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中国人の視点で考えた「反日感情」の理由|ビジネスマンのための中国経済事情の読み方
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投稿者 あっくん 日時 2008 年 3 月 14 日 07:28:05: hhGgKkD30Q.3.
 

中国人の視点で考えた「反日感情」の理由|ビジネスマンのための中国経済事情の読み方|ダイヤモンド・オンライン

2008年03月13日 高田勝巳(アクアビジネスコンサルティング代表取締役)

中国人の視点で考えた「反日感情」の理由

 前回の『中国人が「最も嫌いな国」は日本でなくなった』で、中国人の日本に対する見方に一定の変化が表れている点を紹介しました。しかしながら、中国において「反日感情」がいまだ根強いのも確かです。この問題は、中国ビジネスに関わる者として、必ず自分なりに頭を整理しておかなければならないものではないでしょうか。

 中国市場でビジネスをされている方は、当然のこととして顧客の気持を十分理解しなければなりません。反日感情が高まり、日本製品の不買運動でもされたらたまりません。そこまでいかなくとも、日頃中国で一緒に働く同僚、部下や、中国出張時に中国で出会うビジネスパーソンが、実は、裏で日本に対して嫌悪感を抱いているとしたら、それは気持ちのよいものではありません。また、中国で現地法人を経営している会社にとっては、労務管理上も従業員の気持ちはしっかり認識しておく必要があると思います。

 私自身もそれなりに自分の頭は整理しているつもりですが、それでも、一昨年の反日デモのような事態に直面し、暴徒が上海日本領事館に投石する姿、そしてそれを止めようとしない中国政府の姿勢を見るにつけ、腹立たしいと同時に、複雑な心境でした。私は日頃、日本の社会に対し、中国のありのままの姿を日本の皆さんに伝えようと、時に中国サイドに立った発言をすることもありますので、なおさらそう感じたのだと思います。

 あの反日デモの直後、どこで私のことを知ったのか、中国政府の人が、日本のビジネス界の人の意見を聞きたいと上海事務所に私を訪ねましたので、ちょうどいいチャンスと思い、自分の考えを伝えました。いかなる背景があろうと、そうした手段は両国にとっていかなる付加価値も生み出さないし、世界の中国に対する評価を低めるだけであると、率直に話をしたのです。

中国人の「反日感情」を冷静に整理してみる

 今回は、私になりに、中国人の反日感情について、中国サイドの視点を冷静に整理してみました。ただし、自分の親族が戦争中日本軍に殺された経験を持つ中国人が反日的な感情をもつことは、ある意味当然のことであり、そうした点は当然のこととして割愛しております。

1)世界の大国中国が、列強の侵略により自信を失ったコンプレックスの中で、最も気に障る相手が小国日本

 日本は、政治、経済、文化的にも自分の弟分だと思っていたら、明治維新以降、素早く西欧列強の真似をして反対に手痛くやられてしまいました。一時、日本の明治維新、近代化を学ぼうと多くの中国人が大正以降日本に留学、日本との連携に期待する向きもあったが、結局日本の大勢からは相手にされず、愛情が憎しみに変わったという面も否めません。

2)共産党政権の正統性の出発点は、抗日戦争に勝ったこと

 抗日戦争に勝ち、国民党政権を追い出し、農民と労働者を解放したとすることが、共産党政権の正統性の原点であるかぎり、共産党の求心力を強めようとすれば、その正統性の原点が強調されるのは、自然な成り行きでした。革命に参加していない江沢民が自らの正統性を強調するために反日教育に力を入れ始めたのではないかと、日本の識者からも指摘されているところです。

 この反日教育、もし本当に日本で報道されているように歴史の多面的な見方を否定するような恣意的な教育をしているとすれば、それはそれで中国にとっても考えものです。なぜならば、ある国の国民の平均的な歴史観がより人類的、グローバルな観点で多面的、かつ成熟されているということは、それはすなわちその国民の文化水準が高いということであり、高い文化水準はその国の真の国力のバックボーンとなるからです。こうした意味で、中国共産党が自己の正当性を強調することに力を入れすぎるあまり、結果的に「愚民政策」とならないよう、隣人として少し心配しています。

 最近中国でも、こうした懸念を示す中国の知識人が、その考えを中国の雑誌で発表して発禁となったというニュースを聞きましたが、そのような問題意識が出てきているとすれば、それはそれでよいことであると思います。日本の歴史教育の現状と国民の歴史観の成熟の度合いも誇れるほどのものでないかもしれません。それでも、日本においては興味さえあればいろいろな観点の歴史書が書店に山積みされており、この点われわれ日本人は幸いであると認識すべきであると思います。

3)日中国交回復の大前提は、現代日本は、過去の軍国主義、軍国主義者とは決別したものであるということ

 中国にとっての、日中国交回復の大前提は、現代日本は過去の軍国主義、軍国主義者とは決別したということです。そういえば、私が1985年に北京大学に留学しているときに、時の中曽根首相が靖国神社を参拝したことをきっかけにした反日デモが北京大学で発生しました。

