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どの指標を用いてもユーロ高を説明できない中で、金利差でしかユーロ高・円安を説明できなくなっている。
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投稿者 TORA 日時 2007 年 3 月 04 日 14:48:24: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu139.htm

http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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どの指標を用いてもユーロ高を説明できない中で、
金利差でしかユーロ高・円安を説明できなくなっている。

2007年3月4日 日曜日

◆「なぜユーロ高」 2006年9月3日 関係性
http://green.ap.teacup.com/passionnante/46.html

ユーロが円に対して高くなり続けている。それも01年以後、急激に上がり続けている。それに対して、ドルは円に対して03年と04年に急落したが、ほぼ120円前後で推移している。
 実際の数字で見ると次のようになっている。01〜05年までは12月末で、06年は8月31日で、およその数値で表示した。
       01   02   03   04   05   06
1ドル = 131円  120円 106円  103円 116円  117円
1ユーロ=118円  125円 135円  138円 140円  150円


 日本経済新聞(8月8日付け朝刊)に「『円の実力』低迷続く」が掲載された。ユーロやポンドに対して円安が鮮明になってきた。
 この要因について、次のように説明している。
 「ユーロ圏の金融政策を担う欧州中央銀行(ECB)は、好調な域内景気や物価上昇に対応、昨年12月から利上げを進めている」。そして、「国内では7月に日銀がゼロ金利政策を解除し、円安の最大の要因となっていた主要通貨との金利差拡大に歯止めがかかるとみられていた。ただ、市場では『日銀は当面追加利上げに動かないとみており、金利が低い分だけ円そのものの実力が弱まっている』(BNPパリバ銀行の好川弘一FXトレーディング部長)」とこの記事では説明している。

 これを要約すると、金利の高い地域の通貨に世界の資金が集まるため、ユーロが円に対して強くなった。金利が高い貨幣が他の貨幣に対して強くなる。

 日経新聞(8月15日付け朝刊)に「ユーロ圏 6年ぶり高成長」が掲載された。
 この記事では、EU統計局が4−6月期のユーロ圏12カ国の域内総生産(GDP)を実質ベースで前期比0.9%増と6年ぶりの高成長を伝えている。国際比較でも米国と日本を上回った。
 ユーロ圏の失業率が6月に7.8%と04年に比べて1ポイント近く下がり、雇用環境も改善している。

 また、円安・ユーロ高は日本の輸出企業に大きな恩恵を与えている。自動車、電機、精密機器がその代表例である。例えば、06年6月中間決算で、キャノンはこの為替による営業増益効果が430億円あり、マツダ自動車は4−6月期で34億円あった。

  欧州での営業利益が多い主要企業
順位  社名   欧州での営業利益  連結に占める割合
 1 トヨタ自動車   939億円       5.0%
 2 日産自動車   671億円       7.7%
 3 キャノン      332億円       5.7%
 4 ホンダ       263億円       3.0%
 5 武田薬品工業  245億円       6.1%

 8月末になり、ついに朝日新聞(8月30日付け朝刊)で「ユーロ一時150円台」の記事が載った。その背景をユーロの金利高、円の追加利上げ観測が遠のく、ユーロ圏の成長、としている。
 結局、日経の記事と同じ見方をしている。


 以上の三つのニュースから、米ドル、ユーロ、円の相対的価値について、金利動向で動かされるカレンシーレートは真実を表現しているのかを次の三点から見ていく。

 @経常収支は「貿易収支」「サービス収支」「所得収支」「経常移転収支」のトータルで見たもので、ここでは単純に輸出額と輸入額との差(単位:億ドル)によって見ることにする。
       01    02    03     04    05
アメリカ -3860  -4760  -5280  -6650  -7920
 EU   +490  +310  +190   +40   -440
 日本  +500  +820  +960  +1160  +750

