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植草つぶしは「りそな問題」の隠蔽にある(3)  りそな問題にひそむ表の欺瞞性と裏の犯罪性(その二) 「神州の泉」より。
http://www.asyura2.com/0610/senkyo27/msg/630.html
投稿者 新世紀人 日時 2006 年 10 月 16 日 15:17:19: uj2zhYZWUUp16
 

http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2006/10/3_b453.html
植草つぶしは「りそな問題」の隠蔽にある(3)
  りそな問題にひそむ表の欺瞞性と裏の犯罪性(その二)

 前回記事では、葉山元氏の「国富消失」に書かれてある、りそなホール
ディングスの実質国有化までの経緯を簡略に書いてみた。その時系列に
従った「推移」の中には、実は同時に二つの位相で進んでいた重要な問
題があった。それについては、目に見える形で進んだほうを「表」、見えな
い形で進んだほうを「裏」と今は便宜的に言っておく。小泉・竹中構造改革
に内在する、この表と裏の関係は、この内閣に先天的に横たわる巨悪の
本質をよくあらわしている。

 まず表の方になるが、かつてのイギリスのサッチャリズム、中曽根政権
時代のレーガノミクスを参考とし、それを踏襲した新自由主義(新古典主
義)経済をモデルとして小泉構造改革路線はスタートした。この経済思想
の中核を担ったのが竹中平蔵であった。小泉内閣が、それまでに残存し
ていた日本型資本主義構造を完全に破壊して、急進的突発的に「新自
由主義経済」型社会に我が国の構造を造り替えて行ったことは事実であ
る。国民の大多数は、新自由主義、新古典主義経済と言っても、ほとん
ど何のことかわからずに、せいぜい小泉はアメリカ型に似た経済システ
ムを導入しようとしているんだなくらいにしか思っていない。

 本人が意識しているかどうかは別にして、小泉純一郎が新自由主義
経済を日本に敷設したことは明らかである。最もわかりやすいのが、累
進課税の撤廃と所得格差の急激な現われである。新自由主義経済学
の大御所であるミルトン・フリードマンは次のように言う。

「わたしは自由主義者として、もっぱら所得を再分配するための累進課
税については、いかなる正当化の理由をも認めることがむずかしいと考
える。これは他の人びとにあたえるために強権を用いてある人びとから
取り上げるという明瞭な事例であり、したがって個人の自由と真正面か
ら衝突するように思われる。」(政府からの自由)

 何のことはない、彼の主張はケインズ思想への徹底的な憎悪であり、
伝統ある国家の意義を完全否定する経済思想なのである。簡単に言え
ば、国家は鎖であり、足かせであり、くびきであり牢獄のようなものだと
いう国家否定である。小学生にもわかりやすく言うならば、人間は本来
自由であり、その権利と思いを何の障害もなく行動に移すことができる
社会を造ろうという考え方なのである。食い物を見たら自らの力で奪い
取って食え、より良い生活を望むなら自らの力で築き上げろ。そのため
には手段は選ぶなという徹底した弱肉強食の世界である。そして何よ
りもその思想が過激で特徴的なことは、国家が人間の自由を阻害する
諸悪の根源であるということにある。まあ、学級崩壊に関して言うなら、
生徒個人の人権意識を、究極的な過剰レベルで認めてしまうと崩壊
(クラッシュ)にいたるわけであるが、その現象の根幹にあるものも、フ
リードマンたち新自由主義者が志向した極左急進的アナーキズムに
ほかならない。行き着くところは無政府主義なのである。

 フリードマンの世界では政府や国家そのものが、人々の自由を奪い、
個人の行動を制限する悪しきケモノ、すなわちホッブスのリヴァイアサ
ンである。経済的視点から言うなら、あらゆる縛りから解放された市場
は、自ら理想的な秩序を形成して上手く行くのだという思想である。
(ハイエクの言う自生的秩序)しかし、そういう世界とは、イメージ的に
言うならば、あの拳劇コミック「北斗の拳」の舞台になった荒廃した近
未来世界の姿であろうか。

 すなわち、絵に描いたような優勝劣敗の世界である。動物の世界はそ
ういう風になっているから、動物の一種である人間社会もそういう傾向
になって当然ではないかと思う人がいたら、その人は自分の知性を疑
うべきである。生態学的実相では弱肉強食ではなく、生物同志は総体
として共生関係にある。つまり、求むべき人間社会の実相として、より
正しい姿とは、欧米連中が自明とするチャールス・ダーウィンから派生
した社会ダーウィニズム(ハーバート・スペンサーなどに代表される進
化論的社会学)などではなく、今西錦司博士が提示した棲み分け、す
なわち共生的進化論による社会学なのである。そしてこの視点こそが、
我が国、日本の伝統的社会構造に合致するのである。経済学もこの
視点を重視する必要がある。今の我が国で、この方向性を持つ最も
ふさわしい経済学者は植草一秀、あるいは内橋克人を置いて他にい
ないだろう。