 その時、私もデモの様子を見ようと行進の中にいましたが、私を見つけた中国人の同級生は、私が複雑な表情をしていたのか、日本人民と日本軍国主義者は違うはずだといって慰めてくれました。実態はそんなにはっきり分けられないと思いますが、大義名分としては、一応、そういう理由づけで彼らなりに心をおさめて、日中国交回復を始めたのだと思います。

4)日本はこれまでそうした大前提に対し、明確な説明をさけ、結果的に「黙示の承諾」と受け取られてしまっている節がある。また、日本人自身の歴史観の混乱が中国側からの批判に拍車をかけている面もある

 日本政府は中国側のそうした大前提を当然知っているはずですが、これまで国内外に対して、この前提に対する姿勢を明確にせず、あいまいなままで来てしまったのが現実ではないでしょうか。中国側にとっては、結果的に法的な「黙示の承諾」を主張するようなところがあって、小泉元首相の靖国参拝は、お約束と違うという気持ちがあるのだと思います。もちろん、靖国問題がいったん外交カードになってしまった以上、気持ち以外に政治的な目的もあるのも、また現実だと思いますが。

 また、この問題は、そもそも、過去の戦争を日本人としてどのように総括するのか、閣僚の靖国参拝をどのように認識するのかといった点に関して、日本サイドの歴史認識がまとまっていない、もしくは混乱している実態が、中国側からの批判に拍車をかけている部分があるのではないでしょうか。現状は、歴史問題に関し、日本政府が統一性に欠ける場当たり的な対応をするなかで、一部メディア等がその場当たり的な対応をうまく批判する中国サイドの論点に合致するような情報を提供し、そこを中国がさらについてくるという悪循環を繰り返しているような感じがします。

 日中の歴史観のすれ違いを見ていていつも感じますが、歴史認識は、百人百様でそれを無理に統一する必要もありません。ただし、日本政府としては、大多数の日本人が共感でき、また周辺国の人々もある程度許容できる歴史観というものを熟成してゆく必要があるように感じます。日本が敗戦の復興から高度成長そして経済大国になっていく過程においては、それほど気にする必要はなくとも、日本が経済大国になり、かつ経済のボーダーレスが進み、さらにアジア周辺国の経済力、発言力が強まるなかにおいては、特に必要になってくるのではないでしょうか。

 また、当連載第2回の「独立独歩の中国とアメリカありきの日本」で日本の戦略の欠如について言及しましたが、そもそも、戦略とは現状を認識することから始まり、現状認識は、現在につながる過去を適切に認識することから始まるものと思います。ということは、逆に日本の国としての歴史認識が定まれば、おのずとその戦略も定まるものといえます。

 反対に、中国は目先の戦略性が強すぎて、その歴史観もあまりにも一党独裁の共産党政権を擁護するための色彩が強くなりすぎている感じがします。それは、今後、中国の「和諧社会」が実現し、民主的な色彩が強くなるに従い柔らかくなってくるだと思いますが。ですから、中国から歴史問題に起因する反日感情というものも、批判する側の問題と、批判される側の問題と両方から見てゆかなければならないのではないかと、私は考えています。

5)中国側もこれまで日本から多額の経済援助を受けてきたこともあり、このような敏感な問題に対し、大目に見てきた節もある

 中国側は、特に80年代、90年代までは、経済的にも苦しく、そうした中で日本から多額の経済援助を受けてきた背景があります。そうしたなかで、ややこしい話はとりあえず置いておいて、とにかく日中友好で日本からの援助と投資を引き出しましょうという気持ちがあっても不思議ではありません。

 しかし、現在、中国もこれだけ経済的に実力を持ち、日本の援助もなくなるなかで、より対等な立場で、本音で言え合える関係になっているはずだ、と中国サイドは考えているのではないでしょうか。日本人にとってみれば、これまでの援助に対し感謝はしないで、援助がなくなればすぐに言いたいことを言い出す、といった批判があるのも確かです。ただそうした気持ちは、「国家の品格」を目指す日本人としては、心に納めておきたいものです。

 これは、「そもそも経済援助とは何か」という問題にも行き当たると思います。当然それも国家としての当面の外交戦略というものに則っているとはいえ、心持ちとしては、利己的ではない利他的な観点に立つボランティア精神がないと成り立たないし、現地の人の心も揺り動かさないのではないかと感じております。

 そうだとすれば、ボランティアをしておいて、ボランティアを受けた人が感謝しないと言って腹を立てる人は、そもそもボランティアをする資格はないのではないでしょうか。本当に利他的な気持ちでしたことであれば、結果的にそれが中国の発展に役にたっているのであれば、中国人が感謝しているかどうかということはそれほど気にならないはずです。

 もちろん感謝されればこれほど嬉しいことはありません。しかし、利己的な気持ちから出発すれば、何か経済的な見返りを求めたり、せめて言葉でも感謝の言葉を述べてもらいたいということになってしまうのかもしれません。このあたりにも、中国人と日本人との間に感情的なすれ違いがあるように思います。

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