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縮む個人消費 過剰な借り入れと支出が支えた米国消費に厳しい転機 = BusinessWeek
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投稿者 ダイナモ 日時 2007 年 11 月 28 日 19:33:04: mY9T/8MdR98ug
 

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20071122/141382/?P=1

Michael Mandel (BusinessWeek誌、主席エコノミスト)

2007年11月26日発行号カバーストーリー 「The Consumer Crunch 」

 ずっと前から心配されていた消費の引き締めが、ついに始まりそうだ。経済全体の後退につながるわけではないとしても、米国の家計が受ける痛みは深い。

 近年、米国の景気低迷はおおむね局所的なものだった。一部の業種が大きな打撃を受けても、ほかの業界や金融市場は比較的浅い傷で済んでいるのだ。

 例えば2001年のIT(情報技術)不況では、ハイテク企業と株式市場が大損害を受けたが、個人消費と借り入れにブレーキはかからなかった。しかし今回は逆だ。企業の多くは順調そのものだ、消費者が打撃を受けつつある。

25年間、ほぼ一貫して伸び続けた米国の消費

 消費者にとっては素晴らしい時代が続いた。過去25年間、米国人は景気が良い時も悪い時もずっと「消費」を拡大してきた。1981年以来、たった1度を除いて毎四半期、消費支出(インフレ調整済)は前年を上回った。唯一の例外である1991年第1四半期も、わずか0.4%の下落だった。

 個人消費を後押ししていたのは安易な貸し付けだ。銀行などの金融機関は際限なくカネを貸し続けた。債務不履行に陥る者もいるが、全体的には消費者への融資は低リスクで収益性が高いと見られていた。

 ところがサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題が浮上したことによって、長く続いた消費者の“借りて買う”ブームに終焉が訪れようとしている。数千億ドルの損失に苦しむ金融機関は、もはや消費者を確実な顧客としては扱えない。不動産融資の審査基準は、高所得層への大口住宅ローンも含めて既に引き上げられている。クレジットカードは依然広く発行されているものの、与信審査が厳しくなるのは時間の問題だ。

買い控えの規模は2000億〜3000億ドルに

 その次に来る大波が怖いのだ。つまり、過去数十年で最大規模の「消費者の買い控え」である。おそらく個人所得の2〜3%に相当する支出が削られ、米国全体では2000億〜3000億ドル規模になる。

 貸し付け基準の厳格化に不動産価値の下落が加わって、高所得層も低所得層も一様に打撃を受けることになるだろう。米メリルリンチ(MER)の北米担当主席エコノミスト、デビッド・ローゼンバーグ氏は、2008年上半期の消費支出は「緩やかな減少」と予想する。「信用基準がこれほど厳格化されることはなかったことであり、我々は未知の領域に入ろうとしている」。

 だが、個人消費が突如として大きく落ち込むわけではない。2000年初頭に株式市場が峠を越えた後、IT支出が急落を始めるまでには約1年かかった。そして、2003年になるまで底を打つことはなかったのである。

 今回もそれと同様に、影響が表れるまでには時間がかかるだろう。10月の小売り業売上高は0.2%の微増であり、クリスマス商戦まではなんとか持ちこたえそうだ。

 だが、来年はかなり厳しい。消費低迷が深刻化かつ長期化し、政治的にも大きな意味を持ってくる。「2008年大統領選の重大な争点になるだろう。そもそも、イラク政策が最重要課題と答える有権者の数が減り始めている」と、独立系世論調査会社のジョン・ゾグビー氏は言う。

何の苦もなくカネが借りられた

 エコノミストは1980年代の初めから、過剰な借り入れと支出を批判してきた。ジャーナリストは消費者を「文無し」「贅沢病」「浪費家」などと書きたて始めていた。新聞や雑誌は、借金を抱えて子供にクリスマスプレゼントも買ってやれないような米国消費者の実態に関する記事を繰り返し打った。

