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イラク戦争とスペースシャトルは、失敗であったとわかってもどうして続けられるのか? 戦争と宇宙開発は米国の公共事業
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投稿者 TORA 日時 2006 年 11 月 23 日 12:12:39: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu132.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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イラク戦争とスペースシャトルは、失敗であったとわかっても
どうして続けられるのか? 戦争と宇宙開発は米国の公共事業

2006年11月23日 木曜日

◆スペースシャトルの罪科 ノンフィクション・ライター 松 浦 晋 也
http://www.isas.ac.jp/ISASnews/No.282/shochu.html

「スペースシャトルとは何だったのか」を考え続けている。
 数字で語っていこう。NASAはスペースシャトルの飛行で,搭乗員の命を脅かす深刻な事態が発生する確率を,チャレンジャー事故の時点で,400ないし500回に1回程度であると見積もっていたが,実際には113回の飛行で2回の致命的事故を起こし,成功率は98.2%だった。当初1回の運行コストは30億円とされていたが,実際には500億円を超え,コロンビア事故からの復帰以降は800億円を超えるものと見られている。当初の運行回数は年間50回を考えていたが,実際には最大でも年9回だった。当初目標と達成した実績を比べれば,スペースシャトルは明らかに大失敗作だ。

 設計を見ていくならば,スペースシャトルは失敗すべく設計されていたことが分かる。再突入時の最後の15分にしか役立たない巨大な主翼を軌道上まで持ち上げる矛盾。200気圧もの高圧燃焼を行う主エンジンを再利用することの無理。人間と貨物を同時に打ち上げる無茶。打上げ初期の固体ロケットブースター燃焼時には脱出が不可能という人命軽視。再突入時に高温となる機体下面に前脚,主脚,液体酸素・液体水素配管の接続口 と,5カ所もの穴を開ける愚劣。機体とエンジンは再利用,タンクは使い捨て,固体ロケットブースターは海上回収という無駄に複雑なシステム。どこを取っても成功する要素がない。

 だが,アメリカはそのスペースシャトルを,「新たな宇宙時代を拓く輸送システム」として世界中に宣伝した。世界はアメリカの宣伝にだまされた。アメリカ自身も自らをだました。今もだまし続けている。NASAのホームページにはどこにも「シャトルは失敗作だった」とは書いていない。

 だまされた結果が,宇宙開発の現状だ。1984年から計画検討が始まった国際宇宙ステーション(ISS)は,20年後の今も完成していない。シャトルによる輸送を前提とした日本モジュールは,打上げ時期が未定のままアメリカに出荷された。現在,未完成のISSを支えているのは,ロシアの「ソユーズ」有人宇宙船と「プログレス」貨物輸送船,そしてそれらを打ち上げる「ソユーズ」ロケットだ。冷戦時代の敵が,ISSの命をつないでいる。

 今考えるべきは,以下の5つだ。
「なぜアメリカはスペースシャトルのようなシステムの開発に乗り出してしまったのか」
「なぜそれを新時代を拓く画期的システムと宣伝し,チャレンジャー事故以降も態度を変えなかったのか」
「なぜ,世界中はアメリカの宣伝にだまされたのか。真実を見抜くにあたって我々には何が足りなかったのか」
「無批判にスペースシャトルを信じた結果,我々は何を間違い,何を失ったのか」

 そして
「スペースシャトルが大失敗作と誰の目にも明らかになった今,我々はどのようにして未来への計画を取り戻し,宇宙を目指す動きを立て直すべきか」

 だまされた当時の関係者の責任を問うことも,アメリカに過度の配慮をすることも,シャトル関連で獲得した予算枠を失う事態を恐れることも,すべて無用である。人類史的視点に基づく正しいヴィジョンを,正しい技術的洞察と正しい計画管理によって現実としていくこと--納税者たる国民に対して義務を果たすとは,つまりそういうことだろう。

 2004年8月現在,内閣府の総合科学技術会議・宇宙開発利用専門調査会で,日本の宇宙政策の骨格を議論している。その中に「我が国としては,当面独自の有人宇宙計画は持たない」「(松浦補記:20年〜30年後に向けて)宇宙の多目的利活用に資する独自の有人宇宙活動を可能とするための必要な準備を進める」とある(我が国における宇宙開発利用の基本戦略[案]8月19日版)。有人分野のみではあるが「今後10年はやらないが20〜30年後はやるかも」ということだ。

 現役でこの策定に参加する何人が,30年後に現役だろうか。子供の世代に責任をかぶせるような無責任はいけない。たかだか有人活動への第一歩程度のことは5年,長くても8年でやるべきことだ。

