★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK28 > 1063.html
 ★阿修羅♪
泣いて平沼を斬った安倍の非情 [文芸春秋]
http://www.asyura2.com/0610/senkyo28/msg/1063.html
投稿者 white 日時 2006 年 12 月 09 日 12:41:36: QYBiAyr6jr5Ac
 

□泣いて平沼を斬った安倍の非情 [文芸春秋]

▽泣いて平沼を斬った安倍の非情(1)

 http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20061209-01-0701.html

2006年12月9日
泣いて平沼を斬った安倍の非情(1)
復党問題で自らは矢面に立たず、中川幹事長任せ。そして火種は残った
 例年より遅いと言っても、冬は確実にやってくる。
 日中の穏やかな陽気が一転、夜になって急に冷え込んだ十一月二十二日夜、首相・安倍晋三は、東京・紀尾井町の赤坂プリンスホテル「五色の間」で、小学校から大学まで通った母校・成蹊学園が安倍のために開いた「内閣総理大臣就任をお祝いする会」に臨んでいた。
「歌詞は覚えてますが、音程が合っているかどうかは分かりません」
 安倍は、そう断りながら、数少ない持ち歌、ザ・ワイルド・ワンズの「想い出の渚」を学生時代在籍していたアーチェリー部の同期生と壇上で肩を並べて歌った。
「やはり歌はうまくありませんでした。プレスリーを歌ったりは出来ませんから」
 安倍は、米大統領・ブッシュの前で、プレスリーを披露した前首相・小泉純一郎を引き合いに出して、約千六百人の出席者を笑わせた。ただ、苦手な歌の前、こうあいさつするのも忘れなかった。
「今日、参院の教育基本法特別委員会で『先生の役割とは何か』と聞かれた。思い出したのは小学校の恩師だ。先生は我々が五十歳になった時の同窓会で、『君たちを信じる。君たちはスターだ』と言ってくれた。子供を信じて伸ばす教育をしてくれた」
 アルファ・ロメオに乗って通学した成蹊大学を卒業してから約三十年。単なる「お坊ちゃん」は、予想もしていなかった「スター」になった。そんな自分にとって「教育」こそが大きなテーマであり、「安倍らしさ」の一つだ。安倍はそう言いたかったに違いない。会は在校生による「フレー、フレー安倍先輩」のエールで幕を閉じた。
 安倍は笑顔を振りまいて会場を後にした。しかし、心中は穏やかではなかった。「らしさ」の発揮どころではない。一歩間違えば、政権が瓦解しかねない事態が足元の自民党で起きていたからだ。
 復党問題である。
 この日夕、国会内では幹事長・中川秀直と、昨年夏の国会で郵政民営化に反対し、無所属を続ける造反組十二人のリーダーで元経済産業相の平沼赳夫がまなじりを決して向かい合っていた。
「復党の条件については安倍総裁から一任をもらっている」
 いきなり、「安倍のお墨付き」を口にした中川は、自民党復党の条件の一つとして、民営化賛成を明記した誓約書提出を求めた。党則遵守など他の条件は平沼にも飲めた。だが、昨年の衆院選後の民営化法採決で、他の十一人が賛成に回ったのに対し、平沼は反対票を入れ、その後も「それが信念だ」と公言していた。そんな平沼に「踏み絵」を突きつけて十一人と切り離す。中川の意図は明らかだった。
「そちらの条件は持ち帰って検討する。そっちも我々の意見を持ち帰ってくれ」
 と言う平沼に、中川は「いや、我々の条件には変更はないから持ち帰らない」と冷たく突き放した。平沼は不愉快そうな表情を浮かべて引き下がるしかなかった。
 騒ぎは二十四日、さらに拡大した。朝の自民党役員連絡会。参院議員会長・青木幹雄が「あの条件は土下座しろといわんばかりの表現だ。仲間としてやっていくのだから、温かく迎えなければならない」と、激しい剣幕で中川にかみついたのだ。
 青木は「中川は自分を裏切り、増長している」と感じていた。青木が、安倍と中川、そして元首相・森喜朗と都内のホテルで極秘に会ったのは十月十日。その席で、「復党は一気に進めた方がいい」と、平沼らだけでなく落選組も含めて復党させるべきだと主張した青木と森に対し、安倍も中川も異論は唱えなかったではないか……。
 役員連絡会の発言も、森と事前にすり合わせたものだった。森は前夜、中川に電話し、「明日は青木さんがはっきりとモノを言う。ちゃんと考えないといけない」と踏み絵の撤回を求めた。「政界一の親分・子分関係」と自他共に認める中川と森の間にも亀裂が生じ始めていた。それは、急速に党内を掌握し始めた中川に、森も青木も警戒感を隠せなくなった証拠でもあった。

