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英機密文書が明かす裏面史 バチカンに接近した昭和天皇(産経新聞)
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投稿者 熊野孤道 日時 2007 年 6 月 27 日 22:23:01: Lif1sDmyA6Ww.
 

http://www.sankei.co.jp/culture/bunka/070618/bnk070618003.htm

英機密文書が明かす裏面史 バチカンに接近した昭和天皇

 《東条を首相に任命する際、天皇は日米交渉を継続し、全力で戦争回避を図る事を条件にした。(中略)天皇がそんな形で(組閣に)介入したにせよ、これは前例のない出来事である(1941年11月14日)》

 時の英国駐日大使クレーギーが本国にあてた報告である。その2年後、英国のチャーチル首相はこんなメモを残す。

 《日本の攻撃で、米国が一丸となり参戦したのは天佑だった。大英帝国にとって、これに勝る幸運は滅多になく、真の敵と味方が明白となった。日本が無慈悲に壊滅される事で、英語圏と世界に大きな恩恵を与える(43年9月19日)》

 インテリジェンスの本家である英国の公文書館には、日本についても幕末から現代にいたるまで諜報(ちょうほう)記録を含む膨大な報告書が眠っている。英国の通信社ロイターの記者を経てフリーで活動する徳本栄一郎さんは、これまでほとんど注目されていなかった英国の機密ファイルを発掘、大東亜戦争前後の昭和天皇の動向と英国の思惑を描いた『英国機密ファイルの昭和天皇』(新潮社)を刊行した。

 その内容は冒頭に掲げたように、日米の資料によって明らかにされていた“事実”を裏付けるだけでなく、昭和天皇の知られざる側面に光を当て、同時に冷徹な英国外交のありようをも浮き彫りにする。

                  ◇

 本書の内容を見てゆこう。戦後、駐日英国代表となりマッカーサーと面会したガスコインは、昭和天皇とマッカーサーのやりとりについて、次のように記す。

 《「そこまであなたが戦争に反対していたなら、なぜマイクの前に立ち、その旨を宣言しなかったのか」(というマッカーサーの問いに昭和天皇はこう答えた)「歴代の天皇で、側近の意見に反して行動した者はいません。一九四一年の時点で、もし私がそんな行動を取れば、間違いなく首をかき切られていました」(47年1月22日)》

 さらに、昭和天皇が退位したならば、肺結核を患っている秩父宮の代わりに高松宮が摂政となる可能性が高いという認識のもと、ガスコインはこう報告する。

 《他の皇族と比べた場合、降伏以来の高松宮は、公式の場で不用意な発言が目立ち、一貫性がない。占領初期、高松宮は意図的に米国人を歓迎したが、その後は、占領政策の不満分子の影響を受けている(48年6月21日)》

 また、昭和天皇がローマ教皇ピウス12世に親書を送った、という情報をキャッチした駐バチカン英国公使館の報告は警戒感にあふれている。

 《ローマ教皇庁は、軍国主義の崩壊により、日本にイデオロギー上の空白地帯が生まれたと見ている。共産主義に対抗して、教皇庁は、それを埋めたい考えだ。(中略)天皇裕仁がカトリックに改宗する可能性が出た事も、教皇庁の動きに拍車をかけた(52年4月18日)》

                  ◇

 徳本さんは言う。

 「英国の機密ファイルによって皇太子時代から戦後に至るまでの昭和天皇を追って一番強く感じるのは、昭和天皇は冷静な現実主義者であった、ということです。ローマ教皇への親書にしても、GHQの支配状況を何とか打破したいという思いからではないでしょうか。戦前は軍部、戦後はGHQに与えられた枠の中で昭和天皇は全力を尽くしたと思います」

 本書に掲載された機密ファイルは、大英帝国時代から培った英国の情報収集能力の高さ、さらに情報をもとにあらゆるケースを想定して万全の態勢をとる英国のしたたかさを浮き彫りにする。近年、日本ではインテリジェンス論が盛んだが、徳本さんはその議論が「少々的はずれ」であると指摘する。

 「インテリジェンスというと、システムや法の整備が話題になりますが、つまるところ人材なのです。能力として求められるのは、ひとつは語学力、もうひとつは現地に入って人脈を作ってゆける人間力、このふたつが基本でしょう」(桑原聡)


今回取り上げている本

英国機密ファイルの昭和天皇
徳本 栄一郎

ロープライス ¥880
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(2007/06/18 13:11)

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