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「マルサスの人口論」という考え方があります
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投稿者 元会員 日時 2008 年 3 月 09 日 22:03:54: GbuXwi161dSb2
 

(回答先: ワヤクチャ氏へ提言 投稿者 K24 日時 2008 年 3 月 09 日 20:13:13)

 今日人口政策は、発展途上国においては出生抑制策が採られ、先進国においては出生促進策が採られている。一般には前者がマルサス人口論(初版)による必然的政策であるとされている。世界人口の80%を占める発展途上国には、〈マルサスの悪魔〉が根強く存在し、悲観的に人口を抑制することが先決であるとされている。一方後者ではマルサス人口原理の適用外の政策が必要であるとされている。

 マルサスの第二版以降の、いわゆる、ドナルド・ウインチ( Winch, Donald1987)の呼称をかりれば、第二人口論は、今日の先進国の状況にも適用できるもので、有効人口の増大をも提唱の内に含めていたのである。マルサスは第三版以降の付録で有能人口(efficient population)あるいは有効人口(effectivepopulation)の概念を示している。

 本章では、今日のような人口問題の二極時代に直面して、マルサスに帰り、その人口論に内在する本質を見直し、現代のアポリア(Aporie)的人口問題への接近の中から人口政策の現代的方途を見つけることを目的として進めたい。

マルサスの人口論では、人口は不断の増加傾向をもち、これが生存資料によって規制されるというのが三つの命題に含意された基本原理である。これは、当初社会的意識の強い父との論争から、人口理論をそれ自身として展開するよりもゴドウイン(Godwin,W.)(Rothschild, Emma 1995)やコンドルセー(Condorcet,M.de)などの進歩主義者の人間精神の進歩と社会の完全化や財産の平等制度に対する反駁を主たる目的とした論争の性格をもったものであった。

 しかしこれがさらに論争を生み、その論争に答えての第二版では、全く面目を一新し、その着眼を人類の過去と現在に集中し、人口原理そのものの歴史的・統計的な広範な検証に加えて、根本的に初版とは異なる理論を含むものとなった。ここで人口の妨げに「道徳的抑制」を追加し、人口増加を理性的に抑制する方法を人口理論から人口政策へと直結したのである。

 1798年の初版では、「人口は算術級数的に増加するのに対し、食糧は幾何級数的にしか増加しないと主張し、そして両者を均衡に導く要因として、死亡率に関する積極的抑制(悪徳;viceと窮困;misery)と出生率に予防的抑制を挙げた。これがマルサスの「第一人口論」である。これが発表されるや一大センセーシヨンとなったが、多くの避難を浴びた。それに対抗するべく第三の対策として、「道徳的抑制;moral restrint」を書き加えて刊行したのが第二版である。マルサスはこれを先の初版とは全く新しい著作として公表した。マルサスの第二人口論という所以である。その後第六版までつぎつぎと改訂版が刊行された。その中核をなす理論は一貫しており、各版の叙述と力点には多少の差異がみられるが、理論の充実化の中で大きな相違はないようである。

 一般に、マルサス的な人口論(マルサス主義)においては、農業生産性の増加が原因で、人口増加が促進され、究極的には最低生存費の等しいレベルの窮乏化に陥ると考えられている。つまり、食糧の供給が非弾力的であるという前提から出発する。したがって、人口は非弾力的な食糧供給によって規定される従属変数として扱われたとみることができる(Boserup, Ester 1981)。
 

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