 私はスペースシャトルが日本にもたらした最大の弊害は,「アメリカがあの程度なんだから日本はこの程度でいい」という貧しい発想ではないかと思う。過去,著書でも書いたが,何度でも主張したい。「自分の頭で考えよう」と。

◆軍需産業は米国最大の公共事業  環境総合研究所所長 青山貞一
http://www.bund.org/opinion/1103-6.htm

日本の政治家や評論家は「中東の安定と平和」とか分かったようなことをいいますが、人類の過去の歴史を見てみても、お金や権益・利権的なものから戦争をみた方が、よっぽど真実が見えてくる。今回の米軍によるイラク攻撃の理由の一つも、間違いなくイラクの石油です。日本国内の公共事業の問題でも、鈴木宗男事件に端的にあらわれているように、お金の流れ、利権・権益から見るといろんなことが見えてくる。国際政治も同じです。
 それに加えて9・11と報復戦争の開始以降、世界中の人々が分かってきたことは、アメリカが世界の総軍事費の40%を占めるダントツの軍事大国になっていたという事実です。世界30カ国に米軍が駐留しているという実態も、9・11以前は世界の人々はそれほど重大なこととは認識していなかったのではないでしょうか。ところが気づいてみたら、「ガリバー」のように唯一の超大国として巨人化したアメリカが見えてきた。だから、ガリバー化したアメリカに対する警戒感は世界中に強く存在するのだけれども、その一方で誰も正面から反対できない構造が生み出されてしまった。
 ブッシュ政権はイラクや北朝鮮による大量破壊兵器の開発・輸出を非難していますが、膨大な軍需産業を持ち、しかも大量の武器弾薬を他の国に売っているのはアメリカ自身です。いまや軍需産業はアメリカにとって最大の公共事業です。アメリカは軍需産業を、日本は土建業界を、税金で食わしているわけです。
 石油メジャーをはじめ巨大なエネルギー産業がアメリカを支配しています。周知の通り、アメリカの一人当たりのエネルギー消費量は世界最大で、日本やドイツの倍以上です。アメリカはエネルギー多消費型で環境に悪い国なのですが、生活の質を下げないで今のままのエネルギー消費を続けていきたいから、中央アジアやアフリカなど、中東以外の石油・天然ガスにも手を出したい。しかしアメリカが一番の本命の場所、世界最大の石油産出地域であるペルシャ湾岸地域に手を着けないということはあり得ません。それが今回のイラク攻撃です。
 現在のブッシュ政権の政策について政治学者は「単独行動主義」といっています。ラムズフェルド国防長官などをはじめとするネオコン=新保守主義の人たちの背後には、アメリカ・エネルギー産業と軍需産業という二つの巨大な産業がひかえていて、彼らの意向が強く影響していることを忘れるわけにはいきません。この二つの巨大産業はアメリカの税金をむしりとるだけではなくて、他の国の税金にまで手を出しているんです。アメリカは、湾岸戦争の戦費の70%〜80%をアメリカ以外の国に出させました。日本も130億ドルもの膨大な戦費を支払いました。
 アメリカという国は市場至上主義を一見装いながら、実は大統領が中心になって利権を食い物にする構造がある。だからアメリカにも土建国家日本とはまた違った意味で「官僚社会主義」的な側面がある。口では民主主義とか自由とか言いながら、スターリン時代のソ連の国家社会主義に近いような政策を力ずくでやっている。私はそうした現在のアメリカを、「エネルギー植民地主義」あるいは「新帝国主義」と呼んでいます。


(私のコメント)
一昨日にキッシンジャーの「イラクにおける軍事的勝利は不可能だ」と言う発言を紹介しましたが、にもかかわらずアメリカ軍はイラクに長期にわたる駐留を続けるようだ。サダム・フセインと言う重石を取り除いてしまったのだから、中東の大混乱は収まりがつかなくなってきてしまった。だから全責任はアメリカにあり、即時撤退はアメリカにとって許されない事なのだ。

アメリカと言う国は60年代から70年代にかけて国力はピークを迎えて、それ以降は確実に衰退に向かっている。ベトナム戦争で勝ことが出来なかった事がアメリカにとっての攻勢終末点になったのですが、イラクでも同じ事を繰り返している。歴史上でも大帝国崩壊のきっかけは辺境における敗戦が引き金いなることはよくあることだ。

スペースシャトル計画はアメリカが月に到達した絶頂期に立てられた計画であり、技術的にも無謀なものであり、ただ単に国威の発揚の為にだけで計画されたのではないかと思う。昨日はたまたま書店で「スペースシャトルの落日」と言う本を読んだのですが、松浦晋也氏が書いたこの本には、スペースシャトルが抱えた様々な問題点が指摘されている。

