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北朝鮮核実験：独自制裁で「安倍外交」アピール
政府が１１日夜に対北朝鮮独自制裁発動を決めたのは、国連安保理で制裁決議案をめぐる調整が大詰めを迎える中、「安倍外交」をアピールするギリギリのタイミングと判断したためだ。政府内には「国際社会が核実験と断定してから」との意見もあったが、これ以上待って安保理決議と重なれば独自色が薄れるという計算から、あえて突出するリスクを負った。
「安保理の動きが早かった。決議案採択の前に日本が先頭に立っていると示す必要があった」。安倍晋三首相の周辺は緊急決定をこう解説した。
政府は当初、首相が中韓歴訪から帰国した９日にも独自制裁に踏み切ることを検討したが、失敗説や通常爆弾による偽装説なども浮上。政府内からは「日本が先行することは慎んだ方がいい。（北朝鮮が核実験だと）言っているだけで、そうじゃない場合もある」（麻生太郎外相）などの声が出ていた。
首相には中韓歴訪に続き、外交分野で指導力を発揮したい狙いがある。制裁決定の発表文に核実験に加え拉致問題も盛り込んだのは、首相の直接の指示。衆院統一補選（２２日投開票）を控え、北朝鮮に毅然（きぜん）とした姿勢を示し、戦いを優位に進めたい思惑もあるようだ。【古本陽荘】
◇対北朝鮮制裁決定を受けた安倍晋三首相と記者団のやり取りの要旨は次の通り。
−−核実験の実施が確認されないまま、独自制裁を決めたのはなぜか。
首相 首相として日本人の生命と財産を守る立場から北朝鮮の行動を断じて容認するわけにはいかない。すでに能力を向上させているミサイルと核能力を合わせれば、地域に大きな脅威だ。特に日本が大きな脅威を受ける。北朝鮮は拉致問題についても誠意ある対応を取ってこなかった。そういう観点から、厳しい措置にならざるを得ないと判断した。１日も早く北朝鮮が日本や国際社会の懸念に応えることを求めたい。今回の措置は国民の安全と日本の平和を守るための措置であることを国民の皆様にもご理解いただき、ご協力をお願いしたい。
−−非常に厳しいが。
首相 北朝鮮は「核実験をやった」と宣言している。国際社会はすでに北朝鮮に対して厳しい対応を取ることで議論を始めている。そういうことを総合的に判断した。
−−今日のタイミングで、国連安保理決議を待たずに決めた理由は。
首相 国連安保理で決議されれば、追加的な措置を検討したい。
−−北朝鮮が暴発する危険はないか。
首相 暴発論はいつも起こる。船舶入港禁止の法律を作る時も大変なことになるという議論があり、ミサイル発射の際にも制裁を科したらそうなるという議論があったことを思い返していただいたらいい。
毎日新聞 2006年10月11日 23時09分 （最終更新時間 10月12日 1時09分）
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20061012k0000m010131000c.html
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