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「国家賠償訴訟」で西山氏が核心に迫る証言 沖縄「密約」裁判 池田龍夫(ジャーナリスト)日刊ベリタ
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投稿者 天木ファン 日時 2006 年 11 月 23 日 21:05:07: 2nLReFHhGZ7P6
 

2006年11月23日掲載  無料記事  印刷用

「国家賠償訴訟」で西山氏が核心に迫る証言 沖縄「密約」裁判 池田龍夫(ジャーナリスト)

  「西山太吉・国家賠償訴訟」第8回口頭弁論が2006年11月7日、東京地裁で開かれた。 
 昨年7月9日の第1回弁論から約1年半、今回は原告本人(西山氏)の尋問が行われ、核心に迫る証言が胸に響いた、今訴訟最大のヤマ場とあって、110人が長い列を作り、抽選によって49人に傍聴が許された。加藤謙一裁判長が原告・被告指定の代理人に対して準備書面提出の確認を求めたあと、原告指定代理人・藤森克美弁護士から西山氏への尋問が行われた。尋問時間は40分余、西山氏は米外交文書・吉野文六発言などの新事実を挙げて「沖縄返還交渉の“密約”の存在」を指摘。淡々と語る姿勢が強く印象に残った。 
 
 [沖縄返還交渉と『密約』] 
 
 沖縄返還協定は1971年6月17日に調印、72年5月15日発効し、25年ぶりに祖国復帰した。返還米軍用地の原状回復補償費につき「米国の自発的支払い」と協定に明記されていたのに、実際は400万ドルを日本側が肩代わりする約束を密かに交わしていた疑いが濃くなった。 
 
 西山太吉・毎日新聞記者(当時)が外務省の電信文を極秘入手、暴露したのが「沖縄密約事件」の発端。日本政府は、国会や法廷で終始「密約」の存在を否定してきたが、2000年と2002年の米外交文書公開によって「密約」を裏付ける事実が明らかになった。さらに2006年2月、返還交渉当時の責任者だった吉野文六・元外務省アメリカ局長が密約否定発言を翻して、「返還時に米国に支払った総額3億2000万?の中に原状回復費400万ドルが含まれていた」と証言、「密約」の存在を認めた。 
 
 一方、西山氏と外務省女性事務官は1972年4月、国家公務員法の「そそのかし」と「秘密漏えい」の疑いで逮捕。東京地裁の一審では無罪だったが、東京高裁では懲役4月・執行猶予1年と逆転、78年の最高裁審理で西山氏の上告が棄却されて有罪が確定した。 
 
 長い間屈辱に耐えていた西山氏が2005年4月、「密約を知りながら違法な起訴で名誉を侵害された」として国に謝罪と約3300万円の賠償を求めて提訴したのが、「西山国賠訴訟」をめぐる経緯である。 
 
 「原告代理人が米公文書や刑事一審の弁論要旨、刑事判決、電信文、新聞記事等を示しながら、沖縄返還交渉において密約に至ったプロセスや事情、刑事公判における検察側証人の偽証、最高裁決定の誤判とその原因をどう考えるか、『情を通じ』という文言が盛り込まれた異例の起訴状によって流れがどう変わったか、提訴に至った原告の理由・心情等について尋ね、原告は、佐藤・ニクソン共同声明の嘘や、密約にしなければならない事情が日本政府のみにあったこと、沖縄返還協定は裏に3つの秘密書簡を含む虚偽協定であること、起訴状によって流れが激変し機密論は一気に消え取材論のみになったこと、沖縄返還に始まるいびつな構造は今日につながる重大な問題であり、米公文書や吉野発言等によって明らかな密約を政府が否定するのであれば、立証責任・説明責任を負うところ、政府はただ否定し続けているという恐ろしいことが罷り通っており、有利な情報のみ一方的に流し都合の悪い情報は隠蔽する国の行為は“情報操作”ではなく“情報犯罪”である等と証言しました。 
 
 また、原告は、自らが受けた精神的苦痛は到底言葉で言い表せるものではないとしながらも厳密な証拠に基づく公正な刑事裁判ではなく、検察側による偽証や公然と行われた不公正な裁判を受けさせられたことからくる“人間としての怒り”“不条理感”という言葉を使ってこれを表現しました」 
 
