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投稿者 松浦 日時 2007 年 10 月 24 日 20:52:25: nX3mGLaD7LQUY
 

(回答先: Re: 取敢えずの応え、及び疑問と異論、そして反論 投稿者 影の闇 日時 2007 年 10 月 24 日 00:56:00)

ご質問は、貴方の地政学的視点からのものと感じますが、連関対比する必然は無いように思います。
確かに、イスラム社会主義、文化大革命、クメール革命は、資本主義否定という意味では共通していますが、これらについて、軍事侵攻に至らない理由と、タリバンについても、個別に理解することは容易だからです。

ポルポトは、イデオロギーが余りにも恣意的、外部的で土着性を持たないために、影響力が地理、時間的共に限定されて、必然的に一国一制度に帰結してしまい、世界体制への挑戦者には成り得ませんでした。

中国については、似ているようで、実は、対称的に伝統的、内在的運動ゆえに、自己完結の性格が強く、外部世界を対象にしてきませんでした。毛沢東主義は、国際運動ではなく、自給的な伝統社会の普遍性故に世界的に伝播したのですから、其々に対して個別に対処するしかない性質のものです。ですが、その確認以前に、中国に軍事侵攻が出来ない理由は、周知のように自明な理由が多岐に渡り存在し 、敢えてここで説明する必要はないと思います。

リビアには直接空爆を何度も繰り返していますが、どこを拠点に侵攻が可能でしょうか(イスラエルは論外)。アラブ諸国、マグレブ北アフリカ諸国はリビアに対する名分を持ちませんし、地中海に艦隊を展開できるわけも無く、ソビエトも非同盟諸国も健在な当時、国際世論を一致して動員できる口実も無く、可能性すらありませんでした。したがって、空爆の可能性は考えても侵攻の恐れを持ったことは一度もありません。今では、対抗者であり続ける事を止めました。カダーフという人は、国民を犠牲にするような愚かな事は決してしないからです。そして、何よりも、国内における政治的信頼と安定性は、イランに匹敵する水準を保ち続けてきています。今更、国際報道と内情との違いを説明する必要はないでしょうが、私以外でも、第三世界の状況を報道ではなく直に触れてきた者なら、内から見た現実を把握できるはずです。

イラクの例を挙げるまでも無く、育成とコントロールは次元を事にする概念です。タリバンを始めとする、アフガニスタンの外部起源のイスラム勢力は、例外無くアメリカの関与を受けていましたが、当初から今日に至るまで、米国の制御下にはありませんでした。彼等からみれば、米国を利用しているつもりでしたし、自己目的性こそが本質なのは、援助をしていた米国も承知しています。当初から将来に禍根を残す事が明らかな拙い政策でした。

また、イスラムを一国の地位で評価する見方は、通常しませんし、できません。地域的、国際的、民族的繋がりと、影響で見ます。それが実体だからです。国際運動というよりも、植民地化によって外部的に国境が策定されただけで、主体としてのイスラムには、近代国家制度は、結局馴染みませんでした。実際、彼等と接していて、国籍を意識する事はありません。本当にアフガンのイスラム勢力を過小評価しているとすれば、地政学以前の問題で、リアルではないと判断します。

世界の現状の把握だけでも、南北問題の徹底的な理解と、第三世界に対する文化と経済史を含めた政治的知識が不可欠になりますが、これには、専門的キャリアの長期に渡る蓄積が必要なため、近年特に増えてきた、文献からの後知恵に依存している事が一見して露呈してしまう国際問題専門家と称する人よりも、国内では、むしろ、生協等で長年フェアトレードと開発問題や国際分業の問題に取り組んできた人の中に、地に付いた正確な判断の出来る人を見出す事があります。

そして、人類社会を構成する大部分の人々の視座から世界を見る目が確立できないと、安易に支配する側から世界を見て、その目で当の支配者を批判する傾向が顕著になります。対象の行為を見て対象を批判することには、地道で、広範な蓄積を必要としないからです。政治家、資本家への個々人や人脈を対象にした批判がその典型といえます。

そして、人類社会の全体像を把握できない事による限界は、支配行為者の支配力と、その影響の及ぶ範囲に対する過大な評価を必然的に生み出してしまいます。しかも、その傾向のある人には、この事の自覚が持てないものです。なぜなら、思考は、思考できる知見の範囲を100%として構成されますから、人を通して世界を解釈していると、人間行為のみで世界が構成されていると錯覚してしまい、結果的に、世界は自分が想定できる支配権力者が、その全てを決定できるのだと思い込んでしまうからです。

すなわち、その力の限界が明瞭に把握できなくなるのです。重要なのは、権力に何が出来るかではなく、何が不可能なのかの限界を洞察できる事です。絶対的限界が判れば言う事はありません。

物事の理解とは境界の把握です。Aが何かを定義するには、何がAで無いかを完全に説明できなければなりません。

そのためには、権力が支配できない世界の大部分の領域を知る必要があります。
「構造」理解のための一歩として、権力の限界を定義する事から始める事はとても有効です。例えば、米国を始め、権力機構には何ができないか。国際金融資本には何ができないか。できれば、今だけではなく、永久にできない事、コントロールできない事を厳格に説明するのです。自分自身に問うてみれば、その人の世界理解の限界線がそこにあります。

構造とは、人間相互の力学には収まらない、それ以前の決定的内容を示しています。現実には、構造の上に社会的関係性が乗っているのです。例えば、一億人で構成される社会があったとして、その社会構成員が誰一人不満もなく満ち足りて満足していても、崩壊する社会も体制もあります。構成員の主観的意向と、世界の未来の趨勢とは、原理的には完全に無関係だからです。

ここで、構造概念についての一般的な問題提起で表現しているのは、具体性を持って説明できないからではなく、分量の問題に過ぎません。例えば、マルクスについて言及するのであれば、そのコアである物象概念が理解できなければ、意味は無いのですが、無い物ねだりはできませんから、それを避けていては点睛を欠く表現にならざるを得ないのが残念です。

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