るときも同じでございましょう。森の中でいろいろなものを収穫する、あるいは稲をつくる。彼らは、土地を拡大する必要が全くありませんから、自然と共生して、同じ領地というか同じ土地の中で幸せに暮らすことができる。
 
 縄文文明は武器をつくることさえ知らなかった。中国の長江文明も武器すらつくる必要がなかった。しかも、病気がなかった。動物を無理に飼育しませんから病気はない。はしかというのは、あれは犬の病気です。これを人間の世界に取り入れている。ハンセン氏病は水牛です。結核、ジフテリア、天然痘は牛です。インフルエンザは豚と鶏から人間はうつるわけです。縄文時代や、あるいは同じ自然と共生する民が住んでいたアメリカ大陸、インディアン、インディオは一切そう言う病気はなかったわけです。まことに平和だ。宗教的に言えば、仏教の山川草木悉皆成仏という考え方。神道、ありとあらゆるものに神を見る。要するに、自然界のすべてに対する畏怖ですね。
 
 ただ、一神教ですと、どうしても、人間、愛を中心に訴え、人間のためには他を奪ってもいいというような。(中略)あのイラク戦争が始まったときに、ああ、なるほど、自然と共生しない文明同士が戦争を始めたなという印象を私が持ったのは事実です」
 
 「日本には縄文時代以来、自然と共生する立派な文明があった。この文明原理はずっと根本において続いてきていますから、我が国の森林被覆率が6割を優に超すというのは、こういう日本のすばらしい文明のお陰であり、いろいろな方が日本人の美徳と言われるものは、やはり文明の質だと思うんですね」
 
 「この森の民由来の先進国というのは、実は日本だけなんですね。例えば、自然と共生するケルト人の古ヨーロッパ文明というのがあった。ゲルマン民族に追われてイギリスへ、イギリスを追われてアイルランドへ。そのケルト人の歌がエンヤさんのつくる歌であり、C・W・ニコルさんが日本でアファンの森づくりをやっているのではないか」
 
 「私は、そういうすぐれた文明の担い手だった日本、そのことを理解させることがあって初めて、国を愛する心や態度が生まれるのではないか。それが日本人の誇りになり、アイデンティティになると思うのです。誇りもアイデンティティもなかったら愛国心は生まれてこない」と鳩山邦夫議員は述べた。
 
 鳩山議員が言うように日本人の中には自然に対する畏怖と感謝の心があり、それは綿々と受け継がれてきたと思う。食事をするときキリスト教徒は神に感謝をささげるが、日本人は「(命を)いただきます」と言って人間のために命をささげてくれた植物や動物に感謝する。樹木や岩石に霊的なものを感じ、それらを神として祀り参拝をする。そうしたことは今でも違和感なく受け入れられている。古来から日本人が育まれてきた文明を評価し、それを教えることに全く賛成だが、そのためには明治以来の教育の在りかたを根本から考え直す必要があるのではないだろうか。
 
 「西洋に追いつき、追い越せ」と猛烈な勢いで西洋文明を取り入れた明治政府は、そのために日本人が古来から受け継いできたものの多くを犠牲にした。中でも私が問題にしたいのは音楽教育である。明治政府は五音階の日本の音楽を教えずにむりやり七音階の西洋音楽を教えることにした。義務教育の小学校でドレミファソラシドが教えられるようになり、日本人は自分たちが受け継いできた音楽の世界を忘れさせられた。
 
 西洋音楽のルーツはキリスト教会の賛美歌だと言われる。そうなると多神教の世界の民である日本人が一神教の世界の音楽を強制され、それが百年あまり続いてきたということになる。
 しかし20世紀の終わり頃から西洋では多神教の世界の文化を評価し、取り入れる動きが出始めた。アメリカで起きたヒッピー文化は自然と共生するインディアン文化の影響を受けたものである。それはキリスト教文化に対する反逆であった。あのビートルズも最後にたどり着いた音楽の世界は五音階のインド音楽である。日本の尺八や三味線が西洋で評価され、再び日本で見直されるようになった。ケルトの音楽、沖縄の音楽など辺境の地の五音階の音楽が世界で人気を集めるようになった。にもかかわらず日本の音楽教育は今でもドレミファソラシドしか教えない。
 
 百年前の「西洋に追いつき、追い越せ」はもう十分だ。それよりも日本人の血の中に流れている固有の文化を再発見する教育が必要なのではないか。

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