 ――藤森法律事務所HPに掲載された「裁判の様子」全文だが、西山氏が法廷で語ったナマの言葉を紹介し、参考に供したい。 
 
 西山氏は尋問に先立って、詳細な「陳述書」を東京地裁に提出、この日の法廷陳述もその内容に沿ったもので、「密約」の存在は、「(1)柏木・ジューリック合意(2)吉野・シュナイダー密約(3)米国の『ケーススタディ』の発掘」で証明されていると強調した。 
 
▼「日米共同声明」の嘘 
 「1969年の佐藤・ニクソン共同声明には、嘘が書かれている。『財政問題はこれから協議を開始する』とあるが、柏木・ジューリック財政担当官によって5億2000万ドルの掴み金を米国に払う密約が共同声明前に合意されていた。米国が負担すべき現状回復費400万ドルなどは“氷山の一角”であり、沖縄返還交渉そのものに密約があった。また、『核は撤去する』と書いてあるが、緊急時の核持ち込みを佐藤首相は飲まされていた。極秘事項だったが、対米交渉に当たった人物(若泉敬・京都産業大教授=故人)が返還後に真相を明らかにしている。まさに協定の偽造であり、密約どころの話ではない」。 
 
▼最高裁の誤判 
 「検察側が偽証を誘導しており、裁判は公平でなかった。厳密な証拠に基づいた裁判で負けたのらよい。だが、検察は証拠を全部開示しないばかりか、悪用・乱用して10幾つかの偽証を行った。こんなに偽証の多い裁判を、今まで聞いたことがない。この問題(沖縄返還交渉の経緯)が国会で審議されることを避けるために偽装が行われた。この点を究明せず、問題の本質を理解しないまま判決が下された。司法のレベルの低さと不条理感を味わった」。 
 
▼政府に「立証責任」がある 
 「政府は『密約はなかった』と一貫して主張しているが、日本の矛盾を世界に示してしまった。米国の外交機密文書と吉野氏発言を政府が全部否定するなら、それを立証する責任がある。先進国なら必ず行うことで、説明責任を果たさないことは大変なことだ。検察が政府を擁護し、検察が組織犯罪に加担している」。 
 
▼「情報操作」どころか「情報犯罪」 
 「起訴状の『情を通じて』という言葉で、世の中の流れが変わった(『言論・報道の自由』と『取材方法』の問題は別途論じるべきだが)。検察側が情報操作したことだが、メディアにも責任があったと思う。政府は情報を操作して不利なものを隠蔽、沖縄が無償返還されるイメージを国民に与えた。これは情報操作といったものではなく、情報における犯罪だ。それは、『米軍再編』にもつながる今日的問題であり、国賠訴訟を提起した動機だ」。 
 
[裁判後、藤森克美弁護士のコメント] 
 
 裁判を起こした時には、米公文書と一、二審の判決文程度しか手許になかった。その後「米国のケーススタディー」「柏木・ジューリック秘密合意」「吉野・シュナイダー秘密文書」の3つの重要文書が発掘された。米公文書と吉野発言に追加して、『密約の存在』を立証できたと思う。 
 
 国側は当初、20分の反対尋問を要求していた。40分の原告側尋問のあと裁判長が被告側(国代理人)に「質問を…」の求めたところ、「ありません」と答え、すぐ閉廷になった。普通、反対尋問がない場合は認めたことになるが、国は中身で争うのは不利とみて、『除籍期間』や『時効』で争うつもりかもしれない。 
 
 職業的な魂を持った裁判官なら『誤判』と言わなければおかしい。本来なら、米公文書が見つかった時点で、検察が再審を請求すべきケースだった。時効にもかかっていない。 
 
 今後さらに証拠を集め、検察の嘘に迫りたい。加藤裁判長はこれまでいい判決を書いており、良心的裁判官ではないか(刑事記録の提出要求には応じなかったが)。高いモラルを持っている裁判官なら正しい判断をしてくれるはずだ」。      (了) 
 
*次回の第9回口頭弁論は、12月26日(火)午後3時 
東京地裁722号法廷 

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