 だが、エコノミストが“消費の終焉”を何度警告しても、大量消費は変わらなかった。米商務省経済分析局(BEA)の最新データによると、個人貯蓄率(可処分所得から消費支出を差し引いた額の可処分所得に占める割合)は1981年の12%から現在はゼロ近くまで落ち込んでいる。その一方で、債務返済比率(債務の元利支払い額の所得に対する割合)は上昇が続いている。

 こうした数字がすべてを正確に表しているわけではない。データは常に修正されているし、BEAは高等教育支出を貯蓄ではなく消費に算入している。大学進学のために数千ドルを貯蓄に回しているような世帯にとっては違和感があるだろう。

 ポイントは、消費支出の増加が所得の増加を上回るということが長く続いてきたということだ。貸し手はリスクの読み方に手を加えることによって借り手の裾野を拡大した。そして、“パーティー”は続いた。「最も重要なのは、何の苦もなくカネが借りられたということだ」と、ジョンズ・ホプキンス大学の経済学者クリストファー・D・キャロル氏は言う。

 2001年の景気後退以降、企業の多くがかなり苦しんだ。ところが、米国の消費者はと言えば、ひたすらカネを借り続けていたのである。「2001〜2002年にでさえ、借りたいと言えば、誰でも融資を受けられた」と、メリルリンチのローゼンバーグ氏は言う。

衣料品、自動車、贅沢品を直撃

 だが今回は違う。「消費者は一転して大幅な節約モードに入った。借金が膨れ上がっていることに気づき、不安になってきたからだ」と、クレジット・ファイナンシャル専門家連盟の経済アドバイザー、リチャード・ヘイスティングス氏は言う。

 問題は、野放図な消費を抑える消費者がどのくらいいるのかである。ジョンズ・ホプキンス大のキャロル氏の調査によれば、住宅価格が1ドル下落すると消費支出は9セント減ることになる。米連邦準備理事会(FRB)によると米国内の全住宅の資産価値は現在約21兆ドルだ。大方の予想通り住宅価格が10%下落すると、今後2〜3年で約2000億ドルの消費支出が消えてなくなる。住宅価格が15%下落すると3000億ドルの減少だ。これは米国の家計所得全体の約3%に相当する。

 BEAのエコノミストも同様の試算をしている。住宅ローンや住宅担保融資による借り入れ額は、2006年に3400億ドルに達しているが、その資金供給の源泉がこれから数年間で消えてなくなってしまうかもしれないのだ。

 家計所得の3%という数字は大したことがないようにも思える。だがもう少しよく見てみるとその影響は想像以上に大きい。政府が個人消費に算入しているものの多くは、家計が直接管理しているわけではないからだ。

 例えば医療費1兆7000億ドルは個人消費と見なされるが、その85%は個人ではなく政府や医療保険会社によって使われているものだ。

 また“住宅関連費”の1兆5000億ドルも個人消費と見なされているが、住宅所有者にとってそれは自分で増減できる支出ではなく、家に住むために必要な費用である。会計ルール上、そうなっているというだけで、本来の意味での個人支出ではない。

 つまり、所得が2〜3%減少すると、各世帯で自由に決められる支出に直接響いてくるのだ。まず買い控えが起きるのが衣料品だ。自動車も打撃を受ける。もう1つは意外に個人消費の大きな部分を占める贅沢品だ。

 米調査会社ユニティ・マーケティング(本社・ペンシルバニア州スティーブンス)の社長パメラ・N・ダンジガー氏は、年収7万5000ドル以上の成人を対象に四半期ごとにオンライン調査を実施している。その結果、年収15万ドル超の高所得層は影響を受けていないが、それより下の層はファッションアクセサリーなどの贅沢品への支出を減らしていることが分かった。「こうした層は非常に慎重になっている」とダンジガー氏は言う。

打撃を受けるのは中国の工場?

