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胡錦涛 政権が頭を抱えた「酷い工場」・「子供たちを救けて!」親400人の悲痛な叫びは届いたか = NBonline
http://www.asyura2.com/07/asia8/msg/420.html
投稿者 ダイナモ 日時 2007 年 6 月 22 日 19:25:10: mY9T/8MdR98ug
 

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20070621/127949/?P=1

 山西省南部にある臨汾市洪洞県は2500年以上の歴史を有し、後漢時代の西暦147年に創建された古刹「広勝寺」とその境内に建つ建立後500年以上を経た13層の八角の塔「飛虹塔」(高さ47.31メートル)で名高い。その洪洞県で大事件が白日の下に晒された。


奴隷同然の強制労働

 2007年5月27日、洪洞県公安局広勝寺派出所は違法爆発物の取り締まり調査中に、広勝寺鎮曹生村にあるレンガ工場で工員の挙動がおかしいことに気づいた。調べると、このレンガ工場は営業許可証も無ければ、資源許可証も税務登録証も無い家内工業的なレンガ工場で、曹生村の共産党支部書記である王東記の屋敷内にあった。派出所の警官は仲間の応援を得て、速やかにレンガ工場に立ち入り検査を行ったところ、31人の見るも無残な工員たちを発見した。

 彼らの着衣はぼろぼろで、頭髪は肩まで垂れ、髭は伸び放題、肌は皮膚病に蝕まれ、身体には無数の傷跡と火傷の跡が有り、強烈な悪臭を発していた。警官は奴隷同然の不当な強制労働が行われていると判断し、31人全員を救出した。彼らの最年長は58歳、最年少は何と14歳であり、31人中の9人は知的障害者と精神病者であったが、彼らがレンガ工場の苛酷な生活による後天的なものかどうかは不明である。その後の調べで、彼らの出身地は12の省・自治区・直轄市にも及んでいることが判明した。

 レンガ工場の経営者は王東記の息子で王斌斌という。2004年にレンガ工場を建設し、2006年に河南省出身の職人頭である衡庭漢とレンガ製造の請負契約を締結した。契約内容は王斌斌が工場設備と原材料を提供し、衡庭漢がレンガを製造する、完成したレンガは王斌斌が1万個当たり360元で買い取るというものであり、王斌斌はこれを2000〜3000元で販売して暴利を得ていたものと思われる。

 請負契約を締結した衡庭漢はその手下と共に、2006年3月から陝西省西安市や河南省鄭州市の鉄道駅で仕事を餌に騙したり、脅したりして32人の出稼ぎ農民をレンガ工場に連れ込んで工員に仕立てた。これら工員たちは自由を奪われ、衡庭漢の手下5人とシェパード6匹により常に監視されており、毎日15〜16時間以上の労働を強制された。

 1日3回の食事は小麦粉でできた「饅頭」だけ、食事時間は15分間以内、労働時間以外は小さな小屋に押し込められ、地面にごろ寝で、厳寒の真冬でも暖房なし、逃亡防止に夜間は外から施錠された。2006年11月には先天性知的障害の農民が手下に殴られて死亡したことで、工員数は31人となった。

 5月27日の事件当日、王斌斌は主犯として捕まり、手下4人も逮捕された。真の主犯である衡庭漢は2人の手下と共に逃亡し、20日後の6月16日に湖北省丹江口市で逮捕されたが、手下2人は依然として行方をくらましたままである。王斌斌の父親で曹生村共産党支部書記の王東記は、事件発覚と同時に蒸発し行方をくらませたが、中国共産党は6月18日付で王東記の党支部書記の職務を解除すると共に共産党から除籍した。


ネットで取り上げられたことで事態が急変

 このニュースは全国に放送されたが、この時点ではそれほど大きな反響はなかった。ところが、6月5日に河南省の新聞「河南日報」が主宰するインターネットサイト「大河ネット」に「罪深き悪人の道!山西省の非合法レンガ工場に子供を売られた父親400人の血涙の救助要請」と題する書き込みが掲載されたことで事態は大きく転換する。

 この父親たちの子供は、大部分が河南省鄭州市の鉄道駅、バスターミナル、歩道橋の下や道路などから騙されたり、拉致されたりして連れ去られて、1人当たり500元(約7500円)で山西省にある非合法レンガ工場へ売り飛ばされて苦しい動労に従事させられている。彼等は行方不明となった子供たちを求めて同じ境遇の仲間で集まり、家の蓄えを使い果たしつつレンガ工場が密集する山西省の臨汾市、永済市一帯の山奥に散らばる非合法レンガ工場を2カ月間にわたって1軒1軒歩き回り、四十数人の子供たちを助け出すと共に貴重な糸口を入手した。

 大河ネットへの書き込みは、そうした実体験を踏まえて、悪魔の巣窟から子供たちを救出するための協力を求めた切実な呼びかけであった。書き込みには、「我々が目にしたのは驚くべき光景だった。頭髪が伸びて野人のような子供たち、或る者はすでに7年間も外界と隔絶させられ、或る者は逃亡に失敗した揚げ句に凄まじい折檻を受けて障害者にされた。