1986年のチャレンジャーの事故はスペースシャトルの根本的な問題点が露呈されたものですが、その後もスペースシャトル計画は中止される事なく続けられた。その結果が2003年のコロンビアの事故となって再発した。これでは商業利用はとても無理であり、単なるアメリカの面子を潰さない為のイベントに過ぎなくなってきている。

先日のNHKのテレビで国際宇宙ステーションからのハイビジョンによる中継が行なわれていましたが、本来ならばスペースシャトルが輸送手段になるはずでしたが、今ではロシアのソユーズが主役になっている。つまりは宇宙開発に関しては40年以上も前の宇宙ロケットがいまだに使われていると言う事であり、スペースシャトル計画に失敗が宇宙開発の停滞につながってしまった。

日本の宇宙開発計画もスペースシャトルの失敗が大きく影響して遅れてしまっている。日本は世界第二位の経済大国にもかかわらず、どういうわけか宇宙開発には消極的であり、中国にも追い抜かれて中国は有人宇宙ロケットも打ち上げて月面着陸を目指している。日本はHUロケットの開発失敗が続いて遅れてしまった。

日本のHUロケットはスペースシャトルと同じ液体水素を使ったエンジンを開発しましたが、確かに推進力は大きいが液体水素は扱いが難しく、スペースシャトルの信頼性を低める原因となっている。むしろソユーズのようなケロシンロケットの方が実用性が高く、推力も大きい事が証明されている。日本のHUロケットもスペースシャトルも打ち上げ時に固体燃料ブースターを付けなければならないのが欠陥になった。


◆ソユーズロケットの概要 JAXA
http://iss.sfo.jaxa.jp/iss/supply/soyuz.html

ソユーズロケットは、1957年のスプートニク1号の打上げに使われたロケット(R-7A)を改良したロケットであり、1966年には現在のソユーズロケットに近いものが完成しました。その後、1973年に改造され、現在のソユーズロケットに至りました。

ソユーズロケットの仲間には、ソユーズ宇宙船やプログレス補給船の打上げに使われているソユーズロケット以外にも、派生型のファミリーがあり、4段式のモルニヤロケットや、有人のヴォストーク宇宙船、ヴォスホート宇宙船の打上げや人工衛星の打上げに使われたヴォストークロケット(1991年に退役)、ヴォスホートロケット(1976年に退役)、商業用の改良型ソユーズロケットもあり、打上げ回数の総計は2000年の時点で1600回を越えています。3段式のソユーズロケットの打上げ成功率は97%以上と非常に信頼性の高いロケットです。1970〜1980年代のピーク時には年間40〜45機(派生型を含めると約60機)が打ち上げられていました。現在では年間10〜15機が打ち上げられています。

これらのソユーズロケットファミリーの特徴は、中心のロケットの周りに4本の補助ブースタを装備しており、打上げ時には計5本の束ねたロケットを使用することです。この基本構成は1957年にスプートニクを打ち上げたロケットと変わっておらず、その後は、信頼性と性能向上を重ねてきました。それぞれに4基装備されたエンジン1基あたりの推力は小さいのですが、これら4基のエンジンを5個束ねれば合計で20基のエンジンとなり、大きな力を発揮できます。また同じエンジンを大量に製造することでコストも安くできます。


(私のコメント)
このように比べてみるとスペースシャトル計画とイラク戦争はよく似ているように見える。どちらも技術開発に莫大な費用をかけて、そのチャレンジ精神は見事なものですが、実用性に欠けたものになっていると言う事だ。イラク戦争を見てもアメリカ軍自慢のハイテク兵器はあまり役には立っていない。イスラエルとヒズボラとの戦争を見ても、イスラエルの最新鋭戦車がヒズボラの旧式対戦車ミサイルで撃破されている。

このようにアメリカなどは技術開発に莫大なお金をかけて兵器やロケットを開発していますが、かえって信頼性と実用性に欠けたものとなっている。日本もアメリカの後を追って同じ事をしている。むしろソユーズのような地道な改良を重ねていってシステムを完成させたほうが経済的であり実用的である。

昨日も通常型潜水艦のことを書きましたが、これも地道な改良を重ねる事で実用性を高めている。ところがアメリカ軍は潜水艦を全部原子力に切り替えてしまった。しかしその結果コストがかかるものとなり原子力空母と共にお荷物となるだろう。そんなものは一発の核ミサイルで撃破出来るからだ。

◆ソユーズ打ち上げ 2006年9月6日 (動画)
http://www.youtube.com/watch?v=10iFXqlnCto&mode=related&search=

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