安倍政権の路線問題
 一方の中川には、せめて郵政民営化という政策で筋を通さなければ、安倍内閣の支持率が急落するという危機感がある。だが、理由は、それだけではなかった。平沼の復党は、安倍政権の路線問題に直結し、ひいては自らの立場も微妙になるからだ。
 中川と平沼──。かつて二人は、安倍の父、元外相・晋太郎が会長を務めた安倍派に属した。初当選は中川が早いが、中川は二度落選しており、当選回数は同じ九回。安倍派は晋太郎の死去後、三塚派、森派へと代替わりする。森派に代わろうとしていた九八年八月末。平沼は、現国民新党代表代行の亀井静香とともに、森の会長就任に異論を唱えて派閥を去り、その後、志帥会(現伊吹派)を作った。
 この年七月の自民党総裁選。亀井と平沼は、同じ派閥の小泉でなく、元官房長官・梶山静六(故人)を推し、派内対立はのっぴきならないところに来ていた。当時、派内に「清和勉強会」なるグループを発足させて、森に近い議員を囲い込み、森派への移行を加速させる一方、露骨に亀井や平沼らの排除に動いたのが中川だった。平沼はもちろん当時の恨みを忘れていない。
 その頃、平沼らと行動をともにすべきかどうか悩みながら、「安倍派を継ぐ派閥を離れるわけにはいかない」と思いとどまったのが安倍だ。憲法改正や歴史認識など本来、安倍の政治信条は平沼に近かった。小泉が勝利した〇一年四月の自民党総裁選。失敗に終わったが、安倍が「総裁選に立候補していた亀井が降りて三役入りする」とのシナリオを描き、当時の江藤・亀井派と小泉陣営との連携に走ったのも、そんな事情があった。
 中国寄りで、「左に懐の深い安倍自民党を作りたい」と公言し、左にウイングを広げようとする中川を、安倍は本心では快く思っていないというのは政界の定説になりつつある。平沼に近い議員は「平沼が復党すれば、安倍は平沼を重用する。中川はそれを恐れている」とまで解説した。
 確かに安倍は、昨年の郵政国会の際、平沼に「たかが郵政だ。こんなことで憲法改正の大仕事を棒に振っていいのか」と何度も説得を試みた。「平沼さんは最も自民党らしい政治家で惜しい」とも語っている。しかし、一方で安倍は、小泉と決して離れることなく首相の座を射止めた自らと重ね合わせ、小泉ばりの非情な一面を周囲に見せていたことは余り知られていない。
「やはり、最後まで反対したら終わりだ。政治家はぎりぎりまで権力から離れたらダメだ。平沼さんは終わってしまう」
 平沼と「士志の会」を作る外相・麻生太郎も、「五人でいいから国会会派を作り、自民党とで統一会派を組んだらどうか」と再三、平沼に妥協策を持ちかけた。だが、平沼は一時、「それはいいね」と言いながら、それも決断できなかった。
 安倍は、情の上では、平沼を他の誰より戻したい。が、無原則に復党を許せば、中川の言う通り世論の反発は確実だ。しかも、党ナンバー2の幹事長と意見対立が表面化すれば政権はガタガタになる。
「中川幹事長に任せている。任せた以上、幹事長が出した方針の中で協議してもらえるのではないかと思っている」
 二十四日夜、安倍は記者団に「任せている」を繰り返した。安倍は党内の「中川バッシング」が自分に向かうことを恐れながらも、当面は中川に従うのが得策だと判断したのである。


▽泣いて平沼を斬った安倍の非情(2)