 消費の引き締めが経済全体に波及するだろうか。経験的に、消費支出はGDP(国内総生産)の約70%を占めると言われる。これは計算上は正しいが、誤解を招きやすい数字だ。米国人が消費するものの大部分は海外で生産されたものだからだ。

 前回買い控えが起こった1980年代初頭と比べ、輸入品の購入が大幅に増えている。今では消費財と自動車の輸入額は年間約7400億ドルに達している。これは消費支出の3分の1を占め、残りは食品とエネルギーである。

 結局、個人消費が低迷してもほとんどの米国内の製造業で失業が増えるようなことはない。工場労働の大半は既に海外に流出してしまっており、打撃を受けるのは中国の工場なのである。しかも、大半の非金融企業にとって依然として金利は低く、事業拡大や設備投資のための融資を比較的低利で受けられる。

 アジアと欧州では経済成長が続いているし、この第3四半期にはドイツとフランスの成長にも弾みがついた。航空機などの大型商品も輸出増加が見込まれ、米国経済を押し上げている。つまり、グローバル化によって国内の個人消費が米国経済に与える影響は依然よりも少なくなっているのだ。

 だが、消費の低迷の直撃を受ける業界もある。特に危機的なのは小売り業である。サブプライム問題の実態が明らかになって以来、株価が急落している。

 例えば、米高級百貨店ノードストローム(JWN)の株価は9月の52ドルから一時32ドルまで下落。11月14日には米百貨店メーシーズ(M)が第4四半期の売り上げ予測を下方修正したのを受け、株価は7月の43ドルから28ドルへと下落した。「小売り業者は在庫削減に向けて動き始めている」とローゼンバーグ氏は言う。

サブプライム問題の次は「クレジットカード危機」

 米国の消費者がすっからかんになっていると皆が考えているわけではない。消費者ローン市場調査の米SMRリサーチ(本社・ニュージャージー州ハケッツタウン)社長、スチュアート・A・フェルドスタイン氏は、クレジットカードの与信枠が約4兆ドルほど残っており、これだけあれば消費支出がマイナスになることはないと指摘する。

 だが、米クレジットカード大手のキャピタル・ワン・ファイナンシャル(COF)、米バンク・オブ・アメリカ(BAC)、米ディスカバー・カード(DFS)、米貯蓄金融機関大手ワシントン・ミューチュアル(WM)その他企業の幹部は、最近の電話会議で投資家に対し、信用枠の拡大は以前よりも慎重に実施していると述べた。

 国内第5位のクレジットカード発行会社キャピタル・ワンのCFO(最高財務責任者)を務めるゲイリー・L・パーリン氏は、昨年クレジットカード所有者による債務不履行が記録的に少なかった一因は、間違いなく不動産ブームにあると述べている。アリゾナ州、カリフォルニア州、フロリダ州といったかつて住宅バブルに沸いた市場では特にそれが言える。

 だが、住宅バブルの恩恵は消え失せた。キャピタル・ワンでは貸し出し基準を厳格化し、与信限度額を引き下げたとパーリン氏は言う。

“借金消費バブル”の終焉

 FRBがさらに金利を引き下げたとしても、買い控えの影響を緩和することはできるかもしれないが、完全に回避することはできない。これは長く続いた“借金消費バブル”の終焉と考えるべきなのである。調整は避けられない。政府の役割は、パニックを招かないようにすることだ。「FRBには沈着冷静な対応を期待したい」とキャロル氏は言う。

 誰もが打開策を打ち出そうとしている。11月8日の議会聴聞会に出席したFRBのベン・バーナンキ議長は、高額住宅ローン市場に一時的に流動性を与える法律の制定を提案した。

 大統領候補者とその陣営も既に消費不況の可能性を視野に入れて動き始めている。

 「クレジットカード負債が、第2のサブプライム問題になる可能性がある」と民主党候補バラック・オバマ上院議員の経済アドバイザーで、シカゴ大学経営大学院教授のオースタン・D・グールスビー氏は言う。オバマ氏は、政府がクレジットカード市場の監視体制を強化していく必要があると考えているという。

 共和党候補ミット・ロムニー氏は、中間層、低所得層の貯蓄と投資への課税廃止を提案している。信用不安が増したとしても、なんとかしのげるようにするためだ。

 政治家が何を言おうと、景気後退だろうが何だろうが、米国の消費者は「節約生活」に入るための準備をしておいた方がよさそうだ。

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