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【天木直人ニッポン外交の迷走】 2006/11/21（20日発行）
☆米国中間選挙に使い捨てられた日本のイラク外交
造反議員の復党に反対する小泉チルドレンを前にして小泉首相は言ったという。「政治家は使い捨てられることを覚悟しろ。総理大臣でさえ使い捨てられるのだ」と。
５年半も総理の座に居すわり、観劇、会食、物見遊山と自己宣伝に明け暮れた男が「使い捨てられた」とはよく言えたものだ。しかし「使い捨てられた」ものがある。日本のイラク外交だ。
自衛隊をイラクへ派遣するという憲法９条違反までしてブッシュ大統領に気に入られようと演出した小泉―ブッシュ盟友関係は、今度の米国中間選挙によるブッシュ大統領の敗北によって過去のものとなった。そして小泉ポチ外交の置き土産である日本のイラク外交は「使い捨てられた」のだ。
ブッシュ大統領は大幅な政策転換を迫られている。ラムズフェルド国防長官をみずからの生き残りのためにあっさり更迭したのもそれだけブッシュ大統領が追い込まれたということだ。ブッシュ大統領は超党派の「イラク研究グループ」を立ち上げて、民主党の意見を全面的に取り入れようとさえしている。
それでもイラク状況は改善しないであろう。選挙で勝利した民主党といえども正しいイラク政策を持ち合わせていないからだ。イラクから段階的撤退をしたいのはやまやまであるが、撤退すれば「テロ」との戦いに負けることになる。世界の覇権米国はあらゆる戦いに負けるわけにはいかないのだ。
「テロ」との戦いに負けられないもうひとつの理由は、民主党も共和党もイスラエルの安全を守ることで一致しているからだ。イスラエルのオルメルト首相は選挙に負けたブッシュ大統領を真っ先にワシントンに訪れ、「テロに屈するな、イランの核開発を武力行使してでも阻止せよ」などと釘を刺している。しかし米国が軍事力に頼り続けるならば、今度こそ世界は米国に愛想を尽かすであろう。
米国がこのありさまであるから日本のイラク政策は混迷の極みだ。「いまさら（イラク戦争が）間違っていたなんて言えない」（11月10日朝日夕刊）と外務省官僚が言えば、「米国がイラク駐留米軍の展開を見直す可能性もあり、航空自衛隊の撤収も視野に置く必要がある」（11月14日産経）と自衛隊幹部が懸念する。イラク外交を「使い捨てた」小泉前首相の責任を今こそメディアは大声で問うべきだ。
（隔週月曜掲載）
―「天木直人 ニッポン外交の迷走」投稿一覧―
☆北朝鮮問題でカヤの外におかれた日本【天木直人・ニッポン外交の迷走】―日刊ゲンダイ
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投稿者 天木ファン 日時 2006 年 11 月 07 日
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