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米朝チキンゲーム続く [AERA]
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投稿者 white 日時 2006 年 11 月 07 日 18:29:22: QYBiAyr6jr5Ac
 

□米朝チキンゲーム続く [AERA]

 http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20061107-01-0101.html

2006年11月7日
米朝チキンゲーム続く
巻末のインタビューリストには、日米ロ韓中英158人の名前が並ぶ。
もちろん名前を出せない人物も多数。一冊の本が明らかにする危機。
「場所も名前も伏せる約束で何人かの北朝鮮外交官と会ったが……彼らは工作員ですね。半分こちらを取材してくる。核実験したらどうなるか、6者協議が完全に潰れたらどうなるか、シナリオを自分なりに考えて報告するんでしょう。私の発言も報告書に書かれたかも。仕方ない。覚悟の上だから」
 中国の内実、国際通貨マフィア、漂流する日米同盟……とスケールの大きな作品を送り出してきた船橋洋一朝日新聞社コラムニスト。彼が10月20日、新著を出した。
『ザ・ペニンシュラ・クエスチョン』。「いまそこにある危機」北朝鮮核問題がテーマだ。

北朝鮮の外交官と食事
 2002年10月、北朝鮮の姜錫柱第1外務次官が米国務省高官にウラン型による核開発計画を秘密裏に進めていたことを事実上認め、危機は表面化する。米国の追及に北朝鮮は、封印していたプルトニウム型原子炉施設の再稼働とNPT(核拡散防止条約)脱退を宣言、「核兵器を作るぞ」とジワジワと脅しを強める。
 関係6カ国による協議が北京で5度開かれるが、北朝鮮に核を手放させるには至らず中断。米主導による北朝鮮指導部の海外口座凍結(金融制裁)で危機感を強めた北朝鮮は「核兵器を作った」と宣言、危険水域に突き進んでいく――。
 当事者約200人に取材した約740ページの大著。最も難しかったのはやはり北朝鮮で、
「姜錫柱への取材も仕掛けたが、正直、うまくいかなかった。ただ北朝鮮の外交官にはいろんな手を使い何回も会った。食事もした。普通に北朝鮮に行って公式発言を聞くよりも、北の本音に少し近づけたかなとは思う」
 各章ごとに北朝鮮とまみえた各国の姿が描かれ、「北の素顔」があぶり出される。
 核問題がはじける前月の02年9月、電撃的に行われたのが小泉純一郎首相と金正日総書記との初の日朝首脳会談だが、その実現まで極秘交渉を続けたのが外務省の田中均アジア大洋州局長(当時)と北朝鮮の「ミスターX」。
「X」の正体を巡っては、姜第1外務次官、金哲虎朝鮮労働党国際部副部長、あるいは秘密警察・国家安全保衛部副部長の金●(作字、吉ふたつ)(偽名とみられる)といくつもの名前が挙がってきた。

「X」という改革派
 船橋氏はこの本の中で「金哲」という人物にたどり着いたことを明かす。偽名の可能性もある。色白の優男で、北朝鮮の最高意思決定機関・国防委員会に所属する軍人だと日本側に告げていた。
――キム・チョルと名乗る人物が北京の北朝鮮大使館周辺で裏の活動をしていると聞きます。金総書記の長男、金正男氏の指示を受けているらしい。Xはひょっとしてこの人物ではないでしょうか?
「Xがマカオに土地勘があったのは事実のようだが、北京にはいないと思う。推測ですが、Xは相当の改革派だったのではないか。あの国で改革派という言葉が適切かどうか分からないが、Xは日朝国交正常化を優先順位の上位に置いていた」
「拉致問題で逆流が起こり、北朝鮮内での立場がきつくなったようですが、その後も日朝正常化を進めようとしたのでしょう。しかし今年7月5日にミサイル連射に踏み切る段階で自らの限界を悟ったのではないか。ミサイル連射前、日本側はXと電話で話したようだが、Xはため息ばかりついていたといいます」
 このノンフィクションの白眉は、米国内の交渉派と強硬派の分裂ぶりの描写だ。
 金総書記率いる国防委員会は、日本にだけでなく米ブッシュ政権にもキリスト教関係者や団体など裏チャンネルを通じ、関係改善をアプローチしていた。
 しかしブッシュ政権には応じる気はなかった。北朝鮮がウラン型の秘密核開発に乗り出したという「信頼すべき情報」が届いていたからだ。
 米軍はイラクやアフガニスタンでの長期駐留を余儀なくされ、北朝鮮に向けた軍の展開は難しい。戦端を開けば韓国が甚大な被害を受ける。国務省の担当者が交渉に動こうとしても「北朝鮮との接触は一切まかりならん」と言わんばかりに強硬派が足を引っ張る。ラムズフェルド国防長官、ボルトン国務次官(現国連大使)、そしてチェイニー副大統領といった人たちだ。
 6者協議の米代表、ヒル国務次官補は訪朝計画を立てるが一蹴される。
「米国がなぜ北朝鮮と手を握ること、直接目を見て話すことさえ忌避、拒絶するのか。米国は軍事力を使えないところで交渉したくないんです。常に軍事力を背景に外交をしてきた国だから。北朝鮮を追いつめても、最後の軍事力を行使できない。究極の手詰まりです。クリントン前政権と同じことはやりたくないという面もあるが、たぶん根はそこにあるのではないかと思います」