 アメリカは貿易赤字を拡大し続け、EUは貿易黒字を減少させついに05年には赤字に転落した。それに対して、日本は永続的に貿易黒字を維持し続けている。

 A失業率について統計数値(単位:%)で比較する。
          01  02   03   04   05
アメリカ    4.7   5.8   6.0   5.5    5.1
EU(フランス)8.7   9.1   9.9  10.0    9.9
EU(ドイツ)  9.4   9.8  10.5  10.5  11.7
日本      5.0   5.4   5.3   4.7   4.4

 この失業率で比較すると、アメリカは03年以降徐々に低下し、EUは10%前後で推移しかなり高率であることを示している。日本は02年以降徐々に低下し続けている。

 B実質GDPで見た成長率で比較する。
       01   02   03   04   05
アメリカ  0.5    1.6    2.7    4.2    3.5
 EU    1.8    1.2   1.2    2.4   1.6
 日本   0.2     1.1   2.3   1.7    2.6

 アメリカとEUの実質GDPが04年に上がり、05年に落ち始めている。それに対して、日本の04年が落ち込み、05年から上昇し始めている。生活実態や庶民感覚とは大きくかけ離れているが、それぞれの国の総経済力を表している筈である。

 ドル、ユーロ、円のレート関係がどこから出て来ているのかを検証する意味で、@経常収支、A失業率、B実質GDPを用いて、アメリカ、EU、日本の比較をしてきた。
 経常収支で圧倒的に日本が強く、失業率でEUのひどさが目立ち、実質GDPでEUと日本に大差がないことが理解できる。
 そこで、どの指標を用いてもユーロ高を説明できない中で、三つの記事で示された“金利差”でしかユーロ高・円安を説明できなくなっている。基本的に、貨幣価値はモノとの交換比率によって測定される筈である。だから、デフレが進行していた日本の円の価値は高まったといえる。それに対して、ドルもユーロもインフレに対応して金利が上昇してきた。貨幣そのものの価値を下げるインフレの中で、それを是正する方向に金利が上昇してきたと見るのが普通ではないのか。
 結果論として、“金利差”で説明するしか指標が見当たらないユーロ高・円安であり、これで説明する無理が@経常収支、A失業率、B実質GDPの実態がある。

 では、ユーロ高・円安の本当の要因は何処にあるのか。
 ほんの一握りの機関投資家に集中した資金が世界中を動き回っている。この資金はそれ以上に膨れ上がる場、金が金を呼ぶ場を探している。デフレと円安の日本に外資が入り込んだこと、急激なオイル高、貴金属の高騰、そしてユーロ高。
 その高騰を演出するために、経済評論家やメディアが動員され、無意識に“金利差”を合唱している。そして、老人も含めた個人の資金をその方向に誘導する金融機関(外貨預金等の投資信託)がその後追いで、高騰を実体化させた。
 お客と接する銀行員も一律にこの“金利差”で外貨預金を勧めている。

 03年は1ドル=110円を切るなら、04年は1ドル=105円を切るならという方向性から、政府による凄まじいドル買いによって円安を誘導し、輸出で大きな収益を上げている大手企業を応援してきた事実も、一握りの機関投資家への同調である。この中で、機関投資家によるドル売り・円買いからユーロ/ドル高騰の演出を行ったと考えられる。
 要するに、市場取引の公平さではなく、一握りの機関投資家の意向と政府の利用による行動をあたかも市場取引に見せかけている。そして、その成果は一握りの機関投資家の利益だけではなく、背後で癒着している大手企業の企業努力と関わりない利益が円安によってもたらされている。
 日本経済新聞(9月1日付け朝刊)で、「ニコン、営業益41%増」が載り、ニコンの想定為替レートは1ドル=110円、1ユーロ=135円であり、1ユーロ=150円を突破し対ユーロによる円安効果だけで数十億円出そうだ、と説明している。
 ここでも、大きな利益を大手企業は手にしている。

 そして、郵便局まで投資信託で収益を上げ、庶民のお金が一握りの機関投資家の意向と同調させられている。そして、庶民は自分たちの小銭資金を守るために、「新自由主義」を継続する今の政権を応援することになる。最後の全ての資金(貯金、退職金、年金)を吸い取られるまで、泣きを見るまで、この庶民は気が付かないのかも知れない。
 ここでも、お金をかき集める機関投資家や大手企業が太りかえることによって、「経済格差」が拡大する。

