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「プレイバック」大手銀行の好決算に隠された金融庁の暴走ぶり(森永 卓郎)
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投稿者 そのまんま西 日時 2007 年 11 月 24 日 10:00:57: sypgvaaYz82Hc
 

大手銀行の好決算に隠された金融庁の暴走ぶり(森永 卓郎)
〜UFJ銀行の“作られた”経営危機〜

経済アナリスト 森永 卓郎氏 2006年2月13日

巨額の不良債権費用繰り戻しで大幅利益

 昨年11月に大手銀行の9月期中間決算が発表された。2005年4月から9月までの半年間の連結最終利益は、三菱UFJ、三井住友、みずほ、りそな、三井トラスト、住友信託の6グループ合計で、1兆7300億円にもなった。これは、前年同期の実に21倍である。

 新聞各紙は、三菱UFJの最終利益が7118億円と、トヨタを抜いて日本一になったことを大きく報道したが、実はもっと興味深い事実があった。

 それはUFJの利益だ。UFJホールディングスだけで、当期利益が4110億円と、三菱東京を上回るだけでなく、メガバンク6グループのなかで最大の利益を上げている。

 なぜ、経営が立ち行かなくなって三菱東京に事実上の救済合併を求めたUFJが、わずか1年で、それほど莫大な利益を上げることになったのだろうか。

 それは巨額の不良債権費用が繰り戻しになったからである。融資の焦げ付きに備えて積んでいた引当金が不要になって、3000億円以上が繰り戻された。新聞報道では、取引先の経営状態が景気回復で改善したために、引当金の所要額が減ったということになっている。しかし、それはおかしい。

 なぜなら、三菱東京とUFJ以外は不良債権処理費用がすべてプラスになっている。つまり不良債権処理で「損」を出している。ところがUFJは、不良債権処理費用が3164億円ものマイナスだ。もし、取引先の経営改善が理由なら、他のメガバンクもマイナスになっていなければならない。


 そうでないのなら、結論は一つ。引当金を異常に積み過ぎていたのである。

メガバンクを追いつめるための金融政策

 そもそも、三菱東京とUFJの合併話以前から動きが怪しかった。その経緯をちょっと振り返ってみよう。

 2003年4月に日経平均はバブル後、最安値の7607円をつけた。当時、日銀はものすごい勢いでマネタリーベース(日本銀行が金融市場で銀行などの金融機関に供給するおカネの残高)を絞っており、前年比伸び率で36%あったマネタリーベースを2003年4月には11.5%まで絞った。この伸び率と株価の底が一致している。

 これは株価を下げるためにわざと金融を締め付けたのだろう。というのも、おそらく金融庁は、みずほグループを国有化するつもりだったのではないか。実際、株価が額面割れ寸前になって、みずほは国有化に追いつめられた。だが、そこから反撃が始まり、みずほは1兆円もの資金をかき集めてきて、増資することに成功した。これで国有化はできなかったが、その過程で不良債権処理がかなり進むという効果はもたらした。

 2003年9月には自民党総裁選が行われたが、下馬評では小泉さんは不利だった。抵抗勢力が舛添要一さんを対抗馬として擁立し、一本化する動きを見せていたからだ。もし、株価がそのまま下がっていたら、反対派が一枚岩になって小泉さんは負けていたかもしれない。

 そこで、金融政策を切り替え、為替市場でドル買い、円売りを始めたのだ。円を売ると、普通は日銀が円資金を回収する「不胎化」を行うが、そのときは放置した。そのため、円が外資に渡り、それが日本の株式市場に環流して、劇的に株価が上がったのである。これが2003年4月以降の株価急回復の要因だ。

 その後、日銀はマネタリーベースをゆるめ、2003年4月の前年比伸び率11.5%を5月には16.7%、6月には20.3%に拡大した。2ヶ月間でほぼ倍にしたわけだ。

 だが、そのまま拡大しては株価が上昇しすぎて、銀行の不良債権処理を進められなくなる。とはいえ総裁選もあるので絞ることもできない。そこで、20%台で5ヶ月間、横ばいにした。

 狙い通り、小泉さんが勝つと、再びマネタリーベースを絞り始めたが、今度は株価が落ちなかった。その原因は急増した個人投資家が買い支えたためではないかと思う。つまり、株式ブームは2003年の後半から起きていた。


 株価が落ちないので、金融庁は仕方なく直接行動に出た。それが、UFJの特別検査だったのである。


官主導で行われた金融再編

 特別検査を行っていた2003年10月、金融庁に1本の匿名電話が入った。UFJが資料を隠しているという密告だった。金融庁は隠してある場所も知った上で、UFJに乗り込み、段ボールに山と積まれた隠された資料を見つけたのだった。この検査忌避事件をきっかけにして、金融庁は一気にUFJを追い込んでいった。不良債権の引当率を上げさせたのだ。

 2003年9月期のUFJ銀行の引当率は29.2%だった。他のメガバンクも、三菱東京が30.6%、三井住友が30.5%、みずほが35.2%と、メガバンクはだいたい3割程度の引当金を横並びで積んでいた。相場としてはそんなものだろう。

 ところが、金融庁が特別検査に入った後、2004年3月期にはUFJ銀行の引当率は51.4%、2004年9月期には54.9%に跳ね上がる。これは、要管理債権(要注意先に対する債権のうち3ヶ月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権)の55%がかえってこないと見込んだということだ。

 街金ではないのだから、銀行の融資の半分以上が返ってこないという想定はおかしい。金融庁がUFJを追いつめるために膨大な引当金を積ませたのだ。

 追い込まれたUFJはみずほのように増資もできず、行き場を失った。なぜ増資できなかったかといえば、竹中平蔵大臣の天才的な発明ともいえるが、刑事告発を1年間留保したからである。留保されると、増資をしたくても出資者に銀行の状態を正確に説明できない。どちらに転ぶかわからないからだ。

 こうして、増資もできず、三菱東京と合併せざるを得なくなった。その条件としてUFJの不良債権処理を大幅に進めさせ、ダイエーに代表される大口融資先を切り捨てたのだ。こうして、政府の目標はほぼ達成された。

 その後の遺産として残されたのが、50%を超えるとんでもない額の引当金である。こうして、2005年9月の中間決算で、UFJは巨額の利益を上げた。それなら、合併など必要ではなかったのではないか。誰もこのことを指摘しないのはおかしい。

 いずれにせよ、金融庁によって“作られた”UFJ銀行の経営危機の一番の被害者は不良債権処理の対象とされた大口融資先と従業員だろう。

 金融庁の暴走はここで止まらなかった。2004年7月から、今度は三井住友にも検査に入り、巨額の不良債権処理をさせ、2005年3月期の決算で三井住友は黒字予想から赤字に転落した。西川善文頭取はその責任を取って退陣した。

 いま振り返ると、2003年4月の初旬ころ、官邸筋の人に聞いた話を思い出す。彼は「みずほ、UFJ、三井住友の順で国有化するからな」といっていた。実際、その通りに進み、この金融再編がいかに官主導で行われたかがよくわかる。

 シナリオ通りドラマは終わり、いまは最後の大バーゲンセールが行われている。不良債権処理で不動産を買い占めたファンドやおカネ持ちたちにもうけさせるために、今度は地価の上昇が始まるだろう。そして、ただでさえカネ持ちがますます大カネ持ちになる。

 竹中経済再生プランが描いたシナリオはグランドフィナーレを迎えて、小泉総理は9月に花道を去るというわけだ。その背中をきっとニコニコしながら竹中大臣が見送っていることだろう。


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