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この国は人形芝居型国家なのか?(高橋清隆氏を紹介する)(神州の泉)
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投稿者 天木ファン 日時 2006 年 10 月 01 日 00:30:35: 2nLReFHhGZ7P6
 

2006年9月29日 (金)

この国は人形芝居型国家なのか?(高橋清隆氏を紹介する)

 ここに記載する記事は、植草一秀氏の逮捕に関してもそうだが、私
(高橋博彦)と同様の、あるいは極めて似通った視点で、昨今の社会
現象を捉えている方の文章である。彼の名は高橋清隆(きよたか)氏
である。私は彼と会っていろいろと話をしたが、さまざまに生起する最
近の社会事象や、戦後の日本の歩みに対して、非常に鋭敏かつ深い
洞察力を持ったお人だと感じている。私は彼からいろいろ重要な示唆
を受け取った。

 今の日本を取り巻くメディアのバイアスのかかった空気や、それに巻
き込まれていながらも、そのバイアスに気がつかず、何にも疑いも持た
ずに偏頗な報道を鵜呑みにする人々。そういった昨今の日本の気持ち
悪さ、それが案じさせる危険な方向性を、高橋清隆氏も、私と同じく強
い憂慮の念を持って眺めている。このブログで今後も彼の文章を披露
して行こうと考えている。

 以下は高橋清隆氏が、植草報道に関して、特に警察の第一次発表
そのものにも「おいおい、ちょっと待てよ」という感じを持つことや、その
情報源を元に、あまたのメディア類が書き散らかしている記事や報道が、
問題の核心から逸れた興味本位の偏頗なアウトプットとして世間に放
散されていることなど、これらの背後に屹立する巨大なリバイアサンの
姿を冷静に直視し、分析している。

 そういうメディアの節操のなさや報道管制的態度が、この国のメディ
アには明らかに存在する。それを奇異に思わない今の日本の不気味
な空気・気配というものを、清隆氏は社会学的に鋭敏な視点で的確に
衝いている。皆さんにも是非お読みいただきたいと思う。

                   「神州の泉」管理人  高橋博彦

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9月26日(火)


 人形芝居型国家
                     

                            高橋清隆

 今日、大田区の蒲田署に行ってきた。植草一秀名古屋商科大学客員教
授の逮捕事案について、詳しい話を聞くためだ。植草教授は電車内での痴
漢容疑で逮捕され、13日たった今も拘置されている。2年前にも手鏡を使
ったのぞき容疑で逮捕され、有罪判決を受けたが、本人はえん罪を主張し
ていた。

 氏は小泉改革批判を一貫して厳しく展開している。先回は同種の事件と
しては異例の家宅捜索まで行われ、今回は会社のパソコンまで差し押さえ
られている。その一方、報道では「被害者」と「取り押さえた男性2名」が知
り合いなのかどうか、植草氏がどこから乗ったのかも触れられていない。そ
の上、「被害者が声を上げたため近くにいた男性2人が気付いた」とする記
事と「目撃していた男性2人が取り押さえた」という記事の2通りが存在す
る。短い警察発表を基に、各紙が憶測で書いた証左に見える。不明な点は
はっきりさせなければならない。

 「フリーライターですが」と署の受付に行くと、当事件の責任者であるとい
う副署長に内線連絡してくれたが、「一切お答えできません」との返事だっ
た。その上、「取材は警察庁の広報室で報道機関の登録許可を得てから
来てください」とくぎを刺された。

 植草教授はまだ容疑段階にあり、自身の会社のホームページで潔白を
訴えている。しかし、「容疑否認」の続報を出したマスメディアは時事通信
と『スポーツニッポン』だけだった。『毎日新聞』に至っては唯一の記事で
「否認」の文言もない。わたしは神でないから、真実がどうかは知るよしも
ない。しかし、「公正・中立」を旨とするマスコミ人が容疑者と犯罪者を同
一視し、氏を常習変質者と決めつける興味本位の記事も繁殖している。
権力と闘っているつもりのジャーナリズムが自分の足で取材せず、警察
発表を垂れ流すだけの機関に堕していることに失望する。

 植草氏は某誌9月号で、りそな救済に絡む竹中平蔵らのインサイダー
取引疑惑を指摘したばかりだ。近日発売予定の暴露本があったとのうわ
さもある。記者たちはこうした重大な背景を念頭に、小さな事件も慎重に
扱うべきではないのか。しかし、そうさせないものがこの国の報道体制に
あるのかもしれない。記者クラブに登録しなければ取材が許されない。記
者発表以上のことを発表者の意に反する方向で書けば、後で上司を通じ
て怒られることになる。大抵それ以前に内部で削られる。運良く載れば、
記者クラブから外され、何も情報をもらえなくなる。職に有りついているた
めには、つまらない発表資料でも、ほかにコメントをもらえなければ、それ
で書くしかない。記事がないよりはましである。万が一生活するに十分に
お金があって、独立できたとする。フリーで登録できても、危ない記事を書
けば、今度は直接狙われる危険性が常につきまとうだろう。住所も連絡
先も提出しているからである。

 植草事件に限らず、新聞やテレビでは問題の核心を欠いた空疎な議論
がよく展開される。マスメディアを覆う深い闇は、こうした"会員制"取材管
理体制を装置に維持されているのかもしれない。

 昨年の「郵政国会」のとき民主党の桜井充参議院議員が、米国から出
される「年次改革要望書」について取り上げた。郵政民営化への指示も、
これに明記されている。竹中大臣は同文書の存在を知らないと答えたが、
前年の衆議院予算委員会ではその存在を認めている。どの新聞もこのこ
とを報じないばかりか、今に至るまで「年次改革要望書」という文字を一
切載せていない。