 http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20061209-02-0701.html

2006年12月9日
泣いて平沼を斬った安倍の非情(2)
復党問題で自らは矢面に立たず、中川幹事長任せ。そして火種は残った
沖縄県知事選の内幕
 就任直後の電撃的な日中、日韓首脳会談など好調なスタートダッシュがうそのようだ。気がつけば、安倍にとって薄氷を踏むような政局が続く。十一月十九日の沖縄県知事選もそうだった。
「心配していたけれど、よい結果が出てうれしい。皆さんの努力に感謝したい」
 この日深夜、知事選で自民、公明両党が推した仲井真弘多が当選したとの知らせを受け、アジア太平洋経済協力会議(APEC)出席のためベトナム・ハノイに滞在していた安倍は、中川に早速、電話した。
 ふたを開ければ、仲井真が三十四万七千余票。対する民主、共産、社民三党などが推薦した前参院議員・糸数慶子は三十万九千余票。予想以上の差がついた。だが、「心配していた」は安倍の本音だった。
 敗北すれば、米軍再編問題が振り出しに戻るだけでない。福島県知事選に続く連敗。一気に求心力が下がる可能性がある。実際、マスコミ各社の事前世論調査では、仲井真と糸数は拮抗していた。
 何より、安倍が恐れたのは、沖縄県知事選の四日前の十五日、民主党など野党が猛反発する中、衆院特別委で教育基本法改正案の与党単独採決に踏み切った賭けが、「失敗だった」と烙印を押されることだった。
 改正案は「愛国心」にこだわる安倍が首相就任前から主導したものだ。村山談話の継承など歴史認識問題でいきなり譲歩を迫られた安倍にとっては、改正案成立は「安倍らしさ」を回復する好機だ。ところが、野党は衆参両院で全法案の審議拒否の構えを見せていた。沖縄で糸数が勝ち、野党が勢いづけば改正案の今国会成立は危うくなる。しかも、臨時国会では、いじめ自殺、履修不足問題、タウンミーティングのやらせ質問という「三点セット」が浮上し、政権批判は日増しに強まっていた。
 そんな中、改正案の衆院採決を強行すれば沖縄県知事選に悪影響を及ぼす──。元々、「愛国心」に抵抗していた公明党には採決先送り論が強まった。公明党は〇五年まで衆院沖縄一区で小選挙区の議席を持っていた。支持母体の創価学会は、次期衆院選をにらんで本格的な選挙戦を展開している。しかし、「沖縄で負け、改正案も通らぬでは、さらに窮地に追い込まれる」と考えていた安倍の結論は決まっていた。
「もう、機は熟した。その方針でやって下さい」
 十四日夜、安倍は、幹事長の中川と、国対委員長・二階俊博にそれぞれ電話した。「方針」とは、改正案を審議する衆院特別委員会の与党筆頭理事を務める町村派会長・町村信孝が作成し、この日、自民、公明の与党幹事長会談の席上、配られた「教育基本法案を十五日委員会採決し、十六日本会議採決する正当性」と題するA4四枚のペーパーを指していた。
 翌十五日朝、国会近くのホテルで行われた与党幹事長会談。中川は「首相は、APEC出発の前に、と言っている」と出席者に理解を求めた。公明党幹事長・北側一雄は、待ったをかけた。
「公明党は自分たちの選挙以上に激しい選挙をやっている。せめて、首相の沖縄入りを検討してほしい」
 中川は中座して官邸に電話した。安倍がAPECに出発するのは十七日。安倍が政府専用機でいったん沖縄に立ち寄り、応援演説した後、ハノイに向かう案も検討されたが、それでは予定していたチリなどとの首脳会談をキャンセルしなくてはならない。無理な相談だった。公明党も「自民党の誠意」を評価し、採決を飲んだ。
 行き当たりばったりの民主党の対応にも安倍は助けられた。
「沖縄知事選は勝ちたいなあ」
 ことある度につぶやいていた民主党代表・小沢一郎が「徹底的にやろう」と、幹事長・鳩山由紀夫らに抵抗路線を指示したのは審議が終盤に差し掛かった九日だ。与党は特別委員会採決の際、野党議員が委員長席に詰め寄り、もみくちゃになる場面が繰り返しテレビで放映され、「横暴な強行採決」と喧伝されることを恐れた。
 ところが、乱闘劇演出のため、民主党など野党が委員会に出席すれば、民主党が独自に提出している改正案の対案も採決することになる。愛国心について「日本を愛する心を涵養する」と記す民主党の対案は、自民党にも評価する向きがある内容だ。改正そのものに反対する共産、社民両党が議場に入れば、民主党の対案にも当然反対し、野党共闘は崩れてしまう。野党は欠席せざるを得なかったというのが実相だ。小沢が徹底抗戦を叫んでみても、先を読んだ戦略など民主党にはなかったのである。
 政権が発足して二カ月。安倍は二十六日、昭恵夫人とともに、東京・富ヶ谷の自宅から首相官邸隣りの公邸に引っ越した。「ボキャ貧」の指摘を気にしたのか、午後には渋谷の書店で国語辞典や漢和、英和辞典も買い込んだ。自分が「官邸の主」にふさわしいのかどうか──。ひとり立ちできない安倍の自問自答の日々は続く。
 二十七日、焦点の平沼は、自民党への復党願は出したものの、他の造反組十一人と行動を別にし、ただ一人、「あんな屈辱的な誓約書は出せない」と、中川の求めた誓約書の提出は拒否した。この日朝の造反組の会合で、元総務会長・堀内光雄らが誓約書にサインするよう説得したが、平沼にも意地があった。一方、安倍は同日夕の自民党役員会で十一人の復党手続き開始を指示し、平沼については「残念ながら、今回復党を認めることはできない」と語った。
 十一人が復党すれば自民党は衆院議員が三百五人に膨れ上がる。だが、もちろん、これで決着がついたわけではない。
 造反組の刺客として戦った「小泉チルドレン」の反発は収まらず、次期衆院選の候補者調整は先送りしたに過ぎず、中川と森、青木の確執も収まる気配はなかった。既に各社の世論調査では支持率低下が始まっている。安倍を待っていたのは、「議席が増えながら、逆に首相の求心力が衰える」という前代未聞の結末だった。
 気づけば、もう師走だ。今年の冬は安倍にとっても「暖冬」となるだろうか。「中川任せ」を通したツケが安倍に回ってこない保証は、どこにもない。(文中敬称略)

 次へ  前へ


  拍手はせず、拍手一覧を見る

▲このページのTOPへ       HOME > 政治・選挙・NHK28掲示板

フォローアップ:

このページに返信するときは、このボタンを押してください。投稿フォームが開きます。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。