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JMM [Japan Mail Media]  「目に見える天災、目に見えない人災」  冷泉彰彦 
http://www.asyura2.com/07/bd51/msg/158.html
投稿者 愚民党 日時 2007 年 10 月 28 日 01:18:49: ogcGl0q1DMbpk
 

                             2007年10月27日発行
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JMM [Japan Mail Media]                No.450 SaturdayEdition
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                       http://ryumurakami.jmm.co.jp/
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  ■ 『from 911/USAレポート』第326回
    「目に見える天災、目に見えない人災」

 ■ 冷泉彰彦   :作家(米国ニュージャージー州在住)

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 ■ 『from 911/USAレポート』第326回
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「目に見える天災、目に見えない人災」

 今週前半に南カリフォルニア一帯を襲った山火事の猛威は、自然の恐ろしさを改め
て実感させるものでした。火は各地で住宅地を呑み込み、焼けた家屋は1500軒に
達する中、ピーク時には総数100万人が避難しています。中でも被害の大きいサン
ディエゴ市では、フットボール競技場のクワルコム・スタジアムが避難民を収容する
など、ハリケーン・カトリーナの惨事を彷彿とさせるものがあったのです。

 今週の前半、連日のようにTVのニュースには、何十メートルもの高さに吹き上が
る炎、上昇気流を起こして竜巻のように渦を巻く炎、衛星から撮影した南カリフォル
ニアが煙に包まれた映像、など恐ろしいイメージがあふれました。中でも焼け野原に
なった住宅地の映像や、民家が一瞬のうちに火の波に呑み込まれるイメージ、更には
強風に煽られて火の粉が舞い上がり延焼を広めている映像などには、CGではとても
描けないような恐怖を感じます。

 山火事というと、乾燥した森林に不審火や失火などで火がついて燃え広がるという
ケースが思い起こされますが、今回のものは単にこの地域が乾燥していただけでなく
「サンタアナ・ウィンド」という巨大なフェーン現象による熱風が吹き続けたという
ことが大きな要素です。南カリフォルニア沿岸の太平洋に低気圧が居座り、大陸の中
程には高気圧が動かない中で、最大秒速25メートルの風が、ロッキー、シェラネバ
ダの山脈を越え、その間にはネバダの砂漠も通ることで摂氏35度の高温低湿度の風
になって吹き続ける、それが「サンタアナ」です。

 元来が年初より雨が少なく、カラカラとなっていたこの地方の山林は失火にして
も、自然発火にしても一旦火がつくと瞬く間に燃え広がったばかりか、猛烈な熱風に
乗ることでハイウェイや防火帯などの障害も乗り越えて、どんどん進んで行きまし
た。そんな中で消火活動には限界がありました。シュワルツネッガー知事は現地で陣
頭指揮を執り続けるとともに、連邦政府から災害被災地の適用を取り付けて頑張った
のですが、火勢はなかなか収まりませんでした。

 ちなみに、シュワルツネッガー知事は共和党員ですが、社会価値観などの政策は中
道なので、共和党の大統領候補選びが今のところは「各候補の保守度チェック」に
走っている中、ほとんどメディアには登場していませんでしたが、久しぶりに存在感
を示しています。鎮火の見通しを聞かれた際に、「いい加減なことを言うわけにはい
かない、全ては天候次第」と答えるなど、ズバッとモノを言うリーダーシップは機能
しているようで、疲労の色の濃い消防隊員の士気を維持するのに一役買ったようです。

 一部のニュースでは、人工衛星からの煙の映像を頼りに、航空機やヘリコプターを
動員した消火活動が成功したという解説もあります。ですが、実際にTV各局による
現場からの中継映像を見ていると、分譲団地に火が迫る中、消防車が駆けつけると同
時に住民の避難するクルマがすれ違う、そんな光景が見られるところから推察する
と、ハイテクによって得られる情報の活用は限られていたようです。

 24日の水曜日に入ると、ようやく気圧配置に変化が見られ「サンタアナ」の風は
収まってゆきました。逆に太平洋から少し湿度を含む、そして温度もやや低い風が吹
き出しています。ですが、基本的に雨は降っていないわけですし、地上の気温は高い
ままなので、これまで西南方向へ向かっていた火勢が一部東へ向かうという観測もあ
り、即座に全面鎮火とはいかないようです。また25日の木曜日になると、一部で鎮
火したというニュースが入り始めた一方で、内陸へ向けて吹き始めた風が逆に煙を内
陸に戻す効果となって視界不良や健康被害が懸念されることになりました。

