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生き埋め (の体験記です)
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投稿者 きすぐれ真一 日時 2007 年 11 月 06 日 21:28:35: HyQF24IvCTDS6
 

http://blogs.dion.ne.jp/tagosaku/archives/742791.html
農業(がんばらない、けど、あきらめない)
野菜がおいしそうに育つのをみているのが好きです。専業農家をしていて、あれこれ日々思うこと、工夫していることなど、いろいろ書いてみます。


2005年03月12日
生き埋め
ゾンビが土からごぞごそ出てくるシーンは嘘です。まあ、ゾンビ自体が嘘なのでシーンが嘘でも悪くはないですが。砂浜に立った状態で埋められたことがある人なら分かるかもしれません。人は埋まってしまうと、関節を曲げることができません。身動きができないから、もがいて地表に出るということが、不可能です。水の中でもがくのとは全く違います。

 生き埋めでなぜ死ぬか?

もちろん息ができないからです。口の前に空気があったら、死なないか?否。埋まってしまって、体の上に重たい土が被さると、息を吐くことはできます。でも、吸えません。息を吐いて肺が小さくなると、そのぶん土が迫ってきます。一度土が体の上にしまってくると、その土を押しのけて息を吸えないのです。だから息をするたびに、次に吸える量が減ってきます。だから深呼吸できません。胸を押しつぶされないように、浅い息を繰り返すしかないです。
 被さった土を押しのけようとするには、力が必要です。力を出すには呼吸をしなくてはなりません。たくさん吸うにはたくさん吐かなくてはなりません。でも、吐いてはいけないです。浅い息を何度も何度もして、呼吸を整えます。でもゆっくりはしていられません。土はじわりじわりと沈んできます。崩れた直後は、体の周りに空間があります。しかし、時間が経つにつれ、土がしまってきます。

 私はユンボで幅40センチ、深さ180センチほどの暗渠用の溝を掘っていました。私の掘った溝の横に、田を造成したときに入れた暗渠がありました。その暗渠は深さ150センチくらいのところに砂利が入れてあり、その横面が私が掘った溝から見えました。厚さ20センチほどの砂利が溝にこぼれていました。私はどれほど砂利の幅があるのか興味があり、溝の底にしゃがんで砂利をひっかいてみました。その時、その砂利の上の土が壁のようになって倒れてきました。厚さ30から40センチ長さ2メートル強の壁が私を溝の底に押しつけました。壁が溝にもたれかかったので、私の目前には三角形の空間がありました。少しずつ空間は狭まってきますが、それでも空気は吸えました。
 溝の底に下りる前に時計をみました。11時40分くらいでした。昼食まで、古い暗渠をどうするか思案しようと思いました。そして、生き埋め。
 しゃがんだ状態なので足は全く動きません。体は左側に押しつけられ、左腕は動かせず圧迫されてすぐにしびれはじめました。右足は右斜めに溝の幅いっぱいにやや広がった状態で埋もれていました。右腕だけは前にのばした状態でした。埋まった瞬間は目前に三角形の空間があり、右手はその空間にのばされ、そして小型のつるはしが手元にありました。初めのわずかな時間、そのつるはしでなんとかしようとしましたが、まもなく目前の空間はつるはしを動かせないほど狭まってしまいました。いろいろ考えました。明日まで埋まっていれば、畑の向こうの山で仕事している友人の木こりは気づくだろう、とか。でも、明日まで待てない。明日までに死んでいたら、イヤだ。私が埋まった田の3つ隣の田で、農家がトラクターの下敷きになって死んでいます。なんともかわいそうです。でも、自分はかわいそうにはなりたくないです。
 何度も何度もいろんなことが頭をよぎるのです。いつ見つかるかなとか、だれも上の道を通らないだろうなとか、だれか通ったら声が届くかなとか、埋まったまま見つかったら救急車が来るのかなとか、傷つけずに掘り出してくれるのかなとか、あわててつるはしで掘られたら刺さってしまうだろうなとかいろいろ考えました。いろいろ考えつつも、息を整え、まずは右腕を少しでも動かせるようにもがきました。右腕はのばした状態だったので、腕で踏ん張るわけにはいきません。腕を右膝に寄せようともがきました。そして、その空間を作るために、必死に腰を伸ばそうとしました。手でつかめそうな土塊はつかんで、少しでも遠くにのけました。
 わずか厚さ三四十センチの土塊、されど溝にはまりこんだ土塊です。上半身を起こすことはできません。粘土質の土塊は固まったまま崩れてくれません。何度も何度ももがき、右腕を寄せ、上半身をあらん限りの背筋力をつかって持ち上げ、少しずつ少しずつ頭を上げていきました。何度も力つきそうになり、逡巡し、そして、もう一度と考え直し、そして、これでだめならと力み、さらに力をかけ力み、何度か目に頭の上の土塊が崩れ、のけられました。窒息する事はなくなり、一休みして、自由になった右手で下半身を埋めている土塊を崩しました。水を含んだ粘土質の土塊はわずかずつしか動かせません。右手で掘ったり、つかんだりしてはなるべく遠くに投げ、膝が出るまで続けました。膝が出れば、立ち上がれます。立ち上がって、埋まった右足を引き抜きます。一度では出てきません。残った力を振り絞って、右足を抜き、ようやく立ち上がることができました。

 脱出直後は疲れ切って感動はありませんでした。とにかく生きている、と言うだけです。12時を少しまわっていました。20数分間のことでした。
立ち上がった時、既に筋肉痛で体中がガタピシしてました。左腕はしびれたままで、左手は力が入りません。左手のしびれがとれて力が入るようになるのに2週間ほどかかりました。
 その日は気づかなかったのですが、両目結膜下の出血がありました。左は大したことがなかったのですが、右は瞳の下が全て真っ赤でした。ウサギの目より真っ赤でした。この結膜下出血がなくなるのに2ヶ月もかかりました。普通結膜下出血は高血圧の人に出やすいそうです。私の場合は、あまりに長時間力を掛けすぎて、出血したようです。少し息苦しく、心臓がすぐバクバクする状態も1ヶ月以上続きました。今は気になることはないほど落ち着きました。
 
生き埋めの日が12月11日、今が3月12日もう3ヶ月経ちました。今は冷静に反省できます。体力が持ったこと、しゃがんだ状態だったこと(前倒しになってたら、たぶん起きあがれなかった)、あきらめなかったこと、いろんなことがあって脱出できました。脱出跡を見てみると、人が埋まっていたようには見えません。私が埋まっていても、助け声をあげなければ埋まっていることは分からなかったと思います。
 脱出後、畑の作業小屋で休憩中ラジオを聞きました。明石家サンマの師匠がサンマの言葉を紹介してました。「生きてるだけで丸儲け」。ほんとにそうです。

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