 8月ごろから、医師不足が問題にされ始めた。NHK総合「特報首都圏」
では、少ない医師状況を創意工夫で乗り切る各地の事例を紹介した。毎
日新聞の「闘論」では、医師不足を偏在性と見る識者と絶対数不足と見
る識者の意見を併記していた。地方の医師不足は2002年と2006年の
2度にわたる診療報酬のマイナス改定と医局制廃止が原因なのは明らか
だ。報酬が下がった結果、地方の零細な診療所では経営が悪化し、閉鎖
が相次いでいる。改革によって自由選択が始まる前は、国家試験に合格
した研修医は出身大学の医局に残ったまま配属先の病院が人事で決め
られた。わたしは医療の専門家でも何でもないが、『奪われる日本』関岡
英之(講談社現代新書)を読んで初めて合点がいった。小泉首相は米国
の要求に応え、民間保険会社に医療保険商品の販売市場をつくるため
医療費の患者負担の相次ぐ引き上げを実施した。これに反対する日本
医師会が郵政民営化法案に反対する自民党非公認候補を応援したため
の報復が診療報酬の引き下げと言われる。マスコミが「医師の名義貸し
問題」を騒ぎ立てて医局制廃止に貢献したため、これを原因に挙げない
のはまだ分かる。しかし、医師不足問題を取り上げるとき、専門家も含め
なぜマスメディアは診療報酬の改定に触れないのだろう。

 わたしの取ってる全国紙は、「農業コンクール」や「街元気シンポジウム」
などを所管官庁の後援で開いている。「農業コンクール」の上位入賞事例
は、毎年紙面に掲載される。今年は40万羽を目標に規模拡大に挑む養鶏
所や26ヘクタールの茶畑を経営する製茶メーカーなど。社説は規模の拡
大を絶賛し、講評として大学教授が企業家意識と専門化を歓迎した。しか
し、農水省の統計によれば、前回の調査から全国で5000の集落が消え、
今年ついに全国の過疎地比率は50パーセントを超えた。米国が要求し続
ける農業自由化が着実に進んできた結果である。農水省は農地法を改正
し大規模化・法人経営化を促進しているが、新聞は成功事例を紹介するば
かり。根本原因である食管法廃止を論じたり、自由化がもたらす弊害を扱
った記事を見たことがない。

 6月末に開かれた「街元気シンポジウム」は、都市計画法と中心市街地
活性化法の改正を機に開かれたもので、座談会と基調講演の内容、「が
んばる商店街77選」の受賞事例が新聞に掲載された。商店街の衰退問
題はNHKでも新聞でもよく取り上げられるテーマだが、「シャッター通り」化
を招いた最大の原因である大店法の廃止に言及したものを見たことがな
い。日米構造協議で米国に撤廃を要求され、相次ぐ基準面積緩和の末、
2000年に全廃された。今回の特集紙面も隅々まで見たが、原因に言及
することなく、創意工夫で乗り切っている商店街を礼賛しているだけだっ
た。前中小企業庁長官の基調講演は特にひどい。「弊害の原因はそんな
に難しいものではない。モータリゼーションや住み方、あるいは街の将来
像を考えずに公共施設を郊外に移転してきたことも原因だ」ととぼけた挙
げ句、「やはり商いをする人たちの工夫が大事だ。9割の商店街が疲弊し
ていると言ったが、逆に言えば1割の商店街はにぎわっている所もある」
としゃあしゃあと言ってのける。自分たちが外圧に押されるまま廃止した
大店法に触れたくないのは理解できなくもないが、誰もこれに言及しない。

 秋篠宮殿下に親王が誕生したことで、2600年にわたって国体を守って
きた皇室滅亡の危機は一時的に回避された。引き続き検討しなければな
らない皇室典範見直しについて、NHKの「時論・公論」や新聞紙上でも議
論が行われている。世界に例を見ないほど永きにわたる王室を断絶の窮
地に追い込んだのはGHQである。天皇本家を残し、11宮家の廃絶を強
制した。占領統治後は日本人の心をまとめる装置などない方がいいとの
判断からだろう。11宮家が皇族離脱したことに触れるマスメディアはある
ものの、「皇族復帰は国民の理解が得られるものでない」「この選択肢は
もはや現実的でない」などと論外な主張として片付けている。

 それぞれの問題について、どんなに詳しい専門家や勉強秀才たちが難
しい言葉で議論を続けたところで、肝心な部分に触れないのでは永遠に
解決に至ることはない。前小泉政権は、よく「劇場型政治」と言われた。メ
ディアで訴えて得た国民の支持を武器に、党内で反発のある改革を次々
と断行するスタイルを指すのだろう。しかし、それだけなら大衆政治という
平易な言葉で済まされる。米国が操っていることを、わたしはこの言葉に
含ませたい。その意味で、人形芝居と言った方がいい。劇の語り手であ
るマスメディアは、人形使いの存在を知らないふりをし続ける。演目は政
治にとどまらず、社会的事件、音楽や映画など文化、スポーツなど国民
生活全般に及ぶ。大衆は人形芝居の観客。子どもが語り手に反して本
音を言うとしかられ、それに耳を傾けては職を失う。ただし、劇を見ている
限り、現実は直らないのである。このお芝居は敗戦からずっと続いている
のではあるまいか。


http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2006/09/post_2516.html

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