 さて、25日の木曜日にはブッシュ大統領が現地入りしたという事実が象徴するよ
うに、今回の山火事は、それこそ2005年秋のハリケーン・カトリーナ級の惨事で
あって、カリフォルニア南部の経済や社会は深刻な危機を迎えているように見えま
す。確かに避難民が最大で100万人、焼失家屋が1500軒、家屋焼失による直接
的なダメージが10億ドル(1130億円)という数字を見ると、これは歴史的な大
災害と言わざるを得ません。

 ですが、人々の表情にはカトリーナの際のような悲壮感や憤激はありません。例え
ば、先にご紹介したクワルコム・スタジアムの避難所ですが、カトリーナの被災にあ
たって、ニューオーリンズの「スーパードーム」を避難所に使ったケースとは、18
0度反対のムードだったようです。スーパードームの場合は、停電して蒸し風呂状態
の中、水道も止まってトイレなどの衛生が悪化、また食糧や水も不足する中、被災者
は地獄のような経験をしたのだ、そう伝えられています。

 ですが、今回のクワルコム・スタジアムについては、CNNのマイク・アーラース
記者によれば「良い意味での驚きの連続」だったのだそうです。十分な食糧と水が確
保されるだけでなく、良質のボランティアを大量に動員することができ、避難所とし
ては理想的な活動ができていた、サンディゴ郡の当局者はそう胸を張っていたそうで
す。ボランティアは単に衣食住のサービス提供だけでなく、例えば初めて避難所にた
どり着いた避難民の受付処理をする係の中には、「全ての被災者を抱きしめるボラン
ティア」がいたというのです。

 CNNの紹介した「抱きしめボランティア」はシェリー・ショアーズさんという女
性なのですが、自分から進んでこうした役を買って出ており、被災者達にも周囲にも
大変に好評なのだといいます。ちなみに、このショアーズさんは数ヶ月前に「住宅ロ
ーン破綻による差し押さえ」を受けており「一瞬にして家を失うことの痛み」は同じ
だからと、ボランティアを志願したのだそうで、このあたりは正に今現在のカリフォ
ルニアならではの動きと言えなくもありません。

 このショアーズさん以外にもユニークなボランティアがいて、例えば子供の被災者
に対して数学の宿題を見てあげる「チューター」のボランティアなども大変に好評だ
そうですし、中でも最も感謝されているのは避難所内に設置したテントに置かれた
「お宅の安否確認」サービスだと言います。これは自分の住所を申告すると、家が焼
けたか無事かが即座に検索できるもので、地域一帯に避難命令が出て着の身着のまま
で逃げてきた人にとって、非常に有り難がられているそうです。

 そんな中、このクワルコム・スタジアムでは最大時には1万1千人いた避難民が、
25日の木曜時点では2千5百に減り、26日にはその役割を終えています。家の無
事だった人は自宅へ、焼け出された人の多くも知人や親戚を頼って避難所を後にした
のです。最大で15カ所あったという大規模な火災も、順次鎮火へ向かっているそう
で、南カリフォルニアの長い一週間はようやく終わりに近づいてきました。

 では、カトリーナと比べて、今回の山火事ではどうして人心は落ち着いていたので
しょう。まず何といっても、経済的なダメージの構造が違います。ニューオーリンズ
の被災者と、サンディエゴの被災者では所得の階層が違うだけでなく、水害と火災と
いう被害の質の違いが大きいと思います。アメリカの社会システムの中では、基本的
に洪水保険というのはオプションなのです。つまり不動産ローンを組む場合に、洪水
保険への加入と質権設定というのは余程何度も洪水の被害に遭っている場所はともか
く、強制はされないのです。

 ニューオーリンズの場合は、結果論からすると洪水危険地域だったのですが、過去
にあそこまでの水害がなかったこと、そして多くの住民がかなり以前に設定した住宅
ローンを組んでいたり、ローンを完済していたりしていたこともあって、ローンの上
で洪水保険に自動的に加入ということはなかったのです。また、保険料が高額なため
に任意で加入するという選択も、多くの人には無理でした。ですから、予想もしてい
なかった堤防の決壊という事態に対して、泥水につかって家が全損状態になった人
は、完全に資産を失うことになったのです。

