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韓国新政権の発足 李明博時代の政治・外交 − 東京財団
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投稿者 児童小説 日時 2008 年 2 月 22 日 21:32:06: nh40l4DMIETCQ
 

昨年末の韓国大統領選挙で当選したハンナラ党の李明博(イ・ミョンバク)次期大統領は、選挙後に「政権引継ぎ委員会」(委員長:李慶淑(イ・ギョンスク)淑明女子大総長)を立ち上げ、2月25日の新政権発足に向けた準備を進めてきた。以下では、政権引継ぎ委の活動を簡単に振り返りながら、李明博時代を迎える韓国政治・外交の行方について考えてみたい。
                 西野純也
                 (東京財団政治外交検証プロジェクト・メンバー、
                 慶應義塾大学法学部専任講師) 

1.明らかになった新政権の姿

政権引継ぎ委員会は2月5日に「5大国政指標、21大戦略、192国政課題」を発表、李明博・新政権の国政運営の方向性が明確になってきた。@活気に満ちた市場経済、A人材大国、Bグローバル・コリア、C能動的福祉、D国民に仕える政府、という5大指標の下に、政府各部処(日本の省庁に相当)から受けた業務報告を踏まえて、21の戦略目標および192の課題が選定されている。その内容は大統領選挙公約をほぼ継承しており、政策基調は従前どおり経済最優先と「実利主義」(プラグマティズム)である。

確かに、政権引継ぎ委は、これまでのひと月余りの活動を通じて、国内外の投資誘致のための大胆な規制緩和策や国際競争力のある人材育成のための教育制度改革案(例えば英語での授業実施)を矢継ぎ早に発表してきたし、李次期大統領は新政権の国務総理に国際経験豊富な韓昇洙(ハン・スンス)氏を指名して「資源外交」の展開を予告した。こうした動きはいずれも5大国政指標に符合するものである。

また、前回拙稿で指摘した「効率的で実用的な政府」のための政府組織改編案(現行18部を13部に統廃合)も1月中旬には姿を表した。新政権発足までに政府部処の改編を終えて閣僚人事を発表するためには、政府組織法改正案の早期国会可決が必要だからである。改正案可決には議席過半数を占める「予備野党」(新政権下で野党となる政党)の協力が不可欠だが、院内第1党の大統合民主新党はハンナラ党が提出した改正案に強く反対している。最大の争点である統一部の廃止(外交通商部への吸収)問題では、統一部存続で与野党間の妥協が成立したと報じられたが、依然改正案全体の大妥結には至っていない。李次期大統領は最後まで反対勢力の説得に努めるとしているが、場合によっては、すでに終了したとされる閣僚人事を先行発表することもありえる。

一方、現行の4室(秘書室、警護室、政策室、安保室)10首席から1室(大統領室)1処7首席体制へのスリム化が決定した新政権の青瓦台(大統領府)首席秘書官人事が10日に発表された。すでに内定した柳佑益・大統領室長、金仁鍾・警護処長を含め、青瓦台の陣容が明らかになったのである。彼ら青瓦台参謀陣の特徴は、40代後半を中心に比較的若く、学界出身が多いことである(<表>を参照)。首席秘書官全員がソウルまたは慶尚道出身であるため、予備野党からは「地域偏重人事」と批判の声があがった。

2.総選挙に向けた政界再編

このように、新政権発足前から与野党間の対立が先鋭化しているのは、現行政策を事実上否定する政策案の発表とその留保を繰り返す政権引継ぎ委の「拙速」さに加え、各政党が4月9日の国会総選挙(定数299議席/小選挙区243、比例56)を強く意識しているからにほかならない。ハンナラ党の過半数獲得が有力視される中、予備野党は大統領選挙時に離反した支持層を何とか再結集させようと、政権引継ぎ委の拙速ぶりを非難しているのである。

総選挙に向けて、大統領選挙でハンナラ党と大差の2位、3位に甘んじた「進歩」、「保守」勢力は、「失地回復」のための政界再編に踏み出した。大統合民主新党と民主党が合同して中道改革主義を掲げた「統合民主党」を、李會昌(イ・フェチャン)新党は国民中心党と合同してイデオロギー的保守色の強い「自由先進党」を立ち上げたのである。これにより総選挙は、それぞれ130席以上を占める統合民主党とハンナラ党、議席数1ケタ代の民主労働党と自由先進党の「2 強2弱」の争いとなる可能性が大きくなった。慶尚道地域はハンナラ党、全羅道地域は統合民主党の大勝が予想されるなか、自由先進党が忠清道地域で善戦することになれば、韓国の政党政治は「三金」(金泳三、金大中、金鍾泌)時代の地域割拠へと「逆行」することになりかねない。

