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週のはじめに考える 『活私共生』のすすめ【東京新聞】
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投稿者 そのまんま西 日時 2007 年 9 月 02 日 22:53:57: sypgvaaYz82Hc
 

週のはじめに考える 『活私共生』のすすめ【東京新聞】
2007年9月2日

 安倍改造内閣の発足を受けて間もなく臨時国会が始まります。法案審議と同時に、「安倍政治」に欠けるものは何かを議論する場でもあってほしいですね。

 安倍晋三首相が自民党総裁選への出馬に当たって公約「美しい国、日本。」を発表したのは、ちょうど一年前の九月一日、広島市での記者会見の席でした。「戦後レジーム(体制)からの船出」「主張する外交」「再チャレンジできる社会」などのキーワードが躍っていました。

 そして首相就任後、「公の精神」を重視した改正教育基本法、防衛省発足、改憲手続きを定めた国民投票法と矢継ぎ早に戦後レジームからの脱却を実現していきました。

 進んだ「個」の社会
 だが、先の参院選では「消えた年金」や政治とカネの問題が響いたにしても、有権者は「安倍政治」にイエスとは言いませんでした。どこに原因があったのでしょうか。

 ワープロやポケベルに代わってパソコンや携帯電話が普及し始めた九〇年代後半、「『小社会』主義の日本人」という社説を書きました。

 電車内で飛び交う携帯電話の声、大学祭での小集団による売店や出し物、地域でのスポーツや趣味のサークル活動、学校や職場でのいじめ多発など、当時から顕著になってきた社会現象は、いずれも「気心の知れた仲間同士を大事にする」「知らない外部の人を疎外する」といった共通点を持っていました。

 インターネットを通じて世界に目が広がれば「小社会」志向とは違う視野の広い人間が育つはずですが、現実にはパソコンおたく型の若者が増えました。仲間内の「私」を重んじ、パブリック(公)の社会を敬遠する風潮が高まったのです。

 そういう点からすれば安倍首相のいう「公」精神高揚の必要性も分からないわけではありません。しかし、「公」の強調イコール「私」の否定ではないはずです。

 「滅私報国」の苦い経験
 その安倍さんすら、昨秋の組閣で「お友達内閣」をつくり、結果的に閣僚の相次ぐ失態で内閣支持率の低下や参院選惨敗を招きました。

 いまだに私たちは戦前・戦中の体験を忘れてはいません。「滅私奉公」。さらに進んで「滅私報国」。これが国を挙げてのスローガンであり、大義になっていました。

 「身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬともとどめおかまし大和魂」(原文のまま)

 一九四二(昭和十七)年十一月、内閣情報局が発表した「愛国百人一首」の一つに選ばれた吉田松陰の歌です。これらの歌は「愛国百人一首かるた」として売り出され、国民の間に愛国精神を高揚する道具として活用されました。

 かるた遊びに興じている限りは罪はありませんが、やがて「挙国一致」「尽忠報国」「一億一心」「神州不滅」といった官製標語のもと国民は戦争に駆り立てられ、内外で無数の犠牲者を出す結果に終わったのです。自らの戦争体験をつづった「ガラスのうさぎ」発表以来、各地で戦争と平和について語り続けてきた高木敏子さんは近著「ラストメッセージ」で、こう書いています。

 「指導者たちは『国を護(まも)る』の四文字でその国の進む道を戦争へと導いていく。戦争を起こそうとするのは人の心です。戦争を起こさせないようにするのも人の心です」

 先の戦争や戦前レジームへの反省から生まれたのが現憲法における「すべて国民は、個人として尊重される」(第一三条)という基本的人権擁護の思想でした。

 安倍首相が戦後における「個」が行き過ぎたと認識するならば、それを規制する「滅私」ではなく、私を公のために生かす「活私」の道を模索すべきでしょう。言い換えれば、戦後民主主義の短所を是正し、長所を伸ばす「戦後レジームの発展」こそが必要なのです。

 日本におけるインターネット元年といわれた九五年は「ボランティア元年」でもありました。同年一月の阪神大震災では日本列島各地から自然発生的にたくさんの人々が救援活動にはせ参じました。さる七月の新潟県中越沖地震の直後にも、倒れた墓石を炎天下で直したり、倒壊家屋の後かたづけを手伝うボランティアの姿が多く見られました。

 「私」を他人のために生かし苦楽を共にしようというスタンスです。「滅私奉公」にかわる四字熟語を造語すれば「活私共生」です。

 最近は一段と「個」重視の生活パターンに変質しています。それでも震災など大きな自然災害に遭遇すれば「お互いさま」という助け合いの気持ちが巻き起こるところに日本の希望があります。

 「私と公」の再検討を
 「公あっての私」と決めつけるのではなく、「活私共生」の雰囲気づくりを進めようではありませんか。一年前には高い人気を誇示した「安倍政治」が、今年に入ってから不評なのは、年金問題だけでなく、あるべき「私と公」の関係について国民の共感を得られる設計図を描けていないからに違いありません。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2007090202045776.html

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