 あのハリケーンの直後、スーパードームに避難した人々が抱えていた暗さというの
は、そうした事実を背負っていました。それに対して、今回の「火事」ではほとんど
の人が火災保険に加入しています。それは不動産ローンを組む上で強制されるからで
す。中には、ひどい保険に入っていて「全損火災の発生24時間以内に写真付きの報
告書を出さないと保険金が下りない」というケースなどで、財産を失いそうな人もい
るのですが、シュワルツネッガー知事の奔走でそうした人々への救済策の検討は既に
動き出しているそうです。

 極端な例では(不謹慎なので口にするのは憚られるのですが)問題になっているサ
ブプライムを借りていて、金利上昇のためにそろそろ返せないから「差し押さえ」を
覚悟していたような人は、家が焼けたためにかえって救済された、そんなケースもゼ
ロではないと思います。住宅ローンの契約の中での火災保険の質権設定というのは、
基本的に全損の場合はローン残額が補償されるような設計になっているからです。実
際問題として、今回の火災による南カリフォルニアの被害額は、地域経済に与える影
響は軽微、そんな記事も出始めています。

 それにしても、猛威をふるう燎原の火に晒されたカリフォルニアの人々には、まだ
落ち着きがあり、同じ天災でもカトリーナの被災者には絶望感があった、この違いは
カネの話だけでは説明はできないように思います。そこにあるのは、人災の要素の有
無ではないでしょうか。今回の山火事に関しては、放火がきっかけになったという、
ひどいケースもあったようで、人災的な部分はないわけではありません。また、この
サンディエゴ地区は、2003年に大規模な山火事に見舞われており、その経験から
の学習が足りなかったという批判も可能です。

 ですが、シュワルツネッガー知事が胸を張っているように、1万1千人という消防
隊員の士気は高かったですし、何よりも22人の焼死者を出した2003年に比べる
と、火災の規模は大きいにも関わらず焼死者は10名(26日現在、抵抗時に射殺さ
れた放火犯を除く)に抑えられているというのは、人災の要素は少ないと言えるで
しょう。25日には鎮火した住宅地から2名の焼死体が発見され、一列に並んで弔意
を示す消防隊の姿がTVに映っていましたが、その整然とした姿には、ある意味でコ
ミュニティとして今回の天災を受け止めざるを得ないという姿勢を感じたのも事実で
す。

 これに対して、二年前のカトリーナでは、連邦政府の初動体制にしても、決壊した
堤防に関する責任問題にしても、州政府と市政、連邦三つどもえの責任転嫁合戦、と
いうような醜悪な人間模様が描き出されました。人災ここに極まれりというところで
すし、実際に人々が生活を立て直す術もない中で、怒りの持って行きどころのない絶
望感が街を支配してしまったのです。

 ちなみに、このカトリーナ被災に当たって右往左往したルイジアナ州のキャスリー
ン・ブロンコ知事(民主)は今回の知事選への立候補を断念、混乱気味の選挙戦の結
果、共和党のボビー・ジンデル候補が次期知事の座を射止めました。ジンデル次期知
事は、知事としては初のインド系二世で、いかにもインド系らしく数字に強く、州予
算を一ドル単位で見直す徹底した財政再建を公約しており、ルイジアナ州政を一変さ
せるのではと、様々な期待を受けています。

 それはともかく、2005年秋のニューオーリンズは史上最大級のハリケーン来襲
という天災よりも、人災が人心を絶望へと追いやったのです。それは、結果として自
分たちが受けられる救済がダメージを埋めるには足りないというだけでなく、目に見
えない人間ドラマのせいで、自分たちの将来が暗黒なまま放置されることへの怒り、
とりわけその「わけのわからなさ」自体が絶望を作り出していたのだと思います。

 災害それ自体について言えば、ハリケーンという現象は理解できるのです。です
が、どうして堤防が決壊したのか、どうして避難命令が遅れたのか、そうした自分た
ちの家財を奪った要素のほとんどが「わけのわからない」人災であった、それがカト
リーナ被災という悲劇の本質でした。一方で、今回のカリフォルニア南部を包んだ燎
原の炎は、それ自体は恐ろしくても人間としては理解が可能なものだったのでしょ
う。鎮火への安堵にせよ、家を失った空虚感にしても、人々の表情に見られる表情に
落ち着きがあるのは、そのためだと思います。