中国が知る北の「怖さ」
 ニューヨークの世界貿易センタービルばかりかワシントンの国防総省にまでハイジャック機が突っ込み、ホワイトハウスまで狙われた01年9月11日のアルカイダによる同時多発テロ。
 その時受けた恐怖感が「核兵器をテロ組織に渡しかねない」北朝鮮への断固たる拒絶として現れる。それを体現するのがチェイニー副大統領だという。
「ブッシュが駄目、ネオコンがけしからん、なら政権を替えればすむ。しかしそう簡単ではないのではないか。核拡散問題に加え、新たに財務省が(北朝鮮の偽ドル問題で)金融制裁を始めた。事は相当長期化すると思う。ブッシュ政権後、民主党政権になったとしてもテロと大量破壊兵器に対する姿勢は変わらないだろう。例えばいま、国務次官の核不拡散担当の部屋には専門家が約500人もいる」
――チキンゲームは続くということですね。
「緊張は相当なところまで高まるのではないだろうか。北朝鮮は核を放棄しない。米国も北朝鮮との直接協議には応じない。米国が金融制裁に区切りをつけ、北朝鮮が6者協議に戻ることはあると思う。しかし核保有国を自称する北朝鮮と、核廃棄実現のプロセスでうまく合意できるかどうか。かなり悲観的ですね」
 1990年代前半の第1次核危機と違うのは、傍観者だった中国が今回、主要なプレーヤーとして登場したことだ。6者協議のホスト役を務め、北朝鮮の核実験後は唐家●(作字、王へんに旋)国務委員が平壌入りし金正日総書記に「談判」した。
「中国はやれることはやったと思う。もう少し早く平壌に入っていたら核実験を防げたかもしれないが。中国は軍事制裁を望んでいない。しかし、それ以外の分野では相当締め上げていくだろう」
「北朝鮮に核を持たせたくないと本気で思っている。理詰めだけでは律することができないというあの国の怖さを、中国はある程度肌で知っている。だましだましで行くしかないと。だまされた振りをして最後に核を取り上げる。それを中国は狙っていると思いたいが……」

米中それぞれへの恐怖
――訪中した金正日総書記を北朝鮮に帰さないといった方法でしょうか。
「考えとしてはあるかもしれないが、新政権の受け皿ができていない。7月のミサイル連射の際、中国軍当局が連絡しようとしても北朝鮮軍当局は電話口にも出なかった。軍の幹部同士が会うときも北朝鮮側は背広組を同席させる。中国に手を突っ込まれたくないと警戒している。金正日だけを取り除いて済むほど容易ではない」
――しかし、金正日体制の耐用年数は確実に減りつつあるとしか思えませんが。
「(明らかに国家が行き詰まった)90年代に彼らが失ったものの大きさは計り知れない。それを理解しないと、彼らの絶望的といえるほどの強迫観念に突き動かされたゲームは理解しにくい。朝鮮戦争で米国と戦い、中国やソ連にも(韓国との国交樹立などで)捨てられた。米国への恐怖感は肉を切られるような激しいものでしょうし、中国への恐怖感は冷え冷えと骨から冷たさが伝わるようなものでしょう。それが核兵器保有という形で現れたということです」
――核問題は解決しますか。
「金正日体制が潰れない限り、難しいと思う。それでも、それを実現するための外交を積極的に追求するべきです。安保理の制裁決議を実施する。北朝鮮を6者協議に戻らせとことん交渉する。中国が本格的に圧力をかける。全部やってみるのが先決です。日本は過去の歴史もあるし単独で介入すべきでない。北の崩壊は別として、北の核が残されたままでの朝鮮半島統一は難しいでしょう。周辺国は誰も支持しない」
編集部 小北清人、有吉由香

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