さて、話を戻すが、 所得格差の度合いをあらわすジニ係数の動きを見
てもわかるように、小泉内閣になってから、日本は明らかに典型的な傾
斜配分へ急速転換した。すなわち深刻なる格差社会である。小泉が累
進課税構造を破壊したからである。「旧弊なる自民党をぶっ壊す!」とい
うスローガンをぶち上げ、「小泉ポピュリズム」を醸成した低知能連中の
喝采を浴びた小泉は、文字通りの破壊を行ったが、彼がぶち壊したもの
は、伝統的日本が築き上げた知恵によって形成されていた優れた社会
構造であった。時代が進展し、世の中の形に合わなくなってきた旧弊構
造は改善する必要があるが、そのことを以ってして、日本型構造全体を
悪と看做し、それを根こそぎ破壊することは重大な犯罪である。

 小泉が行った構造破壊の型は、ラディカルな構造改革というよりも、ど
ちらかと言えば革命政権の行動様式にそっくりである。ただ、アメリカの
傀儡として行った構造破壊を革命と呼べるかどうかは疑問の余地があ
るところである。国民は小泉の狂気の熱気に巻き込まれ、この重大か
つ歴史的な大犯罪を見過ごしたのである。これはまさに、あのドイツ・ワ
イマール共和国時代におけるドイツ国民精神の落魄、退嬰化を髣髴と
させるできごとである。

 小泉には初期から国家のグランド・デザインがまったくなく、怨念のみ
で日本的国家構造なるものを選択的に破壊して行った。多分、小泉自
身はフリードマンなどという言葉さえ知らないだろうが、彼が行った構造
改革の思想性をこちらから忖度すれば、その手法は明らかにフリードマ
ンの考え方に沿っている。彼のやったことは、福祉の切り捨て、累進課
税構造の変更による大企業優遇、中小零細企業への税制的圧迫、非
正規社員の増加、国家的安定システムとして我が国の社会を守ってい
た郵政事業を解体し、その莫大な富を市場経済に投擲したこと等、彼
の政策的行動原理がすべてフリードマン思想に収斂しているのである。

 これをひと言でいうならば、小泉構造改革とは『日本破壊』なので
ある。

 以上、りそな問題に言及するために、その前提的背景として、小泉・竹
中路線の性格というものを私なりに簡単に説明した。これをある程度説明
しておかないと植草氏の政策批判の要諦が見えてこないからである。さ
て、冒頭で言ったように、小泉構造改革路線には、表と裏の二つの位相
が同時に進行していた。表は小泉構造改革がアメリカに利益を供与する
方向性しか持たない目的で行われたことを言う。ただし、小泉・竹中たち
が「隠しモデル」として採用した「新自由主義」は、アメリカの意向を百パ
ーセント汲んで行われているものであるから、これは個人の自由も国家
の自由もまったく関係なく、奴隷経済構造そのものである。

 つまり、小泉構造改革の真意とは、日本がこれまでに築き上げた経済
構造や伝統的慣習を根底から破壊し、国富流出の装置を新たに築き上
げることにあった。装置とは言っても、改革という名前を前面に推し出し、
日本の社会や国益をガードするさまざまな規制を、アメリカに都合のいい
ように撤廃、あるいは極限的な緩和を行ったことである。この動きの中心
に郵政民営化が存在するが、これについては別記事であらためて考察
するつもりである。とにかく、国民は気付くべきである。グローバリズム経
済に沿った構造改革というものは、この経済思想に親和性をもたらすた
めに行う改革だなどという生易しいものではなく、それは国家の尊厳と自
己同一性を根こそぎ破壊するための、アメリカによる日本破壊であること
を銘肝すべきものである。

 次に裏の位相であるが、これこそが、りそな銀行実質国有化騒動の動
きに隠れた小泉政権の巨悪の本質を言う。私は植草一秀氏が国策捜査
に狙われた直接の原因がここにあると確信している。ただし、植草氏が
かねてから舌鋒鋭く批判していた小泉内閣のマクロ的政策が、表の位
相、すなわち小泉のペテン的構造改革の反国益的性格を暴きだすとい
う意味でも、植草氏は最も都合の悪い存在なのである。

 金融政策で完全主導権を握った竹中平蔵が、りそなを救済するという
名目で行った実質国有化が、実は構造改革の眼目である自己責任原則
を根底から裏切っていることは、植草氏が繰り返して強調的に指摘する
ポイントである。おそらく、これに気が付いていた国民でも、この自己責任
原則を反故にしたことについては、「何事も原則通りには行かないものだ」
という程度で看過しているが、実は植草氏がこの原則論放擲に固着した
ことは重大な意味を持っているのである。

 この問題は、政策というものが場合によっては原則論通りには行かず、
時に応じて縦横無尽に手を打つ必要があるという考え方のレベルからは
はるかに隔たっている。植草氏は言う。りそな救済の言い訳に使われた
法律、すなわち「預金保険法第102条 第1項 第1号措置」でりそなを救
済したことに、重大な国家犯罪の含みがあったのである。

(次回に続く)

 
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