 毎日14時間以上も働かされ、食事もろくに与えられず、疲労で動きが悪いとレンガをぶつけられ、棍棒で打たれる。たとえ重傷になっても薬すら与えられず、症状は悪化するのみ。最年少はわずか8歳であったが、この8歳の子供はわずかな食物にありつくために大人でも苦しい重労働に必死で耐えていた」とあり、「依然として山西省の非合法レンガ工場には1000人以上の子供たちが囚われの身となり苦役に喘いでいる」として協力を呼びかけていた。


ネットで「父親400人の叫び」が届いた・・・

 この書き込みは6月12日まで掲載されたが、反響はものすごく、アクセスは31万ヒットを記録した。6月7日には別サイトの掲示板「天河雑談」に転載されたが、掲載からたった6時間でアクセスは58万ヒットを記録し、3000以上のコメントが書き込まれた。「父親400人の叫び」は、その後もインターネットを通じて全国に報じられ、先の洪洞県の「5月27日事件」と結びつけられて中国全土を揺るがす大問題へと発展した。

 山西省の非合法レンガ工場における不当就労がメディアを通じて全国に報じられたことにより、事件は中国の指導者たちの注視するところとなった。胡錦涛、温家宝、呉官正、李長春といった共産党政治局常務委員はそれぞれ重要な指示を出した。これを受けて、共産党政治局員で中華全国総工会(労働組合の全国統一組織)主席の王兆国は総工会幹部に対して現地へ調査団を派遣して徹底調査するよう指示したし、山西省ではNo.1の省党委員会書記の張宝順、No.2の省長の于幼軍が不法レンガ工場における不当就労の撲滅を徹底し、奴隷状態にある出稼ぎ農民や子供たちを救出するよう指示した。


被害者救出作戦を実施

 指示を受けた山西省公安庁は、「不当就労を撲滅し、被害者たちを救出せよ」作戦を展開し、山奥に分け入って各地の非合法現場の立ち入り検査を実施して作戦の完遂を図っている。山西省公安庁の統計によれば、6月17日午後4時までの時点で、非合法なレンガ工場、鉱山、精錬所など6256カ所の検査を実施し、出稼ぎ農民などの被害者374人を救助した。被害者には14歳以下の児童が18人、14歳から18歳までの少年が6人含まれていた。

 隣接する河南省でも公安庁による同様な作戦が展開されており、6月9日から14日までの6日間で警官延べ3万5000人以上を動員して7500カ所余りで検査を実施し、被害者217人を救出した。被害者には18歳以下の未成年者が29人、知的障害者が10人含まれていた。両省公安庁による作戦は継続中であるが、1000人以上いると言われる被害者の子供たちはどこに消えたのか、救出される子供たちの数は依然として少ない。

 危険を察知した非合法現場の経営者や職人頭が、子供たちを既に両省公安庁の作戦範囲外へ移動させたのではないかとの憶測も飛んでおり、公安部主導による全国規模の調査が不可欠と思われる。但し、筆者にはこうした事件が今まで大きな問題とならなかった背景が一番の問題と思える。

 洪洞県の曹生村で救出された31人に対して、洪洞県政府は同地の月額最低賃金標準である470元の3倍に当たる月額1410元(約2万1150円)を労働月数に応じて支払うと共に慰労金として1人当り1000元を支給し、中央政府国務院から派遣された調査団も1人当たり1000元の慰労金を支給した。こうして被害者たちはそれぞれ故郷へ向かったが、9人の知的障害者と精神病者についてはその落ち着き先はいまだに決まっていないようである。


道徳教育的スローガンを唱える胡錦涛政権

 戦前の日本にも「たこ部屋」と呼ばれる監獄同然の飯場が炭鉱地帯などに存在した。そこで働く労働たちは「たこ」と呼ばれ、手配師の甘言に騙されて魔窟に売られたもので、拘束され厳しい監視下に置かれていた。21世紀の今日、経済大国への道を驀進し、2008年には北京オリンピックを開催する中国に、前時代的な「たこ部屋」同様の強制労働や拉致・誘拐・人身売買を伴う児童就労がはびこっている実態は嘆かわしい限りである。胡錦涛・温家宝政権が目指す「和諧社会」(調和の取れた社会)を真に実現するためには、中国の国家としての品格を正すべく「民度の向上」を図ることが先決ではなかろうか。

 今回の事件に最も強い衝撃を受けているのは中国共産党総書記の胡錦涛その人であるに違いない。2006年3月に胡錦涛が「八つの誇りと八つの恥」(中国語で「八栄八恥」)という道徳教育的なスローガンを提起した時、筆者にはその「して良いことと悪いこと」という内容が子供じみたものに思えたが、今回の事件を通じて胡錦涛が自国民の民度の向上にいかに腐心しているかが分かったような気がした。


(北村豊=住友商事総合研究所 中国専任シニアアナリスト)
(註) 本コラムの内容は筆者個人の見解に基づいており、住友商事株式会社 及び株式会社 住友商事総合研究所の見解を示すものではありません。

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