 思えば、21世紀に入って以来、アメリカとヨーロッパの一部の人々に恐怖心を与
えて、軍事外交の方針に大きな影響を与えている「イスラム原理主義テロリスト」に
関しても、爆弾テロのもたらす衝撃よりも、相手に対して抱く「わけのわからなさ」
が恐怖や憎悪の本質なのでしょう。一部の人々は、中東から中央アジアにかけては貧
困と独裁と反米感情がカラカラに乾いた状況を作っていて、そこに火をつければ燎原
の火のごとく燃え広がる、そんなイメージを持っているのかもしれません。

 ですが、実態は違うと思うのです。パキスタンに帰国を許されたブット元首相の暗
殺未遂テロは、100人を越す犠牲者を出したとしてアメリカには衝撃を与えていま
すが、だからといって親欧米のブット女史の帰国が極悪の原理主義者に火をつけたと
いうような単純な話ではないと思うのです。ブット女史への反感を抱く勢力には、ま
ず経済発展の進まない現状への不満があり、それが地域間の対立問題となると同時
に、ブット政権当時の政府の腐敗に対する怒りがあり、その延長に親欧米の同女史の
蓄財行為などへの反感が交じっています。では、そうした感情を持っている人間全員
が自爆テロリスト予備軍なのかというと、それは違うでしょう。

 問題は経済を軌道に乗せると同時に、地域間対立と政府の腐敗を根絶する、そのよ
うな純粋な国内政治を進めることでしか解決しないと思います。パキスタンにはパキ
スタンの複雑な内政の事情があるのです。ニューオーリンズに必要な堤防が築けな
かったように、また限度を超えた貧富の格差を放置していたように、パキスタンの政
治にも問題があり、それが限界を越えるところから妙な神学院による思想運動が広
まった、それは乾いた風が吹いたから火事になったというような単純なものではない
と思います。

 人間とは複雑な生き物です。まず生存のために本能を働かせ、その上で自尊心を満
足させるためにも本能的に行動する、そうした行動に複雑で抽象的な思想や感性が
乗っていきます。大きな集団も、よく見れば小さなグループごとに異なった利害を
持っており、また個々人のレベルでも千差万別です。人災を防いだり、異なったグル
ープが共存して生きるためには、天災に対処するのとは比べものにならない努力が必
要なのだと思います。しかも人間の心は目に見えません。その見えなさ、わからなさ
が反対の立場にいる人間には恐怖や憎悪を醸し出す、それもまた人間というものなの
だと思います。

 25日にサンディエゴ入りしたブッシュ大統領は、シュワルツネッガー大統領やダ
イアン・フェインスタイン上院議員(民主、カリフォルニア州選出)などと一緒に記
者会見し「もっと良い明日がやってくる」とブチ上げていました。その場の全員には
鎮火へ向う現状を踏まえてか、安堵の表情も見えました。ですが、火事というのは要
は燃焼という急激な酸化作用を止めれば良いのであって、その手段も分かっていま
す。要は温度を下げ、酸素を減らし、燃料を除去すれば良いのです。鎮火したという
ことも目で見て分かるのです。ですが、国際紛争や歪んだテロリズムへの支持という
のは、そんなに簡単には行きません。それを火消しと同じような感覚で対処、いや、
それどころか火災に対抗して、更に大きな火力で応酬している、それではいつまでも
問題は解決しないでしょう。

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冷泉彰彦(れいぜい・あきひこ)
作家。ニュージャージー州在住。1959年東京生まれ。東京大学文学部、コロンビア大
学大学院(修士)卒。著書に『9・11 あの日からアメリカ人の心はどう変わった
か』『メジャーリーグの愛され方』。訳書に『チャター』がある。
最新刊『「関係の空気」「場の空気」』(講談社現代新書)
<http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4061498444/jmm05-22>
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JMM [Japan Mail Media]                No.450 Saturday Edition
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【発行】  有限会社 村上龍事務所
【編集】  村上龍
【発行部数】128,653部
【WEB】   <http://ryumurakami.jmm.co.jp/>
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