こうした懸念を意識して、孫鶴圭(ソン・ハッキュ)統合民主党代表は「特定地域の公認をもらえば当選するという姿勢から抜け出し、骨を削る努力で刷新していく」として、党公認作業を通じた大幅な人的刷新の意思を再確認した。一方、現状で優位に立つハンナラ党でも30%以上の人的交替が予想されており、前回(2004年4月)同様、今回の総選挙でも新人議員の大量院内進出が見込まれる。

次期国会が「与大野小」(ハンナラ党の過半数確保)となれば、李明博大統領は、暫くは安定した政治的基盤の上で国政運営を行うことができよう。大統領選挙公約の「大韓民国747」(年7%経済成長で5年間に300万雇用を創出、10年以内に所得4万ドルを実現、10年以内に世界7位の経済規模に到達)ほどではないにしても、それに準ずる経済成果をあげることが新政権の至上命題であることに変わりはない。新政権は、政権の中間評価的意味合いを持つ2010年 6月の統一地方選挙までに、経済成長に邁進しながら「両極化」問題でも目に見える成果をあげなければならない。統一地方選でもハンナラ党が国民の支持を受けることに成功すれば、李大統領が任期末近くの2012年4月総選挙に向けて、政治的求心力を維持する可能性は大きくなる。

3.「グローバル・コリア」の追求

さて、「グローバル・コリア」との国政指標で表現された新政権の外交は、大統領選公約の「非核・開放・3000」(6者協議の枠組みで非核化が実現すれば、北朝鮮の改革・開放に対する大規模経済支援を行い、10年以内に1人当たり国民所得を3000ドルに引き上げるとの構想)や「米韓同盟の創造的発展」等を核心課題に設定する一方、「新しい平和構造の創出」という言葉を戦略目標として採用するなど補完点も散見される。

李次期大統領自身もまた、記者会見等の場を通じて、大統領選期間より踏み込んだ発言をするようになった。例えば、第2回南北首脳会談(07年10月)の合意については、「北核問題の進展、経済的妥当性、財政負担能力と価値、国民的合意」の4原則によって履行するかどうか決める意向を示したし(2月1日)、米韓同盟については「これまで伝統的な韓米関係が維持されてきたが、これからは未来に向かう韓米関係を形成することが両国のためにも望ましい」と述べて「新しい枠組み」の必要性に言及した(同月13日)。

しかし、これらの発言が実際にどのようなかたちで具現されるのかは依然不透明である。新政権の外交が本格化するのは、4月の総選挙以降となろう。総選挙での過半数獲得なしには積極的な外交の展開は難しい。李明博大統領の4月訪米、訪日が有力視されているのはこうした理由からであろう。また、北朝鮮核の「申告」状況や米国大統領選の行方などにも韓国外交は大きな影響を受けざるを得ない。

ただ1つ明らかなのは、新政権が盧武鉉政権よりも国際協調(とりわけ6者協議と米韓同盟)の枠内での北朝鮮核問題の解決を重視していることである。米・日・中・露への大物特使団の派遣はその第一歩であったし、「米国との関係は、この10年間の(うまくいかなかった)関係の修復をめざす。日本との関係は、改善ということができる。」「新政権は、米韓関係を強化することが、南北関係を良くすると考える。根本的な考え方の転換だ。」(2月1日)との李次期大統領の発言はそれを裏付けるものである。

最後に、日韓関係は、韓国新政権と福田政権下で急速な改善が期待されている。福田首相の大統領就任式参加と日韓首脳会談の実施、洞爺湖サミットへの李明博大統領招待を経て、首脳同士のシャトル外交は復活するはずである。4月の総選挙後には、国会議員レベルの交流も活性化するだろう。2004年11月以来中断している日韓FTA交渉の再開も見込まれている。

おそらく、韓国新政権は、対日政策においても実用主義を適用し、日本の対韓投資促進や貿易赤字削減につながる措置を求めてくるにちがいない。果たして日本側が経済分野でどこまで韓国の期待に応えることができるのか、一抹の不安はある。しかし、「グローバル・コリア」を掲げる韓国と日本が協力できる分野は多い。洞爺湖サミットを契機に環境分野での協力が話し合われるであろうし、中長期的には平和構築といった分野でも協力が具体化するかもしれない。「先進化」を目指す李明博政権は、ODAの拡大や平和維持活動(PKO)の強化を重点課題に設定している。

李次期大統領は、日韓の歴史問題について「(日本に)謝罪や反省をしろという話はしたくない」、「歴史上の問題(の解決)は日本の判断に任せ、私は未来に向かって進もうと思う」と語った。今年(2008年)は韓国が建国60周年を迎え、2年後の2010年は日韓併合100周年である。歴史問題が浮上して日韓関係改善のモメンタムが失われることがないよう、日韓の指導者層は静かに気を配るべきである。

http://www.tkfd.or.jp/topics/detail.php?id=55&PHPSESSID=9c26dfa6253ebff

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