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自らの首を絞める日銀の「標準シナリオ」 = 森永卓郎
http://www.asyura2.com/07/hasan53/msg/283.html
投稿者 ダイナモ 日時 2007 年 10 月 29 日 22:26:11: mY9T/8MdR98ug
 

http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/o/105/index.html

 日銀金融政策決定会合が10月10日、11日に開かれ、日銀は短期金利の誘導目標を現行の年0.5%に据え置くことに決定した。これで、2月の利上げ以来、8カ月連続で利上げが見送られたわけである。

 だが、日銀は利上げに消極的かといえば、そうではない。むしろ、利上げをしたいのにできないというのが実情である。それは、福井総裁の一貫した口ぶりからも分かる。

「今回は様子を見て引き上げをしないが、日本の金利は低すぎる状況にあって、それを正常化するのは絶対に必要だ」

 米国が短期金利を引き下げても、福井総裁はこうしたスタンスを崩していない。その根拠としているのが、日銀の標準シナリオだ。「生産、所得、支出の好循環メカニズムが維持されるもとで、息の長い拡大を続ける」――こうした日銀の標準シナリオ通りに、日本経済が動いていると判断しているのである。

 おそらく、福井総裁はこう言いたいのだろう。「現実は、標準シナリオ通りに動いているものの、米国におけるサブプライムローン問題の影響を慎重に見極めるために利上げをしなかった」。

 では、本当に日本経済は、日銀の標準シナリオ通り、順調に息の長い拡大を続けているのだろうか。直近の経済指標を見ていくと、息の長い拡大どころか、日本経済にとんでもないことが起きていることが分かってくる。

悪化する経済指標

 まず、4〜6月期の実質GDP成長率である。これは、年率換算でマイナス1.2%という大幅なマイナスを記録した。これだけを見ても、日本経済は縮小していることが分かる。どこが息の長い拡大なのだろうか。

 次に、8月の完全失業率(季節調整値)だ。これは、前月より0.2ポイント悪化して3.8%となった。これは、11カ月ぶりの悪化である。

 もっとも、これだけなら、「調査した月や期間が、そういう巡り合わせで、悪い数字が出ただけかもしれない」という人もあるだろう。だが、問題はこれにとどまらなかった。

 実は、9月の記者会見で、福井総裁はこう述べていた。「次の統計が出てくるのを見れば、景気がよくなっているのを確認できるはずだ」。これを聞いてわたしは、日銀が調査を行っている企業短期経済観測調査(短観)の数字がよくなっているのだろうと想像した。その時点で短観の結果は発表になっていなかったものの、おおまかな数字が集まっており、それを踏まえての発言だろうと思ったからだ。責任ある立場の人が言うことだから、誰だってそう思うに違いない。

 ところが10月初めに公表された数字を見て驚いた。その結果は、「景気がよくなっている」どころか、非常に深刻な状況を示していたからだ。

「短観」の業況判断指数も悪化している

 短観でよく引用される数字に、業況判断指数というものがあるが、これは業況が「よい」と答えた企業の比率から、「悪い」と答えた企業の比率を引いた数字である。早い話が、プラスの数字は「景気がいい」と感じている企業が過半数であり、マイナスの数字は「景気が悪い」と感じている企業が過半数であることを示しているわけだ。

 この数字は、景気判断において、非常に重要な目安とされている。それが、次のようになっていたのだ(カッコ内は、3カ月前に行われた前回の調査との比較)。

大企業の製造業 プラス23(横ばい)
大企業の非製造業 プラス20(2ポイント悪化)
中小企業の製造業 プラス1(5ポイント悪化)
中小企業の非製造業 マイナス10(3ポイント悪化)

大企業の製造業こそプラス23を維持したが、ほかはすべて悪化している。中小企業の非製造業にいたっては、よいと考えている企業よりも、悪いと考えている企業の方が10ポイントも多くなっているのである。これをもって、なぜ日銀は「息の長い拡大」と言うのだろうか。

 しかも、短観を時系列で観察すると、今年に入ってから、明らかに業況判断指数が悪化に向かっていることが分かる。むしろ、景気は後退の時期に入っているのではないか。

 すべての原因を日銀のせいにするのは酷かもしれないが、2月に実施された利上げが時期尚早だったのではないかと思われるのだ。明らかにあの時点から、日本経済がおかしくなっている。

今月末の「展望リポート」に注目

 もちろんわたしだって、日本の低金利がこのままでいいとは思わない。この低金利が円キャリートレードを生み、世界の金融市場に悪影響を及ぼしたのは事実であり、いつかは金利を正常化する必要があるだろう。

 しかし、利上げは非常に強い薬のようなものである。実施時期を間違えると、ひどい副作用が出てきてしまう。日本経済はまだまだデフレから完全に脱却していない。そうした状態のままで金利を上げたら経済が失速してしまうのは明らかだ。まずは、デフレを完全に押さえ込んで、企業の体力がついたところで、金利を上げるのが順序というものだろう。

 冒頭で紹介した標準シナリオに固執している日銀は、なるべく早く利上げをしたくて、うずうずしているに違いない。しかし、これだけ悪い数字が出た以上、日銀は早く意識を切り換えてほしいものである。

 そんななか、注目されるのは、10月末に日銀が公表する「経済・物価情勢の展望」(通称・展望リポート)の中身である。はたして、そこで標準シナリオを変えてくるか、こないのか。

 もし、そのなかで標準シナリオを変更して、「景気の深刻さをきちんと認識していますよ」というメッセージを送ってくるようならば、当分の間、それほどひどい利上げを行うことはないと考えられる。

 だが、おそらく変えてこないというのが、わたしの予想である。どんなに指標の数字が悪くなっても、日銀は景気拡大を言い続けるのではないだろうか。そうだとしたら、近いうちに再利上げが行われるだろう。デフレ下の利上げという最悪の事態に、中小企業を中心として日本経済は大きな打撃を受けるに違いない。

 大げさに言えば、今月末の「展望リポート」に、日本経済の命運がかなりのレベルで左右されると言ってもいい。ぜひとも注目していただきたい。
 

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