 既に多くの庶民は毎日の生活で四苦八苦している。この庶民にとってはユーロ高・円安ニュースとの関係性がないように映るが、円安による輸入品(ガソリン、水産物等々)の高騰がズシリと生活を圧迫することになる。


(私のコメント)
先週起きた世界同時株安は円とドルやユーロの金利差を利用した円キャリトレードが、日銀の金利引き上げによる巻き戻しによるものという見方が定説になりました。今日のテレビなどではフジテレビで世界同時株安を取り扱っていましたが、竹中氏は日銀の利上げはタイミングが悪かったと言っていた。

日本の経済状況を知る上では今回の世界同時株安は多くの問題点を浮かび上がらせている。2004年頃までは円はユーロと共にドルに対して高くなってきたのに、05年06年とユーロが独歩高になった。円はユーロに対して大幅安、ドルに対しては小幅安になった。

理由としては金利差を利用した円売りドル・ユーロ買いによる円キャリによるものとしか理由が見つからない。ドルが安くなるのは双子の赤字やイラク戦争などの泥沼化などによるものでしょう。となるとユーロがドルの代わりに買われやすくなる。日銀をはじめ世界の中央銀行などがユーロの割合を増やしている。中国や中東などのドルを多く持つ国もユーロの割合を増やしているのだろう。

ユーロが発足してまだ10年経ちませんが、だんだんと信用を増してきて高くなってきているのだろう。それに対して円は90年代とは環境が変わってきて、対米貿易黒字に関しては中国が日本を追い抜いてきたし、マルクやポンドはドルの受け皿としては小さすぎて円にしわ寄せが来ていましたが、ユーロが99年に登場して重荷が取れた。

いままでの動きからすれば、円は100円を超えていてもおかしくはない。それが今では120円近くでEUからは円安の悲鳴が上がっている。これからも円高傾向は続くと思いますが、90年代のようなドルの暴落があっても逃避する資金は円とユーロに分散されて高くなるから円の独歩高はなくなる。

キッシンジャーが3年前のインタビューで巨額な資金を運用するマーケットはドルしかないと豪語していたが、流通量ではユーロがドルを追い越している。このような状況ではアメリカはドル安を放置できなくなるはずだ。今まではドルに代わる基軸通貨がなかったからドルを乱発しても日本が買い支えてくれたが、ユーロの登場でドルの乱発は出来にくくなった。

このままの状況続けばドルは大暴落するのは時間の問題だ。しかし円ではドルの代わりにならないがユーロならドルの代わりになりうる。このままドルからユーロへの資金移動が進めば二大基軸通貨体制になる。このような体制ならドルもユーロも暴落して円が独歩高になるということは考えにくい。

今から考えれば90年代の円高は異常だったのであり、いまが円の普通の水準といえるだろう。日本の異常低金利は中国の異常な人民元安にともなうデフレ不況なのであり、アメリカの元の切り上げに対する圧力の低さは円に対する時とはかなり違う。それは中国が核ミサイルを持つのに対して日本は何も持たないからアメリカは日本に対しては強硬な圧力をかけて来る。

しかしアメリカもこのまま中国の元を安く放置していたら、中国にとってもマイナスであるしアメリカの貿易赤字も増え続ける。国際競争力を維持する為に元安のままでは、いつまでたっても国際競争力は付かない。国際競争力が付かなければいつか元が高くなった場合に致命的なダメージを負ってしまう。

韓国のウォンも高くなって韓国の輸出品はピンチに陥っていますが、中国にもいずれこのようなときが来る。自国通貨が高くなっても耐えられるように国際競争力をつけなければなりませんが、通貨安に頼っていると国際競争力は付かない。日本は20年にわたる円高でも黒字を維持しているのは国際競争力をつけてきたからだ。


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